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2015年2月 5日 (木)

卵子核移植、英下院承認

 毎日新聞(2/4)から、

《日本では「子なきは去る」と、男尊女卑の時代、当然のことのように妻を離縁する一つのあり方として存在した暗黒の時代があったが、時代は変わった・・・。》

 1遺伝性疾患の予防を目的に、3人の遺伝子を受け継ぐ新たな体外受精技術の導入を認める法案が3日、英国の下院で賛成多数で可決された。上院での審議を経て法案が成立すれば、世界で初めて「3人の親」を持つ赤ちゃんの誕生につながる。ただ生命倫理面や安全性への懸念などから反対論も根強く、論議を呼びそうだ。

この技術は、細胞内に多数ある小器官のミトコンドリアに異常があると認められた母親の受精卵から細胞核を取り出し、健康なドナー女性の正常な卵子を使った受精卵の細胞核と交換する形で移植して胚を作製する。生まれた子どもは、脳や骨格筋に異常が生じる母系遺伝のミトコンドリア病を回避できる。

 〖ミトコンドリア病〗
 各細胞内でエネルギーをつくる小器官ミトコンドリアの異常により、細胞活動が低下し、脳神経や筋肉などさまざまな臓器の働きが損なわれる病気。細胞核とは別にミトコンドリアが独自に持つミトコンドリア遺伝子の異常が主な原因とされる。ミトコンドリア遺伝子は卵子を通じて伝わり、父親からは遺伝しない。このため、ミトコンドリア病の多くは母系遺伝とされる。

 英国で治療対象となる夫婦は年間150組と推定され、父母に加えてドナー女性の3人の遺伝子を持つ赤ちゃんが早ければ来年にも誕生する。キャメロン首相は採決に当り、「科学が(遺伝病防止の)助けになるならば、こうした治療が利用できるよう(法整備を)確実にすべきだ」と強調した。

《技術的に可能だからと、顕微鏡下で、試験管の中で、好きなように卵子、精子を弄ぶ。》

 独立監視団体ヒューマン・ジェネティクス・アラートのデービット・キング代表は「将来(遺伝子操作で親が望む外見や知力を与えられた)デザイナーベビーを生み出す悪夢を避けたければ、われわれは一線を引くべきだ」と批判。宗教界からも「倫理的な懸念が十分検討されていない」と反対の声が上がっている。

 棚島治郎・東京財団研究員の話
 卵子の核移植は、体細胞の核を卵子に移植して初期化するクローン技術の応用だ。クローンの子どもを作ることは許されないが、ミトコンドリア病回避のためなら技術を応用していいのでは、という議論は15年以上前からあった。英国は最も熱心に研究に取り組んでおり、技術的に実用化のめどがたったことから法制化に踏み切るのだろう。英国では日本と異なり、体外受精による不妊治療全般が公的な管理下で実施されている。技術を適正にコントロールできる基盤もあり、今回の法制化は理解できる。

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