2012年3月13日 (火)

付け八重歯

 毎日新聞(3/13)から、要約と《 》内は私見。

《夕刊一面にカラー写真付きの記事「乙女心と付け八重歯」とある。人工の歯装着 若い女性に人気。これほど世代間でセンスの違いを実感したことはない。朝のNHKアナウンサーの不釣り合いなまつ毛ぼうぼうの目もそうだが、タレントをはじめ多くの女性の歯を見せられることがあるが、その女の子たちの歯並びの悪さを「ブサイク」と感じていたものだ。八重歯がやたらに目立ち、さぞかし消化不良や口臭がひどいだろうと眺めていたものだ。ところが目に飛び込んできたのが夕刊の文字だ。女の子たちには幼いかわいさを想起させるのだという。しかし、気の毒だが新聞の写真の女性のビフォー・アフターでは、かわいらしさなど微塵もない。新聞は、「日本独特の感性」だろう、と書いているのだが。》

 白い歯や並びの良い歯は美容のポイントの一つ。だが、新たなファッションとして、人工の歯を付けて個性を演出する「付け八重歯」の人気が若い女性を中心に高まっているという。そこにある乙女心とは?

 人気アイドルグループAKB48の板野友美(20)のような片八重歯に憧れ、付け八重歯を希望した女性がいる。東京都内の審美歯科クリニック「デンタルサロン・プレジール」で先月6日、埼玉県在住の女性(23)がセラミックと樹脂でできた特殊素材を歯に張り付け、尖った形に整えると、女性は「理想的」と満足げだった、という。

 同クリニックでは、2種の付け八重歯を扱う。歯に固定するタイプは歯科技工士が歯形を取って制作し、1本4万9000円。自分で付け外しできるタイプは同3万円で、来院して1時間ほどで成形してもらえるが、食事や就寝時には外す必要がある。ともに医療保険は適用されないが、こうした施術は歯科医師法で歯科医師にしか認められていない。

《八重歯で記憶にあるのは歌手の小柳ルミ子だ。若い頃の彼女には左上顎に犬歯があり、歌唱の際に上唇が乾いた犬歯に掛かり、開いた唇を閉じることに苦労していた。彼女は歌うために犬歯を矯正して綺麗な歯並びにしたが、施術後歌う正常な歯並びの彼女の美しい口元の動きや表情に慣れるまでに違和感があったのは間違いない。》

 上の女性は「つけまつ毛と同じ感覚で、アクセサリーのように使いたい」と後者を選んだ。元々、左右に八重歯があったが中学時代に歯列矯正。「付け八重歯をしたら本当の自分になれるような気がした」と言う。

《私は小学生の頃歯の健康優良児に選ばれたが、上顎の左右に犬歯があり、最終選に洩れた経験を持つ。昔は犬歯を糸切り歯とも言い、裁縫の際縫い終わった針の糸を、布から切り取るのにその歯で切っていたことからその名が付けられていた。だが、成長するに伴って何時の頃からか、犬歯は目立たなくなり、今ではまったく痕跡はなくなっている。》

 同クリニックは08年から始め、約200人に施してきた。院長は「歯並びは整っている方が良いので、敢えて八重歯にすることには今も悩む」としながらも、「個性を際立たせたいのでしょう。それに、貼付ける方法なら後で外せると考えた」と話す。歯を削って八重歯の形の義歯を被せる方法もあるが、「気持ちが変わった時に戻せない」ため、実施していない」という。

 吸血鬼の牙を連想させるためか欧米では敬遠されがちだが、日本では八重歯が魅力となっているアイドルや女優もいる。「八重歯がかわいいと思うのは日本人独特の感性。永久歯に生え変わる時期に目立つので、幼い可愛らしさを感じるのではないか」と語る。

 一方、歯並びに凹凸があると、汚れが溜まりがちで虫歯になりやすい。東京矯正歯科学会の加藤副会長は「犬歯は本来、噛み合わせの時に上下の顎をあわせる基準になる重要な歯。八重歯は噛み合わせを損なって他の歯に負担をかけたり、顎の関節症を引き起こしたりする恐れがある」と注意を促す。付け八重歯に付いては「そんなものがあるんですか」と苦笑し、「付け外しできるものならまだいいかも知れないが、勧められない」と話した。
 
 1月には東京都内でイベント「八重歯決起大会」が開かれ、物好きな参加者も約60人集まったらしい。付け八重歯が笑顔をパワーアップするアイテムとPして定着するものなのか、見物だ。

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2011年9月29日 (木)

つけまつ毛、エクステ

 毎日新聞(9/29)から、
 《「まつ毛」と聞けば、40年ほど前の和田アキ子を思い出す。不気味に長く反ったまつ毛は化け物のような大女を見ているようだった。そこから流行は髪、アイシャドウ、眉と次々と頭の場所を繰り返し移動しながら廻り続けて、20年ほど前から再びまつ毛に戻ってきた。いつかも書いたが、日本女性の眉毛に至っては見事に釣り上がって剃られ、描かれ、今では老いも若きも下がり眉の優しさを漂わせる女性が日本から消え失せた。》

 会社員女性(29)は7月下旬、初めてまつ毛一本一本に接着剤で人工毛を付ける「まつげエクステンション(エクステ)」を体験した。「高校3年から『マスカラ命』だった。自分の中の美人像は目が大きい人。アイメークをすると『お化粧をした、さあ頑張ろう』ってスイッチが入る」と話す。

 エクステは、昨年から周囲で始めた人が増えて、一度挑戦してみたかったという。エクステをしたら目元がパッチリとなり、うれしくて鏡を見る回数が増えた。長年手放せなかったマスカラは使わなくなり、メーク時間は5分短縮した。

《鑑を見るたびに己に見蕩れ、日増しにナルシシズムの心地よさに溺れていく。》

 目元を強調するメークは90年代後半、歌手の安室奈美恵らの影響で女子高生を中心に急速に広まった。このころから、マスカラ、アイライナーなどを使ったアイメーク重視の時代が続き、ここ数年は、つけまつ毛やエクステの利用者が増えている。

《いくら流行でも、まつ毛が長いからって良いものではない。以前ケーキ店で怖い思いのまつ毛のことを書いたことがある。応対してくれた若い子と目が合ったとき、黒いイソギンチャクに睨まれたような不気味さを感じ、離れたところにいた年配の女性のところまで行ってオーダーを続けたことがあった。その直後、テレビで物怖じせずものを言う若いタレントが、「ひじき」をまつ毛に使ったことを話していたのを聞いたが、こちらはただ面白く話しただけのことだろう。》

 日本初のつけまつ毛は1947年、アイメーク用品を製造する「コージー本舗」(東京都台東区)が作った。60年代〜70年代に一時、ブームになった後は低迷したが、06年に初心者にも使いやすい「TAKAKOスタイルアイラッシュ」を発売してから再び人気になった。「40代の利用も増えた」という。

《40代の利用とは、「私の若い頃にあれば使っていたのに」と、戻ることの不可能な過去に思いを寄せる虚しいアンチエージングへのチャレンジだろう。》

 ドラッグストアなどで化粧品を発売する「エリザベス」(千代田区)の商品本部、鈴木氏は「つけまつ毛をつけて通勤する女性も増えてきた」と話す。つけまつ毛の人気上昇と同時に、エクステ業界も拡大。日本まつげエクステンション協会の加盟社は08年は30社だったが今年は約400社。エクステサロンのフォーラル表参道店(港区)には、30代後半〜50代の女性が多く訪れているという。チーフの鈴木理
江は「年を重ねると、まつ毛が減って瞼も下がり、老眼などで目元の化粧もしにくくなる。エクステでまつ毛の存在感が出ると喜ばれます」と話す。

 今の日本の女性が目元重視のメークを好む背景には何があるのだろうか。ポーラ文化研究所(品川区)の富澤洋子は「江戸時代の美容書では、『目八分』といって伏し目がちな細い目が良いとされていた。パッチリした目が好まれるようになったのは、欧米文化が入ってきた明治時代以降では」と話す。

 同研究所が91〜03年に3年ごとに実施した調査によると、「自分の顔の好きなところ」では5割強が「目」と答え、常にトップだった。同研究所の川上博子は「現代では芸能人ら多様なトレンドセッター(流行をつくる人)のアイメークがメディアから簡単にとらえられる。手頃な値段で買える商品も増え、気軽に自分の好きな『目』をつくれるようになったことも大きい」と話す。

 甲南女子大の米澤准教授(化粧文化論)は「メークの目的が、世間に向けての身だしなみや男性に気に入られるためではなく、なりたい自分になるためへと変わった」と」指摘する。「自分が満足し、気分が高揚するメーク」を目指す傾向は、90年代の「ヤマンバメーク」などで話題になった「コギャル」世代にはっきりと表れた。「彼女たちは、プリクラや写真メールなどで自分の顔を撮影することが多く、写真では目が大きいと映えることも影響している」と話す。

 一方、今は女性の化粧が二極化し、興味がない人は化粧をほとんどしないという。「自分が納得する顔でいることが大事なんです。子ども産んで母親になったからといって、落ち着いたファッションやメークにこだわらなくなった。女性は自分が主役で、自分が輝く人生を求めているのです」と。

 

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2009年4月26日 (日)

眉を描く

女の化粧 05/05/20

 上は、ブログを開いた初期の頃、「女の化粧」で眉を取り上げた最初の記事だ。それ以来すれ違う日本中の女たちは老いも若きも、吊り上がった眉のオンパレードになり、自身似合っていようがいまいが、眦(まなじり)決した形相に近い化粧で町中を歩くことが当たり前になった。

 眉が細いか太いか、薄いか濃いかは別にして、一様に眉間にまで眉尻を吊り上げ、日に日に目と眉の間隔が広がっていく。瞼と眉との異様に開いた間には、剃ったか抜いたか分からないが、男の髭剃り跡のような青青と痕跡が見えて気味が悪い。どうしてこんな昆虫まがいの容貌にしたがるのか不思議だ。確かに顔の印象が眉毛によって変わるのは本当だろう。しかし、化粧して町中を歩く若い女から老婆まで、優しく丸い下がり眉の女性がいなくなったのは寂しい限りだ。

 2、3日前の新聞のファッション記事欄で眉を取り上げている。カネボウ化粧品の商品開発を手がけるメーキャップアーティスト、吉川康雄が眉の描き方を語っている。

 眉毛は自分の顔立ちにあった形を見つけ出せば、流行に左右される必要はないという。

《それができれば日本中の女の眉が同じにはならないですむはずだ。とにかく没個性が特徴の化粧が流行している。記事に添えられている写真も眉と目だけで、顔全体ではない。そして一様にいかめしく吊り上がった眉を描いている。その眉がどのように顔立ちに合っているのかさっぱり分からない。》

 整える道具は毛抜きと眉毛専用の鋏を。毛の黒い日本人は剃ると毛穴が目立つ。毛の流れに沿って抜けば痛みはないという。いつも化粧をしいている場所に毛抜きを置いて、伸びた無駄毛を毎日抜く習慣をつけて下さい、とは吉川の言だ。

《ところが、何もしない方がよほど自然で良いのに、このような毛穴の目立つ女性がワンサといるのだ。いつも電車の中で化粧する女たち、電車の中でも毛抜き作業をやるだろうか。》

 アイブローにはパウダーとペンシルがあるが、初心者にはパウダーがおすすめだとか。色はブラウンやグレーなどのソフトなものを。自分の髪や目の色に合わせて選ぶこと。

 《病人のように疲れて見えるブルー系で塗ったまぶたをよく見る。ライトとの相性で舞台化粧としては映えるのだろうが、太陽光下では疲れ切ってどす黒く、陰気な病人にしか見えない。》

 「自分で似合う眉毛が見つけられない」「うまく整えられない」という人は、一度眉毛サロンや美容院で整えてもらうことを吉川は勧める。髪を美容院で切ってもらうように、眉毛も専門家の手を借りてみるのもいいでしょう、と。

 《問題は、その専門家と呼ばれる人間が、個性のない流行を追いかけるだけのレベルではどうにもならないことだけれど。》

 

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2009年1月13日 (火)

ヒアルロン酸、しわ取りの自己注射はダメ

毎日新聞(1/11)から、 《 》内は私見
《ただのエチケットか美容か、或いはアンチエージングか自己満足か知らないが、飽くことのない女の造作いじりが続く。眉、瞼、眉毛からつけ爪、耳に穴をあけるなど、自分でできるごくごく初歩のものから、形成外科を伴う歯並び、顎、隆鼻、豊胸などの変形加工まで、女の満足を知らぬ追求は凄まじい》。

《昔から例えられる笑うと目立つ目の下の‘カラスの足跡’。シミ程度のものなら便利な化粧品もあるのだろうが、目立ってくると、誰でも気にし始める。それが、口の両脇の深い皺になると、嫌う女は多い。男性でも、高須クリニックの高須院長は何年か前、自らの口の両脇の皺を渡航して皮下注射で整形している。彼は商売上、自分の顔を実験台にしたものだった》。

 インターネットで購入したヒアルロン酸を、自分で顔などに注射する行為が広がっているという。10日、東京都内で開かれた日本美容外科学会で、日本医科大の百束比古(ひゃくそくひこ)教授(形成外科)らが自己注射による後遺症例を報告し、「素人は絶対にやめるべきだ」と呼びかけた。

ヒアルロン酸は間接や真皮に含まれ、化粧品の保湿成分として使われる。美容クリニックなどでは、皺の下に注射して目立たなくさせる美容法が提供されてる。効果を持続させるには約半年毎の注射が必要だ。

神奈川県内の女性(36)は04年春ごろ、美容クリニックでこの注射を受け、口の両脇の皺に注入して約8万円払った。その後、費用がかさむため、ネットの掲示板で話題になっていた自己注射に興味を持った。

クリニックで使用していたものと同じメーカーのヒアルロン酸を、香港の輸入代行業者を通して1個約2万円で2個購入した。備え付けの注射器を使い、掲示板の体験談などをもとに07年12月、自分の頬や目の下に注射した。

「失敗しても半年で元に戻る」と考えていたが、2、3カ月後、注射した部分の一部が膨らみ、しこりになった。クリニックでヒアルロン酸を分解する注射を打ったがしこりはなくならず、皮下に引きつれが起きる「遺物肉芽腫症」と診断された。完全に元に戻すことは難しく、女性は「すごく後悔している」と話す。

香港の業者は「日本からは月に100件ほど注文があり、殆どは個人だと思う。医師の処方箋に基づいて使うという前提で販売しているので、自己注射に関する質問には、医師に相談するよう勧めている」と話す。

《自分が鏡の中の自分を気にするほど他人は他人のことは気にしていない。大したことでもないことなのに、気にし始めるとそればかりが目立って気になる。この女性は36歳ということだが、一体何歳まで皺対策に皮下注射を続けるつもりだったのだろう。長くても1年短ければ半年ごとにでも再び注入しなければ効果は消える。その度に自分の顔に針を刺して消さなければならないものなのか。50歳になり60歳になれば一層皺は増える。死ぬまで皺と戦い続けるのだろうか。それほど憎い皺なのに、費用がかさむだけで安上がりの方法に切り替えるとは。その結果は・・・、自業自得だ。》

注射を使うヒアルロン酸を輸入する際には薬事法の規制を受ける。しかし、厚生労働省によると、個人が少量を自分で利用する場合は所定の手続きを経ずに入手できるという。

百束教授は「ネットでは自己注射の利点ばかりが強調されるが、後遺症に加え、注射によるショック死の可能性もある。水面下にはたくさんの事故例があるのではないか」と警鐘を鳴らす。

《リスクを覚悟であれば何をしても勝手だが、痘痕も靨(あばたもえくぼ)とも言える。また、酒好きの日本人、「酔った目で見りゃすべたも美人」(ルンペン節)に見えるそうだ。しかし、何と言っても飾らない顔が一番美しいと思うのだが》。


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2007年2月 5日 (月)

痩せすぎモデル

昨年9月にスペインのファッションショーで、痩せ過ぎのモデルの出演禁止措置が取られ、フランスのモデル業界でも波紋を巻き起こしたが、今度は同じくファッションでは世界をリードするイタリアのファッション界のデザイナーたちが騒がしいようだ。スペインでは痩せたモデルに憧れて、過度のダイエットを行い、行き過ぎて拒食症などの健康被害を生じるものも出て、つい先日政府がスタンダードを発表した。それによると、洋装店の店頭には日本の規格で言う9号以上でないと飾れなくなり、それ以下のサイズは店頭には出せなくした。同時に、いわゆるL、LLサイズもウインドーに出すように指導した。

毎日新聞(2/5)から
スペインの若い女性の健康を優先させる政府の取り組みから、イタリア政府が、痩せ過ぎモデル対策として独自の指針「マニフェスト」を作成したが、ファッション界のデザイナーたちから反発を買っているということだ。イタリア政府も社会全般の拒食症をなくそうとキャンペーンを進めているところだ。昨年のスペインのショーで痩せ過ぎモデルが出演禁止となった措置を受けて、伊青年・スポーツ省がマニフェストを考案、同12月にミラノ、ローマの各ファッション協会と合意した。

イタリアでも一般の少女が過度のダイエットを行う傾向を憂慮し、「健康的なモデルの美」を提唱。16歳未満がショーに出演することを禁じたほか、ボディーマス指数(BMI、体脂肪指標)を参考に、それぞれのモデルが食事面でも問題がないよう、健康診断書を提出することが、「好ましい」とした。

ところが初めてマニフェストが適用されるケースとなった1月末のローマでのファッションイベントで論議が湧き起こった。担当大臣の説得も「診断書の提示はプライバシーにかかわる」(モデル業界)、「診断書ではねられたモデルは心理的に傷つく」(心理学者)などの反論が出、結局は「16歳未満の出演禁止」以外の条項は強制力がないため、多くのショーで痩せたモデルが例年通りに出演した。デザイナーの1人は「健康診断書を求めるなどばかげている。拒食症はなくすべきだが、極端な規制はおかしい」と語っている。

統計によると、イタリアでは約300万人が拒食症か過食症に悩み、うち95%が女性であるという。メランドリー青年・スポーツ相は「ファッション関係者の良識に委ねたい。マニフェストは解決のためのあくまで第一歩で、先行きは長い」と理解が広がることに期待する様子だ。

パリ・コレにしろ、ミラノ・コレクションにしろ、テレビに映る画面には次から次にキリギリスかカマキリのような姿の女性が、異様な歩き方で出ては引っ込む。見ていて少しも美しいとも綺麗とも思えない。彼女たちが日本にやって来て同じことが起る。日本人モデルも混じるが、今にも折れそうな細い腕、細い脚。ショーの終わりには日本人の女性デザイナーが誇らしげにモデルに混じって舞台に現れる。海外にも名前は知られているというが、まるでビール樽が舞台に置かれたような見事な体躯の持ち主のこともある。キリギリスのためのドレスもいいが、3L、4Lのドレスも必要のはずだが、スタイル画が描けないのか、そのドレスにつくブランド名を気にするのか。

中肉中背に短足、典型的な日本人女性の体型だが、デザイナーたちは競って長身痩躯の絵を描く。想像上にだけ存在するような極細のキリギリスを。モデルは無理にもデッサンやドレスに合うように身体を作らねばならず、嫌でも細く細くを目指すことになる。実際には一般の女性の誰にも着られないドレスが仕上がる。着ようとすれば痩せる以外にはない。そして無理なダイエットが流行り、不健康でも痩せることに精を出す。遂には拒食症に過食症に陥って、憧れのドレスにも手が届かないで諦める。

女性のダイエットが引き起こす拒食症や過食症はどうやらファッションを衒(てら)う世界的な傾向のようだ。スペインやイタリアが国家的な問題でもあるように、日本も、痩せ過ぎるモデルには健康的な美の欠けていることを、また、ファッションリーダーたちにはスタンダードの見直しを求めていくような指導をするべきだろう。

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2006年3月29日 (水)

アンチエイジング

毎日新聞(3/28)から
【最近、雑誌や新聞などいろいろなところで、「アンチエイジング」という言葉を目にします。それは加齢に逆らい、若々しい肌や身体、印象などを保つということ。そのためには、過食を避けてバランスの良い食事を摂って、適度な運動を定期的に行ったり、或いは睡眠を十分に取るといった節度のある生活がとても重要。】

何も知ったかぶりの横文字を使うことはない。日本にはこのように加齢に逆らう女性の化粧を表わすのにぴったりの言葉が昔から用意されている。『年増の厚化粧』だ。あーら、大変と、鏡に向って顔料を重ね、重ね重ねて厚くなる化粧を表わす言葉だ。1年経てば男も女も1歳年が増える。これ以上の男女平等はない。皆が等し並に年齢を重ねる。年を取れば皺が出て来るのは避けられない。どう努力しても皺は消せない。髪は白くなる。皺も髪も長い人生を歩んできた証しなのに。「黒髪長き君なれば、悲しむもよし、泣くもよし」「髪はカラスの濡羽(ぬれば)色」と謳われた日本女性の黒髪。親からもらった身にメスを入れることはしなかった昔の女性が、最後の手段に行ったのが厚化粧となったり、白髪染めになった。

ところが現在は若い女性の方に厚化粧が目立つ。(この際ガングロ族は話の外)剃った眉は額に食い込んで柳眉を逆立て、目の周りは様々な色で飾り立てる。青、藍、ピンク、緑、黒と満艦飾状態だ。人がやっていることは自分にも、とバランスを考えない物真似で塗り付ける。腫れぼったい瞼(飲んだ翌日や近眼)に真っ青や緑は不健康で病人のようだ。髪は自ら日本人を卑下するような西洋風の茶髪にし、男も女も河川敷や公園で暮らし、テントや段ボールの家に住んでいる浮浪者紛いにザンバラ髪にする。テレビには真っ黄色の髪をした昔よいとまけで鳴らした小父さん(おばさん?)もいたりする。現在目にできる世界中の髪型で、どこの国よりも日本人男女の髪型ほど汚らしい姿はないだろう。町中に浮浪者が群れているようだ。美的センスなど露ほどもない。

いくらペイントしても色を取り替えてもどうにもならない場合はどうするか?小銭を溜めれば幾らでもプチ整形が可能だ。それでも駄目なら?もっと金をかけて骨まで削るんだ。どう、綺麗になったじゃない。針金に衣装を纏わせたようなデザイン画を描き、虚栄心を掻き立てる。【だから私は、モデルを若々しい印象に仕上げたい時のチーク*(どうして頬じゃないの?)や唇には、明るいピンク色をよく使用します。】

ところで今では入社試験で色盲、色弱、など(色覚異常)の検査が厳格なのは色彩を専門に、或いは色彩認識が通常作業で必要な企業には欠かせないが、微妙な色合いが求められる化粧の世界に色覚異常者はいないのだろうか。美容の専門家と呼ばれる人の中にもチグハグなバランスの色彩感覚に欠けた化粧をする人は幾らもいる。また、自分が色覚異常と気がつかないままに毎日の化粧をしている女性。今は美容院でも剃刀が使えるようになったこともあって、眉を釣り上げることは容易いこと。顔かたちにお構いなしに長くもし、短くもし、急角度に跳ね上げる。

記事を書いたのはヘア・メークアップアーティストと呼ばれる女性。この人の紹介する口紅は、西洋かぶれの女性の虚栄心をくすぐるブランドもの。クリスチャン・ディオール ルージュ・ディオール アディクト269、マックスファクター エンジェリックリップN111、シャネル ルージュ・アリュール04(4月14日発売)と宣伝している。すべてピンク系だ。
化粧は年相応が一番美しい。

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2006年1月18日 (水)

流行(整形・形成)

その昔、“身体髪膚これを父母に受く 敢えて損ない破らざるは 孝の初めなり”は文字どおり親孝行の始まりといって、子は怪我をしたり、我が身に傷をつけないように心掛けた。心掛けても怪我をする時はする。小学校に入ると先ず、教師は幼い子どもの心に親への感謝の気持ちを教え、言いつけを守り、悪さをしないように教えた。1945年の敗戦は学校から歴史を追放し、併せて修身をも追放してしまった。神話を否定し、それまでの道徳を否定した。

天皇は天上の神から生きた人間世界に降りて来た。日本人は価値基準を見失ってアメリカから民主主義なる便利な生き方を与えられ、「自由」は「責任」を置き忘れて我が侭が横行する世の中になって行った。ストライキが復活して労働者は勢いづき、人間性、人間性を無視するな、と発展性のない錦の御旗を振りかざし、切り札として大いに利用した。結果は歴史が証明するように国鉄は瓦解し、世界史的には共産社会は滅んで行った。

話を引き戻そう。恐らく今の世“親孝行”は死語になっているだろう。ここ何十年この言葉を耳にしたことがない。何度か書いて来たが、明治に書かれた教育勅語の中に「親ニ孝ニ兄弟ニ友ニ・・・」は敗戦を切っ掛けにひと絡げにして価値を失い、軍国主義の代表悪として教育の場から抹殺されて行った。“一旦緩急あれば”命を捨てることの大前提が心理を逆撫でするからだ。しかし、教育勅語を離れて考えれば親孝行は人として当然の義務であるはずだった。

一度外された親孝行の箍(たが)は戻しようもなく、止めどなく崩れて行った。我が身を傷つけ、損ない、親からもらった体を以前に似ても似つかない容貌に替える作業が流行っている。本来ははっきりとした違いがある
 整形 -- 主に骨や筋肉を取り扱う
 形成 -- 火傷や骨折などによる体の表面の傷害や奇形・変型を修復・治療する外科
に区別されているが、従来使われていた美容整形といった言葉が紛らわしく、現在は統一した正式名称
 美容外科(若しくは美容形成外科)と呼ばれるように法制化されている。

美容外科は外見的に正常な人間が、さらに美しくなりたい、或いは若く見られたいなどの要望に応える治療であるため健康保険は適応されない。ということは全ての治療は自己負担になることだ。例えばある医院の例だが、
 二重まぶた 40万円
 脂肪吸引  65万円
 皺取り   140万円 の負担が生じる。

テレビ局に集まった数人の女性に自分がどれほど惨めな女性かを競わせ、野次馬の女性たちに選ばせて籤を引き当て、番組仲介で変身の手伝いをする。選ばれる女性の涙々の熱演は恥も外聞もない。そこまで己が捨てられるなら何も治療することなどない、と思うのだが。未婚の女性のこれも又己の自己満足だが、この先結婚を考えているのなら顔面はいじらない方が良いと思う。何故ならあなたが産む子はあなたが変身する前の姿形になるのが当たり前だし、あなた以上に鼻の低い子かも知れないから。

いまほど性モラルが乱れていなかった敗戦後の時代、散々遊んだことのある女性でも男をたぶらかす救いの治療があった。男の頭にはまだ処女崇拝が巣食っていた。そこに処女膜再生手術だ、初めてを装えばよかった。できちゃった婚で晴れ晴れと結ばれる今の世とは隔世の感がするが本当の話だ。《現在でも実施されているようだ。スポーツ選手の激しい動きでなくした人、大事な男性との初めての時のため》

更には50年、60年生きて来た人が今さらの皺を延ばして若返ってどうする。皺は年輪だ、それだけ人間を生きて来た証だ。白髪と同じ若い者が敬うべき年輪だ。長老の敬をなくした今の若者には通じないかも知れないが、皺の一本一本が苦労を重ねた証なんだ。私は嘗て髪を染めたこともないし、染めようと思ったこともない。やっと人生を重ねて来た証の白髪をどうして染める必要がある。まして毛唐かぶれの赤毛になんぞ。女性にも見事な白髪の上品な(というより気品を感じる)お年寄りを見かけることがある。生きて来た人生に自信があるのだろう、と思う。

見た目が○○パーセントなる本が売れているようだが、自然が一番いい、あるがままに生きるのがよい。

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2005年10月23日 (日)

お脳の毒抜きでもしたら?

「デトックス」detoxification 解毒、解毒する
最近の女性誌によく見かけるらしいが、相変わらず横文字になると俄然のめり込むことが可能になるようだ。どうやら体に溜った毒素を出すことで綺麗になれるんだそうだ。

同じように美容に関係して、「サプリメント」supplement 補足、追加 なる言葉があるようだが、これは美容の専門用語ではなくて、内容を新しくしたり、不十分なところを補ったり、誤りを訂正したりするために付け加えた部分。似た言葉に附録として付け加えた部分を意味する appendix がある。

例えば大阪、梅田にオープンした『ビューティー セレクトストア』が今月20日から導入した「デトックス&インプルーブメント コース」ではゲルマニュームを入れたお湯に足をつけることで排便作用を促進させ(こんなことしないと排便もできないのか)て、目に見える体の表面だけではなく、溜った毒素を出して中からも綺麗にすることだそうだ。(インプルーブメント improvement 改善、向上)どうしてこうも横文字が好きなんだろうか、横文字にお世話になると綺麗になるとでも思うのだろうか。

例の有名な司会者の昼のテレビ番組に出た女医が語ったことがある。日本人の大人の一日の排便の量について、「20センチ2本」が標準だそうだ。痩せることにばかり神経を使い、碌に食事もしないで出社し、昼は舐める程度の食事を取り、お上品を装ってトイレにも行かず、結果は好んで便秘になっているようなものだ。3日、4日と苦しくなるとピンクの錠剤。その上少しでも肥ることを嫌い、痩せ願望から健康食品、ヨガ、アロマテラピー(これも横文字だ)などの療法や健康法を利用する。

身の回りの簡単に手に入る補助食品に頼り、運動で燃焼させる体の維持ではなく、楽して無理なダイエットに走り、骸骨になっても鏡とにらめっこで納得する。先にも触れたが少体重児が増える底辺が益々広がる。自己満足だけの女性たち、そんな寒々しい心こそデトックスの必要があるのじゃないか。

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2005年10月21日 (金)

ダイエットばか

毎日新聞(10/20)「危険! 妊婦のダイエット」から
相変わらず若い女性の“やせ”願望は強い。妊娠中も太り過ぎを気にする人がいるが、行き過ぎると赤ちゃんが低体重で産まれる結果をうむ。成長しても糖尿病や低血圧になるダイエットに含む危険性を知っておくことだ。

東京大学大学院 福岡秀興助教授「これは深刻な問題です。若い女性は現実をもっと知らないといけない」と前置きしてから「小さく産まれた子どもは、高血圧や糖尿病、動脈硬化、高脂血症など生活習慣病になる危険が高いことが分ってきた」と話す。
厚生労働省のデータでも産まれたばかりの赤ちゃんの平均体重は
   1980年には  3,194㌘ であったが徐々に減り続け
   2003年には  2,982㌘
この間にも2,500㌘未満の「低出生体重児」は、全体の5%から9%にまで増えた。赤ちゃんを生む女性のほぼ10人に1人がこのような赤ちゃんを産む計算だ。

産まれた時の体重が軽いということは、胎内での栄養状態が悪く、十分に発育できなかったことを意味する。
金沢医科大学助教授 三浦克之助教授「胎児期に栄養状態が悪いと腎臓の機能が十分に発達せず、塩分の負荷にうまく対応出来なくなると考えられる。ただ、胎児期の栄養だけが原因ではないが、出生児の一割が2,500㌘未満というのは憂慮すべき事態だ」と云う。
低体重児は低い栄養状態に順応した体で産まれて来る。糖尿病の発症は家族歴や肥満、ライフスタイルが深く関わることだが産まれた時の低体重も一つの要因になっている。

「低体重児」が糖尿病や高血圧の原因になるとの仮説は英サウサンプトン大学のデイビッド・バーカー教授が20年前に唱え、出生児の体重と成人してからの冠動脈疾患による死亡例のデータが元になった。その後、アメリカやノルウェー、フィンランドでも同様の研究結果が発表されている。

若い女性を中心の痩せ願望は、古い女体美から眺めてみると骨と皮ばかりの体に見える。特に女性の憧れる基準になっているファッションモデル、どう見ても美しい肉体には見えない。肋骨が浮いて見え、腕も脚も骨が邪魔してそれ以上は細くならず、針金が布を纏っている姿にしか見えない。ステージを歩く姿はモデル特有の歩き方で腰を振り、街なかではとても恥ずかしくてできないような歩の進め方だ。勿論ファッションを眺めるための催しなのだろうが、本当にそれだけならマネキンで済む。痩せのがりがりでも生きた体に着せれば評価も違ったものになるのだろう。

このような骨と皮の姿を羨ましいと受け止める日本の女性の感性とは一体どうなっているのか。1953年ミスユニバースに日本代表伊東絹子が第三位になり、8頭身美人の言葉も生まれて大騒ぎしたが、この当時はまだ日本の女性の体はふくよかだった。想いが重なるが、ほぼ30年ほど前に最近の女性は痩せ過ぎだという私の意見で、社員の女性とスタイルについて話し合ったたことがある(セクスハラスメントなどと云う恐ろしい言葉はなかった時代だ)。瓜実顔(うりざね)が日本美人の第一に上げられていた頃の下半身はどうなっていたか。足先を凡そ60度に開いて直立した時、両脚の腿はぴったりと合って、綺麗に一直線を描いた、と語った。女の子たちは大笑いしたがその時すでに載っている多くの写真のモデルの女性の脚の間からは、バックの景色が望めるほどにも痩せ細った脚になっていた。

東京オリンピックで金メダルを取ったチャスラフスカ、彼女を最後にオリンピックの女子体操から女性が消えた。どいうことか、その後すぐに今になお伝説的な話題の10点満点連発のコマネチが誕生したが、この子は女性と云うよりも中性的な少年のような肉体をしていた。どんどん低年齢になり、どこの国も少年のような女の子が中心の代表を組むようになった。それまでの強さと柔らかさ、そこに女性的な優美な美しさが加わって体操を見るのが愉しみだったが、コマネチが誕生してからは全くオリンピックの女子体操は見ることが激減した。

越後獅子の歌にある、笛にうかれて逆立ちすれば・・・や、中国国技団の離れ業の中心が子どもであるのと同様に、オリンピックの女子体操も体が柔らかいだけ、よく跳ねるだけ、の曲芸の世界になってしまった。確かにこの世界肥った子はいない。女性の証である皮下脂肪は減り、筋肉体質になり、運動には適した肉体になっている。というよりも未だ女性としての肉体的な完成度に達してもいない。

激しい運動をする選手たちは自然に細く締まり、筋肉質になる(例外はある、シンクロや水泳は皮下脂肪がないと水に浮かない)が、運動もしないで見た目だけを真似るのは体を傷めるだけだ。 まして胎内に子どもがいる身で栄養を摂取しないと子どもには当然影響がある。母親の勝手な自己満足を得るためにお腹の子に産まれて後の、辛い生き方をさせるようでは産まない方がいい。そんな女は始めから結婚しないで欲しい。自己満足を追求してどこまでも細くなり野たれ死にすれば良い。母親になる資格などこれっぽっちもない。それでなくても産みたくないと勝手を云う女は増え続けているのだ。

 

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2005年7月19日 (火)

美容整形

一時(いっとき)プチ整形の人気は韓国ツアーであったが、今、平和ぼけした日本のバカな女たちはその整形のためにタイを訪れているらしい。今までのその数およそ13万人という。
わざわざ国外へ出るのは懸かる費用の安いこと。同じ部位の整形で比較すると、タイでは日本国内で行う手術の1/2〜1/3ですむという。現地病院で若返りのための整形に訪れたあるカップルへのインタビューに答えた中年女性は「これからの残った人生をもう一度明るく生きていきたい」と云い、連れ添って来た亭主は女房の手術を「大賛成」と云った。そのためにこの夫婦が投資する金額は占めて100万円、これを日本でやれば200万円だって。飛行機代を支払っても見返りはあるらしい。

遠い昔、秦の始皇帝が不死の薬を探したのは有名な逸話だが、重なる年令と共に老いて行く我が身を悲しむ女は余りに多い。一つ年を取れば一歳増えるのが当たり前の話だが、それに耐えられないのが女なのか。年と共に増える皺、白くなる髪、脂気のなくなる肌、霞む目、抜けて少なくなる歯、どれを取っても当然の衰えなのに無駄な抵抗をする。七十歳、八十歳のお婆ちゃんに皺が無ければ化け物だ。髪が真っ黒いままだとこれも化け物だ。巷には帽子を被ったような鬘(かつら)を乗っけた人もいるし、男では反対側の側頭部まで撫で付けたバーコード擬(もどき)の頭もある。何故それほどに髪の薄いことが気になるのか、バーコード頭よりも禿頭のほうが余ほど見栄えがするのに。これら人の弱味に付け込んだ商売もまた上手い金儲けをしているものだ。

若い女たちが鼻を高くし、胸を大きくし、顎を削り、シリコンを注入しようと、二重瞼にしようと、あれもこれもと、どれだけの大金を投じようと勝手だし、本人だけは満足できるのだろう。しかし、例えば子どもが生まれて似ても似つかぬ赤の他人のような風采の子だったら、先ず“これ本当に俺たちの子?”となるんじゃないだろうか。幸いにも現代ではDNA鑑定なる手段があるからいいものの、打ち明けずにできた子なら浮気の疑いすら掛けられる羽目になり兼ねないし、“私は綺麗な女”と売り付けた商品に詐欺行為が存在することになる。

このことは何よりも昔の人間には考えられない行為なのだ。こう教えられて育てられた。
『身体髪膚(しんたいはっぷ)これを父母に受く、あえて損ない破らざるは孝の始めなり』。髪の毛一本と雖(いえど)も親から授かった大事な体だ、それを傷つけないことが何よりも親孝行なのだ、と。
今では納得する娘がいないのだろう。何故こんな顔に産んだ、何故一重の目に産んだ、何故こんな体、と親を攻めるのだろう。親孝行なんて何のこと?と。
世界には食べることもできない貧しい子どもたちがこれを書いている今も、次々に息を引き取っている国があるというのに。鼻が低いことぐらい、少しばかり乳房が小さいぐらい、一重瞼であることぐらい、どうということはない、と思うのだが。

そうは云っても私だって身内のためなら骨身を削って命だって与える覚悟は持っている。


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