辺野古移設「粛々」使わず
毎日新聞(4/7)社説ほか、《》内は私見
菅官房長官は6日夜のBSフジの番組で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について「政府の立場に粘り強く理解を求める」と述べ、沖縄県の翁長知事との協議を継続する考えを示した。知事から批判を受けた「移設を粛々と進める」との発言は今後控えるとし、5日の知事との初会談は「だいぶ前からご説明したいと考えていた」とも強調した。現知で沖縄の反発の強さを確認し、政府としてより丁寧に進める姿勢をアピールした。
「上から目線で言ったのでは全くないが、そう思われたなら(粛々と進めるという表現は)使わない」。菅は番組で、翁長からこの間の発言を批判されたことに配慮。
《話は遡るが、菅は、2月27日の記者会見で、辺野古の新基地建設作業で沖縄防衛局が浮標のアンカーとして海中に沈めた大型ブロックが一般的な重しの範囲を逸脱しているとした県の指摘に対し「この期に及びアンカーの大きさなどを指摘すること自体」遺憾だとも述べ、不快感を示した。『この期に及』んでとは何という傲岸不遜、傲慢無礼な言い草だろう。「お上が決めたことだ、決まったことには沖縄は黙って従っておればよい」との肚の中が見え見えではないか》。
会談は、まるで戦後70年かけて蓄積された沖縄の政府に対する不信感が溢れ出てくるようだった。
知事は、菅が移設を「粛々」と進めると発言する度に「上から目線」を感じ、米軍統治下の沖縄で圧政を敷いたキャラウエイ*高等弁務官の姿と重なる、と痛烈に批判した。
《* Paul Wyatt Caraway 米国陸軍軍人・沖縄在任:1961.2.16〜1964.7.31の期間、強権発動政策をすすめた》。
普天間も含めて沖縄の基地は強制収容されたにも拘らず、危険性除去のために沖縄が負担しろ、代替案は持っているのかという話をすることは「政治の堕落」と語った。
菅は、辺野古移設が唯一の解決策と言い、いかに負担軽減につながるか数字をあげて説明したが、両者の主張は全く噛み合なかった。
知事は負担軽減策でさえ「沖縄には『話のごちそう』というのがある。いい話をして局面を乗り越えれば、知らんぷりというのが、戦後7年間の沖縄の基地問題だった」といって評価しなかった。一連の訴えは、政府だけでなく、本土の人々の無関心にも向けられていたようにも思う。
翁長知事の就任以来、政府内の一部のは次のような見方があった。知事はもともと保守系なので、沖縄を敢えて冷遇して移設を進めて行けば、県政は行き詰まり、いずれ譲歩するだろうと。だが、この見通しは少し甘かったようだ。
昨年の名護市長選、県知事選、衆院選の沖縄小選挙区などを通じて、辺野古移設に反対する民意は明確に示され、もう後戻りすることはないということが、今回の会談で再確認されたのではないか。
菅が先日「選挙結果は、基地賛成、反対の結果ではないと思う。総合的な政策の中で選ばれる」と語ったのは、事実をゆがめている。昨秋の知事選で、当時の仲井真知事は辺野古移設を前面に掲げ、約10万票の大差で敗れた。政府はその事実から目を背けるべきではない。
政府は沖縄の考えをよく分析し、対応を冷静に見直してほしい。安倍首相の訪米や6月23日の沖縄の「慰霊の日」をにらんで、首相と知事の会談が調整されているという。県側が警戒する「首相訪米を前に米国向けのアリバイ作り」でななく、真摯に向き合うべきだ。
私たちは辺野古移設の現行計画を白紙に戻し、米政府と再交渉すべきだと考えるが、政府にはまず移設作業を中断し、沖縄とよく話し合い、主張に耳を傾けることから始めるよう求めたい。
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