2015年1月21日 (水)

続・負けて言い訳はしないもの

 毎日新聞(1/21)から、

 参照 負けて言い訳はしないもの 2010/05

《クルム伊達という小母さんが、またまた負けて言い訳をした。それも昨秋に右足付け根(股関節か?)を傷めたことを理由にして。5年前にも同じような言い訳をしているのだが、相手に対して失礼な言葉であることを思いやることもできないのか。》

 44歳のクルム伊達は1968年のオープン化以降、女子シングルスの大会最年長出場記録を塗り替えたが、20歳年下のタチシビリにストレート負けした。昨秋の東レ・パンパシフィック・オープンで右足付け根を痛めた影響で本来の動きが戻らず、会見室で「約1カ月半、歩くことすらできなかった」と、悔し涙を流した。今月に入り、体がついて来ない日々が続き「年齢なのか、怪我なのか、気持ちなのか」と悩ましげだったクルム伊達。コートに立つべきか悩んだというが、21日のダブルスに向け「気持ちをしっかりとやりたい」と切り替えようとしていた。

《年にしては頑張っているなとも、偉いとも思わない。負けてぐずぐず言うくらいなら、さっさと止めればいい。》

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2012年2月19日 (日)

若い女性の痩せ

 毎日新聞(2/19)から

 先日、厚生労働省から「平成22年度国民健康・栄養調査結果の概要」が発表された。「循環器疾患の状況」や「生活習慣と所得の関係」など興味深い結果が示されていた。

その中で私(札幌医科大教授・當瀬規嗣)が注目したのは、「肥満およびやせの状況」という調査だ。肥満者の割合は前年と比べて変わらないというのが分析結果だった。しかし、95年からの年次推移を見ると、男性肥満者は増加傾向、40〜60歳代の女性肥満者は減少傾向が見て取れる。女性はダイエットのに頑張っているのだろうか。

 調査の分析でも指摘されているように、20歳代女性の痩せの人の割合が、ここ2〜3年で急激に増加している。スタイルを気にするあまり、過度の食事制限に走ってしまっているのだろうか。痩せが身体にいいとは思えないのだが心配なデータだ。

 他の調査項目で、朝食の欠食率がある。男女とも20歳代の欠食率が他の年代に比べて高いが、年次推移では20歳男性の欠食率はほぼ横這いなのに、20歳女性の欠食率は03年からほぼ一貫して上昇傾向だ。痩せの増加と朝食の欠食は関連がありそうだ。朝食を食べなくても昼や夜にたくさん食べると痩せることにはならないはずだが、エネルギー摂取量のデータをみると、20歳代女性は前後の女性より摂取量が少なく、朝食の欠食が響いているように思える。

 年代別の欠食率をみると、14歳までの幼児・学童期の欠食率は5〜6%にとどまるのに、15歳から19歳までの年代になると急激に増えることが見て取れる。小さい頃は、親が面倒を見てくれるので、ちゃんと朝食をとるのだろう。15歳を過ぎると、スタイルを気にしたり、面倒がったりして朝食を抜いてしまうようだ。これが20歳代で自立した女性に欠食が多くなる原因と思われる。高校生への健康教育の強化が必要だと考える。

《古くは「思春期」という区切りが存在したが、今では少女たちは幼いながらも「ケッコン」に「キス」など幼稚園から異性を意識する言動が目立つ。高校生になってからの健康教育では遅きに失する。加えて身の回りには、半裸体の痩せたお姉さんたちの姿がテレビ画面で、街なかで、いつでも眼に飛び込んでくる。それが自分たちの将来の姿と思っても少しもおかしくはない。痩せがいかに不健康か早くに取りあげている。》

 参照 痩せすぎは不健康 07/04

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2012年1月 8日 (日)

酒は「百薬の長」か

 毎日新聞(1/8)連載“真 健康論”(札幌医科大教授・當瀬規嗣)から、

 私(當瀬)の祖母は夕食前のコップ1杯の清酒を欠かしませんでした。幼かった私はそれが不思議で、理由を聞いてみました。返事は「毎日1杯のお酒は百薬の長」という一言でした。

 何となく合点がいって、毎日たくさんのお酒を飲む父を「おばあちゃんのようにしたら!」とたしなめましたが、父は笑っているだけでした。

 それ以来、少しのお酒は身体に良いと信じるようになりました。毎日1杯のお酒が効いたのか、祖母は百歳近くまでの長寿で人生を終えたのです。そういえば、日本一長寿といわれていた人が、長寿の秘訣を聞かれて毎日の焼酎をあげていました。

《ここまではどうみても酒は飲む方が良い、との印象で読む人がほとんどだろう。百薬の長は真実なんだ,と。》

 さて、飲み過ぎが健康に良くないことは周知の事実ですが、少しのお酒は本当に健康に良いのでしょうか? 「酒は百薬の長」というのは、古代中国の漢の時代に言われたことのようですが、あくまでお酒を褒めるための言葉で、何かしらの根拠があったわけではありません。

《百薬の長とは、次に続く裏腹の「しかし飲み過ぎはよくない」を言うための前置きの言葉なのだ。
 参照 酒とタバコ その三 2005/05/25「アル中」 2006/12/08 で書いたように、どちらかと言えば戒めのための前置きだ。》

 ただ、少量のアルコールは血行を促進し、気分を上げてストレスを和らげる効果があるのは間違いありません。最近の研究では、少量のお酒を飲む習慣のある人の死亡率は、全く飲まない人の死亡率より低いとする結果が出ています。

《出典の曖昧さと同時に、酒好き学者の言い分が引用されたようだ。》

 そこで、身体に良いかも知れないお酒に、身体に良さそうな薬草や香草を漬け込んで、お酒の効用を高めようとする企てが、古今東西で行なわれています。日本の薬酒や欧米で造られるリキュールなどです。お正月に飲むお屠蘇も、漢方処方である屠蘇酸を清酒に入れて、健康と長寿を祝う風趣です。屠蘇酸は身体を温め、胃腸の働きを改善し、風邪の予防に良いとされていますが、通常、お屠蘇に使うような少量では薬効はないと考えられます。いろんな理由をつけて飲んでいるだけなのかも・・・。

 結論としては少量のお酒にとどめるのがいいのですが、これが難しいのです。お酒は気分を上げますが、これは脳の働きを鎮める抑制生神経の働きが、アルコールによって抑えられやすいことによります。

 つまり、少量だけと決心してお酒を飲むと、抑制がとれて初めの決心はどこへやら、もう少し、もう少しと盃を重ねてしまうのです。やはりお酒は健康に良くないと思っておくのが得策のようです。

《酒飲みがやめられないのが酒だ。ちっとやそっとのご意見なんぞで酒やめられましょか、トコ姐さん酒持って来い、となる。挙げ句がアル中だ。酒は健康に良くない、と思っておくのが得策だ程度のものではない。アルコールには発癌性物質が含まれてもおり、また、その依存性はドラッグ以上に怖いものだとはWHO(世界保健機関)も認めているのだ。飲まない方が良いと思う方が得策なのだ。》

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2011年11月 4日 (金)

援交斡旋の「社長」は中3の15歳の少女だった

 3日、ここまで来たのかと思わせる少女たちの、性を売り物にした乱脈ぶりをテレビが取り上げていた。

 千葉県警が、援助交際を斡旋したとして児童買春・ポルノ禁止法違反(周旋)などの疑いで、千葉県内の公立中学3年の女子生徒(15)と千葉市のタクシー運転手川井容疑者(30)を逮捕した。
 
 援助交際と表現しているが、やっていることは売春そのものだ。14歳〜17歳6人のグループを結成し、テレクラなどで男性客に声をかけ売春代に2万円を取っていたという。斡旋をしていたグループのリーダーは「社長」と呼ばれ、15歳の中学3年の女子生徒だった。

 タクシー運転手の川井容疑者が非番を利用し、男性客の指定するホテルなどに少女を乗せて送っていき、売春行為が終わると少女を乗せて連れ帰っていたという。2人の逮捕容疑は6月26日、船橋市内のラブホテルで男性客(36)と私立中3年の少女(14)を引き合わせて売春の斡旋をした疑い。
 
 客は少女に19歳と言われ、2万円を払ってホテルで1時間を過ごし、性行為を行なった。テレビでは2万円のうち1万2000円が「社長」と川井側にいったように報じていたが、2000円は売春を行なった少女自身がテレクラで客の男性を見つけた手数料として折半の上にプラス2000円だったようだ。

《客引きまで自分で行なって売春をするのは強制されてのことか小遣い稼ぎに積極的だったのだろうか。いずれにしても恐ろしい14歳だ。これでは一方的な「買う者がいるから」の論理は通用しない。》

 7月に少女が川井容疑者と深夜、ワゴン車に一緒にいるところを職務質問された。後に売春をしていたことに罪悪感を持ち、警察に相談したことから事が明るみに出、売春グループの存在がわかった。

 グループは女子生徒も含んで14〜15歳が5人、17歳が1人で、今年5月からテレクラや伝言ダイヤルで知り合った男性客を相手に売春をしていたという。女子生徒と川井容疑者は数年前、花見で別々のグループだったが意気投合し、仲間を集めての売春グループをつくり、女子生徒は「社長」を名乗って首謀者になっていた。

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2010年5月28日 (金)

負けて言い訳はしないもの

 毎日新聞(5/28)から、
 全仏オープン第5日は27日、パリのローランギャロスで行われ、女子シングルス2回戦で世界ランキング72位の39歳、伊達公子(エステティックTBC)は同107位の23歳、ジャミーラ・グロート(オーストラリア)に0−6、3−6で完敗した。

 25日の1回戦で14年ぶりに4大大会で勝利を挙げた伊達は右脚の故障で動きが鈍く、この種目の日本勢4人は全員姿を消した。試合開始は降雨のため予定より4時間半以上遅れた。(中略)

 敗戦後の記者会見で、伊達は痛めている右脚を前日に診断した医師の所見を明らかにした。「試合に出て何か異変があれば、2、3カ月試合を離れることになる可能性が高い」。ドクターストップの状態で出場したが、これ以上勝つのは無理だった。

 第1セットはコーナーを突くグロートのショットを追えず、1ゲームも奪えなかった。第2セットは維持を見せ、巧にショットを組み立てたが、2−2からの第5ゲームをブレークされて主導権を失った。最初に握られたマッチポイントでは相手のリターンにほとんど反応できず、力尽きた。

 右脚は筋膜が裂けているそうで「あれだけ医師に脅されるとさすがに動くのが怖かった。と苦笑い。海外メディアに出場した理由を問われると「4大大会はとてもスペシャル。わたしの性格として棄権したり欠場するのは嫌いだから」と強い執念を英語で説明した。

《健康で若い肉体でも厳しい運動量のスポーツだ。中年を過ぎた女性が故障した体で戦い通せるものでないことは最初から分かっていたはずだ。自己満足で出場したのはいいけれど、まともな相手と思って闘って勝ったグロート選手に「怪我したおばさんに勝っても嬉しくない」との思いをさせ、相手には屈辱を味あわせた結果になった。負け惜しみを言いたいのなら、せめて時が過ぎるのを待って後に告白するのが、スポーツマン(ウーマンか)としてとるべき対応だったのではないか。》

 2年前の現役復帰後、4度目の4大大会本戦で初めて勝ち星を挙げた。同時に、9月に40歳となる肉体は酷使に耐えられないことも思い知った。

 「勝てるテニスはできるけど、次に闘える体がないという現実を突きつけられた。悔しい」。次の4大大会、ウィンブルドン選手権まで1カ月を切った。それまでに右脚に巻く厚いテーピングを外せるだろうか。

《「現実を突きつけられて、悔しい」と嘆いたところで、それが老いというものだ。これから先戦う相手が、勝っても真実喜べないような、後で言い訳するような体で闘うことは避けた方がいい。まだ現役にこだわるのなら、2度と言い訳をしない体で戦うことだ。》

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2009年2月17日 (火)

20〜24歳女性、梅毒患者急増

毎日新聞(2/17)から、
 梅毒患者の報告数がここ数年、急増していることが国立感染症研究所のまとめでわかった。感染を知らず出産し、子どもが先天梅毒になるケースもある。同研究所は予防と検査を呼びかけている。
 
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 感染研によると、梅毒患者数は抗生物質など薬剤開発により戦後減少傾向だったが、03年以降、再び増え始めた。03年に509例だった報告数は06年に600例を超え、07年737例、08年は823例と毎年100例近く増え続けている。
 男性では35〜39歳、
 女性では20〜24歳の割合が高い。20〜24歳の女性は03年15例だったのが、07年には49例と3倍以上に増えた。

 母子感染による先天梅毒は06年に10例、08年は7月末現在で7例報告。妊娠中に夫から感染したとみられる症例もあった。先天梅毒の子どもの4割は妊娠中か生後1週間までに死亡するといい、感染症情報センターの多田有希室長は「妊婦健診を必ず受け、感染が判明したらきちんと治すことが大事だ。妊娠後期に2回目の検査もしてほしい」と警告する。

 梅毒は細菌「梅毒トリポネーマ」が引き起こす性感染症で、国内では99年以降、感染を確認したらすべて保健所に届けるよう義務づけている。性感染症に詳しい斎田幸次・斎田マタニティークリニック(大阪府河内長野市)院長「不特定多数と性行為をする風潮が原因ではないか。(感染を防ぐ)コンドームの出荷数も減少しており、感染増加との関連が示されている」と話す。

《日本では1512年に記録上初めて登場している。コロンブスがアメリカに上陸した時、船員と原住民女性と交わって感染し、ヨーロッパに持ち帰ったという説が有力だが、それから日本に伝播するまでにわずか20年程度。主に性行為・オーラルセックスによって感染する。皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し、進行によって血液内に進む。このほかに母子感染、血液を媒介とする感染もある。現在ではペニシリンなどの抗生物質が発見され、早期に治療すればほぼ2〜8週間で治癒する》。

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2008年5月15日 (木)

「心の病」休職急増

 6割以上の企業に心を病んで休職している社員がいることが、財団法人「労務行政研究所」(矢田敏雄理事長)の調査結果で分かった。3年前の調査に比べ10%以上増えている。企業の人員削減が進んだ00年代前半以後の好景気で個人の仕事が増え、心のダメージを与えている現状が浮き彫りになった。(毎日新聞 5/12から)

《「心の病」。何ともお優しい言葉遣いだろう。幼い頃から我慢することを知らず、甘えられるだけ甘えて育てられた世代には、少しでも仕事が厳しくなると、我慢が身についていない坊ちゃんやお嬢ちゃんたちだ、直ぐに会社をお休みになるようだ。》

 調査は今年1〜3月実施。上場企業を中心に4168社を対象とし、250社(約6%)から回答を得た。《6%が企業の総意かどうか疑わしいが。》
 鬱病など心の病で一カ月以上休職している社員がいるかの問いでは
  「いる」・・62・7%(05年50・9%)
企業規模別では1000人以上の企業では93・2%が「いる」と回答した。休職者の平均は9・5人で前回より5人増えた。

「特に増加している年代は」との質問に対しては、
 「30代」・・51・9%(前回39・6%)
 「20代」・・41・2%(前回27・6%)
 「40代」・・19・1%(前回18・7%)
などで、若年層での増加が目立つ傾向となった。

 同研究所は「若年層の増加は、人数が少ないところに好景気で仕事量が更に増えていることが原因と見られる。長時間労働も増える傾向にあり心が悲鳴をあげている」と話す。

《団塊世代、その前の日本経済復興に働いた100時間残業が普通の世代に比べ、調査対象の若い世代は、食糧にも恵まれて身体だけは立派になったが、お優しい親や保護者の庇護下で苦労知らずに育っては、我慢することもできず、ちょっとしたことで挫折する。マスコミは「心の病」なんて頭撫で撫でして甘やかしてやるような子どもじみた表現を使うが、さしずめ我々世代からみれば、かれらの休職は、気のたるんだ、ただの怠け病にしか映らない。》

 一方、心の問題で医師のカウンセリングや、長時間労働者に休職を取らせるなどの対策を取っている企業は8割を超え、従業員1000人以上の企業では98・9%になり、企業が事態を深刻に受け止めている現状も分かった。

休職者が完全に職場復帰をした割合の調査では、
 「半分程度」が22・5%で最も多く、
 「7〜8割」が21・5%
 「9割以上」が20・4%など復帰できるケースが多かった。

《このように、会社を休めば癒される程度のものだ、たった6%のデータで大騒ぎをし、日本の企業の全体を推し量ることは早計ではなかろうか。》

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2008年1月15日 (火)

キチガイに刃物 -3-

初めに、毎日新聞(1/15)夕刊から
小さな小さな記事だが、その内容には吃驚させられた。あの謎とされ、専門家から野次馬まで、そのモデルが憶測の範囲であった「モナリザ」のモデルを特定できる決定的証拠が見つかったというニュースだ。モナリザは言わずと知れたレオナルド・ダ・ビンチ(1452〜1519年)の描いた肖像画であることを知らない人はいないだろう。

今までの憶測の範囲では、一応ジョコンダ婦人で落ち着いていたのだが、イザベラ・デステ(1474〜1539;マントヴァ公婦人・文芸を保護したことで知られる)、いや、モデルはいない、或いはダ・ヴィンチ自身(自画像と重ね合わせて本当らしく解析した研究者もいた)であるなど、雑多に亙って説は語られていた。

【ベルリン時事】ドイツのハイデルベルク大学図書館は14日、イタリアの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの世界的名画「モナリザ」のモデルが、フィレンツェの商人の妻であることを裏付ける決定的証拠が見つかったと明らかにした。

同図書館によれば、1477年に印刷された所蔵古書の欄外にフィレンツェの役人による書き込みがあり「ダ・ヴィンチは今、リザ・デル・ジョコンドの肖像を描いている」と記述されていた。リザは富豪商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻で、リザ・ゲラルディーニとの名前でも知られる。この書き込みは1503年10月になされ、ダ・ヴィンチがモナリザを描いていた時期と重なる、という。

同大学のスポークスマンによると、メモは写本の専門家が二年前に図書館で見つけたものだということだ。

1964年、ミロのヴィーナスが日本にやってきてから10年後の1974年、モナリザが日本にやってきた。ヴィーナスを見るために上野に馳せ参じた。暑い日だった。暑い上に長蛇の列、延々4、5時間は並んだ。10人ほどの仲間と行ったのだが、余りの暑さに二人の女性が倒れた。ヴィーナスただ一体を見るためだったが、精々一分間、入口から出口に向かって歩いて終わりだった。この経験からモナリザには逢いに行くのを止めた。後で知ったが、モナリザはもっと酷い状態だったらしい。防弾がラスの奥に閉じ込められた絵の前を、10秒も見ることが出来ずに素通りで押出されたという。

「ルーブルで、いつか必ずじかに見る!」。この思いは1976年、叶った。時間は十分あった。しかし、彫像も絵も、ただ苦々しい思いで終わった。ヴィーナス像の足元には日本人客(おばさんたちだ)が取り巻き、ヴィーナスをバックに美しさと醜さの比較サンプル写真の撮り合いだ。余りの恥ずかしさに早々の体で次に移動した。さて、「モナリザ」、既に以前にもブログに載せたが、これ又見るに耐えない状況だ。防弾ガラスの奥にあって、黒だかりに集まって眺める小さな絵??が見えない。絵の前の見物人の姿が防弾がラスに映り込んで肝心のモナリザの姿が見えない。程度の悪い印刷の写真の方がよほどましだ。左右に移動してもダメ、見えない。で、諦めた。ゆっくり綺麗な印刷で見るしかないことを理解した。これじゃ、限られた特定の人間でないとモナリザに対面することは不可能だということが分かった。

モナリザは木の板に描かれていて、その後一層痛みが酷くなってきて、修復された。それから後、現在のルーブルの彼女は一線を劃されてそれまで以上に近づけない存在になったようだ。

ジョコンダ婦人で決定すれば、騒がしい推理騒動はなくなるのだろうか、それでもまだ、「しんじられない!」「メモは偽ものだ」と異説を唱える人間が出てくるのだろうか。

【閑話休題】
さて、いよいよ刃物キチガイの第3弾に移ろう。西、東、北に続いてやはり南(はずれまでは行ってないが)にも出現した。おまけに今度は女のキチガイのようだ。

毎日新聞(1/15)から
14日、午前10時10分ごろ、徳島市佐古四番町のマンション駐車場で「女性が刺されてうすくまっている」と通行人から110番通報があった。徳島県警徳島西署員らが、駐車場の女性と、マンション一階の部屋で刃物で首などを負傷した男女3人を発見した。4人は病院に運ばれたが2人が死亡、2人は重傷。同署は殺人・殺人未遂事件として捜査している。

調べでは死亡したのは無職の南敬子さん(64)と長男(30)で、同居の長女(37)と次女(34)が左肩などに刺し傷があり、重傷。次女が「姉に刺された」と話しており、同署は家族間トラブルがあり、長女が3人を刺して自殺を図った可能性があるとみて長女の責任能力などを慎重に調べる。

現場になった部屋は、玄関ドアがチェーンなどで施錠され密室状態。居間のベッドや蒲団の上で南さんと長男、長女が倒れていた。3人とも首などに刺し傷があり、凶器と見られる血のついた文化包丁や血痕も室内で見つかった。

マンションは次女名義で借りており、姉弟3人で住んでいた。南さんは12日から訪ねて来ていた。長女と次女は治療中だが、命に別条はないという。同署は、長女の回復を待って事情を聴く方針だ。

現場近くに住む主婦は、「助けて」という女性の声を聞いたという。凶器になった包丁は、普通にどこででも入手することの可能な刃物だ。生活のために使われる分には台所の日常品であり、老若男女の誰にでも買える。銃器と違って販売に対して取締りようがない。銃器に関してはその保管方法に、厳しい取締りが実施されることになるが、包丁はそうはゆくまい。凶器としては最も入手が簡単であり、殺伐とした世の中、ますます包丁の犯罪が増えていく怖さを覚える。

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2008年1月11日 (金)

キチガイに刃物 -2-

またまた親からまともに育てられなかったキチガイが刃物を持って現れた。今度は北の方角だ。あと南から現れれば東西南北揃うことになる。

今度も未成年の18歳だ。9日午後10時40分ごろ、青森県八戸市根城のアパート2階の1室から出火し、室内をほぼ全焼した。焼跡から母(43)市立中3の次男(15)同1年の長女(13)の母子3人の遺体が見つかった。いずれも刃物で刺されたとみられる傷があり、県警八戸署は殺人事件と断定し捜査本部を設置した。長男(18)の行方が一時分らず、翌10日午前6時ごろ、JR八戸駅付近で発見し、刃物を持っていたため銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕し、殺人容疑でも事情を聞いている。

一家は母子4人暮しで、長男は出火直後から行方が分らなくなっていた。同署では長男が事情を知っているとみて緊急配備し、署員がアパートから西約2キロの八戸駅構内で長男と見られる少年を発見し、職務質問をした。少年は「近づくな」と叫んでサバイバルナイフ(刃渡り25センチ、全長48・5センチ)を振る回しながら駅の外へ逃げたため、署員数人が追いかけて階段の下の歩道で取り押さえ、パトカーに乗せられた。少年が長男だと分り、他にも複数のナイフを所持していた。男性駅員(20代)によると、長男は身長180センチほどの大柄な身体に黒っぽい服を着ていたという。

周辺の住人らによると、長男はここ数年、アパートにほとんどいなかったが、昨年暮れごろから頻繁に出入りするようになったという。一家を知る近所の人によると「長男は以前は引きこもりで、家庭内で暴力を振るうことがあり、次男にナイフを突きつけたこともあった。次男は『いつか兄に殺される』と言っていた」とも語った。「数年前、家に灯油をまいたこともあった」と話す人もいたが、この時には警察が出動する騒ぎであったらしい。

その後、毎日新聞(1/11)から
逮捕された少年は「殺害も自分がやった」と認めていることが分かった。捜査本部は殺人と放火の容疑でも長男を追求している。彼は逮捕時には、ナイフを8本も持ち歩いていた。彼は中学生の時、精神科に入院したことがあるという。

調べでは母子3人の遺体には、火災による損傷はほとんどなく、首、腹などに致命傷とみられる切り傷や刺し傷があり、失血死だった。母親の腕には争った際についたとみられる細かい切り傷もあった。

《母親、弟妹を刺し、家に火までつけて逃げ出し、見つかると逃げ出す。人は何人も殺すけれど、自分を始末する勇気もない、自首する勇気もない、捕まる勇気もない。尤もキチガイには何を言っても始まらないが。》

警視庁によると、容疑者が成人のケースも含めると、全国で起きている殺人・殺人未遂事件のうち被害者が親族となった事件の占める割合は増加傾向にあるという。97年は1142件のうち446件(39・1%)だった。最近ではほぼ半数を占めている。

その背景について、野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)は、格差社会の問題があると指摘する。「今の境遇に不満のある少年らには『どうせ』と諦めに近い思いがある。悩みを膨らませて近い存在をはけ口としてしまうのでは」とみている。
 福島章・上智大学名誉教授(犯罪心理学)は「何かを切っ掛けにいら立ちを募らせた少年が社会に対して、自分をアピールしたいと思い、過去に報道された事件をヒントにした可能性がある」と話している。

《格差社会に事寄せれば何事も説明がつく、とはそれでも学者か。格差社会はマスコミが作り上げた流行語だ。格差社会は歴史始まって以来ずっとある社会だ。格差社会の何が犯罪の原因になっていると考えるのか、それが知りたい。戸越銀座の少年にしても、この八戸の少年にしても、もともと精神疾患を抱えた人間だ。どちらも通院したり、入院もしている。格差社会には関わりはないと見る方が正しい。福島氏の説明にしても、従来からあるテレビの影響、書物の影響、先例の真似の類いから出ない陳腐な説明だ。それぐらいのことなら素人でも説明できる。学者のお知恵を借りなくてもいい。

キチガイの心理に迫るには普通の神経じゃ無理だろうと思う。社会的な原因ではない肉親の間にある何かがある筈だ。この八戸の長男の両親は別居中という。長男は少し前まで母親のアパートから飛び出して父親と暮らしていたが、昨年の暮れに母親のもとに舞い戻っており、父親からの鬱憤を当たりやすい母親にぶつけたものと見た方がいい。格差でもない、社会的反抗でもないだろう。

彼の精神構造は、父母の間の別居しなければならなかった過去の生活環境から影響を受けているとみる。幼い頃から親としての家庭教育に欠陥があったとしか思えない。子どもは親を映す鏡なのだ。》

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2008年1月 8日 (火)

キチガイに刃物

正月気分も明けやらぬ4日に西で、5日になると東で、キチガイ少年による刃傷沙汰が発生した。“キチガイに刃物”とはよく言ったものだが、お粗末なお脳の2人による訳の分からない事件だ。

西の少年(香川県善通寺市・県立高3年の生徒)は香川県高松市の18歳。少年は4日午後5時40分ごろ、香川県庁11階の秘書課に果物ナイフを持って侵入し、同課女性職員に刃渡り約11センチのナイフを突きつけ、真鍋武紀知事への面会を申し入れた。別の職員がやめるよう説得するとナイフを床に捨て、案内された椅子で両手で頭を抱えたまま一言も話さなかったという。私服で、ナイフの他に金槌も隠し持っていた。

少年が在籍する高校の関係者によると、この生徒にいじめ、不登校などの問題はなかったということだ。

銃刀法違反で現行犯逮捕された少年は「知事を殺せば偉くなれると思った」と供述していることが6日分かり、このため、県警高松北署は銃刀法違反に殺人予備容疑を加え高松地検に送検した。

《余りにも幼稚というべきか、阿呆というべきか。知事の政治、施策に対してか、言動にか、というなら兎も角、人を殺して「偉くなれる」と思い込む精神構造はまともな人間には想像することは不可能というしかない。現在、何をしようが自由な世の中だ、その行動の責任を自ら負う覚悟が出来ているなら。18歳という年齢は、すぐにも大人の仲間入りをする年齢だ。しかし、現行法ではまだ親の保護下にある。この種犯罪で先ず顔を見せることがないのが、彼ら事件のヌシの保護者だが、保護者にこそ責任はあるのをメディアは無視する。一方で、ワイドショウよろしく新聞ネタになる三田佳子のような場合は、面白可笑しく騒ぎ立てようとする。

18歳にもなっていながら、幼児の心と大人の身体とがアンバランスに分裂したこの少年を、作り上げたのは他ならない彼の両親だ。》

《一方、東の16歳(東京都品川区・市立高2年))も、背景には両親の育児責任が問われる必要がありそうだ。彼は犯行に及ぶ前にもしばしば母親と口論となったり、塾の先生に叱られてむしゃくしゃしていたと、取り調べに対して話している。小学校低学年で起っている学級崩壊の原因が家庭教育の欠除にあるように、16歳にもなった少年が、幼稚園児のように、塾の先生から叱られるようなだらしなさを見せているのだ。》

東京都品川区の戸越銀座商店街で都内の私立高校2年の少年(16)が、通行人5人を包丁で切りつけ2人に軽傷を負わせた事件で、殺人未遂容疑で逮捕された少年が、警視庁荏原(えばら)署の調べに当初「誰でもいいから皆殺しにしたかった」と話していたが、今度は「人間関係のトラブルで悩んでいた」と供述していることが6日、分かった。事件当日の5日午前も塾に行き、その時に先生から叱られていた。同署は、塾での出来事が事件の引き金になった可能性もあるとみている。

少年は事件の当日、母親と口論になり、家を出、昼過ぎに自宅から直接JRの東急大井町駅前ビルの100円ショップに歩いて向かい、凶器になった包丁を購入していた。その足でおよそ直線で2キロある商店街に行ったという。現場を3時20分ごろから約200メートルを移動しながら、刃渡り約15センチの文化包丁で次々に襲い、女性2人に約10日間の怪我を負わせたほか、男女3人の服を切った事件。

少年は当時、包丁2本を手に持ち、1本をズボンの裏に差し込んでいたという。荏原署は両親からも事情を聞いており、それによると、少年は数年前から精神的な疾患で精神科に通院しており、先月も薬の処方を受けていた。同署は少年を東京地検に送検することになるが、精神鑑定も検討するという。「人間関係のトラブル」については家族は把握していないといい、学校関係者らから詳しく事情を聴く予定だ。

《親が「うちの子に限って」とは口にしていないが、子どものことを何も把握していない。以前から精神科に通院をしている子だ。投薬施療も受けている。本人の言い分を信用すれば、いじめもあったという。交友関係もうまく行っていない。小学校のPTAでも問題になるが、「うちの子に限って」は家庭での育児教育に無責任な親に限って口にする。小学校でももう遅い。生まれ落ちた時から親は、時に厳しく、時に優しく、他人(ひと)の痛みや悲しみ、歓びが理解できるよう、教育し、躾けておかなければ、「ありがとう」が言える子には育たない。

放任して甘やかすことしか知らない親たち、我慢することも学ばせないでキレられて恐れ、宥めては一層甘やかす。この繰り返しでは精神がバランスを崩し、子どもがキチガイになるのも避けられないだろう。今の世の中、異常なほどに子どもに甘い。子どもはそのような、子どもを怖がり子どもに甘い大人を見透かしていてちっとも尊敬しない。子どもに尊敬される親が生まれることを期待したいが、幻想に終わりそうだ。》


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