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2015年1月16日 (金)

運転免許制度見直し(高齢者事故 減少期待)

《私は、81歳の誕生日で車から離れた。何度か受けた高齢者適性検査には不安はなかったが、61歳で左目を網膜剥離で2度の手術をし、その後、80歳を過ぎた頃から網膜剥離術後に現れる白内障で左目がかすみ出し、右目に頼る視野狭窄に不安を抱き、他人へ危害を加えることになる前に、思い切って車を手放した。心配していたことだが、83歳になった現在、買い物に出かける度に不便を覚えている。特に買い物で荷物が多くなったり、郵便局でないと取り扱わない用件の場合、片道10〜15分だった所要時間がその倍はかかるようになってきた。現在人口32万を超す市でも、50年ほど以前に村を寄せ集めて6万人ほどからスタートした町では、未だに不都合が至る所にあって毎日の買い物も、近所には小さなセブンイレブンが1軒だけ、そのため少ない本数のバスを利用したり、悪天候の時にはタクシーを利用することが増えた。今のところ救いなのは、網膜剥離で1カ月間と10日の入院と歯医者以外、半世紀以上病院に通ったことがないことだ。》

《記事にもあるが、高齢者の事故の減少は期待できるのかもしれないが、生活の足の利便性の悪さをどのように救済していくのかが、過疎地になるほど難しい問題として残るだろう。》

 毎日新聞(1/16)から、
          
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 警察庁は15日、道路交通法改正試案を公表し、75歳以上が運転免許更新時に義務づけられている認知機能検査を活用、不十分だった認知症の進行具合の確認を強化する方針を明らかにした。高速道路の逆走事案の半数近くを75歳以上が占めるなど、認知機能低下が懸念される高齢ドライバーへの対応が急務となった事情がある。一方で、専門家からは、生活手段としてくる間が不可欠な地方の高齢者らへの支援が同時に必要だとの声も上がる。認知症と高齢ドライバーを取り巻く現実を追った。

 今月7日。東京都板橋区の5号池袋線。逆走していた茨城県稲敷市の男性(83)の軽乗用車が大型トラックと衝突し、男性が死亡する事故があった。警視庁高速隊によると、男性は前日正午ごろに自宅から外出したままで、家族が地元の警察に届け出ていた。家族は「認知症だった」と説明したという。

2_2警察庁によると2013年の免許保有者10万人当りの死亡事故件数で、75歳以上は75歳未満の約2・5倍。道交法は、認知症だと診断された場合、免許の停止・取り消しを定めているが、幹部は「認知症の人が見逃されてきたことは否定できない」と認める。

 実施されている認知機能検査は、30分にわたって当日の年月日を質問したりイラストの記憶力を調べたりして、認知症の進行度を3段階で判定する。

3_2 ただ、認知症の恐れありという最も深刻な第1分類と判定されても、過去1年間に逆走や一時不停止などの違反行為がなければ医師の診断を受けることなく免許を更新できた。警察庁によると、13年に検査を受けたのは約145万人に上り、このうち約3万5000人(2・4%)が第1分類と判定された。しかし医師の診断を受けたのは524人だけで、最終的な免許の取り消し・停止は118人だった。

 第1分類と判定された後も車に乗り、事故につながるケースもあり、13年は少なくとも7件の死亡事故があった。検査が導入された09年に診断を義務づけなかったことについて、警察幹部は「反発を考えるといきなりの義務づけは難しかった」。昨年6月施行の改正道交法では、認知症などの患者を診察した医師が任意で各都道府県公安委員会に届け出ができるようになったが、都内では昨年末時点で3件にとどまるなど、高齢者本人の意向に左右されかねない事態が続いてきた。

 試案では、第1分類と判定されれば医師の診断が義務づけられ、認知症と確定すると違反行為がなくても免許が取り消される。

《当然の対策だろう。思いやりが認知症老人の運転する車を「走る凶器」として野放しにしてきたことになるからだ。》

 また、認知機能の低下が深刻ではないと判定された第2、第3分類の人たちへの対策も強める。現行制度では、こうした人たちが更新後に逆走などの違反をしても、次の更新時期(3年後)までは検査や医師による診断機会はなかった。

 しかし認知症の新興度合いには個人差がある。昨年4月、広島県の高速道で89歳の男性が運転する軽トラックが約5㌔を逆走。男性は「自宅に帰るつもりだった」と話したが、方向は逆だった。男性は11年11月の更新時の検査では第3分類で、この後に認知機能が低下したとみられる。警察庁が1回目の検査で認知症の恐れがなかった人についてサンプル検査したところ、次回検査では1割以上の人の機能が低下していた。

 試案では、第2、第3分類と判定されて人でも一定の違反があった場合は臨時検査を義務づけ、機能低下の恐れがあれば講習を受けてもらう。検査で第1分類とされれば医師の診断が必要となる。

 認知機能が低下した人が運転することは、どんな危険をはらむのか。

 車の運転には「認知、予測、判断、操作」の能力が必要だが、認知症で行為や行動に影響が出てくると安全な運転が難しくなる。認知症の種類によって運転に表れる特徴が異なる。
 ▽アルツハイマー病では運転中に行き先を忘れる
   ・駐車や幅寄せが下手になる
 ▽ピック病では交通ルール無視・運転中の脇見
   ・車間距離が短くなる
 ▽血管性認知症では運転中に「ポーッ」するなど
   注意散漫になる・ハンドル操作などがおそくなる
⎯⎯⎯などの特徴がみられる。

 ただ、認知症と車の運転を研究している高知大医学部の上村直人講師(老年精神医学)は「『こうなったらやめさせるべきだ』という医学的基準について、完全なものは世界中でまだできていない。認知症だから運転能力がない、というわけではない。軽い人では能力が落ちていない人もいる」と説明する。

 車の運転ができないことは本人や同居する家族の生活の「足」を奪われる深刻な問題だ。島根県の精神科医、高橋幸男医師は「運転をやめるよう助言すると、『先生は私を殺す気か』と言われることもある。認知症になっても買い物など本人の暮らしは続く。運転をやめさせるなら、暮らしや生きがいを支えるための代替手段が必要」と指摘する。

《殺し文句の『私を殺す気か』は他人を殺してからでは言い訳にもならない。》
  
  認知症で運転を中止しなければならない時の家族や周囲の対処の仕方について、国立長寿医療研究センターの荒井由美子・長寿政策化学研究部長らが作成した家族介護者向けの「家族介護者のための支援マニュアル」が公開されている。

 マニュアルでは認知種の人が運転できなくなった場合、まずは家族や知人・友人で代わりに運転してくれる人を確認したり、地域で使える公共交通機関や移動支援サービスを市区町村窓口で尋ねたりするよう勧める。荒井部長は「ご本人にとっての運転の意味を確認したうえで、家族や周囲が代替移動手段を確保していく支援をすることが必要だ。運転に『楽しみ』や『生きがい』など移動手段以外の意味を感じている人も多い。運転代わって楽しめる活動を見つけることも大切だ」と話す。

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