2013年1月15日 (火)

薬物依存

 毎日新聞(1/15)から、

 Q 薬物依存症って病気なの?

 A 国際的に認められている精神障害の一つだ。覚醒剤や大麻など依存性のある薬物を使い続けるうちに、脳内の神経系に異常を来す慢性疾患で、薬物の使用を自分でコントロールできなくなる。完治しにくく、糖尿病のように息の長い治療が必要だ

《いつものように個人的偏見と独断でいえば、将来どうなろうと彼らには少しの同情も抱かない。薬物(コカインを除く)よりも強いと言われる酒の依存性によるアル中や、たばこ喫煙によるニコチン中毒症は、少なくとも法律で許されている嗜好品を飲み、吸ったためだ。彼ら飲酒や喫煙で起った障害の治療も、いずれも己を律することもできず、過剰に摂取し過ぎたためのものへの治療ではあるが、法を破って薬物に溺れた奴らに比べれば、医療機関にかかることもまだ許すこともできる。》

 Q どこで治療できるのか

 A 専門の医療機関もあるが、その数はさほど多くない。全国69の精神保健福祉センターに実施した毎日新聞の調査では、管内に薬物依存症を治療できる専門の医療機関がないと答えた精神保健福祉センターが28カ所に上った。しかも、そうした医療機関の中でも著しい患者の偏りがみられる

 Q 偏りとは?

 A 国立精神・神経医療研究センターの調査では09年6月末時点で、薬物依存症の治療実績がある東京都立松沢病院など全国の4病院に覚醒剤の患者計83人が入院していた。厚生労働省の調査では同じ時点で、全国1636の精神科病院に入院していた覚醒剤の患者は671人だった。両データを比較すると、0・2%に当たる4施設に全国の覚醒剤患者の12%が集中していたことが分かる

 Q どうしてそんなことに

 A 全国の精神科病院のうち、薬物依存症に特化した治療プログラムがある施設はわずか5・1%(07年、同センター調べ)にとどまっている。偏りの原因ははっきりしないが、こうしたことと何か関係があるのかもしれない

 Q いずれにしても、医療体制が十分広がっていないということだ

 A 「薬物依存症は病気」という医療面からのアプローチは不十分だったtろいえる

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2010年10月 3日 (日)

薬物はなぜやめられないのか

 毎日新聞(10/3)『なるほドリ』から、
 麻薬をやるのも自由、アル中になるのも自由、そして廃人になるのもまた、自由。

 一昔も二昔も前には、特にアメリカのジャズ・ミュージシャンとは切っても切れない結びつきのように語られていたものだ。中でも女性歌手の最高峰として真っ先に数えられるビリー・ホリデイ。当時のアメリカ社会の激しい人種差別のなか、黒人で私生児(母19,父16歳)としての生まれ(1915年)もあったが、11歳のときの強姦、14歳になった彼女は母とともに売春宿で客を取り、片方では歌のうまかった彼女は小銭稼ぎでホールにも出ていた。15歳になった彼女は当時はやっていたマリファナを吸い始め、麻薬の世界にはまって行くことになる。その後歌が評価される一方で、アヘン、コカイン、ヘロイン漬けになり、母が49歳で死亡すると一層アルコール依存と麻薬にはまりこむことになる。32歳のとき彼女は大麻所持で逮捕され、女子刑務所で8カ月間服役。その間にニューヨーク市のキャバレー入場証が失効、12年間キャバレーへの出演ができなくなる。

 しかし、第二次大戦後頂点を極めることになるが、今度はLSDに手を出し、解毒治療を受けるが失敗する。直後に麻薬所持で逮捕、1年の服役。それからの彼女はスキャンダルにまみれ、経済的にも追い込まれて行く。1948年出所した彼女はカーネギーホールの舞台に立ち、大成功をおさめる。一方でヘロイン漬けの生活が続き、労働許可が没収され、ニューヨークでの仕事ができなくなる。今度は場所を移したサンフランシスコで麻薬不法所持で逮捕。警察も彼女を追い廻し、何度もヘロイン所持で捕まりそうになる。

 1949年ころにはセッションでもリズムが合わせられなくなったり、遅れたり速くなったり、アルコールのせいで呂律がおかしくなったりした。その後昔の恋人と再会、彼の努力で復活するが、申請した労働許可は却下される。1954年、昔からの夢であったヨーロッパツアーを実現する。相変わらず麻薬にもアルコールにもめげずにだ。また、彼女は何年も前から病魔にもおかされていた。

 彼女が聴衆の前で歌ったのは1959年のニューヨークのダウンタウンでの慈善コンサートが最後だった。体は衰弱し、43キロまで痩せ細り,顎からよだれをしたたらせ、司会者ら2人に抱えられてなんとかマイクの前まで進んだが、予定されていた7曲のうち2曲を歌うのが精一杯だった。

 【閑話休題】
 最近、薬物事件で逮捕される有名人(?)が多いな。タレントの田代まさし容疑者がコカイン所持で、元俳優の清水健太郎被告が覚醒剤を使ったとして逮捕された。薬物関連での逮捕は、田代が3度目、清水が5度目だ。

 Q なぜ何度も事件を起こすのか

 A 依存性が強い薬物は断ち切るのが難しく、再犯性も高い。01年以降の覚醒剤事件では、検挙された人の半数以上が再犯者だった。

 Q どうして依存するのだろう

 A 薬物の強い快感を覚えたり、疲労を感じなくなったとしても、繰り返すに連れて、効果が出る時間は短くなり、「ほしい」という気持ちを抑えることが難しくなる。これが薬物依存症といわれるものだ。欲求を自分の意志でコントロールできなくなる精神障害の一つだ。しばらくやめることができたり、「使ってはいけない」と分かっていても、目の前に薬物があると手を出してしまうなど、完治はできないといわれている。

《薬物を、アルコール、酒と言い換えて読んでもいい。》

 Q 逮捕されたタレントたちは、病人みたいにげっそりしていたな

 A 幻覚や妄想で仕事が手につかなくなったり、対人関係のトラブルや家庭内暴力につながることもある。薬物を入手するための借金を重ねる人もいれば、精神的に追いつめられて自殺願望を引き起こすケースもある。

 Q 恐ろしい。一度はまったら、抜けられないのか

 A 一人で克服するのは難しいが、専門医による治療のほか、自助グループがさまざまな支援活動を行なっている。その一つ「日本ダルク」に参加する男性は「薬物依存は一生つき合わなければならない病気。参加者同士がそれぞれの経験を話し、苦しいのは自分だけではないことを知り、支え合っている」と話している。患者を支える家族でつくる団体も各地にある。身近に薬物依存と思われる人がいたら、相談してみればいい。

《お互いの傷のなめ合いでどこまで治療できるのか、疑問だ。》

 Q 何より使わないことが大事だ

 A 一度だけと思っても、それをきっかけに依存症へ突き進み、健康ばかりか家庭や仕事、すべてを失いかねない。手を出さないことが最大の予防策だ。

 

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2010年5月11日 (火)

市税など「悪質滞納者」に 取り立てチーム

    芽を出した  鷺草  と   朱鷺草
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 毎日新聞(5/10)から、要約と、《 》内は私見。
 市税などの滞納者を対象とする千葉県船橋市の『取り立て専門チーム』が成果を上げている。わずか6人のメンバーで09年度は1億8500万円を回収した。払えるのに払わない悪質滞納者からの徴収はどの自治体でも喫緊の課題となっており、北海道や大阪、山口県など計35の自治体が視察に訪れている。

《世を挙げて弱者の味方を標榜し、「払えないものは仕方ない」「仕事が無い」「不況の世の中が悪いんだ」で、罷り通っているが、一方でその風潮を悪用し、払えるのに払わない無責任が蔓延っている。滞納が巨額になるのは催促しないからだ、ともいう奨学金制度の悪用、授業料滞納に保育料、或いは家賃滞納の居座りや夜逃げ、給食費に国保料などなど数えれば切りがないほどだ。その中から市の権限で取り立てられる債権分について悪質なものから取り立てようというものだ。》

《豊穣に慣れて育ってきた平成の代の生活に比べると、遥かに貧しく苦しかった敗戦後の取り立ては、情け容赦もなく辛辣であった。税金の滞納があればある日、どかどかと役人がやって来て手当り次第に差し押さえの『赤紙」を貼付けて行った。(これを剥がすことは犯罪となり、今はないようだが、最近までは見えない部位に貼る配慮はしたようだ。)おおかたは借家住まいで冷蔵庫はまだまだ贅沢、テレビなどまだ生まれてもいない時代で、生活必需品にちかいものまでその対象になったし、当然のように電気,水道は止められた。》

 成果を上げているのは船橋市の債権回収対策室。対象は、裁判所の決定がなくても自治体が滞納者の財産を差し押さえて回収できる「公債権」で、
  市税
  国民健康保険料
  介護保険料
  保育所の保育料
  下水道使用料
など、計9種類がある。それぞれ2〜5年の時効を過ぎると徴収できず、これらの債権を一元的に管理し、取り立てる部署を持つ自治体は全国的に珍しいという。

 対策室の回収方法はシンプルだ。まず複数の種類にまたがる滞納者を文書ベースで割り出し、預貯金や給与、売掛金など財産を洗い出す。警告書を送るなどしても連絡がなければ、戸別訪問をせず直ちに財産を差し押さえる。

 相手が何らかの事情で生活に困窮していることが分かった場合は徴収を猶予・停止することもあるが、永嶋正裕室長は「断固たる態度で臨めば多くは素直に納める。生活苦でもやりくりして納付する市民がおり、資力がある者の滞納は許さない」と話す。

《ここで、困窮者の区別が肝心、とのありきたりのことを述べる学者がいる。千葉大教授(行政学)の新藤宗幸だ。『厳しい経済情勢の下、税などの滞納問題はどの自治体でも水面下で深刻化しており、船橋の取り組みも一つの試みだろう。以前に議論の的となった給食費問題と同様「払えない生活困窮者」と「払えるのに払わない悪質な滞納者」をどう区別するのかが肝心だ。一緒くたにして強制執行を乱発すれば困窮者を追いつめかねない。区別の基準を明確にし、執行に際しては危険性を十分認識すべきだ。』と行政の出鼻を挫き足を引っ張ることを言う。行政学の専門家なら、「こうすればいい、こう考えればいい」くらいの提案はないのか。きちんと払っている人たちの皆が皆、楽々と納税しているとでも思っているのか。そういう曖昧さが払わない奴らの跋扈をいつまでも許しているのだ。》

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2010年4月 8日 (木)

飲酒運転で免許取り消し、講習を強化

 つりがね水仙     ムスカリ     カロライナ ジャスミン 
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 毎日新聞(4/8)から、要約と《 》内は私見。
  《日本の警察も随分とお優しいことだ。以後、生涯に亙って免許を持たさない方がいい人間たちに、同じことを繰り返すのがほぼ確実なのに、何を思ってかご丁寧にももう一度免許を持たせて再発の機会を与えましょう、との思し召しだ。酒を飲むのは本人の勝手、自由というものだ。加えて飲酒運転することも自由だ。だが、その自由には責任という重い意味が含まれていることに目を瞑ってルールを破り、飲酒運転をした結果、免許取り消しの処分を受けた連中だ。そんな連中にいくら再教育をしたところで改心などするわけはない。講習の結果が思わしくないとしても、車を運転する機会はいくらでもある。世の中、無免許運転で走り回る奴らは、警察に捕まらないだけでいくらでもいるだろう。講習をしたところで効果は無いに等しい。何故、免許取り消しほどの処罰を受けた奴らに、再び免許取得の機会を与える必要があるのか。》

【閑話休題】
 警察庁は、運転免許の取り消し処分を受けた違反者に対する講習に、飲酒運転の違反者向けに特化したカリキュラムを導入する。カウンセリングや日記などを取り入れて再び飲酒運転をしないよう意識づけをするのが狙いだ。今秋からモデル事業として四つの都道府県で実施する。受講者が違反を繰り返さなかったかを追跡調査して効果を検証し、13年からの全国実施を目指す。

〖取り消し処分者講習〗
 交通違反で運転免許の取り消し処分を受けたものを対象とする講習。運転免許試験所などで行われる。新たに免許取得のために試験を受けるには、事前にこの講習を受けなければならない。道路交通法施行規則で受講時間は13時間と定められている。09年の受講者は3万3964人。うち飲酒運転での受講者は約26%の8785人に上る。

《これだけ多くいる酒飲みたちを、警察は四六時中張り付いた追跡調査ができるほど人員が豊富なのか。断酒が実行できるのならいいが、禁酒程度では再発の可能性は高い。講習期間はおとなしくしていても、麻薬に劣らず依存性の高いのが酒だ。「適量」という存在しない量で言い逃れ、離れられないのが酒だ。講習などと言うものはその場限りのものと思うべきだ。》

 現行の取り消し処分者講習は、運転に関する適性検査や実車講習などを2日連続で計13時間受ける。受講者がどんな違反をしたかに拘わらずカリキュラムは一律だ。新たに導入するカリキュラムは、飲酒運転が原因で免許取り消し処分となった違反者が対象。
 ①アルコールへの依存の度合いを調べるスクリーニングテスト
 ②警察官らを講師とするカウンセリング
 ③受講者同士のディスカッション
などを加える。

 2日連続の講習を受けた後、受講者それぞれが飲酒をコントロールする目標を立て、1日の飲酒量などその達成状況を4週間、「日記」として記録する。「自分と向き合い、飲酒運転はやめるという意識を高めるための時間」(警察庁運転免許課)とする。その後、1時間の講習を受け、運転免許試験を受験できる。

 警察庁によると、09年の飲酒運転の死亡事故は292件で、00年(1276件)以降、01年から9年連続で減少。飲酒運転取締り件数も、05年の14万873件から09年4万1801件と減少傾向が続いている。飲酒運転の厳罰化などが背景にあるが、警察庁担当者は「飲酒による事故をさらに減らすため、違反者への教育の観点から対策を打出した」と話している。

《減少したとはいえ、酒を喰らっての運転は、年間4万件以上もあるのが実態だ。事故を起こしても、その後しばらく神妙にしておれば、改めて免許は取得でき、免許を持つとまた酒を喰らって車に乗ることができる。繰り返しのイタチごっこだ。》

《よしんば再び免許を与えるとしても、その時には酒飲みたちの好きなほろ酔い色の赤いナンバープレートを義務付けさせるようにするべきだ。周りから、危険車輛であることが一目で判別できるように。彼らに人権や温情を配慮することは必要ない。自己責任を自覚させ、差別扱いをすることこそ再発を未然に防ぐ手段となるのだから。》

(余談)
 4人の平均年齢が70歳に垂(なんなん)とする爺さんたち(平均寿命の私よりは若いが)が作った新党が声を上げた。その名を「たちあがれ日本」という。走り始めてすぐに転ぶようなお年寄りたち、大同小異の志では杖がなくては立ち上がれまいに。

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2010年1月15日 (金)

300日規定「違憲ではない」

 毎日新聞(1/15)から、《 》内は私見。
 「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」とする民法772条の規定は、憲法の「法の下の平等」に反するとして、岡山県総社市の両親が国と同市に330万円の賠償を求めた訴訟の判決が14日、岡山地裁であった。古賀輝郎裁判長は「規定には合理性があり、違憲ではない」として請求を棄却した。原告側は控訴する方針という。

 判決によると、母親は前夫との離婚後221日目の08年11月に現夫との間に女児を出産したが、民法の規定により、現夫の子とする出生届が不受理とされた。さらに離婚前の妊娠だったため、「300日以内の出産でも、離婚後の妊娠と医師が証明すれば受理する」との法務省通達の救済からも外れた。

 このため女児は無戸籍となったが、09年2月に岡山家裁倉敷支部で認知調停が成立、現在無戸籍は解消されている。

 原告側は「離婚が遅れたのは前夫が応じなかったためで女児に責任はなく、法の下の平等を定めた憲法に違反する」と主張したが、古賀裁判長は「無戸籍状態を避けるための法的手続きがあり、今回も認知調停により無戸籍は,解消されている。不受理が原告に不利益をもたらしたとは言えない」などと述べた。

《300日問題は、昨日今日取り上げられて問題になったことではない。離婚前の妊娠が生まれる子にどのような不利益をもたらすか、全国に余りにも多い事例として何年も前から明るみに出ている。それを知らぬわけではあるまい。夫がどのような乱暴者であろうと、酒乱であろうと、離婚前の妊娠は夫ある身の女には、夫以外の男との浮気、姦通、密通、不倫の結果でしかない。女が言うように、生まれてくる子に責任などあるはずがないことは誰にでも分かる。それでは一体誰の責任か。夫の知らぬところで法を無視して不義を働いて妊娠した女と、他人の妻を妊娠させた男との2人の責任だ。時代が時代なら(韓国では現在でも男女ともに姦通罪で)夫が訴えれば断罪されていたものだ。そのような不純な関係を私は「愛」とは呼ばない。生まれた子はそのような2人の被害者で、妻と男(現夫)は自分らこそ子に対して加害者というべきものだ。
 まして岡山家裁倉敷支部では、法に照らせば無戸籍児となってもおかしくない女児を、温情ある認知調整までして無戸籍を解消しているのだ。これ以上何を求めようとするのか。「離婚が遅れたのは前夫が応じなかった」からというのは、自分たちが法を守らなかった非を棚上げにした上、「法の下の平等」をいい、金をよこせとは、これこそ盗人猛々しいというべきだろう。裁判長の「(訴訟)不受理が原告に不利益をもたらしたとは言えない」とは尤もな結論というべきだ。》

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2009年9月26日 (土)

やっぱり酒にはあまーい国だった

 毎日新聞(9/26)から、要約と《 》内は私見。
 酒気帯び運転を理由に懲戒免職処分を受けた兵庫県加西市の元課長の男性が、市に処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は18日付けで市の上告を棄却する決定を出した。それを受けて懲戒免職処分を取り消した1、2審判決が確定した。元課長は19日付けで復職した。

 06年に飲酒運転の福岡市職員(当時)の車に追突され幼児3人が死亡した事故を受け、全国の自治体で「飲酒運転をした職員は原則懲戒免職」と処分を厳格化する動きが広がっている。一方、職員が処分取り消しを求め提訴するケースも相次ぎ、地・高裁レベルでは判断が分かれていた。

 加西市によると、厳格化後の処分に関する最高裁の判断は初めてという。小法廷は「(憲法違反などの)上告理由に当たらない」とだけ述べ、処分のあり方については言及しなかったが、今後の自治体の対応に影響を与える可能性がある。加西市は福岡の事故後の06年、「飲酒運転した職員は免職する」と懲戒処分の指針を定めた。

 1、2審判決によると、元課長は07年5月の休日に自宅近くで飲酒後、車を運転したとして、罰金20万円の略式命令を受け、市に懲戒免職された。2審・大阪高裁判決(4月)は指針に合理性を認めた上で「仕事と関係ない運転で距離も短く、事故を起こしていない。アルコール検知量は道路交通方違反の最低水準。38年間まじめに勤務した」と指摘し、「免職処分は苛酷で裁量権の逸脱」と結論づけた。

《これでは盗人にも3分の理、モンスターペアレンツの理屈だ、仕事に関係ないから、短い距離だから、アルコール濃度が低いから、事故を起こしていないから、長年真面目に務めたから、と裁判官がモンスターの味方のような判断だ。若い勤務年数の短い社員だったら、どう裁いたか。これでは何のための道交法だ、これからは、会社勤めの飲んべえは仕事を離れれば、安心して飲酒運転ができ、首になっても文句が言えるようになるぞ。確かに市は「飲酒運転をした職員は原則懲戒免職」と決めた。私はこれまで原則には必ず例外がある、といってきた。ところが記事によると、処分に不服で取り消しを求めるモンスター側の提訴が増えているという。これでモンスター側の言い分が次々に通ることになれば、例外が当たり前になって例外でなくなる。ますます法の精神は蔑(ないがし)ろにされることになる。有名無実のお飾り法だ。それにしても日本という国、どこまで酒飲みにお優しい国なんだろうか。》

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2009年9月24日 (木)

連休最後の日の海で、1人死亡、2人不明

 毎日新聞(9/24)から、
 「立ち入り禁止」の意味も分からない親に連れられて海に行き、溺れそうになった息子たちを助けようとした親(男)たちの1人は死亡、もう1人の親と子は不明という。

 例年、多摩川ベリで飲んべえのどんちゃん騒ぎと水の事故があるが、今年は無視してブログに取り上げることをしなかった。夏も終わり、海のシーズンも終わりに近づいた頃になって水の事故が相次いでいる。また、シーズン到来とばかりの山では、若いつもりのおばさんたちの装備の準備不足の遭難や事故がしばしば発生している。若作りと若いのとは全く違うことに気がついていない人が多いようだ。

 23日午後4時45分ごろ、茨城県鉾田市上沢の鹿島灘の海岸で、水遊びをしていた同県つくばみらい市伊奈東、会社員、伊豆原清澄さん(38)の長男(10)=同市立板橋小4年=と、同市板橋の地方公務員、掘淳司さん(43)の次男=同=が沖へ流された。

 2人の父親が救助に向かい、伊豆原さんは堀さんの次男を助けたが、今度は掘さんが流され、再び救助に向かった伊豆原さんも行方不明になった。県の防災ヘリが約30分後、伊豆原さんを救助したが病院で水死が確認された。堀さんと伊豆原さんの息子は見つかっていない。

 県警鉾田署などによると、伊豆原さんと堀さんは息子を通じた知人で、午後2時頃から堀さんの長男(15)を含む計5人で水遊びをしていたという。現場は岸から約100メートル突き出た形で人工岬が設けられた立ち入り禁止区域だった。沖に向かう流れが発生しやすく、今年7月にも1人が死亡していた場所という。

《当然立ち入り禁止の看板は立っているはずだ。5人はそれを無視したか、字が読めないのか、意味が理解できないかのどれかだ。また、午後の2時ごろといえば、海が波立つ時刻だ。海を知っていれば親たちは一入(ひとしお)子どもへの注意は怠らなかっただろう。その海の性質も知らずに危ない区域に近づいて行ったことになる。

《親が自ら率先して禁を侵すことを子どもに教え、子どもも唯々(いい)として後を追う。その結果がこれだ。子どもを死に誘ったようなものだ。立ち入り禁止を破るのは勝手で自由だ、そこから生じる結果は自分以外の誰の責任でもない、自己責任の範疇だ。不明の2人もおそらく死体で発見されるか見つからないだろう。といって、このような連中に少しの同情も寄せるつもりはない。》

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2009年7月26日 (日)

狂犬病予防接種、わずか4割

 毎日新聞(7/25)から、《 》内は私見。
 《恐ろしい記事だ。現在、犬を飼う人間どもの責任感がこれほど低いものとは思ってもいなかった。以前犬を飼っていたことはブログに書いたが、警察犬登録をしていたドイツ・シェパードは毎年、予防接種のため保健所に連れていったものだ。それが決まりだし犬を飼うものの責任だからだ。》

 《テレビコマーシャルにさえ、夫で父が犬の獣姦家族のようないかがわしいものが映し出されもてはやされる時代だ。外に出れば身に纏うものをつけさせ、雨が振ればカッパを着せ、犬にもあるまじき奇妙な形に毛を刈り、可愛がっているつもりでブランドを身につけさせ、紐に繋いで練り歩く。犬にしてみれば迷惑な虐待でしかないだろうに、犬が尻尾をふれば喜んでいるものと勝手に思う。犬語をしゃべるとて玩具まで売り出す。もっと我慢ならないのは犬を数えるのに「私たちふたり」、であり、「ⅹにん」となる。犬を夫にし、家族同様に可愛がるのは勝手だが、相手はただの犬だ、何が「ⅹにん」だ。どうして「私と1匹」と言えないのか。》

 狂犬病予防法に基づき、すべての飼い犬に義務付けられている狂犬病の予防ワクチン接種率が実施には約4割にとどまることが、日本獣医師会などの調査で分かった。国内感染による狂犬病は50年以上発生していないが、年間約3000人が死亡する中国をはじめ、周辺のアジア各国は発生数が多い汚染地帯だ。専門家は「いつ日本に侵入してもおかしくない。このまま低い接種率が続けば、侵入後は国内での流行を阻止できない」と警告する。

 【狂犬病】とは
 狂犬病ウイルスの感染で発症する人と動物の人獣共通感染症。すべての哺乳類が感染する。人が犬に噛まれて感染し発症した場合、興奮、麻痺などの神経症状が出て、呼吸困難でほぼ全員が死ぬため、飼い犬へのワクチン接種が重要とされる。日本では70年にネパールへの旅行者1人が、06年にはフィリピンへの旅行者2人が帰国後に発症、死亡している。

 国内では1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の市町村への登録と年1回のワクチン接種が義務化された。国内で犬に噛まれて発症した狂犬病患者は54年を最後に確認されていない。

 半世紀以上、国内発生がないことが人々の危機意識を弱め、近年は登録率、ワクチン接種率とも低下。ペットフード協会の調査による国内の犬の飼育匹数(07年度)は推定1252万匹に上る。そのうち更生労働省調査による市町村への登録匹数は約674万匹、ワクチンを接種した犬は約510万匹にとどまる。登録率は54%、接種率は41%の低さだ。

 獣医師会の大森伸男専務理事は「マンションなどでの室内飼育が増え、感染の危険性がないと思い込んでいる飼い主が増えているのではないか」と話す。

《感染の危険性がないと思い込んでいる、というよりも、放棄されて殺される犬の数をみれば、登録も含めて無知、無視、関心すらない人間が多い、という方が当たっていよう。犬を飼う人間の半数以上には、モラルも責任感もないのだろう。》

 世界的には発生が続き、毎年3万〜5万人が死亡している。特にアジアでは中国やインド、東南アジア、韓国で発生。インドネシアのバリ島では昨年11月に初の感染犬が確認された後、島内に感染が拡大。在デンパサール総領事館によると、今年4月ごろまで狂犬病による死者や、犬に噛まれて病院に駆け込む人が相次ぎ、多くの野良犬が殺処分されたという。

 狂犬病問題に詳しい源宣之・岐阜大名誉教授(人獣共通感染症学)の話。
 貨物船に同乗した犬など、検疫を経ていないルートで国内に狂犬病が入り込む可能性は高い。国内での流行を抑えるには、世界保健機関の指針に沿って7割以上の犬が、ワクチン接種で免疫を持つ必要がある。現在は非常に危険な状態だ、と語る。 

《何匹であろうと、どんな犬種を飼おうと飼うのは自由だ。狂犬病が発生していようといまいと関係はない。決められた登録、予防接種は愛犬家を名乗るのなら、せめてそれらしい相応の責任は果してくれ。》

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2009年4月17日 (金)

またまた300日問題か

 毎日新聞(4/17)から、要約と《 》内は私見。
 民法722条及び773条により、戸籍がない状態を経験した子どもの親たちで作る「無戸籍児家族の会」が20日、結成1年を迎える。当初国内外の38家族123人だった会員はその後賛同者が増え、80家族250人を超えた。無戸籍状態を解消できた家族がいる一方、今も解決できず悩む人もいる。現状と課題について事務局長の井戸正枝(43)=神戸市=に聞いた。

《現在の日本の世代別構成では、4人に3人が敗戦後の生まれであるそうだ。戦前の、男尊女卑や封建的な習慣、家族制度など、厳しいが規律の取れたしきたりを覚えている人間は愈々数少なくなってきた。敗戦をきっかけに、旧い価値基準は恐ろしい勢いで崩壊し、アメリカからお下がりの、慣れない民主主義を後生大事に育てて今に至った。一家の中心にいた父親は、現在では見るも無惨な淋しい存在に変わり果て、家族を統べる力は疾うに失った。家と家の結びつきであった婚姻は、自由恋愛がもてはやされ、人工中絶は花盛り、婚前懐妊は当たり前のようになり、性倫理はもろくも崩れ去った。姦通罪がなくなり、婚姻における貞操の義務は無いに等しく、その結果、300日問題は生まれるべくして生まれたようなものだ。まあ、井戸の話を聞いてみよう。》

▽1年を振り返って思うことは。
 離婚や再婚という一般的に声を上げにくいテーマだが、家族が力を合わせて思いを訴え続けたことで昨年5月に鳩山法相(当時)との面会が実現した。2代にわたり無戸籍が続く恐れがあった神戸市の親子に関しては国が無戸籍のまま結婚を認める救済策を示し、子どもが救済された。無戸籍でも結婚でき、旅券も取れ、閉ざされていた人生の選択肢が広がった。総務省が無戸籍児も住民票に記載する基準を示したり、最高裁も前夫の関与なしに実父の子にできる「認知調停」を周知し始めた。

《井戸は非常に楽観的な解釈をしているが、神戸市の親子の問題は、娘の無戸籍は娘が結婚し書類を提出して始めて当の娘が知ったために分かったケースで、事実を20年以上も放置したままの娘の親の無責任極まる処置によるものだった。誰が考えても娘の救済は当然とも考えられる特殊なものだ。これが会の影響ででもあるような思い上がりでは、この会の活動はたかが知れたものだろう。》

▽要望は実現したと言えるか。
 それは違う。運用面で進展があった1年だったが相変わらず法改正には至っていない。付焼き刃的な今の対応では(根本的には)解決できないと感じる。国際結婚や離婚も増え、相談が相次いでいる。現状のままでは子どもの国籍も不安定になる恐れがある。

《運用面の取り扱いで十分だ。民法の離婚後300日以内の女性の結婚禁止を変える必要は無い。現在持ち上がっている問題は、法律上の婚姻解消を経ずに、夫以外の異性と性関係を持った結果のことだ(最後尾の記事参照)。法律が悪いのではない。》

▽具体的な活動は。
 昨年7月に全国の家裁で一斉に認知を求める調停をした。その後も増え、50件を超えた。把握した限りでは9割が「現夫の子」とされたが、1割は調停不成立となり、その子は今も戸籍に記載されていない。「別居の時期を証明する資料が不十分」などが不成立の理由だが、家庭内暴力などで住民票を移せずに身を隠していた場合などは証明が難しい。調停不成立は、その子の無戸籍状態の長期固定化が懸念され家族も途方に暮れている。

《夫の暴力が異性との不倫の理由として正当化されることがそもそも正常ではない。無戸籍児をこしらえてから精力を尽くすぐらいなら、それ以前の対策として、暴力夫からの婚姻関係の解消にこそ精力を尽くすことだ。井戸もはっきり言うように、問題を抱えている9割が、「不倫の子」なのだ。途方に暮れるのは突き放した言い方をすれば自業自得、自分で招いたものだ。》

▽前夫を巻き込まない認知調停は実際に周知されたか。
 周知されても、訴える人や内容がほぼ同じなのに家裁によって審判に差がでるのは問題だ。東京家裁八王子支部で取り下げを迫られた人が隣の横浜家裁相模原支部で調停をしたら「現夫の子」と認められた。戸籍は厳格なものなのに、家庭裁判所で当事者たちが経験しているこうした「格差」は受入れ難い。DNA鑑定の要否の判断が分かれることもある。

《DNA鑑定で「現夫の子」とは、「不倫の子」と実証されただけで従来の言い方をすれば、「愛人の子」となるだけだ。》

▽どうすればいいのか。
 「裁判官の独立」は尊重するが、裁判所の対応が場所によってあまりに違えば、司法への不信につながりかねない。認知調停の例がまだ少ないため、裁判所側も戸惑っているのだと思う。当面は裁判所側で可能な限り審判の情報を全国的に共有すべきだ。ケースを比較した勉強会などを開いて事例の蓄積や把握を進めていきたい。

今日、最高裁から一つの判決が出た。
 無戸籍児の住民票不記載に対する記載を求めた公訴問題だ。
次女の出生届に「非嫡出子」(婚外子)の記入を拒否したため受理されず、戸籍がないことを理由に住民票に記載されないのは違法として、事実婚の夫婦らが、居住先の東京都世田谷区に住民票への記載などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は17日、住民票不記載は適法と、夫婦ら敗訴の判決を言い渡した。

共同通信から、
 裁判長は、出生届を受理されず、戸籍が無い子の住民票を自治体が作成すべきかどうかについて初めて判断を下した。「届け出ないことに合理的な理由や、子どもに看過し難い不利益が生じるなどの特段の事情がある場合は、市長村長は記載を義務付けられることがある」と指摘した。

その上で、今回のケースは、親が親の信条を理由に届けでいないことや、子の年齢から選挙権などの不利益が現実化していない点から「特段の事情」に当たらないと結論づけた。判決は自治体の実務に影響を与えそうだ。

《300日問題がメディアに初めて取り上げられたのは07年の正月明け早々のことだった。以来、非嫡出子の届出がなされない場合、無戸籍児になることは広く知られることになった。にも拘らず、未だに無戸籍児は生まれている。男女とも性衝動は本能とはいえ、法律を無視して子をなした場合、生まれた子に、いかなる運命が待ち受けているかはそろそろ分かってもいいころだ。いつまでも、生まれた子が可哀そう、の同情論に頼っていては問題は解決しないことを悟るべきだ。》

参照 300日問題、前夫の子半数以下 08/12/29
   またもや300日問題 08/12/01
   又もや離婚後300規程日問題 07/08/09

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2009年2月 1日 (日)

「無戸籍の子」裁判官が調停回避

メス化した男に結婚意欲とは関係なく、肉体的にセックス大好きの肉食女が20代から30代前半に増えているらしい(毎日新聞 1/21)。300日問題を見ていると、将(まさ)にその通り、と言いたくなる。

決まった夫がいながら、妊娠、出産まで行き着く女。女がその理由にするのが、ほとんどが夫の暴力だ。或いは性格の不一致だが、これが曲者で昔から性格というよりは性の不一致だと言われている。ひねくれた見方をすると、300日問題には現代の性風俗がそのまま現われてもいるようだ。

この問題、昨日今日始まったことではない。男の側も女も、離婚(あくまでも法の上で)後、300日以内に出産すれば結果はどうなるか、ここ数年、世間を騒がせていることを知らない筈はない。それをあくまでも法に楯つく行為をした結果だ。もしそうならば、自己責任で処理しなければならない問題だが、メディアも世の中も、生まれた子どもが不憫、可哀そう、の同情論一色だ。

毎日新聞(2/1)から、 《 》内は私見
 無戸籍の男児(0)と母親(32)が08年、前夫の関与なしで現夫の子とするための認知調停を試みたところ、東京家裁八王子支部では取り下げを迫られ、横浜家裁相模原支部では「現夫の子」と認められていたことが分かった。内容は同じなのに「申し立ての場所」によって対応が異なった形だ。認知調停については最高裁が同年6月からホームページで告知しているが、適用基準の曖昧さが浮かび上がった。

 【認知調停】
 離婚後300日以内に生まれた子を「前夫の子」とする民法772条の規定を拒否し、戸籍を得られない「無戸籍児」の実態が社会問題化したことを受け、最高裁が08年6月からホームページで紹介している裁判手続き。「(前の)夫が長期海外出張、受刑、別居等で、子の母との性的交渉がなかった場合など」において「子から実父(現夫)を相手とする認知請求の調停を申し立てる方法もある」と説明している。適用は文面上、裁判官の判断に委ねられる形になっている。

《最高裁のいう「長期」とは、何年を指すのか。わずか半年や1年とは考えてもいまい。セックスレスが離婚の条件となることは海外では普通のことだし、日本でも離婚は成立する。逆に、獄中結婚をして出獄を待ったケースもある。例えれば時代錯誤を笑われようが、戦時中の女たちはみな、何年も夫の留守を独り身になって家族を守った。今になっては女にも性欲はあると、叫ぶことができるが、だからといって300日問題に触れる出産は不義、不倫であり、婚姻における契約上お互いが守らなければならない貞操の問題だ。裁判官が、性交渉のない期間をどう判断するかは、確かに裁判官その人の節操、道徳律の問題ともなり、基準がぶれるのは当たり前のことだろう。生理学的に、性交渉がなければ性衝動、性欲が抑え切れない期間を、めすは何日、おすは何日、とでも決められれば誰が判断してもばらつきはないのだろうが、それは無理な話だ》。

母親は04年に前夫と結婚したが、07年3月に別居。現夫と交際を始め、07年10月末に妊娠に気づいた。12月に離婚が成立し、08年6月に現夫と再婚。離婚後212日目の08年7月に出産した。

《別居とはいえ、法的にはれっきとした前夫の妻の立場だ。夫以外の男との性交渉は不倫であり、裏切りだ。》

母親は、別居期間などから前夫との結婚破綻後に現夫との子を妊娠したのは明らかだと主張。前夫と連絡を取るのは精神的負担が重いとして、男児の代理人になり、同8月、現夫に認知を求める調停を東京家裁八王子支部に申立てた。

《前夫と連絡を取るのは精神的負担が大きい、など余りに我がままな言い分だが、当然だろう。法的な婚姻関係は継続しているのだ、夫を裏切った上の妊娠に、あわせる顔はないだろう》。

母親らによると、9月の1回目の調停でDNA鑑定業者への嘱託書が作られ、費用や日時が決まった。しかし、10月の2回目の調停直前に、裁判官から突然「最終的には自分の裁量」と言われ、取り下げを求められた。代わりの手続きを示されることもなかったという。

《裁判が「自分の裁量」というには最高裁の認知請求の調停の内容が、最高裁の言う長期に当たるかどうかの判断にあるからだ。かの女の場合、別居してから妊娠が分かるまでの期間はたった7ヶ月に過ぎない。この期間を長期とみるか、見ないかで裁判官の裁量に差が生じることは不思議ではない》。

母親はその後、転居先に近い横浜家裁相模原支部に再び同じ調停を申立てた。すると1回で、前夫との結婚破綻後の妊娠だと判断され、12月にDNA鑑定なしで「現夫の子」と認められた。

《私には、相模原支部の調停成立は、世の中一般の同情論を背景にした担当裁判官の裁量の結果だと考える。また、DNA鑑定の結果はこの母親の婚姻中の不倫の動かぬ証拠になるだけのことだ》。

東京家裁総務課は八王子支部の判断について「プライバシーにかかわるので答えられない」としている。

〈解説〉はこうだ。
 認知調停により戸籍に記載される無戸籍児の数は増えたが、こうした手続きだけでは限界があることを今回の事例は示した。
 法務省の推定によると、離婚後300日以内に生まれる子は年約2800人。うちおよそ9割は、現夫の子と認めてもらうために裁判上の何らかの手続きが必要な「離婚前の妊娠」とみられる。

従来の手続きは、前夫も関与する「嫡出否認」や「親子関係不存在確認」だったが、新たに認知が加わり、前夫との破綻後の妊娠が明らかな場合、前夫の関与なしに現夫の子と認めることができるようになった。「無戸籍家族の会」によると、無戸籍児を抱える家族が08年7月以降、全国の家裁に認知を申立てた結果、27件中23件が認められた。ただ、この時点ですでに、DNA鑑定の要求の有無など家裁による対応の違いが浮かび上がっていたという。

《破綻後の妊娠というが、破綻をいうのは女の側の一方的な意見のみではないのか。実際に破綻していると決定する事実と、妊娠した時点に何の疑いもないものか。夫(法律上はまだ夫だ)の側の破綻に対する言い分は聴取されるのか、無視されるのか》。

最高裁は「別居や離婚の理由は個々で異なり、事情を基に判断する」と説明する。だが、判断に著しいばらつきがあれば、公平な手続きとは言えなくなる。最高裁や家裁は全国の認知の事例を把握・共有し、適用基準や運用上の統一を図る必要がある。併せて民法772条の「300日規定」の抜本改正についても真剣に検討すべきだ。

《772条があるから無戸籍児の数は現状でとどまっている。抜本改正が何を意味しているのか分からないが、不倫や浮気が恋愛や愛という言葉でもてはやされる時代だ。今以上に性モラルの乱れた日本は見たくもない。韓国に存在し、婚姻制度を守るためにも韓国最高裁も認める姦通罪(男女ともに)の復活こそ望ましいとさえ思うほどだ》。

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