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2014年12月 6日 (土)

「携帯使用 制限したら?」

 毎日新聞(12/5)“国学院大学の携帯電話調査”から、 

 若者の活字離れが進んだ原因の一つが、携帯電話やスマートフォンの普及だ。中には、授業中に眺めたり、画面に夢中になって、人とぶつかったり転倒したりするトラブルも発生している。そうした現状を受け、国学院大学(東京都渋谷区)の学内広報紙・学報「K:DNA」秋号が、「携帯電話の使用を制限したらどうなる?」という特集記事を組んだ。いまや体の一部のようになった学生の携帯・スマホ事情を、学報記事から探った。

 記事は、同大のアドバイザーが、学生の携帯電話(スマートフォンを含む)の使用を制限したときの状況を調査し、まとめた。学生アドバイザーは、「国学院大学の魅力を在校生の視点から多くの人に伝える学生チーム」という理念で、広報課や入学課で活動している学生ヅタッフのこと。 

 携帯電話の使用制限調査は、平日2日間と休日2日間の計4日間で行なわれ、特集斑の3人を含む学生アドバイザーの26人と大学職員13人の計39人が参加した。

 使用制限の内容は、三つのグループに分かれ、
 ☻第1グループは、LINE(ライン)・電話・電子メール・その他SNSなど「コミュニケーション関係の機能の使用禁止」。
 ☻第2グループは、ゲーム・インターネットなどの「娯楽や情報関係の機能の使用禁止」。
 ☻第3グループは、「電話・メール以外の機能の使用禁止」(アラーム機能含む)。
 携帯電話の機能のうち、使用頻度が多いものを制限するグループへそれぞれ割り振られた。

 発案者は「家に携帯電話を忘れたまま出かけてしまい、一日使うことが出来なくて困った。もし携帯を使えなくなったらどうなるかと考え、企画にできたら面白いのではないかと思いついた」という。

 調査前は「あって当たり前のものが使えないと困る」「どうやって連絡をとればいいんだろう」という意見が出たという。一方で、「実際に制限して踏査をすることはほとんどないから面白いのではないか」という意見もあり、特集を組むことが決まった。特集斑の3人は、携帯電話を使用できないのは不便だろうし、対象者がルールを守れずに途中で使用してしまうのではないか、と思っていたという。第1グループに参加した1人は、調査する前に「かなりの頻度でLINEなどのSNSを利用しているから、連絡が取れないのは困るだろう、と予想していた」と話した。

 調査が始まると、ちょっとした空き時間に携帯電話を使用できないために、手持ち無沙汰になってしまったという人や、通学時間などのある程度まとまった時間は、本を読んだり勉強をしたりと代わりになるものを探した人が多くいた。

 第3グループ1人のは、ちょうど調査対象日に友人と会う約束があり、LINEでの連絡が制限されているため、「電話をかけたが、なかなか出てくれなくて待ち合わせが大変だった」と教えてくれた。

 ゲームをよくするという1人は第2グループに割り振られた。ゲームの使用が禁止ということで、夕方にはなくなる充電が夜まで持つようになった。また暇な時間は周りを見ることが増え、「今まで気にしていなかった雲の形など、日常の細かいことまで見えてくるようになった」という。因みに学生アドバイザー同士での連絡は、スタッフルームのホワイトボードを掲示板にして連絡を取っていたそうだ。アナログな伝言板も意外と便利なことが分かり、調査後も利用しているという。

 特集斑の3人が、調査をまとめる際に気づいたことがある。コミュニケーション関係の機能をよく使う人と、ゲーム関係の機能をよく使う人の二つに分かれたが、よく使う機能を制限したからといって、もう一つの機能の使用率が高くなるわけではないという。「普段の習慣でそれぞれの機能をいつも通りにしか使わないためだろう」と予測する。他にもいつもの癖で、使用禁止の機能をうっかり開いてしまったという人も多かったようだ。

 第3グループからはアラーム機能や乗り換え案内が使えないことが不便だったという意見が出て、携帯電話の使用調査と照らし合わせてみると、全員がアラーム機能を使用していた。また、普段はLINEの無料通話機能で済ましている電話を、通常の有料電話を使用したことで、通話料金が高くなったという人もいた。

 今まで無駄に携帯を開いていたことに気づいたという感想もあり、調査によって、改めて自信の携帯の使い方を考えるきっかけにもなったようだ。

 “キャンパる”(毎日新聞キャンパる編集部公式サイト)
 <国学院大学の携帯電話調査を受けて、キャンパる独自の意識調査>
 ●「携帯電話は何を使用しているか」の質問に対し、回答した大学生約80人のうち、旧来型の携帯電話はわずか1人。それ以外はスマートフォン(スマホ)だった。実際の「使用制限」を想定して。「もしも携帯電話(スマホ)の使用が制限されたらどうなるか」を想像してもらった。

 「想像がつかない。空気が亡くなったら?と聞かれている感じ」(首都大学東京4年・男)。「禁断症状で手が震えると思う」(国学院2年・女)。物心ついた時には携帯電話が傍にあった世代。その後普及したスマホの使用機能は、通話よりLINE(ライン)を含むSNSが群を抜いて上位。中でも連絡が取れなくなることを心配する人が大半だった。特に1人暮しの学生にとっては「生存確認が取れなくなる」(成蹊4年・女)ために、重大な問題のようだ。

 若者はスマホなしには生きられないのだろうか。しかし、「なかったらなかったで大丈夫」(麻布2年・女)という声も半数近く寄せられた。「LINEは実際の会話より文字を打ち込む時間がかかるし、話が続いて終わらせにくいので時間の無駄」(東京2年・女)。だらだら続くLINEに「時間どろぼう」(日本4年・女)という表現も。

 使用制限がある方が「友だちと会う時間を大切にできる」(一橋2年・女)「逆に生き生きしそう」(芝浦工大2年・男)。「幸せになると思う」(慶応2年・女)という人までいる。携帯に対しマイナス評価を持っている学生は意外に多く、短所も認識しながらも、欠かすことが出来ないという矛盾を感じているのではないか。
 
 ●また電車内のマナーについて「お年寄りに席を譲るどころか、スマホに気を取られて気がつかない人」(城西国際大4年・女)や「電車内のコンセントを利用してまで充電している人」(日本4年・男)を見ると、多くの学生が悲しくなると」指摘。「幼児にスマホのアプリを与えて遊ばせる親もどうかと思う」(東洋4年・女)と学生から大人へ一石を投じる意見もあった。

 ●携帯でのトラブルについても聞いたところ、回答者の1割以上がトラブルに遭っていた。多かったのはSNSアカウント(個人を特定する情報)の「のっとり」(同志社2年・女)。便利アプリを装って個人情報を盗む悪質アプリとその被害が急増しているそうだ。不審なアプリが自分のスマホにないか確認した方がいいかもしれない。他にも「眼精疲労による倦怠感」(早稲田3年・男)といった身体面の悩みは、若者の現代病の一つになっている。

 最後に、半数近くが「なかったらなかったで大丈夫」と答えた一方、回答者の4分の1が「スマホ依存」であることを自覚しているという。現代は自分の脳に加え、スマホという「もう一つの脳」を持ち歩く時代。

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