毎日新聞(12/14)から、
《紙面のページを繰り、眼に飛び込んできた大きな活字「女性器切除」に驚いた。家族に娘でも居たら、慌てて紙面を閉じていたろう。まだ後進国を「未開の国」と言っていた私の若かった頃だが、男性器の包茎を切除する割礼(1640年ごろ、グイド・レーニが生誕間もないキリストの割礼の儀式を描いた画もある)は聞いていた。しかし、同時に女性器の割礼も耳にしたが、何をどうするのかは全く未知の世界だった。》
<Wikipedia から>
女性器切除(じょせいきせつじょ、Female Genital Mutilation、略称FGM)あるいは女子割礼(じょしかつれい、Female Circumcision)とは、主にアフリカを中心に行われる風習であり、女性器の一部を切除あるい切開する行為のことであり成人儀礼のひとつ。女性器切除とはこの風習に対して虐待であると批判する人々が使う呼称であり、一方で批判の文脈とは独立に、男性器の包皮切除を行う男子割礼と同等の儀礼であると考える文脈では女子割礼の語が主に使われる。
概要
歴史的に見てFGMは2,000年もの間、赤道沿いの広い地域のアフリカで行われてきた。現在ではアフリカの28カ国で、主に生後1週間から初潮前の少女に行われる。アフリカの人口増加に伴い、以前より多くの少女達が性器切除を施されている。
欧米においては、この慣習の存在する地域から移民した人々の間においてもFGMが広く行われていることが昨今の調査で明らかになり、それに対して法的な規制を制定する国も増えてきている。
ムスタファ・アキオル:イスラムにおける信仰と伝統の対立
目的
大人の女性への通過儀礼。
結婚の条件とされている。
結婚まで純潔・処女性を保てると信じられている。
女性の外性器を取り去り性感を失わせることで、女性の性欲をコントロールできると信じられている。
ソマリアでは、「女性は二本の足の間に悪い物をつけて生まれた」と言われており、陰部封鎖させる。
名称
女子割礼、女性性器変質あるいは女性性器の切れ込み (Female Genital Cutting) 等、この風習を呼び表すために様々な言葉が用いられてきた。そんな中、1990年に開催されたインター・アフリカン・コミッティ(IAC)の総会において、今後は女性器切除(Female Genital Mutilation)という名称を用いることが決定された。これは、「割礼」という表現がFGMの本質である性器の切除という事実を正確に伝達するものではないばかりか、むしろ、その非人道性を曖昧にしてしまう点を改善しようとするものである。現在このFGMという呼称はEUやアフリカ連合等で正式に採用されている。
分布
定義と分類
国際会議などでは、WHO(国際保健機構)の定義を使うことで同意されている。
▽タイプ1:クリトリデクトミー(clitoridectomy)
クリトリスの一部または全部の切除。
▽タイプ2:エクシジョン (excision)
クリトリス切除と小陰唇の一部または全部の切除。地域によっては出産を楽にするためとしてさらに膣が切除されるが、実際には逆に困難にしてしまう可能性が高い。伝統的に成年に達した際の儀式として行われるが、最近では若年化が進み、もっと幼い少女に行われる。FGMを受ける少女のうち、タイプ1とこのタイプを合わせて約85%である。
▽タイプ3:陰部封鎖(ファラオリック割礼、infibulation)
外性器(クリトリス、小陰唇、大陰唇)の一部または全部の切除および膣の入り口の縫合による膣口の狭小化または封鎖。その際尿や月経血を出すための小さな穴を残し、少女の両脚をしっかり縛って数週間傷が治るまで固定する。主に4歳から8歳の少女に行われ、こちらも若年化が進んでおり、生後数日に行なわれた例もある。FGMを受ける少女のうち、約15%がこのタイプになる。
▽タイプ4:その他の施術(タイプ1-3に属さないもの)
その他、治療を目的とせず、文化的理由のもとに、女性外性器の一部あるいは全部を削除し、あるいは女性の生殖器官を意図的に傷つける行為のすべて。
性器切除に伴う体への弊害
先述の施術方法で行われることが多いため、大量出血、施術中の激痛、回復まで続く痛み、様々な感染症などを引き起こす。また、手術中のショックで意識不明や死亡に至る場合もある。
後遺症としては排尿痛、失禁、性交時の激痛、性行為への恐怖、月経困難症、難産による死亡、HIV感染の危険性などが挙げられる。
痛みを恐れて排尿しなかったために逆に一回の排尿量が増えるため、尿が傷口を刺激し、さらに痛みを増すという。
陰部封鎖の場合、結婚初夜に夫が縫い閉じられた陰部を切り開く部族がいる。自力で花嫁の陰部を開いて性交を果たせなければ面目を失うという。
国際的世論と廃絶
国際社会において、特に1970年代頃から著しい女性虐待であるとして非難の声が強く上がっていた。対する当事国では、そうしたプレッシャーは自国の文化を否定するものとして、文化相対主義的論議が起こった。しかし昨今では国際的世論とアフリカ連合内からの廃絶の声とが手を取り合った動きが活発化し始めている。2003年7月11日にはモザンビークの首都マプトにおいて、女性器切除の含めたあらゆる性暴力、性差別を禁じ、男女同権を定めた、人及び人民の権利に関するアフリカ憲章に関するマプト議定書 (Maputo Protocol) が採択された。(2011年現在署名46カ国、批准28カ国)
最近の動向では、西アフリカの指導者や、ケニアでは性器切除を禁止しているものの、その後まったく実効が上がっていない。
FGM廃絶の国際運動を行っているワリス・ディリーが1999年発表したデータによると年間に200万人、日間に5500人近い少女が性器切除を受け、性器切除された女性は1億3000万人以上で、累計では13億人にも達すると推定している。
女性器切除廃止のための女性団体、La Palabre(ラ・パラーブル)が設立された。同団体の欧州メンバーとして性器切除、性的暴力や強制結婚を綴った自伝「切除されて」の著者であるキャディ・コイタがいる。
【閑話休題】
北東アフリカなどに残る女性器切除(FGM)の習慣が、移民の増加で英国内に広がっている。恥ずかしさや周りからの圧力でその体験を公表する女性が少ない中、英国の弁護士でソマリア系移民のニムコ・アリ(29)は昨年、自身のFGM体験を公表し、その撲滅を訴えている。アリさんに体験を聞いた。
(聞き手・小倉孝保*ロンドン)
‥‥ どうやってFGMを?
✦ 7歳の時だった。当時、英マンチェスターに住んでいた。母の出身地であるソマリア北部に帰ると、会ったこともない不気味な女性が家に着た。何をされるのか説明されないまま性器を切られた。
‥‥ 痛みは?
✦ 切除される前に麻酔薬を飲まされた。そのため肉体的な痛みは覚えていない。処置が終わって最初にトイレに行ったとき、痛んだ程度だ。自分の体に何が処置されたのかわからなかったため精神的には苦痛で、処置について知りたいという気持ちから混乱した。
‥‥ 英国に帰ってからは?
✦ 教師に相談したが当時、ほとんど関心を持たれず、教師から「あなたたちの文化だ」と説明された。しかし、その後、自分が性器を切除されたと知って怒りが湧いてきた。何の説明もなくバカげたことをされたと知り、今も精神的な苦痛を感じている。
‥‥ 公表した理由は?
✦ 昨年、同じ経験を持つソマリア系女性と会った。彼女はFGMをなくすため自分たちの体験を多くの人に聞いてもらうべきだと考えていた。私も同じ思いを抱いた。勇気ある女性を孤立させるべきではないと思い、体験を語る活動を始めた。
‥‥ 家族の反応は?
✦ 今も公表や撲滅活動に反対している。なぜ私が怒っているのか、家族は理解していない。しかし、若いソマリア系女性に私と同じ思いをさせたくないから、(家族の反対を押して)活動を続けている。
‥‥ 異なる習慣・文化を尊重すべきだとの声もあるのでは?
✦ FCMは女性の能力を発揮することを妨げるもので、男性が女性を管理するための習慣だ。本人の選択の機会も与えていない。私にとってはレイプ同様、女性への暴力だ。
女性器切除は、ソマリアやエジプト、スーダンなどアフリカに残る習慣。結婚前に性交渉しないことや性欲を抑えることなどを目的としているとされ、主に10代前半の女性が処置される。不衛生な場所で医学的知識のない者が処置を行なうことがあるため、障害が残ったり死亡したりするケースもる。また、麻酔なしで処置され、トラウマ(心的外傷)の残ることもある。
アフリカ移民の増加で1980年代以降、欧州各地で社会問題になり、英国は85年、特別法を制定して英国内でFCM処置をすることやFCM目的で子どもを海外に送ることも禁止した。しかし、事実の把握が難しいことや親の責任を追及することになるため、過去に起訴されたケースはない。こうした現状に」英議会(下院)内務特別委員会は来年1月、FCMの刑事責任追及がなされない原因などを探る公聴会を開催することを決めている。ロンドンだけで過去3年半に2世や3世を中心に移民女性約2000人がFCM関連の治療を受けたとされる。国連やアフリカ連合(AU)は、女性虐待に当たるとしてFCMの撲滅を目標に掲げている。
最近のコメント