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2015年1月28日 (水)

高校内カフェ

毎日新聞(1/28)から、

 高校の中に、カフェなどの形で生徒の居場所を設け、中退や不登校を防ぐ全国的に珍しい取組みが大阪にある。運営は若者支援に実績のある民間団体が担う。高校中退は、引きこもりやニートなどのように社会との接点を失うきっかけになるとも指摘される。カフェは生徒の「まだ悩みにもなっていない声」を掬い取り、社会に繋ぎ止める歯止めになってきる。

 文部科学省によると、2013年度の高校の不登校率、中退率はともに1.7%だが、大阪府は不登校率3.2%、中退率2.4%で、いずれも全国ワーストだ。

 内閣府が10年、高校を中退して2年以内の2651人に実施した調査(回答率44.4%)では、全体の56.2%が「現在働いている」としたが、その8割弱が「フリーター・パートなど」。全体の約7割が「将来に不安がある」と答えた。10代後半の子どもがいる家庭全体と比べ、一人親家庭の割合が高く、6割が家族の経済状況について「苦しい」と答えた。

 学校に来られなくなる生徒について、箕面東高(大阪府立、多部制単位制)の森本教諭(60)は「貧困、発達障害、対人関係の不得意さなど複雑な理由が絡み合っている。以前は『行きたいのに行けない』と葛藤する生徒が多かったが、今は葛藤する気力すらない印象だ」という。その上で「カフェで安心を得て初めて、生徒は困りごとに気づき、悩みk始める。長年教育相談に関わってきたが、外部機関と連携した学校内の居場所の効果を実感している」と話す。

  「あけおめ!」「正月何してた?」今月初めの箕面東高校。午後0時15分、昼休みのチャイムが鳴ると、生徒が弁当を手に「めいぷるカフェ」に集まってきた。二つの応接セットと木箱の簡易ベンチはすぐに満席に。大声で友だちとはしゃぐ子もいれば、1人で本を読む子もいる。

 午前9時から午後5時半まで、生徒は授業の空き時間や放課後などの好きな時に来て、それぞれの時間を過ごす。見守るのは、若者の就労支援などに取組むNPO法人「フェルマータ」(同高槻市)の20代のスタッフらと、学校心理士の資格を持つ森本教諭だ。一緒にゲームをしたり、談笑したりと「ただいるだけ」だが、生徒から「聞いて聞いて」とひっきりなしに声がかかる。

 箕面東高は、小・中学生時代に不登校の傾向があった生徒も少なくない。カフェは2013年5月末にオープンした。昨年度は全校生徒の4分の1が一度は来室し、今年度も1日に平均約20人が利用する。森本教諭は「教室には入れないが、カフェに来られる子もいる」と話す。

 3年の女子生徒(19)は「ここがなかったら、学校をやめてた」と言う。母子家庭だが、小学生の頃から母親がおまり帰らなくなり、体の悪い祖母だけが頼りに。「小さい頃から人付き合いが苦手。仲良くなっても、すぐ『嫌われるかも』と思って距離の取り方が分からない。高校に入ってクラスに溶け込もうとしたけど、すぐしんどくなった」。

 授業を欠席しすぎて卒業を諦めかけた頃にカフェができた。NPOのスタッフと話すのが楽しみになった。「本の感想とか、ストレスとか何でも聞いてもらえる。家で味わったことがないから『何、この不思議な感じ』って」。

 カフェに行き始めて数ヶ月後、母親と関係が行き詰まり家を出たが、カフェを通じて森本教諭らに相談したため、地域の支援団体につながり、安定した生活ができちえうR。

 こうした取組みは、大阪府が13年度から始めた「高校中退・不登校フォローアップ事業」で、現在4団体が私立も含め8校で展開している。

 事業展開のきっかけは、前年に始まった府立西成高校(大阪市)の「となりカフェ」の成果だった。運営に関わる一般社団法人「Officeドーナツトーク」の辻田梨紗(32)は「引きこもりの人など、生きづらさを抱える30〜30代を支援してきたが、高校中退者が多い。早い段階で支援ができたらと発案した。手応えを感じている」と語る。

 西成校は経済的に厳しい家庭環境の生徒が多く、1年に全校生徒約500人のうち1割ほどが学校を去ってしまう。となりカフェは週3日、昼休みと放課後に開かれ、常時20人が来る人気ぶりだ。スタッフは生徒の言動から「家に帰れていない」など生活環境の変化を察知し、深刻なケースの場合、学校と連携して解決に動く。中退してしまいそうな生徒も、法人が運営する別の就労支援の場や、他の団体や機関とつなげている。

 南野校長は「カフェで異変をキャッチしてくれたことで育児放棄が疑われ生徒が一時保護された例もある。家のように感じている生徒もおり、セーフティネットが一つ増えた」と喜ぶ。

 ただ事業は存続の危機にある。府は事業に国の緊急雇用創出基金を活用し、今年度は5253万円を充てたが、来年度の予算のめどが立っていない。

 子どもの貧困に詳しい大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)は「生活保護世帯の子どもの約9割が高校に進学するが、中退率は一般家庭の約3倍。貧困が再生産されないためにも中退を防ぐための居場所づくりは意義がある」と指摘する。「他の自治体も、国も拡充を目指しているスクールソーシャルワーカーの活用など工夫次第で導入できる。それには、支援に入る外部機関と学校との信頼関係や、行政の福祉と教育分野との協力体制が大切だ」と話している。

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