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2015年2月 6日 (金)

裁判員の「死刑」破棄、最高裁 2件公平性にもとる、と

 毎日新聞(2/5、6)から、

《「公平性に悖(モト)る」とした最高裁の判断は正しいのだろうか。》

 裁判員裁判の死刑判決を2審が無期懲役に減刑したことの妥当性が争われた2件の強盗殺人事件の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は3日付で、いずれも死刑を求めた検察側の上告を棄却する決定を出した。2審・東京高裁判決が確定する。小法廷は、2事件はいずれも被害者が1人で計画性も低いと指摘し、「先例の傾向から見ても、2審を覆さなければ著しく正義に反するとはいえない」と述べた。裁判員裁判の死刑判断の破棄が確定するのは初めて。死刑判断に当たり、過去の先例を重視する傾向が強まりそうだ。

【裁判員裁判】
 殺人や傷害致死、現住建造物等放火などの重大事件を対象に、原則6人の裁判員が3人の裁判官と有罪か無罪か判断し、有罪の場合は量刑を決める。意見がまとまらない場合は多数決となるが、少なくとも裁判官1人が賛成しなければ死刑判決は言い渡せない。

 2件は、千葉県松戸市で2009年、女子大学4年生(当時21歳)を殺害して放火し、強盗殺人や現住建造物等放火罪などに問われた竪山被告(53)と、妻子の殺人罪で20年服役した後の09年に東京・南青山で男性(当時74歳)を殺害したとして強盗殺人罪などに問われた伊能被告(64)。

 竪山被告について1審・千葉地裁は、出所後3カ月で殺人の他に強盗強姦も繰り返した点を重視し、「短期間で重大事件を複数起こし、被害者の対応によっては生命に危険が及んだ」と死刑を選択。しかし2審は「殺人以外の事件はいかに危険性を重視しても死刑の選択はあり得ず、生命を奪おうとしていない」減刑した。

 伊能被告については1審・東京地裁が「過去に妻子の命を奪い、懲役に服しながら強盗目的で命を奪ったのは冷酷」としたが、2審は「2件の関連は薄く、前科を過度に重視するのは相当ではない」とした。

 小法廷は「死刑は究極の刑罰で、過去の裁判例の検討が不可欠。死刑の選択がやむを得ないという具体的で説明的な根拠を示す必要がある」と指摘。2件についていずれも「1審判決は死刑選択はやむを得ないとする根拠を示しておらず、死刑を破棄した2審判決が不当とはいえない」と述べた。

 裁判官3人全員一致の意見。検出官出身の小貫裁判官は審理を回避し、寺田長官は慣例で加わらなかった。

 <6日社説から抜粋>
 最高裁は今回、死刑を選択する前提として、過去の同種事件との公平性への配慮を求めた。

 連続4人射殺事件の永山則夫元死刑囚の事件で、最高裁は1983年、死刑の判断基準を示した。動機や計画性、殺傷被害者の人数など考慮すべき項目を掲げたものだ。その後、特に被害者数は重視され、被害者が1人の場合は、死刑が選択されることは少ない。最高裁はそうしたことも念頭に今回判断した。

 ただし、前科や犯行態度なども永山基準に含まれている。凶悪事件を繰り返す被告の人間性を重視した裁判員裁判の判断を肯定する人は少なくないかもしれない。

 それが市民感覚だとすれば、今後も死刑を巡る市民と裁判官の見解の相違は出てくるだろう。なぜ、死刑の判断に公平性が欠かせないのか。裁判所はより説得力のある説明が必要だ。

 その先には、なぜ死刑が必要なのかという問もある。死刑を全廃した欧州連合は、日本に死刑の執行停止を求める。裁判員を重い判断に関わらせるならば、根本的な問いかけにも答えていく必要がある。だが、死刑問題の議論は低調だ。政府や国会も含めて向き合うべき課題だ。

《先例が重視され、公平性が重視され、裁判員裁判の判断が覆されるのなら、市民参加に意味がなくなる。裁判員の判断は「先例に同じ」「右に同じ」でいい。会社を休み、時間を掛け、意見を出し合う必要もなくなる。》

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