2014年5月 3日 (土)

乳幼児に「くる病」が急増

 毎日新聞(5/2)から、

 栄養不足の時代に多かった乳幼児の「くる病」が最近、増えている。紫外線対策の普及や母乳栄養の推進などが複合的に関係しているという。専門家は「くる病は母乳で育っている子どもに多く、特に注意してほしい」と呼びかける。

《長く母乳の効用が言われてきたが、逆に害悪と言われた母親たちは一口記事のような説明では不安になるばかりだ。》

 くる病はビタミンDが極端に不足することで血中のカルシウム濃度が下がり、骨の変形や成長傷害などを引き起こす。歩き始める1歳以降、足に負荷がかかってO脚になりやすい。東京大大学院の北中准教授(小児医学)によると、1990年代はほとんど見られなかったが、2000年ごろから学会報告が目立ち始め、最近は臨床現場で珍しくなくなった。東大病院ではこの10年ほどで、診断したり他施設からの相談を受けたりしたケースが約100件に上る。

 ビタミンDが欠乏している乳幼児の増加の3大要因は、母乳栄養の推進、日光浴不足、偏った食事――という。母乳は赤ちゃんに大切な免疫物質が含まれるなど利点が多いものの、ビタミンDは人工乳に比べて極めて少ない。また、ビタミンDは太陽の光るにあたると体内で作られるが、皮膚がんやしみ・しわ予防の観点から紫外線対策が普及したことも影響している。

 食物アレルギーでビタミンDを多く含む卵や魚などを取るのを制限している場合もあり、こうした要因が重なると発症しやすい。

 北中准教授は「世界的にもビタミンD欠乏症が増えている。予防策として、特に母乳で育ている子には、日焼けしない程度に日光浴させたり離乳食で魚を取らせたりしてほしい」と話す。

《いまでは老いも若きも紫外線対策に狂奔のさまだが、現在母親になっている姉の長女が乳幼児だったころ、日光浴のため冬でも丸裸になってガラス戸越しに縁側に寝かされていた姿が目に浮かぶ。》

 日本小児内分泌学会は昨年、診断の手引きを作成した。血中ビタミンD(25OHD)濃度の測定などで診断するが、25OHDの測定は保険適用になっていないなどの課題もある。

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2014年4月16日 (水)

校則なくても スマホ規制

 毎日新聞(4/16)から、

《家庭内教育はここまでほったらかしだ。先ずは親がモンスター化して教師をバカにする。子どもは親に右へ倣えとなる。親は子に「教育を受けさせる義務を負う」ことを義務教育ということを「学校が教える義務がある」と勘違いし、親の義務を忘れているのが実態だろう。子どもが小学校に上がるに際し、せんせいのお話は、静かに聞くこと、友達同士は勉強の邪魔になるからお互いにおしゃべりをしないこと、先生はお友達ではないこと、あちこち歩き回らないことなど、最低の心構え程度のことは躾けておくべきことだ。この程度の家庭内教育すらしないまま、そんなことは学校がすること、と何もしないまま放り出す。
 学校が荒れ始め、教室内の統一が取れなくなった背景には、このような親の無責任な子育てがあるのだ。少なくとも教えを受けるせんせいへの尊敬の念を、逆にモンスター親たちが蔑み、吹聴し蹴落としているのが実態だろう。 
 人が生きて行く中での団体生活にはいろいろな規制や制約が存在するが、記事に取りあげられている学校には校則というものが存在していない。家庭内では放任されたまま好き勝手することを当たり前としか躾けられていない子たちが、最低の善悪さえ理解できないのも当然とも思える。》

【閑話休題】
 スマートフォン(スマホ)を常に操作する子どもが増えている。社会問題化する中、校則が殆どなく自主性を重んじる名門校も、ルールを定めざるを得ない状況になっている。神戸市東灘区の私立灘中学高校では、授業中に使ったり鳴ったりしたら没収。私立麻布中学高校(東京都港区)でも、電源を切ってカバンにしまうよう決めた。広がるネット社会と「自由」を守る校風の間で、各校が対応に苦慮している。

《学校の対応も情けない話だ。「自由」をどのように教えているのだろうか。私はブログの中で、自由について事あるごとにくどいほど解説してきた。「自由」は責任が伴ってはじめて自由としては許されるので、放埒や放任や無責任とは全く異なるのだ。言い方を変えれば責任が伴わない自由は自由ではないのだ。》

 不文律でサンダル履きや茶髪などを戒める程度で、自由と自律を重んじる灘中高。しかしスマホの普及に伴い、授業中でも隠れてメールやツイッター、無料通信アプリ「LINE」(ライン)を使う生徒やゲームをする生徒が出てきた。

 そこで昨年2学期、教職員が生徒会に、使い方を見直すよう要請。全校生徒約1200人で集会を開き、①授業中に携帯やスマホの電源を切る。使ったり鳴ったりしたら教師が没収する ②返却は保護者に・・・と、決めた。

 麻布中高も明文化された校則が殆どないことで知られるが、スマホについては2012年ごろから、電源を切ってカバンにしまうようルールを決めた。罰則はなく、正しい使い方の自覚を促すのが目的というが、教諭は「スマホに没頭する生徒が出てきてしまった。放任していると、どんどん使う方に流れてしまう。24時間使えるものなので、家庭の協力も欲しい」と漏らす。

《この期になって家庭教育に期待するのは後の祭りというものだ。このような最低のマナーは幼い頃から躾けられて身につくもの、中高生になってからでは、もう遅い。》

 自由と自立をかかげる武蔵高校中学(東京都練馬区)は、校則こそないが、中学生には授業が終わるまで電源を切り、しまうよう指導。高校生には適切に使うよう自覚を促す。

《あ〜あ、あ〜あ、なんとも情けない学校だ、子どもたちだ。この有様では懲罰付きの軍隊方式の校則復活が望まれても仕方ないか。》

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2014年3月 3日 (月)

5歳の娘、机の角で股間を・・・

 毎日新聞(3/3)から、

 5歳の娘のことです。暇さえあればテーブルの角に股間を押しつけています。注意すると維持的にやめるのですが、気がつくとまたしています。どうしたらいいでしょう。(36歳・母)

 <回答は日本家族計画協会クリニック所長・北村邦夫>
 女の子に限らず、男の子の親ごさんでも同じような光景を目にし大騒ぎをする方がいます。「3歳の息子に『ママ、おちんちんが気持ちいいよ』って言われて。見ると、ズボンの上から性器を刺激しているのです。どいしたらいいのでしょうか」との嘆きの電話が入りました。

 「それは大変でしたね」と慰めの言葉をかけながら、「大人と同じように、子どもも性器に触れていれば勃起もするし、気持ちよくなるのは当たり前」とお話ししました。

 大人はつい、「そこは触るところではなでいしょ」とか「不潔な手で触ってはダメ」と叱りますが、余計に性器への関心を集中させてしまいます。子どもは大人ほど性器へのこだわりはありません。「ママと一緒に走ろうか、よーいドン!」とか「お菓子を食べる?」と気持ちを切り替えさせてみてはいあかがでしょうか。

 また、時には見て見ぬ振りをするのも大切なことです。娘さんのことも同じように考えて接して上げてください。

《昔はどこの家庭にも男性のための小用をたす便器が備えられているのが普通だった。現在40歳を過ぎた長男が、やはりお尋ねの娘さんと同じ年頃のこと、私の小用を足す横にまで来て、「お父さん、ちんちん触っていたら大きくなったよ」って話したことがあった。「そうか、そのうちにもっと大きくなって破裂するぞ」って返したことを思い出した。その後長男が、破裂するかどうかにチャレンジしたのか、やめたのかは不明のままだ。》

 注意したいのは、性器やお尻が不潔なために痒くなり,性器を机の角に押しつけたり、触ったりすることがあるということです。トイレット・トレーニングがうまくいっていないことも考えられます。洗浄便座が増えてるとはいえ、紙でお尻を拭く時に、前から後ではなく、後から前に拭いていませんか。これでは、雑菌が性器を汚してしまうことにもなりかねません。それが、膣炎や鬼頭包皮炎の原因となる場合もあります。子どもは自分の状態を上手に話せず、気持ちを紛らわすために性器への刺激を繰り返すこともあります。下着の汚れが気になるようでしたら、正しいトイレット・トレーニンングをしてみましょう。

《長男のことがあった同じ頃だった。同僚の娘さんのことに話しが及び、上のドクターと同じように女の子の排便時のお尻を拭く時の注意として、前から後への動作を話ししたことがあった。医師でもないのに、育児にはそれほど心を配っていた。》

 また、主として小児期に見られる寄生虫の「ギョウ虫」が、悪さをしていることもあります。産卵時期のメスが肛門周囲に卵を産み落とすと、かゆみでお尻をかきむしったり、細菌感染したりする原因になります。性器いじりや性器を机の角に押しつけるなどの行動が、実はこうしたかゆみを抑えるための場合もあります。ギョウ虫の診断は、朝起きて立ち上がる前に、肛門に粘着性のセロハンテープをつけて、顕微鏡で付着した卵を見つけます。治療法には駆虫剤がありますので、小児科の先生に相談してください。

 性器いじりは大人の目には気になるものですが、原因を突き止めて必要な措置を講じてあげる。まずはそこから初めてみてください。

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2013年4月28日 (日)

抱っこで歩く、赤ちゃん泣きやむ

     スイトピー
P4261004_2 毎日新聞(4/20)から、
親が赤ちゃんを抱っこして歩くと、赤ちゃんが泣きやんでラックスする仕組みを科学的に検証したと、理化学研究所の黒田公美ユニットリーダー(神経科学)の研究チームが発表した。18日付の米科学誌カレントバイオロジー(電子版)に掲載された。

 子が親に運ばれるとき、おとなしく丸くなる反応は、ライオンやリスなどヒト以外の哺乳類にも共通しているが、その仕組みは分かっていなかった。

 チームは、生後6カ月の赤ちゃんを腕に抱いた母親12人に、約30秒ごとに座ったり歩いたりという動作を繰り返してもらい、赤ちゃんの心拍数や泣く時間を調べた。

 その結果、母親が歩き始めた約3秒後に心拍数が低下してリラックスした状態になり、座っている時に比べて泣く時間が約10分の1になった。赤ちゃんのおなかを親の身体につけるように抱いた方がより効果的だった。

 さらに、マウスが首の後を咥えて赤ちゃんを運ぶことに着目。マウスの赤ちゃんの首の後の皮膚を摘んで持ち上げると、心拍数が低下しておとなしくなることも分かった。ヒトもマウスも、皮膚感覚と運ばれる感覚の療法が赤ちゃんのリラックスに関係しているようだ。

《たまたま、過去ブログで、最後に、母親に抱かれて向き合う赤ちゃんのことに触れて書いたものがある。参照 企業内保育所 2006/11/ 》

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2013年4月15日 (月)

今どきの常識、離乳食

 毎日新聞(4/14)から、

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 少子化や働く母親の増加で、孫の育児に深くかかわる人が増えている。でも、時代とともに変わる子育て観に戸惑う祖父母世代も少なくない。孫と上手に関わりつつ、わが子とも孫を通してより良い関係を築く「ツボ」は。

 参照 遅くなる離乳期 2009/09

 祖父母世代がよく戸惑うのが、乳児の世話に関する今どきの常識だ。医学の進歩や社会の変化で、かつての「常識」が「非常識」に変わっていることもあり、これが新米ママとのいさかいのタネにもなりがちだ。まずはこの「常識の変化」を押さえたい。

 日本助産師会などが5年前から開いている「楽しい子育て・孫育て講座」では、プログラムに「育児の違い 今・昔」を組み入れている。

 一番よく尋ねられるのは「離乳食」。死父母の時代は、乳児に果汁やスープを与えるのは「生後2カ月から」というのが常識だったが、今は違う。アレルギーを起こす子どもが増えたため「ある程度赤ちゃんの消化機能が育ってから始める」のが今どきの常識だ。6カ月くらいまでは、焦らずに母乳やミルクだけで育てればいい。

 離乳食が始まったら、自分が口に入れた食べ物を上げるのは避けた方がいい。自分の虫歯菌が赤ちゃんにうつるのを避けるためだ。箸も別にして、自分の使っている箸を共有するのは避けた方がいい。

 「抱き癖」も。祖父母をまよわせるポイントだ。以前は「抱き癖がつくからあまり抱かないように」と言われたものだが、、今はスキンシップは子どもの成長を促すと言われている。抱きたいだけ、赤ちゃんが抱いてほしいだけ、抱っこしてあげよう。

 首がすわった子の場合は、昔のようにおんぶでも構わない。抱っこは赤ちゃんと顔を見合わせることができるし、おんぶは赤ちゃんと同じ視線でものが見える。どちらにも長所がある。抱っこ紐やおんぶも紐を使うと便利だ。

《【教えてくれる人】として日本助産師会会長、武蔵野大学看護学科教授の岡本喜代子は言うが、スキンシップもやはり母親に勝る肌はない。スキンシップにそれ以上はない母の乳房から、仕事を優先する母親の代わりに、乳房の温もりや心臓の鼓動の遠い祖父母の衣服の上からでは、スキンシップにはならない。また、おんぶも推奨するが、おんぶする人の背中からおんぶする人と同じ景色は見えないし、よほど頑健な老人でなければおんぶは大変だ。おんぶより乳母車を押す方がおんぶ以上に同じ視線でものは見える。》

 こうした「常識」の変化は、より良い孫育てのために知っていた方が良いが、だからと言って、躾や愛情の掛け方など、子育ての根本は昔も今も変わらない。自信を持って孫に接しよう。

 子育ての主役はあくまで親であることは忘れずに。わが子の子育てぶりがいくら未熟に見えても、祖父母はサポーターに徹して、口出ししたい気持ちをぐっと抑えよう。

 父親、母親へ
 よく考えれば、今の常識を知らなくても、命にかかわるようなことは殆どない。育児は多少アバウトでも大丈夫。乳児健診で問題を指摘されなければ心配無用だ。

 ただ、どうしても祖父母にやってほしくないことは、理由とともにはっきり伝えよう。思っているだけでは伝わらない。

 1時間でも孫の面倒を見てもらったら、感謝することを忘れずに。「孫を連れてきたのだから喜んでいるだろう」と安易に思うなかれ。特に、實の娘は遠慮が足りなくなりがちなので要注意だ。

 祖父母世代は、やっと自分の時間を持てるようになり、もしかしたら「孫と会うのは月1回でいい」と思っているかもしれない。親ばかりに頼むのではなく、他の保育方法も探しておこう。

《どうしても祖父母にやってほしくないことが、子育て未経験の親の誰かの聞きかじりのあやふやの知恵かもしれない。特に最近問題の多い食物アレルギーは、母親さえ気がついていない或いは知らないことがある。一方、赤ちゃんへの注意事項については、祖父母の側からの経験値からの言い分もあるだろう。それこそよく話し合うことだ。その結果、祖父母が責任を持って赤ちゃんの面倒を見たくない場合だってあろう。祖父母全員が赤ちゃんの面倒を見たいと思っているとは限らないからだ。》

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2012年12月 2日 (日)

各党の政権公約 子育て・教育

 毎日新聞(12/2)から、

《衆院選は4日の公示に向けて、各党の政権公約・マニフェスト(原発にエネルギー、経済、財政、社会保障、炉育て、教育、外交に安全保障、ここにきての憲法改正など)がほぼ出揃ったようだ。国民の関心事とて、原発問題が即ゼロ、期限付き停止、フェードアウト、代替エネルギーに、など花盛りだ。私見だが、原発ゼロは幟旗としては国民受けするが、実現性は極めて薄いと思わざるを得ない。企業内でも同様だが、声が大きいことや、数が多いことが必ずしも正しいとは限らない。》

 ここでは各党の子育て・教育についての考えを取りあげてみる。
 
 子育ては、民主が「社会全体で子どもの育ちを支援」、自民が「第一義的には家庭で育てる」をそれぞれ基本方針として主張する。子どもを育てる場が主に「社会」なのか「家庭」なのか、方向性の違いが鮮明だ。

 民主が政策の柱に据えるのが、都市部の0〜2歳児が大半を占めている保育所の待機児童の解消だ。定員の増加や財政支援んの充実により、幼稚園や保育所などの利用児童を5年間で36万人増やすと明記した。

 一方、自民は待機児童解消に言及しつつ、0歳児に対しては「育休を取りやすくし、親が寄り添って育てられる社会の推進」を提案した。3歳以上の幼児教育の無償化も盛り込んだが、家庭での子育てを重視する立場から「多世代同居の促進」などを掲げている。子ども手当実施に伴い廃止された年少扶養控除の復活も約束した。

《私の持論で繰り返し随所で触れてきたが、人間も動物であることを考えれば、0歳〜乳飲み子が自然に乳離れをするまでは母親が育てるのが極々自然のことだ。これが可能でない現在の社会の欠陥が、家庭教育の欠落となり、情緒不安定の子どもの増加になり、学級崩壊やいじめの根本的な原因となっているのだ。私は、自民の「家庭」が子を育てるという方向性に正道を見る。そのためには、自民のいう育休問題や、私の持論の各企業内保育所設置の義務化など検討する必要があるだろう。また、「多世代同居」家族は、私たち昭和一桁世代まではどこの家庭でも当たり前のあり方だった。これまで幾度も書いてきたが、敗戦後の極端な個人主義は、「家付きカー付きばばあ抜き」を謳い文句に核家族化に突き進んでしまった。結婚に際しては親を捨て、収入もないままに家を購入し、苦しい、苦しいを繰り返し、子どもは手荷物の一時預かり所のような、託児所が育てるのが当然のような風潮が世の中をつくってきた。結果は当然のように子育てが親の手から切り離され、それを「社会がみる」のような責任転嫁の状態が現状となった。》

 維新は数値目標や具体策には触れず、民間企業の参入促進などを意味するとみられる「保育の成長産業化」とだけ記載している。未来は民主の09年マニフェストと同じ「子ども1人当たり中学卒業まで年間31万2000円の手当を支給」を打ち出したが、財源について詳しい言及は避けている。

 教育では、自民が「歴史や文化を尊重する国民の育成」や「(中国や韓国などへの配慮を定めた)教科書検定の近隣諸国条項見直し」などを主張しており、保守志向が際立つ。

 いじめ問題で機能不全が指摘された教育委員会をめぐっては、民主、自民、維新3党が揃って生鈍見直しを書き込んだが、「常勤の教育長を委員会の責任者とする」と具体策をあげたのは自民だけだった。
 

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2012年11月28日 (水)

公共の場で騒ぐ子ども‥‥母親に抗議する?

 毎日新聞(11/28)『寄稿』城戸久枝(ノンフィクションライター)から、

《毎度感ずることだが、公共の場で騒ぐ子供など張り倒したくなるが、そばにいる保護者、親のわが子に対する無関心、周りへの配慮のなさが一層気に障る。少子化が叫ばれ、子どもは国の宝的な風潮が生まれ、世界に類を見ない子ども甘やかしの国になり下がったようだ。現状のままだとこれからも、ますます甘やかされ増長する子どもが増え、すでにその気配もあるが、モラルもマナーも身につかない人で溢れる国になるだろう。》

 子育ては本当に難しい。
 最近、ある雑誌のコラムが話題に上がった。筆者である漫画家の方が松山発東京行きの飛行機内で泣き叫ぶ子どもがうるさいと、航空会社と母親にクレームを言ったというものだ。私の周囲では、筆者に対する批判的な意見が多かった。

 私(城戸)にはもうすぐ2歳になる息子がいる。実家のある松山まで、1時間半の航路を何度も往復している。そのため、記事の内容が他人事とは思えなかった。

 子どもを飛行機になせるとき、母親にはかなりの覚悟が必要になる。

 私の場合は次のようにしている。当日、数時間前には空港へ行き、お腹いっぱいごはんを食べさせ、思いっきり遊ばせる。うまくいけば搭乗の頃には、うとうとしてくれる。ただ、子どもは親の思うようにはいかない。絵本やおもちゃ、お菓子でごまかし、なんとかやり過ごす。それも発着時は大騒ぎになる。そのときは突き刺すような視線を気にしながら、子どもをギュッと抱きしめて、時間が早く過ぎるのを願うしかない。私がイライラすると、そのイライラが子ども伝染し、余計に騒ぐ悪循環になるので、できるだけ平常心を保つようにする。でも心は折れそうになっている。

 毎回二度と乗りたくないと思うほど疲れ果てるが、おじいちゃん、おばあちゃんに子どもの成長を見せたい‥‥と、ここまでが私の母親としてのいい分である。

 もちろん、子どもが騒ぐのは当たり前とか、注意すべきでないということではない。機内で子どもが大騒ぎすれば、不快に感じる人は多いだろう。私も子どもを持つまではそうだった。実際に映画館やコンサート会場のように、3歳以下の子どもの入場を規制する場所も多い。ヨーロッパでは、幼児連れで旅行することを歓迎しないところもあると聞いた。

 子どもがいることを特権と勘違いして、傍若無人に振る舞う母親を見かける。公共の場で泣き叫ぶ子どもを放置して携帯電話に夢中になったり、人を押しのけるようにベビーカーをぶつけたり、その行動は目に余るものがある。同じ母親として率先して注意すべきだと思いつつ、なかなか声をかけることができない。

《そのような場、映画館、デパート、スーパー、食堂、駅、電車内など幾度も声を荒げた経験があるのだが、世の中が荒んでくるにつれ、「終いに殺されるから、無闇なことを口にすることはやめてほしい」と妻に懇願され、その情景が見えないところに移動したり、声が届かないところ(これは無理だ、キーキー声はどこまでも追いかけてくる)まで離れるか、早々に逃げ出すようにしている。》

 だから、子どもがうるさい時に、他人が母親に注意することは、決して悪くはないと思う。冷たい視線を向けられるより、声をかけてもらった方が楽になる場合もある。ただ、注意する際にはぜひ思いやりを持って伝えてほしい。そして、社会に気持ちよく受け入れてもらうために、母親もそれなりに自覚を持つべきだ。

 と、ここまで書いて手が止まる。今まで書いたことはすべて子どものためではなく、大人の都合ではないか。大人のために、子どもに「ダメ」と押し付けていいものか‥‥‥。子どもが過ごしやすい環境と、母親が子育てしやすい環境は違う。子どもをのびのび育てたいと願っても、周囲への気遣いなしに、この国での子育ては成り立たない。

《結局、社会や環境のせいにするようでは、碌な子育てはできないだろう。》

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2012年9月 5日 (水)

生まれたばかりの犬や猫、販売に規制をかけるか

 毎日新聞(9/5)“なるほドリ”から、

 《記事は犬畜生の話しだが、人間世界にもあてはまる教訓となる。参照 遅くなる離乳期 2009/09子育てビジョン 2010/02 》

 生まれたばかりの子犬や子猫をペットショップで買うことができなくなるって聞いたけれど,どういうことだろう。現在開会中の国会で、動物愛護管理法が改正された。生まれたばかりの子犬や子猫を早い段階で親から引き離すと、大きくなった後に「噛み癖」や「吠え癖」など問題行動を起こす可能性が高まる、と言われている。このため、繁殖業者が子犬や子猫をペットショップなどに引き渡す時期に規制を設けた。

 Q 「生まれたばかり」ってどのくらいのことか

 A 法律は来年9月に施行される予定だが、施行後3年間は生後45日、その後は生後49日まで期間を延長し、施行から5年以内に、56日に変更するかどうかを検討する

 Q 45日とか56日とか、水分数字が細かいが

 A 子犬や子猫の授乳機関は1〜2カ月間ほど。親の愛情をたっぷりと受けながら、犬同士や猫同士のつき合い方を学び、人に慣れていく「社会化」という大事な期間でもある。45〜56日というのは、この期間にあたる

《「子犬」や「子猫」を「人間の乳児」という言葉に置き換えれば、そっくりそのまま万物の霊長とうそぶく人間社会にも通用する育児の核心だ。例えば犬の生後1カ月は人間でいえば1歳、2カ月は3歳、3カ月は5歳、6カ月は9歳と言われている。その間に人間の親の働くことを最優先させることからくる子との接触の少なさは、情操面の未発達となり、社会化の欠落となり、現在全国の小中学校で起きている学級崩壊やいじめの原因ともなっているのだ。》

 Q 50とかキリのいい数じゃだまなのか

 A 56日は「生後6週」という意味だ。欧米の法律では生後56日を採用しているところが多く、動物愛護団体も56日を支持している

 Q すぐに56日にすることはできないの?

 A ペット販売業者は「56日にする科学的根拠が曖昧」として「46日」を主張している。早く販売しないと、餌代や医療費などのコストばかかる、という事情もあるようだ

 Q それぞれの立場で違憲が違うんだ

 A ただ、環境省が昨年7月に実施したパブリックコメント(意見公募)では《こんなところで横文字を使ってわざわざ漢字を挿入しなければならない手間を生じさせる、実に馬鹿げた話しだ。》「56日未満の犬・猫の販売は禁止すべきだ」に4万3295件の賛成意見が寄せられ、「45日未満」の3万1408件を上回った

 Q それで段階的に56日を目指すことになったんだ

 A 生まれたての子犬や子猫の可愛さは格別だが、生涯大切に育てるのは大変だ。すぐ噛んだり吠えたりする犬や猫を買った飼い主が「うるさい」などと言って遺棄したり、保健所に持ち込んだりしてしまえば、そういった犬や猫の多くは殺処分されてしまうことになる

 Q 殺されてしまうなんて、可哀相だ

《可哀相だが犬猫の場合は殺処分することで一応のケリをつけることができるが、人間の子は疎まれても殺処分はできず、ひどい場合はそれなりの刑が待っていることになる。》

 A 「かわいい」というだけで安易に子犬や子猫を買う飼い主のモラルも問われることになる

《人間世界での育児にも多分に参考になる中身だ。》

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2012年6月18日 (月)

3D(3次元)映像、子どもの目への影響は?

 毎日新聞(6/18)から、

 テーマパークのアトラクションや映画で普及してきた3D映像。一方で業界関係者などは、6歳以下の子どもの視聴は控えるよう呼びかけている。子どもに3D映像をどのくらい見せてもいいものか、不安を感じる保護者も少なくない。3D映像と子どもの成長への影響について、専門家の話をまとめた。

《映画にしろテレビにしろ、3Dが一過性の流行で終わるのか、定着していくものか、業界も不安のまま様子をうかがっているのが現状だろう。私見だが、家庭内のテレビが大型化しても、一家団欒の場もなくした家族の皆が、眼鏡を掛けてまで見る3Dの必然性を持ったドラマやドキュメントがそうはないだろう。私の20歳ごろ、「立体映画」という呼称でブランコに乗った女性が足をぶらぶらさせながらスクリーンで前後に揺れたり、投げたボールがスクリーンから客席向かって飛んでくる、といった他愛ないショットを集めた短編を見たから、かれこれ60年以上前になる。緑と赤のセロファンかパラフィンだったかを左右に張った眼鏡を掛けて見せもの宜しく眺めたものだ。私は、おそらくは3Dの将来は、持ち腐れのじり貧の道を辿ることになるのではないかと見ている。一方、子どもの目への影響が取り沙汰されているようでは、メーカーも量産体制の製造ラインを布くことには二の足を踏むことだろう。》

 日本弱視斜視学会は、3D映像と目の機能の関係を調べる参考として、3D映像を見たことのある子ども(11〜12歳)6人と、その保護者(4人)にその感想を尋ねた。子どもは6人全員が「面白い。また見たい」と答えたが、保護者は4人中3人が「子どもの目の健康にやや不安」と答えた。

 人間は、左目で見た世界と右目で見た世界のわずかなズレ(両眼視差)によってものの立体感や遠近感を理解している。3D映像は左目と右目に別々の映像を見せて人工的にズレを作り、立体感を出している。

 現実の空間では両方の目で一つの像を見ているが、3D映像を見ているときは、左目と右目が「分離」された形で、それぞの目が別々の像を見ている。このため、両目で一つの像を結ぶ力が弱い人が3D映像を見ると、斜視になる恐れがある。

 また、現実の空間では、両目の視線の先に対象物があり、そこに目のピントが合っている。だが3D映像を見ている時、目のピントは映画館のスクリーンやテレビの画面上に合っているのに、視線が合う対象物は画面より手前に出たり引っ込んだりして、ピントと視線のズレが生じる。3D映像を見て不快感や目の疲れを感じる人がいるのは、現実とのこうした矛盾のためだ。

 対象物を立体的に見る力(立体視)は、生まれた後に両目でものを見るうちに発達し、6歳くらいまでにほぼ完成するという。弱視斜視学会理事長、不二門(フジモン)大阪大医学部教授は「この時期に3D映像を見ると、素因のある子どもは、まれに斜視になる場合がある」と注意を促す。6歳以下は視聴を控えた方が良いと言われるのは、こうした理由による。

 実際、3D映画視聴後に急に斜視になった▽飛び出す3D本で約1カ月遊んでいた子どもが複視(ものが二重に見える)を訴えた──などの例も。不二門教授は「目の機能が正常の子どもは、3D映像を見ても問題はない」と説明。斜視の素因がある子どもの場合でも、問題が起きるのはごく一部だというが、不二門教授は「斜視のスクリーニング(健診)はほとんどされておらず、注意が必要だ」と呼びかける。斜視の素因があるかどうかは、眼科医を受診すればほぼ分かるので、気になる人はまず受診するといい。斜視の素因がなくても、左右の視力に大きな差がある場合などは、眼精疲労や複視が起きる可能性がある。

 家電メーカーや学識経験者らでつくる「3Dコンソーシアム」は10年4月、快適に見られる3D映像の条件に関する安全ガイドラインを発表した。北里大医療衛生学部の半田専任講師は「『映像の飛び出し方が少ない』など、条件を守った映像なら医学的問題はない」と話す。

 3D映像のテレビを扱う家電メーカーの店頭カタログには、6歳未満の子どもの3D視聴について「必要に応じて医師に相談ください」との注意書きがある。10年7月に3D機能を搭載したテレビの販売を始めたシャープ(大阪市阿倍野区)東京広報ブループの担当者は「使用上の注意点をきちんと理解して使ってほしい」と呼びかける。

 だが、アニメを中心に子ども向け映画を上映する映画館では、3D映像を見て気分が悪くなった場合の対処について「保護者の方はお子様の健康にご留意ください」などと注意を促しているが、子どもの視覚に限定した対応はしていないようだ。

 あるシネコン(複合映画館)の広報担当者は「映画は上映時間が短い。子ども向けの場合、製作者も急に対象物が飛び出すような映像は使わず、奥行き感を出すことに3Dを使うなど配慮している」と話していた。

 実際、幼い子どもはどの程度、3D映像に接してよいのか。不二門教授は「親が近くで様子を見て、異変があればすぐに止めることが大事」と助言する。

 3D映像は今後、教育現場で使われる機会が増える可能性があるだけに、不二門教授は「3Dが苦手な子どもがハンディキャップを負わないよう配慮が必要」と指摘。まだ半田講師は「ガイドラインを無視した映像作品が出回らないよう、映倫のような審査機関を設置すべきだ」と指摘し、配給側にも注意を呼びかけている。

《注意事項、配慮事項など、受け手側への要望を出さなければならないような問題点を抱えたまま、市場を広げるのは危険が大きすぎる。斜視や複視の子どもたちが増えてからでは遅すぎる。3Dは明治の時代から写真としては世に出ていたし、映画も半世紀以上も前に出現していた。それが一般的に広く社会に膾炙しなかったのには、それなりの理由があるような気がする。3Dなどは、早い時期に終焉した方がよい。》

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2012年6月17日 (日)

育児ストレスの軽減に

         あじさい
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 毎日新聞(6/17)から、

 障害児の支援などに取り組むNPO法人「えじそんくらぶ」が、子どもが「聞かない」典型的な理由を図解したパンフレット「子育てストレスを減らす3つのヒント」を無料配布している。理由を知ってアプローチを変えれば、育児ストレスも減らせるという。

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 「片づけて」と言っても遊び続けたり、「早くしなさい」にもマイペースな子どもを見ると、親は「無視した」と考えがちだ。「聴かない」理由として四つのパターンを上げ、それぞれの対処法をします。

《ご利益のほどは、それぞれお母さん、お父さんが試してみるのもいいだろう。》

 ◎一つ目は「聞こえていない」。特に小さい子は、指示が耳に入っていないことが多い。近くで話したり目線を合わせて、意識を保護者に向けてから話そう。

 ◎二つ目は「うっかり忘れる」。聞いてもすぐに忘れてしまう子もいる。「何をやるんだっけ?」と確認の問いかけをするのもいい。

 ◎三つ目は「意味を理解していない」。「片づける」「早くする」はその子にとって抽象的かもしれない。「おもちゃはこの箱に入れて」「ご飯を早く食べよう」などと言いかえると、従うこよがある。

 ◎四つ目は「わざと」。注目してほしいために、叱られる行動をとる場合だ。良い行動を見つけてほめてあげると、行動が変るかも知れない。

《子どもの年齢が書かれていないが、2、3歳児なのか、4、5歳児を言っているのか。「わざと」は自我の発達過程ととらえれば、親にとっては喜ばしいことだが、慎重な対応が必要になるだろう。》

 制作した「えじそんくらぶ」は、注意欠陥多動性障害(ADHD)を中心に発達障害の啓発を行なう団体。障害児を支援する中で、まず保護者が子どもの特性を理解し、育児ストレスを減らすことが大切だと分かったという。

 四つの理由は、発達障害の子どもの特徴にも対応する。
  ①は難聴やADHD、自閉症
  ②はADHD
  ③は自閉症や知的障害
  ④は自尊感情の低下や認知障害
という具合だ。だが、障害ではないが同様の特性を持つ子どもにも対応できるよう、あえて障害名は使わず、誰もが振り返れる内容にした。

 代表で臨床心理士の高山恵子は「障害の有無にとらわれずに参考にしてほしい。頑張って子育てをしてもうまくいかず『子どもを怒鳴ったり叱ってばかりだ』と悩む保護者に読んでほしい」と語る。

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