« 人間の万能細胞を精子や卵子の始原生殖細胞に | トップページ | 「出生率1.8」叶うのか »

2014年12月28日 (日)

中国製スマホ 好調な訳は?

 毎日新聞(12/28)“読み解く!経済”から、

 中国の低価格スマートフォンが好調と聞くが、中国のメーカーが生産し、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」や韓国サムスン電子の「ギャラクシー」などよりも安いスマホのことだ。メーカーでは「小米科技(シャオミ)」や「聯想」(レノボ)」「華為技術(ファーウェイ)」が知られ、中国のほか東南アジアなどで人気だ。2013年の日本のスマホ普及率は5割を超えたが、米調査会社ニールセンによると、インドネシアやフィリピンの普及率はまだ2割前後で、中国勢が低価格を武器に売行きを伸ばしている。

 <Background>
 スマホ市場の2010年の世界シェアは首位がノキア(フィンランド)、2位がブラックベリー(カナダ)、3位がアップルと欧米勢が上位を独占していたが、11年にサムスンが首位を奪取。サムスンは大規模な投資を続けて首位を守ってきた。しかし、中国勢の攻勢で業績が大幅悪化し、「サムスン・ショック」と波紋を広げた。

1 Q どのくらい売れているの?

 A シャオミの14年7〜9月期の世界販売は1400万台を超えた。米調査会社IDCによると、7〜9月期の世界販売シェアはシャオミが5・2%で3位に浮上し、レノボも5・0%で4位。12年は上位5社に中国勢が1社も入っていなかったから急速に成長している。IDCは6位以下を公表していないが、ファーウェイのシェアはレノボをやや下回る程度とみられる。
 中国勢の攻勢で、首位のサムスンや2位のアップルはシェアが大きく低下した。中国勢3者合計のシェアはアップル(11・7%)を凌ぐとみられる。サムスンのシェアは2割台に落ち込み、14年7〜9月期決算で本業の儲けを示す営業利益が前年同期から6割も減った

 Q そんなに安いの?

 A アイフォーンの最新機種「アイフォーン6」の日本での価格は7万5800円(16ギガバイト)だが、シャオミのスマホは最新機種でも2000元(約3万8000円)、レノボやファーウェイは3000元(約5万7000円)程度。中国では海外大手メーカーの半額程度で売られている製品も多くある

 Q 性能は大丈夫?

 A 専門家などによると、アイフォーンなど海外大手の製品と比べた場合、容量の大きい動画を再生したり、ゲームを操作したりする時などの速度は劣る。しかし通話の音声やカメラの質など基本的な性能はほぼ同じだ。メールやインターネットも、通信回線に問題がないかぎり、支障はない。デザインなどもひけをたらない

 Q なぜ安くできるのか?

 A 中国には生産を低価格で請け負う業者がひしめいているから、スマホメーカーが自前の工場を持ち必要がなく、コストが安く済むからだ。中国はもともと人件費が安く、海外メーカーからの注文でパソコンなどの組み立てを低価格で請け負う業者が以前からたくさんあった。そうした業者がスマホも請け負っている。スマホの基本的な性能を左右する半導体などの部品も海外メーカーに納入してきたため、一定の技術力を備えている。
 パソコンや薄型テレビは中国勢の参入で対価格化が進み、スマホでも同じ現象が起きている。海外メーカーも中国に生産を発注しているが、動画などで高い性能を持たせるため、価格も高くなる

 Q 日本企業にも脅威だが

 A ソニーが中国勢に押されてスマホ事業で巨額の赤字に陥った。一方、中国勢にスマホ部品を販売しているメーカーには追い風だ。液晶パネルの不振で経営が悪化したシャープはパネル生産が持ち直している。ソニーもスマホ用カメラは好調だ

 Q 日本でも普及する?

 A 利用料金の安い格安スマホを展開するイオンやビックカメラは中国の低価格カメラを使っている。大手の携帯電話会社から回線を借りて通信料金を安く抑えるとともに中国のスマホが欠かせないようだ。一方、性能重視の大手携帯会社は導入に慎重だ

 Q 勢力図が変わるだろうか?

 A 中国勢がさらに販売を伸ばせば、従来の「サムスン・アップル2強体制」を脅かす可能性もある。ただ、価格がもっと安いインドなどのメーカーも参入しており、中国勢がこのまま勢いを増すとは限らない。

|

« 人間の万能細胞を精子や卵子の始原生殖細胞に | トップページ | 「出生率1.8」叶うのか »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中国製スマホ 好調な訳は?:

« 人間の万能細胞を精子や卵子の始原生殖細胞に | トップページ | 「出生率1.8」叶うのか »