携帯電話 他社乗り換え簡単に
毎日新聞(11/23)から、
総務省の情報通信審議会の特別部会が今年2月から携帯電話など通信サービスのあり方を検討し、10月にS I Mロック解除義務化や初期契約解除ルールの導入などを盛り込んだ報告書をまとめた。報告書ではNTTドコモに固定通信との「セット割引」を可能にする見直し策も盛り込まれた。
来年から、携帯電話の契約が変わり、使い慣れた端末のままで他社に乗り換えやすくなる。また、契約直後に不満などがあった場合の解約もしやすくなる。最近は、大手から通信設備を借りて安くサービスを提供する格安スマホ業者が出てきている。総務省では乗り換えや解約のハードルを引き下げることで、2013年末に5%弱だった格安スマホ業者のシェアを16年中に10%まで高めることを目指している。大手だけでなく格安スマホ業者を含めた競争によって、高いと言われる通信料金の引き下げにつなげたい考えだ
Q 現在の契約はどうなっているの?
A 端末の購入と通信サービスの契約がセットになっているケースがほとんどだ。NTTドコモなど大手携帯電話会社は、通信サービスを2年間契約することを条件に、毎月の通信料を割り引いている。例えば米アップル「iPhone(アイフォーン)6」は本当は7万〜10万円程度するが、2年契約をしていれば分割払いができるうえ、通信量の割引分を端末代に置き換えることで、機種によっては「実質ゼロ円」になることもある。その代わりに2年以内に解約する場合には解約料が必要になる。ただ、なかには「家の通信状況が悪いから他社に乗り換えたい」とか「格安スマホ事業者の安い料金プランにしたい」とか、2年を待たずに乗り換えたいという人もいる。こうした変更が簡単にはできないのだ
Q なんで難しいの?
A 私たちが使っているスマートフォンや携帯電話は、電話番号などの情報を記録した I Cカード「SIMカード」を挿すことで使えるようになる。
大手携帯電話会社が販売する端末にはS I Mカードがあらかじめ挿してあり、各社は自社のS I Mカードを入れた場合にだけ動くように端末を設定(ロック)している。他社に乗り換える場合はロックを解除する必要があるが、解除できない端末があったり、できても3000円の手数料が必要だったりする。そこで、総務省は来年5月以降に発売する端末から、原則無料でのS I Mロック解除を義務づける方針を決めた
Q 解約ルールはどうなる?
A 通信サービスは実際に契約して使ってみないと通信エリアや通信速度などを確認できないという特徴があるが、現状は契約直後の解約でも解約料9500円がかかる。このため、総務省は来年度中にも一定期間なら無料で解約できる仕組み「初期契約解約ルール」を設けるよう各社に求めている。買った端末の代金を支払う必要はあるが、端末はそのままで他社のサービスを使うことができるようになり、利用者の利便性が高まりそうだ
Q 業界の競争は進むのだろうか
A 大手3社の料金プランやサービスはほぼ横並び状態だ。乗り換えや解約をしやすくすることで、自分の使い方にあったプランを格安スマホ業者からも選べるようになるなど一定の競争が生まれるだろう。しかし、ソフトバンクの孫社長は「アップルストアがS I Mロックをかけていない高いアイフォーンを売っているが、ほとんど売れていない」と指摘している。2年契約と豊富な資金力をバックに実質的に端末代を割り引いて販売する大手3社にとって大きな影響はないとの見方だ
Q 2年契約はなくならないということ?
A そうなんだ。S I Mロック解除ができるようになっても、端末代金の支払いを重荷に感じる人もいるだろう。何より割引のためのお金は利用者が支払う料金でまかなわれており、同じ端末を長く使っている利用者ほど不公平感が増す構造が問題だ。顧客獲得のためのキャッシュバック(現金還元)も規制はないままだ。ただ、乗り換えが容易になることで、これまでのような2年契約のあり方は変わる可能性もある。
| 固定リンク
最近のコメント