2014年6月 1日 (日)

国内自動車生産台数、5年連続1000万台割れ

 毎日新聞(6/1)から、

《これだけ人口激減の傾向の日本では驚くことではなく、当たり前の話だ。まして便利な交通網が縦横に行き交う世の中では、若者の車離れさえ当たり前のように進行中だ。農協華やかなりし頃、農家の庭には車の数を数えれば、その家の人間の数が分かると言われるほど、高級外車が何台も並んでいたものだが、今や時代はその影を潜めた。それに並んで、少子高齢化に足並みを揃えるようなインフラの老朽化が目立ち始めた。業者も苦し紛れのように、「人の手を借りなくても用が足りる」無人走行可能な車の開発に余念がない。最近の自動車開発は人口減に対応するようなロボット化した車を作ることに狂奔しているようだ。現在以上に国内で車が増えても無駄になるばかりなのに。》

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 2013年に国内で生産された自動車は963万台で、前年から3%減少した。ピーク時の1990年の1348万台からは約3割の減少。80年からほぼ一貫して1000万台を維持してきたが、リーマン・ショックの翌年の09年には前年比32%減の793万台まで落ち込み、以後、1000万台を回復していない。

 国内生産が落ち込んでいる要因の一つは、人口減少などによる国内新車販売の頭打ち。バブル期の90年代ピーク時には777万台だったが、バブル崩壊、デフレ不況の長期化などもあって、13年の国内販売は537万台にまで約3割落ち込んだ。今後も大きな伸びは期待できないのが実情だ。

 もう一つの要因は、生産の海外シフト。リーマン・ショック前に1ドル=100円台だった円相場は一時、70〜80円台に急騰し、自動車メーカーの輸出採算は悪化した。各社は為替変動の影響を避けようと生産を国内から海外に移す動きを加速。アベノミクスで円高は修正されたが、販売する国に近い地域で生産する「地産地消」の流れは変わっていない。スズキの鈴木会長兼社長は「円安だからといって今さら国内には戻すことはない」と話しており、節目の1000万台を回復するのは難しくなっている。

 海外シフトは73年と79年の2度のオイルショックを経て、燃費が良く低価格の日本車人気が世界的に高まったことが引き金に なった。

 80年の国内生産は1104万台で初めて1000万台の大台に乗せ、米国を抜いて世界一に。輸出台数は597万台で、国内販売を上回った。ところが、強すぎる日本車の攻勢で、米国の自動車メーカーの業績は悪化。大量の失業者が出る事態になり、深刻な貿易摩擦となった。日本政府は81年から対米輸出の自主規制を行なう一方、80年代の中頃から雇用創出にも貢献できる現地生産の拡大へかじを切った。その後の円高などの影響で、07年には海外生産が国内生産を上回り、さらにリーマン・ショックでこの流れが決定的になった。

 海外生産を地域別にみると、13年はアジアが前年比6%増の905万台でトップ。北米は同7%増の454万台、欧州4%増の153万台と続いた。00年と比べると欧州61%増、北米52%増なのに対し、アジアは5・4倍と伸びが著しい。中国やインド、東南アジアなど新興国の所得水準上昇に伴い、受動社需要が増えたことが、海外生産を後押ししている。

 日産自動車やホンダはそれぞれ海外生産が約8割に達し、為替変動による収益への影響は他社に比べて少ない。トヨタやスズキの海外比率は約6割。約2割にとどまるマツダや富士重工業は円高が進むと収益が圧迫されやすく、海外シフトを急いでいる。マツダは今年、メキシコで新工場を稼働。13年の海外比率23%を16年に4割超に増やす。富士重も米国工場を増強し、海外比率23%から20年には4割に増やす方針だ。

 海外生産の拡大で心配されるのは、国内産業、雇用への影響だ。海外シフトに合わせて部品を納入する系列会社ンあども一緒にシフトするケースも目立つ。製造や販売、整備、ガソリンスタンド、運送業なども含めると、自動車関連の就業人口(二輪車を含む)は547万人と全就業人口の8・7%を占める。12年の自動車産業の製造品出荷額は約50兆円で、全製造業に占める割合は17%に達する。海外シフトによる産業と雇用の空洞化の影響は大きい。トヨタは雇用を守るために「国内300万台」を堅持してきたが、日産「マーチ」や、三菱自動車「ミラージュ」のように、タイで生産して日本に逆輸入するケースも出てきた。

 国内生産をどこまで維持し、いかに世界で戦うか。自動車産業に突きつけられた課題だ。

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2013年11月21日 (木)

中国、一人っ子政策転換

 毎日新聞(11/16)カら、

 参照 「一人っ子政策」に違反し、戸籍のない「闇の子」中国に1300万人 2013/08/

 中国共産党は15日、国営新華社通信を通じて第18期中央委員会第3回総会(3中全会)で採択した「改革の全面的な深化における若干の重大な問題に関する決定」ンお全文を公表し、人工抑制策として1979年に導入した「一人っ子政策」を緩和する方針を明らかにした。夫婦のどちらか一方が一人っ子の場合、2人目の子どもを産むことができるようになる。2002年以降、一人っ子政策は緩和の動きが地方レベルで広がり、現在では夫婦がともに一人っ子の場合は第2子に出産が認められているが、今回は党として政策の緩和を鮮明に打ち出した形だ。

 「決定」では一人っ子政策について「計画出産の基本的国策を堅持する」と原則を記載する一方、「出産政策を徐々に調整・改善し、人工の長期的かつ均衡のとれた発展を促進する」とも明記した。

 一人っ子政策をめぐっては、違反すると罰金などが科されているが、労働力として多くの子どもを欲しがる農村などでは違反が続出し、戸籍がなく社会保障が受けられない子どもが増加。罰金は地方政府の収入にもなるため過度の取り締まりが行なわれるなど、社会問題となっていた。さらに、生産年齢人口の減少と高齢化の進行を受け、緩和を求める声が強まっていた。

 「決定」は、司法手続きなしに矯正名目で身柄を拘束できる「労働教養制度」を廃止することも明記。12日の3中全会閉幕後に発表されたコミュニケでは「独立かつ公正な裁判・検察権を確保し、人権保障制度を完全なものいnしなければならない」と強調していた。労働教養制度は、反右派闘争が展開された57年に導入され、毛沢東時代から続く人権抑圧の象徴と批判されてきた。特に、近年では土地収用などに抗議する陳情者が拘束されるケースが目立ち、全土で6万人以上がこの制度で拘束されているとの指摘も出ていた。

 「3中全会決定」の骨子
 • 金融市場システムを整備し、金融業の解放推進
 • 人民元取引の規制緩和を加速
 • 行政機能の簡素化と権限委譲を推進
 • 「一人っ子政策」を緩和
 • 「労働教養」制度を廃止し、新たな「矯正制度」を創設
 • 環境保護管理制度を設立し環境対策を強化
 • 戸籍制度改革を加速

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2013年10月22日 (火)

またまた学校で銃乱射、何という国だ、アメリカは

 毎日新聞(10/22)から、

《毎年のように発砲事件があり、誰かが死なないと年が過ごせないアメリカ。今回はまるでちびっ子ギャングだ。それても、大人たちは「銃が悪いのではない」銃所有は憲法が保障していると、嘯いておられるのだろうか。》

 参照 拳銃所有 2008/05

 <ロサンゼルス堀山明子>
 米西部ネバダ州スパークスの中学校で21日午前7時15分(日本時間同日午後11時15分ごろ)、発砲事件があり、男性教師(45)が死亡、いずれも12歳の男子生徒2人が重傷を負った。地元紙レノ・ガゼット・ジャーナル(電子版)によると発砲したのは同校の男子生徒で、直後に銃で自殺した。

 地元警察の当局者は「特定の人物を狙ったのか、無差別の乱射だったか、即断はできない」と述べている。重傷の生徒は、1人は肩、1人は腹部を撃たれたが、命に別状はないという。発砲は始業の約10分前、校庭で起きた。校内には生徒ら約150人以上がいた。

 <ワシントン白戸圭一>
 米国で銃乱射事件が2009年以降急増し、年間の発生件数・死者数がともに08年以前の3倍に達することが明らかになった。ホルダー米司法長官が21日、米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた全米の捜査機関トップを集めた会合で明らかにした。

 ホルダー長官は会合で「00〜08年には、平均すると,毎年5件の乱射事件が発生していたが、09年以降の年間の発生件数は3倍になっている」と危機感をあらわにした。

 長官によると、00〜08年の9年間の乱射事件の死者は計145人で、平均すると毎年16・1人。一方、09〜12年の4年間の死者は計207人で、平均で毎年51・75人と約3・2倍となっている。

 米司法省によると11年の銃による殺人は1万1101件で、過去最多だった1993年に比べて39%減少した。銃による殺人事件全体が減少傾向にある中で、乱射事件だけが増加しており、ホルダー長官は会合で「新たな戦略が必要なことは明らかだ」と対策の必要性を強調した。

 米国では、乱射事件を起こす可能性のある人物の事前の摘発も行なわれ、ホルダー長官によると、今年だけで150件の乱射事件を防いだという。米国では昨年12月、東部コネチカット州の小学校で児童20人を含む26人が殺害された乱射事件を機に、オバマ政権が銃規制強化を目指したが、法案は今年4月に廃案になった。
    

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2013年8月 7日 (水)

クロマグロ 漁獲量削減勧告

 相日新聞(8/9)から、

 参照 クロマグロ漁獲枠10年ぶり増か 2012/11/

《参照にみるように、昨年暮れには日本のマグロマニアが喜びそうなニュースが流れたばかりだった。》

 資源量の減少が指摘される太平洋のクロマグロについて、日米などの科学者や政府関係者でつくる国際機関「北太平洋マグロ類国際科学委員会(ISC)」が、漁獲量削減など強力な資源回復策導入を勧告する報告書をまとめたことが6日、分かった。ISCが漁獲量削減の必要性を明確にしたのは初めてだ。

 報告書を受け、関係国は年末に開かれる資源管理機関の中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)総会で対策をまとめる。厳しい国際規制の導入は避けられない情勢となりつつある。

 日本は、太平洋のクロマグロを世界で最も多く漁獲している。ISCによると、2010年の産卵能力のあるクロマグロ親魚の資源量は過去最低レベルの2万トン程度に減った可能性がある。報告書は、12年も引き網漁によるクロマグロの漁獲量が極めて少なく「12年に新たに群れに加わった若い魚の量も少なかった」と分析。「07〜09年の漁獲量を続けていては資源状況の改善につながらない」と指摘した。

《期待される話題としては、近畿大学水産研究所でのクロマグロの完全養殖成功の今後の動向だ。日本人の胃袋を埋めるまでにはまだまだだろうが、そのうち、養殖マグロが食卓を飾る日が来ることを期待していよう。》

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2013年4月21日 (日)

育休3年の掛け声

 毎日新聞(4/20)から、

Photo 安倍首相は成長戦略の軸に「子育て」と「医療」を据えた。しかし、「掛け声先行」の面は否めない。

 「財源はしっかり確保しています」。首相は保育所待機児童(昨年4月時点で約2万5000人)を5年で解消すると胸を張った。無認可でも自治体が認めた保育所には補助金を投入するなどし、13、14年度で約20万人分を用意するとしている。だが、現状で確保できているのは7万人分、約1600億円だけ、計画達成にはさらに最大で約2000億円が必要だ。自治体も別途負担するため、自治体の取り組み次第という不安も残る。

 また、育児・介護休業法で最長1年半となっている育児休業について、「3年間抱っこし放題での職場復帰支援」と語り、取得期間を子どもが3歳になるまで延長する考えを表明。これは伝統的家族観を持つ首相の意向が反映されたようで、修正前の当初の案では「3年間育児に専念するのは女性」だったという。法律で義務づけることはせず、企業に自主的な対応を促して、「政府も新たな助成金をつくるなどして応援する」と語った。

 だが、現在育休は女性の早期の社会復帰に向けて短縮傾向にあり、3歳までの育休制度がある企業でも「1歳で復帰する人が大半」という。大手金融機関の人事担当は「3年の要望があるとは思えない。職場復帰できなくなる」と指摘する。法改正を伴わない要望に過ぎず、浸透度も不透明だ。

《女性の職場復帰を子育てよりも優先する考えに立てば、金融機関の人事担当者の言うような状況だろうが、子育てはあくまでも子どもを中心に考えなければならない問題だ。安倍の右傾化には「ノー」だが、こと子育てに関しては、「社会が育てる」のような他人任せの現在のありようよりは、「3年間抱っこし放題の育児に専念するのは母親」《これは私がこれまで繰り返し取りあげてきた育児の根本と合致するものだ。》に軍配を挙げざるを得ない。それに問題があるのなら、3年間の育児期間を完全法制化するなり、例えば企業内託児所、保育所などの併設を義務づけるなどして、それを修正していくのが政治の役目だろう。》

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2013年3月 2日 (土)

三原則骨抜きに道開く

 毎日新聞(3/2)”社説”から、《》内は私見

《転落した前の安倍政権時に後戻りするようなことが検討されている。曰く「F35を『例外に』」。敗戦から学びとった三原則を無視し、どこまでも戦う軍隊を持つことにこだわり、「自衛」を掲げて始めた太平洋戦争で、日本全土を焦土と化し、国民を塗炭の苦しみの底に落とした歴史を学ぶことなく、「いま一度」の意気込みで国軍化のための準備の周り固めに血眼だ。》

 参照 武器輸出三原則 2007/05/05
    集団的自衛権  2009/08/06

 政府は、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の国際共同生産に関連して、日本企業が国内で製造した部品の対米輸出を武器輸出三原則の「例外」として認めることを決め、官房長官談話で発表した。

 F35は周辺国と軍事的な緊張関係にあるイスラエルが導入を計画している。政府の決定は、国際紛争を助長することを回避するとの三原則の理念に反し、その形骸化に道を開きかねないものだ。

 談話は、日本の共同生産参画について「防衛生産及び技術基礎の維持・育成・高度化に資する」ほか、「日米安全保障体制の効果的な運用にも寄与する」と意義を強調する。

 しかし、 防衛産業の基盤整備などを。平和国家としての日本の立場を捨てる理由にしてはならない。

 問題は、三原則が「国際紛争の当事国やそのおそれのある国」への武器輸出を禁止していることと、イスラエルとの関係である。

 米国の同盟国・イスラエルは、核開発を進めるイランを先制攻撃する意図を隠していない。また、昨年から今年にかけて、パレスチナ自治区ガザを実行支配するイスラム原理主義組織ハマスやシリアを空爆する軍事行動に踏み切った。日本が部品を製造したF35がイスラエルの供与される可能性があり、そうなれば三原則は有名無実となる。

 F35の第三国移転について談話は「米国政府の一元的な管理の下で、F35ユーザー国以外への移転を厳しく制限する」ほか、「移転は国連憲章の目的と原則に従うF35ユーザー国に対するもののみに限定される」などにより「厳格な管理」が行なわれると強調している。

 だが、そもそもイスラエルは「F35ユーザー国」に含まれているというのが政府の見解だ。イスラエルへの供与が前提になっている。

 日本政府は04年、米国とのミサイル防衛(MD)共同開発・生産を三原則の「例外」としたが、2年後の対米武器・武器技術供与に関する交換公文と実施覚書で、第三国への移転には日本側の「事前同意」が要件となった。また、MDは防衛のための兵器であったが、他国への攻撃能力を備えたF35は防衛的な武器とは言いがたい。

 談話では、これまで政府が平和国家の理念として表明してきた「国際紛争の助長を回避する」との表現が消え、「国連憲章を遵守する」に変わった。過去に比べ、三原則の精神を遵守しようという姿勢が極めて希薄である。

 武器輸出三原則や非核三原則は戦後、日本の国是とされ、アジアや中東における日本外交に大きな役割を果たしてきた。安倍政権はこのことを改めて噛みしめるべきだ。

 参照 「戦闘機」部品製造メーカー20数社撤退へ 2009/10/20

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2013年2月14日 (木)

ハーグ条約加盟へ

 毎日新聞(2/14)から、

 国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めた「ハーグ条約」の加盟が今国会で承認される見通しとなった。

 照合 ハーグ条約要綱案「日本特有」視は誤解の危険 2012/02
    「ハーグ条約」日本は締結すべきか 2009/10
    国際結婚とハーグ条約 -3- 「離婚」2009/10

 自民党は同条約承認案と関連法案を来週にも了承する方針で、一部に異論が出ていた公明党も同意する方向だ。政府は近く条約承認案と関連法案を国会に提出し、13年度当初予算案成立後の5月にも承認されるとみられる。

 自民党外交・法務合同部会は13日、ハーグ条約承認案と関連法案の対応を協議した。党内では、配偶者暴力(DV)に遭った日本人の母が子どもを連れて帰国した場合の対応などを巡り慎重論も浮上。しかし、会合では大きな反対論は出ず、来週の次回会合で国会提出を了承することを確認した。

 一方、公明党の山口那津男代表は12日の記者会見で「基本的には政府・与党で条約承認と国内法を成立させる立場で臨むべきだ」と加盟を容認する考えを示した。党内には女性議員を中心に条約加盟への慎重論があったものの、19日の政調全体会議で条約承認案などを了承する方向だ。

 国際結婚と離婚の増加に伴い、一方の親が国境を越えて子を不法に連れ去る問題が多発している。日本に対し、子の連れ去り事案を最も多く提起しているのは米国で、12年9月現在で81件に上る。このため、米国は日本政府にハーグ条約への加盟を強く求めてきた。

 民主党の野田前政権は昨年の通常国会に条約承認案と関連法案を提出したが、11月の衆院解散で廃案になっていた。安倍政権は民主党政権の案を踏襲する方針で民主党も賛成に回るとみられる。

 首相は13日の衆院予算委員会で「ハーグ条約はわが国にも重要だ。(日本へ)子どもを連れて帰ってくる人がいるが、逆の場合もあり、ルール作りはプラスになる」と強調した。来週に開かれる日米首脳会談で早期加盟の以降をオバマ大統領に直接伝える方針だ。

《30年も前に発効した法だ。お互いに育った国の文化など異なった者同士の国際結婚をするにあたっては、当然知っていて当たり前のことだ。ハーグ条約は、国家間の不法な児童連れ去りを防止する目的でつくられた多国間条約だ。日本国内のように、「DV」さえ口にすれば何とでもなる甘い感覚では国際的な問題は解決しない。日本の条約加盟は遅きに失した感さえある。》

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2012年9月 1日 (土)

アップルとサムスンは何を争っているのか

 毎日新聞(9/1)“なるほドリ”から、

 米アップルがスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末での特許権を侵害されたなどととして、日本サムスンなどに損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は31日、アップルの請求を棄却した。アップルは、サムスン側の「GALAXY(ギャラクシー)」シリーズ8機種の販売を差し止める仮処分を求めていたが、これも退けた。アップルが「全面勝訴」した8月24日の米国の評決とは異なる判断だ。今のところ、いずれの訴訟も消費者への直接の影響は限定的だが、年間数億台という巨大市場で、企業間の競争が激化している。

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 Photo_2 米アップルと韓国サムスン電子の訴訟は、スマートフォンやタブレット端末に使われている特許を巡り争っているのだ。アップルが自社の技術をサムスンにコピーされて使われていると訴え、サムスン側が訴え返すという構図で、日本以外に米国、韓国、英国、ドイツ、オーストリア、フランスなど世界10カ国で約50件の訴えを起こし国際的な特許紛争になっている。世界のスマホ市場で両社は約50%のシェアを占めているが、この大訴訟の行方を世界中のメーカーが注視している。

 Q どんな技術が問題になっているのか

 A 例えば、指で2度叩くと画面を拡大できる機能などの操作方法。長方形で丸みを帯びたスマホのデザインについても争っている。31日の東京地裁ではパソコンとスマホなどでデータを同一化する機能について争い、アップルは敗訴したが、これ以外にも同地裁ではタッチ画面の操作性などを巡る訴訟が継続中で、両社の法廷闘争は今後も続く

 Q どうして訴訟合戦になった?

 A 背景には世界のスマホ市場での覇権争いがある。伝記によると、アップル創業者の故スティーブ・ジョブズは、サムスンの基本ソフトを「アップルの『アイフォーン』のアイデアを盗んだものだ」とし、「水爆を使ってでも抹殺する」と激怒したという。アップルは「先行者メリットで後発グループの追い上げを阻み、市場での優位性を保つため」(MM総研の横田・通信アナリスト)に訴訟を乱発し、シェア確保に躍起になっているわけだ

 Q 日本メーカーへの影響は?

 A アップル勝訴が世界中で続けば、サムスンと同じ基本ソフトを使っている日本メーカーもスマホの開発で注意が必要になってくるだろう。「両社は簡単には和解せず、訴訟が長期化する可能性が高い」(アナリスト)とみられている。そうなると、トラブルを避けるため、アップルの特許侵害を招いた基本ソフトから別のソフトに変更するメーカーが出てくるとの指摘もある

<基本ソフトの理念に違い>
 文書作成やゲーム、電子メールなど、さまざまなソフトをパソコン上で動かす土台になっているのが、ウィンドウズなどの基本ソフト(OS)。スマートフォンでパソコン同様、さまざまなソフトを楽しめるのも、OSを食い込んでいるからだ。
 スマートフォン向けOSを開発している2大陣営がアップルとグーグル。このうち、アップルは、OS(iOS)と端末(アオフォーン)の両方を自社で開発。ソフトとハードをすべて管理することで、アイフォーン関連の知的財産権が外部に流出するのを防いでいる。音楽や映画の配信サービスなどの事業を自ら手がけることで、収益源を囲い込める利点がある。
 一方、後発のグーグルは自社製OS「アンドロイド」を無料で提供。日本、韓国、台湾などの端末メーカーが相次いで採用し、シェアは急拡大している。グーグルの収益源は、インターネット検索に連動した広告事業なので、アンドロイド端末が普及し、ネット利用者が増えれば、広告収入も増えるとの計算だ。

<今回は「同期」が争点>
 8月24日の米カリフォルニア州連邦地裁の評決はアップル側の全面勝訴だった。日米の裁判所で反対の結論となったのは、争点となる特許技術が違っていたからだ。
 米国で争点となったのは、端末のデザインや画面を軽く叩くと拡大する機能などだった。東京地裁が今回判断したのは、パソコンとスマートフォンで音楽などのデータを同一化して共有する「同期」と呼ばれる技術に関する特許だ。
 I T関連の特許訴訟に詳しい飯田弁護士は「今回の訴訟は米連邦地裁のように、ギャラクシーがアイフォーンを模倣したかどうかが争われたわけではない。各国で係争中の訴訟への影響は限定的だ」と分析する。

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2012年8月 2日 (木)

「一人っ子政策に違反」し、戸籍のない「闇の子」中国に1300万人

 毎日新聞(8/1)から、

 世界最大の人口を抱える中国が、人口抑制のために「一人っ子政策」を実施して30年以上が経つ。この政策に反して生まれた2人目。3人目には戸籍がない例があり、「黒孩子(ヘイハイズ『闇の子』)」と呼ばれる。「『普通の人』と同じ生活がしたい」。栗孩子の1人で北京在住の李雪(18)はこう訴えた。

 李は93年8月、父李鴻玉(55)、母白秀玲(53)の次女として生まれた。姉の李彬(26)には戸籍があるが、李雪分は「一人っ子政策に反している」として認められなかった。

 両親が否認を誤り、2人目をみごもった。母親は小児まひの後遺症で脚が自由に動かず、中絶できなかった。母親は職場を解雇され、当局は一家に5000元(現在のレートで約6万1000円)の罰金を科した。93年当時の一家の全収入はわずか数十元だった。何度も戸籍申請に出向いたが、「文句があるなら(当時、国家主席の)江沢民のところに行け」と罵声を浴びせられた。

 李雪は学校に通えず、中国語さえ姉から学んだ。身分証明所はなく、列車すら乗ったことがない。結婚も難しく、医療保険に加入できないため病院に行けば莫大な治療費がかかる。

 「普通の人」ではない──周囲からこんな視線が常に投げかけられる。2010年の国勢調査は、李雪のような黒孩子が中国全人口13億人の1%、約1300万人いるとはじき出したが、実態は定かではない。

《中国の1%も日本でいえば東京都の全人口以上の数に当たるすごい数だ。上にも書かれているが、1300万分の1の例を持ち出しても戸籍のない理由を説明したことにはならない。日本の300日問題の戸籍のない子の時も、特殊な例を持ち出して全体を理解させよう、或いは同情を呼ぼうの魂胆があった。》

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2012年7月24日 (火)

ウナギ規制 米が検討

 毎日新聞(7/19)から、

《日本人に人気のうなぎの高騰が続いているようだ。余りのことに代用品の開発も進み、豆腐で拵えたうなぎも商品として販売されるまでになったようだ。とは言いながら、同じ日本人でも私のようにウナギは嫌い、というものもいる。クジラと同じで、日本人の食習慣といいながら、無くても不自由しないものも多くいるのだが。》

 米国政府が、野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の規制対象にアメリカウナギなどのウナギを加えるよう検討を始めたことが分かった。対象には日本が中国などから輸入するニホンウナギも含まれており、日本市場への影響が懸念される。ニホンウナギの稚魚は10年から3年連続の不漁で、蒲焼きなどの価格が高騰しているが、農林水産省は「資源が枯渇している状況ではない」(郡司彰農相)と反論。米国が同条約の締約国会議に正式に提案するか動向を注視している。

 米政府が今年4月に公表した官報によると、米国は世界自然保護基準(WWF)など環境団体の提案に基づき、アメリカウナギとその類似種について、「現在は絶滅の恐れはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅の恐れがある」と定める規制を適用するべきか検討を始めた。

【ワシントン条約】
 輸出国と輸入国が協力して、絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引を規制し、採取・捕獲を抑制、保護することを目的とす。1973年、米国ワシントンで採択された。日本は80年に加盟。現在、締約国は175カ国。「絶滅の恐れがある種」を対象に「商業目的の国際取引や捕獲の禁止」を定めた「付属書Ⅰ」と、「現在は必ずしも絶滅の恐れはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅の恐れがある種」を定めた「付属書Ⅱ」があり、Ⅱは商業目的の捕獲や国際取引は認められている。締約国会議は隔年で開催され、付属書の改正には3分の2以上の賛成が必要。10年には大西洋・地中海産のクロマグロを絶滅種(付属書Ⅰ)として禁輸する提案があったが、反対多数で否決された。

 ◎ワシントン条約で規制対象の主な水生動物
(付属書Ⅰ)絶滅の恐れのある種
  ・鯨類(ミンククジラなど)
  ・モンクアザラシ
  ・ジュゴン
  ・ウミガメ
  ・アジアアロワナ
  ・シーラカンス
(付属書Ⅱ)現在は絶滅の恐れはないが、取引を厳重に
      規制しないと絶滅の恐れがある種
  ・鯨類(付属書Ⅰ以外)
  ・ジンベイザメ
  ・ホオジロザメ
  ・ピラルク
  ・タツノオトシゴ
  ・ヨーロッパウナギ 

 同条約ではアメリカウナギと同じく大西洋に生息するヨーロッパウナギが07年に規制対象になっており、米政府は「ヨーロッパウナギへの規制で、アメリカウナギの需要が拡大する可能性がある」と懸念を表明。太平洋のニホンウナギは稚魚の段階でアメリカウナギと区別がつきにくいことから、取引の規制対象として検討されているとみられる。

 米国が検討する規制がニホンウナギにも適用された場合、商業目的の漁獲は可能だが、日本が中国などからウナギを輸入するには、輸出国の許可証が必要となる。水産庁によると、日本国内のウナギの供給量の6〜8割は中国、台湾からの輸入が占めている。輸入のうち、約7割は蒲焼きなどの調整品で、約3割が稚魚など生きたウナギだ。

 かつて中国はヨーロッパウナギを輸入していたが、07年に規制対象になったため、08年から米国産、カナダ産の稚魚の輸入を開始した。

 これに呼応するように、08年の中国から日本へのウナギの輸入は07年に比べて半減。水産庁は「規制と輸入減の因果関係はわからない」としているが、新たな規制が中国や日本に影響する可能性は否定できない。

 ワシントン条約の締約国(175カ国)会議は来年3月、タイで開催の予定で、ニホンウナギを規制対象として提案する場合は10月が期限となる。提案には日本など関係国と事前協議が必要となるため、農水省は「(科学的な資源調査など)米国が判断する材料をしっかり答えていきたい」(郡司農相)としている。

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