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2014年11月28日 (金)

インフルエンザ早くも流行期

 毎日新聞(11/28)から、

《記憶を辿っても、インフルエンザどころか小児期を別にして風邪(といえば、甘い水薬が飲みたくて、大袈裟に風邪と偽って、父の勤めていた会社の医局で、調薬してくれる葡萄酒色の飲み薬を飲んだ味が忘れられない)すら惹いた記憶がない私は、ワクチンや予防対策を一度もしたことがない。どうしてこうも毎年毎年インフルエンザだ風邪だと話題になるのか不思議なことに思えるほどだ。マスクというものも、サラリーマンを終えたころ、歯科医で上顎の前歯を抜歯した帰りに医院でくれたのを付けたのが唯一の経験だった。子どもの頃山を走り回って漆にかぶれたことはあるが、杉花粉が飛ぶ季節、雄花の実を幾つか口に含み、細い竹で作った杉の実鉄砲に詰めて友達同士撃ち合い、杉林の中で遊んでいても,花粉症など話しにも出ていなかったし、マスクなど不要だった。》

【閑話休題】
 東京都や千葉、埼玉各県や横浜市などが28日までに、相次いでインフルエンザの流行期に入ったと発表した。全国的に例年より1カ月ほど早い12月中旬にピークを迎える可能性がある。国立感染症研究所によると、今年検出されたウイルスの殆どが「A型香港」。高齢者や子どもが重症化することが多い。専門家は予防対策の徹底呼びかけている。

 定点医療機関から1週間に報告されたインフルエンザ患者数が、1機関当り1人を超えると、流行が始まったと考えられる。今月17〜23日の報告数は ▽横浜市2・16人 ▽東京都1・92人 ▽埼玉県1・83人 ▽千葉県1・63人 ⎯⎯などだ。東京都によると今季調べた10人全員からA香港型のウイルスが検出された。

 インフルエンザに詳しい菅谷憲夫けいゆう病院感染制御室部長によると、A香港型に感染すると他の型に比べ、高齢者は重症化しやすく、肺炎を併発することがある。子どもは、神経や意識障害を伴う脳症を惹き起こしやすいという。また、米国の調査で、ワクチン接種で発病を抑えられるのは、7歳以下は約6割、成人は4〜5割、65歳以上は1割を切る ― とのデータがあるという。

 菅谷部長は「高齢者や思い持病のある人は、身の回りにインフルエンザ患者が出たら、タミフルなど抗ウイルス薬の予防投与をした方が良い」と話す。

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2014年11月26日 (水)

フグの稚魚混入のシラスの釜揚げ

 毎日新聞(11/26)“なるほドリ”から、

      久しぶりの雨にしおれる山茶花(11/25)
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《寡聞にして自分の目、耳には届いていなかったものだから、知らずに好物のチリメンジャコやシラスの釜揚げを、食卓に並べば都度食べていたのだが、昨日も購入したものがある。今日まで何もなかったので、それほど神経質になることもない、これも食するつもりだ。》

 チリメンジャコや釜揚げシラスなどにフグの稚魚が混じっていて回収されるニュースがあったらしい。今年8月ごろから、千葉、神奈川、岡山、島根、大分などのスーパー、生協の店舗などで、主に体長約1〜2㌢のフグの稚魚が、イワシの稚魚「シラス」や、豆アジなどに混じって見つかり、商品が回収されている。一旦、回収のニュースが伝わると消費者が気づくようになり、回収が相次いでいるようだ。

 Q 食べても大丈夫?

 A 大きく育ったフグが肝臓や卵などに致死性の神経毒(テトロドトキシン)を持っていることは誰でも知っていることだ。もともと卵に毒があるので、卵から生まれたばかりの稚魚にも、ごく微量の毒があると考えられる。フグの毒性研究で知られる長島裕二・東京海洋大教授によると、大人が死ぬ最少の致死量は推定で約2mgだそうだ。フグの稚魚を調べた正確な調査はないものの、稚魚に含まれる毒のは検出できないほど少なく、「まず心配ない」そうだ

 Q それなら回収しなくてもよいのでは?

 A 厚生労働省監視安全課に聞くと、フグの稚魚の混入自体は昔からあったが、死者も含め食中毒が起きた例はないという。それでもフグは有害な物質を含むため、有害な物の販売禁止を定めた食品衛生法6条違反と解釈でき、厚労省は「回収は妥当」との判断だ

 Q 水揚げしてから店頭に並ぶまでの間にフグを取り除くのは大変?

 A 水産庁によると、浜の加工産地では選別装置でしっかり除去しているという。東京都内の大手流通業者が調べたところ、4㌔のシラスに多くても1匹程度の混入だった。約60〜80㌘のシラス丼を食べても、まず見つからないだろう

 Q シラスに混じる小さな生き物を探すことに熱心な人もいるそうだ

 A シラスをとる漁網の中にはサメ、タコ、エビ、タツノオトシゴ、ハリセンボンなどの稚魚がいたりして、チリメンジャコに加工後にも見つかることがある。2004年に「きしわだ自然資料館」(大阪府岸和田市)がこれらを「チリメンモンスター」と呼んで有名になった。食べないことを条件に無選別のチリメンジャコを販売している業者もいる。面白い世界もあるものだ。

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2014年11月25日 (火)

シクラメン

 毎日新聞(11/23)“花のある風景”あべ菜穂子 から、《》内は私見。

 灰色の雲に覆われ、すっかり冬景色となったロンドンの街で、健気に我ここにあり、とひとり小さな声で主張している花がある。
 シクラメンである。日本でも人気のある鉢植えシクラメンとは違う、野生のシクラメン。葉を落とした木の根本や冬枯れの花壇の片隅で、背丈15㌢ほどのからだにピンクやうす紫の花びらをまとい、静かにたたずむ。そこだけ新しいいのちが宿ったかのように。
 原産地は南欧。晩秋から冬を通じて次々と花をつける。耐寒性にすぐれ、積雪にあえば雪を持ち上げて花を咲かせ、氷点下の気温にもびくともしない。しかし、小柄な姿は可憐である。

 古代ギリシャの時代から人々の暮らしとともにあった。根には出産を助ける薬効があり、その効用があまりに高いので、妊婦がまたぐと流産すると信じられた。花を終えたら花茎がゼンマイのようにくるくると縮まるため、ギリシャ語で「キクロス」(“輪”の意味)と呼ばれたがのがシクラメンの名の語源。イギリスには16世紀末ごろ伝わったとみられ、花の薬効と迷信がギリシャからそのまま渡来した。

《もう、何年になるか随分と昔、正月用に紅白の2鉢を購入した。買ったときは大輪の花をつけて見事な飾りになったが、それから年を経るごとに花は小振りになり、赤い花をつけていた鉢は枯れてしまった。それからまた、3、4年が経つ。年を経るごとに花は小さく背も低くなったが、毎年咲く花の数は逆に増え、冬の淋しい棚に真っ白な彩りを添えてくれる。ロンドンの便りにもあるように寒さに強いばかりか暑さにも強く、外に出して放置しておいても枯れたと見えながら、再び健気に息を吹き返す。今年も葉隠れにたくさんの小さな蕾を準備し、開花を待っている。(写真)》

   今年も小さな蕾を準備して、開花を待っている
Dscf0176_5Dscf0177_4 日本で出回る大輪の観賞用シクラメンは、ペルシャ産の原種が20世紀はじめにヨーロッパで品種改良されて生まれた。こちらは冬に家庭の窓辺や居間を優雅に飾るが、戸外では生き延びることのできない「箱入り」シクラメンである。

 本来逞しい生命力を備えたシクラメンは、人間の手が加わって美しいがひ弱な花に変身したのである。(ロンドン在住ジャーナリスト)

《我が家のものは、正月用として購入、上に拠ればペルシャ産のはずだが、特別の管理もしないままに戸外に放置しておいたが、翌年の枯れ木に花のような発芽に驚き、それ以来、戸外で管理してきたところ1株になったが命長らえて毎年暮れから早春までの長期間、花を咲かせてくれている。》

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2014年11月24日 (月)

6歳未満児脳死判定、2例目の臓器提供

 毎日新聞(11/24)から、

 日本臓器移植ネットワークは23日、順天堂大付属順天堂医院(東京都)に入院していた6歳未満の女児が脳死と判定され、家族の同意で臓器が提供されると発表した。2010年施行の改正臓器移植法で認められた15歳未満からの脳死臓器提供は6例目で、脳死判定基準がより厳しい6歳未満では12年6月以来2例目。24日午前に臓器摘出手術が同病院で行なわれる。

〖小児の脳死臓器提供〗
 脳死は、心臓は動いているが、脳の全機能が失われた状態。瞳孔の拡大や自発呼吸の停止など五つの要件を満たす脳死とされ、臓器提供が可能となる。15歳未満の臓器提供は、年齢請願が撤廃された2010年7月の臓器移植法改正により可能になった。脳死判定前には虐待の疑いがないかの確認が必要。また、6歳未満は脳が受けたダメージの回復力が強いため、脳死判定基準の運用がより厳格に定められている。

 女児の心臓は大阪大病院で10歳未満の男児、肺は京都大病院で10歳未満の男児、肝臓は同病院で10代女性、腎臓は東邦大医療センター大森病院(東京都)で50代男性、もう一つの腎臓は東京女子医科大病院で40代女性に移植される予定。腎臓は小児からの提供でも大人の体内で機能するため、移植患者の体格に関する基準がない。膵臓と小腸は医学的理由で断念した。

 移植ネットによると、女児は病気が原因で重い脳障害を負い、意識不明になった。「臓器提供ができるのか聞きたい」との両親からの要望で移植コーディネーターらが病院に派遣され、4時間に亘って制度などを説明。21日午後3時過ぎ、家族6人が総意として臓器提供を承諾した。

 臓器移植法は、虐待が確認された18歳未満の臓器提供を禁じ、さらに6歳未満の場合は2回の脳死判定の間に24時間以上(通常は6時間以上)空けるよう求めている。

 病院は児童相談所などに照会して虐待がないことを確認。院内の倫理委員会の了承を得て21日午後と23日午前に脳死判定を実施し、同日正午に脳死を確認した。

 両親は移植ネットを通じ「娘は心の優しい子でした。病気に苦しむお子さんを助けることに賛同してくれると信じています。短い人生の最後に他のお子さんの命を救うことになれば、残された私どもにとっても大きな慰めになります」との談話を発表した。

 2010年の改正臓器移植法施行後に可能となった15歳未満の小児からの臓器提供。今回実施されても6例目と限定的だ。特に、6歳未満の小児に限ると、1例しか行なわれていない。年間約300人の小児が心移植を受けている米国とは大きな差がある。

 日本で小児からの臓器提供が広がらない背景について、子どもを亡くした親の精神的な喪失感が大きいとする移植関係者の意見がある。また、法律の基づいて虐待の有無を調べられるため、「その負担感も影響しているのではないか」と指摘する声もある。

 そもそも、小児からの臓器提供が求められるのは、ドナー(臓器提供者)から心停止後の提供でも対応可能な腎臓と違い、心臓が脳死したドナーから提供を受けるしかないからだ。さらに、肝臓や肺のように分割できないため、体格が近いほぼ同じ年齢の人からの提供に限られてしまう。

 今も、臓器を求めて渡米する小児は多く、その家族の負担は1億円規模と言われる。

 記者会見した臓器移植ネットワークは「提供してくれた家族の重い決断を、一つ一つ積み重ねる必要がある」と語った。

《米国を羨ましがっても仕方ない。日米で、親が子を思う心に差があるとは思わないが、生命観や倫理、宗教観などから来る違いは大きいだろう。情けや同情にすがってでも、渡米して手術ができ、1億円が調達できる人もいようが、多くの子はできないだろう。しかし、それらドナーに巡り会えなかった家族や子の経過や生活を知らせるのも、メディアの仕事ではないのだろうか。》

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2014年11月23日 (日)

携帯電話 他社乗り換え簡単に

 毎日新聞(11/23)から、

 総務省の情報通信審議会の特別部会が今年2月から携帯電話など通信サービスのあり方を検討し、10月にS I Mロック解除義務化や初期契約解除ルールの導入などを盛り込んだ報告書をまとめた。報告書ではNTTドコモに固定通信との「セット割引」を可能にする見直し策も盛り込まれた。

 来年から、携帯電話の契約が変わり、使い慣れた端末のままで他社に乗り換えやすくなる。また、契約直後に不満などがあった場合の解約もしやすくなる。最近は、大手から通信設備を借りて安くサービスを提供する格安スマホ業者が出てきている。総務省では乗り換えや解約のハードルを引き下げることで、2013年末に5%弱だった格安スマホ業者のシェアを16年中に10%まで高めることを目指している。大手だけでなく格安スマホ業者を含めた競争によって、高いと言われる通信料金の引き下げにつなげたい考えだ

 Q 現在の契約はどうなっているの?

 A 端末の購入と通信サービスの契約がセットになっているケースがほとんどだ。NTTドコモなど大手携帯電話会社は、通信サービスを2年間契約することを条件に、毎月の通信料を割り引いている。例えば米アップル「iPhone(アイフォーン)6」は本当は7万〜10万円程度するが、2年契約をしていれば分割払いができるうえ、通信量の割引分を端末代に置き換えることで、機種によっては「実質ゼロ円」になることもある。その代わりに2年以内に解約する場合には解約料が必要になる。ただ、なかには「家の通信状況が悪いから他社に乗り換えたい」とか「格安スマホ事業者の安い料金プランにしたい」とか、2年を待たずに乗り換えたいという人もいる。こうした変更が簡単にはできないのだ

 Q なんで難しいの?

 A 私たちが使っているスマートフォンや携帯電話は、電話番号などの情報を記録した I Cカード「SIMカード」を挿すことで使えるようになる。
Sim1大手携帯電話会社が販売する端末にはS I Mカードがあらかじめ挿してあり、各社は自社のS I Mカードを入れた場合にだけ動くように端末を設定(ロック)している。他社に乗り換える場合はロックを解除する必要があるが、解除できない端末があったり、できても3000円の手数料が必要だったりする。そこで、総務省は来年5月以降に発売する端末から、原則無料でのS I Mロック解除を義務づける方針を決めた

 Q 解約ルールはどうなる?

 A 通信サービスは実際に契約して使ってみないと通信エリアや通信速度などを確認できないという特徴があるが、現状は契約直後の解約でも解約料9500円がかかる。このため、総務省は来年度中にも一定期間なら無料で解約できる仕組み「初期契約解約ルール」を設けるよう各社に求めている。買った端末の代金を支払う必要はあるが、端末はそのままで他社のサービスを使うことができるようになり、利用者の利便性が高まりそうだ

 Q 業界の競争は進むのだろうか

 A 大手3社の料金プランやサービスはほぼ横並び状態だ。乗り換えや解約をしやすくすることで、自分の使い方にあったプランを格安スマホ業者からも選べるようになるなど一定の競争が生まれるだろう。しかし、ソフトバンクの孫社長は「アップルストアがS I Mロックをかけていない高いアイフォーンを売っているが、ほとんど売れていない」と指摘している。2年契約と豊富な資金力をバックに実質的に端末代を割り引いて販売する大手3社にとって大きな影響はないとの見方だ

 Q 2年契約はなくならないということ?

 A そうなんだ。S I Mロック解除ができるようになっても、端末代金の支払いを重荷に感じる人もいるだろう。何より割引のためのお金は利用者が支払う料金でまかなわれており、同じ端末を長く使っている利用者ほど不公平感が増す構造が問題だ。顧客獲得のためのキャッシュバック(現金還元)も規制はないままだ。ただ、乗り換えが容易になることで、これまでのような2年契約のあり方は変わる可能性もある。

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2014年11月22日 (土)

子殺し続発

 毎日新聞(11/22)作家・柳田邦男の“深呼吸”から、《》内は私見。

 今朝も新聞の社会面を開くや、脳内に氷柱を突っ込まれたかのような思考停止に陥った。事件報道を読む時、私は事件の現場を映像的にイメージする習慣が身についている。何事につけ、作家として現場の状況を文書で表現するには、そういう手順を踏まざるを得ない。それがいつの間にか文章に表現する必要がなくても、脳の働きのいわばくせになってしまったのだ。

 3歳の難病の長女に食事を与えていなかったばかりか、真冬に薄着ではだしのまま閉め出したり、ベランダの手すりに縛りつけたりして放置していたという。体重は3歳児平均の半分にまで痩せ細り、司法解剖したところ、腸内にあったのは、アルミ箔やロウ、タマネギの皮だったという。大阪府茨木市で殺人容疑で逮捕された父親は22歳、母親は19歳。

《子どもの年齢を両親の年齢から引けば分かるように、二人が生んだ時の年齢は、どちらもまだ、少年少女だ。今の世の中、子どもが子どもを産むことに何の違和感も持たない世相になっているのだ。早熟の子ども同士がどうすれば子どもができるのかだけは知っていても、妊娠や避妊の知識は学ばず、その後の子どもを育てることについては無知無能そのもだ。》

 こうした記事の文字は、私の脳内で直ちに映像化される。虐待されているのに、誰かに助けを求めることも知らずに、家の前で「ママ!」と泣き叫んでいる衰弱し切った幼い子の姿。空腹のあまり、食べられる物と食べられない物の区別もできずに、台所を探したのだろうか、タマネギの皮やアルミ箔を口に入れてのみ込む姿‥‥‥。

 私はたまらなくなって、脳内の映像を消そうとするが、テレビの画面をリモコンで切りかえるようなわけにはいかない。

 そして、紙面のすぐ横には新潟県燕市でやはり3歳の長女を橋から突き落とした24歳の母親が逮捕された記事が並んでいる。自分を大事にしてくれると信じ切っている母親に抱き上げられ、橋の欄干から突き落とされ、暗い空間を落ちていく3歳児の姿が、脳内に広がる。一瞬、その子の脳裏に走ったに違いない恐怖心まで伝わってくる。こんなことをどうしてできるのか。

《逮捕された母親の供述が夕刊にある。殺人容疑で逮捕された同市吉田堤町、事務員、佐藤あゆみ容疑者(24)が「子育てに悩んでいた」と供述していることが21日、県警への取材で分かった。また、市によると、佐藤容疑者から9月に「娘の育児疲れでイライラする」と相談があった。「夜泣きされると、うざくなって放置してしまう」と電話相談もしていた。佐藤容疑者は2月に元夫の暴力が原因で離婚し、死亡した長女心優ちゃんと交際相手の男性の3人暮らし。県警によると、心優ちゃんの死因は水死と判明した。》
《元であろうと現であろうと、夫の暴力を言えば女は同情される。それほど男に苦労していながら早々と次の男と同棲だ。40年以上前の、私の子育てをブログで書いたばかりだが、その時の長男のぐずりや夜泣きは、昼夜を問わず、妻が懐に抱いたり背中に背負って私の睡眠の邪魔にならないように散歩に連れ出してくれていた。そのような知恵もなく、わが子を邪魔者扱いだ。産んではならないような親の子に生まれた子こそ哀れというべきだ。》

 実は、この夏ごろから、この国の子どもの悲惨さを巡って次々に報道されるデータに<この国は変だ><この国はいつの間にこんなことになってしまったのか>という暗澹たる思いを引きずっていた。

 ▼全国の児童虐待相談件数が2013年度は7万3765件に達し、過去最高となる。これは厚生労働省が全国の児童相談所で確認したものをまとめた数字で、表に出ない虐待もかなりあるとみられる。

 ▼虐待によって死亡した18歳未満の子どもは、厚労省調査で03年7月から13年3月までの約10年間で546人に上り、このうち44%の240人が1歳未満の赤ちゃんだった。

 生後1カ月未満の虐待死の加害者は、91%まで母親だった。死因は口を塞ぐなどによる窒息が39・6%、出産後の放置が14・4%、絞殺が7・2%などとなっていた。

 ▼一方、警察庁の統計によると、今年上半期に警察が虐待の疑いで児童相談所に通告したのは、1万3037人で、統計を取り始めた11年以降で最高。虐待の形態をみると、心理的虐待が約6割を占める。そのうち、両親間などのDV(ドメスティックバイオレンス)が面前で行なわれることで、恐怖や衝撃を受ける例が7割を占めている。以下、身体的虐待、育児怠慢・拒否、性的虐待などの順になっている。(註・直接虐待を受けなくても、面前で両親間のDVや不和を目撃することは、子どもの人格形成をゆがめる要因となる)

 ▼路上や商業施設のトイレなどに放棄された子どもは、今年3月までの5年間に120人もいた。2歳以下が7割を占める(毎日新聞が全国の自治体に尋ねて調査)。

 高度成長期のころは、こうした統計はないが、半世紀に亘って社会問題をみてきた私の印象では、右の統計にみられるような子どもたちの悲惨な状況は、やはり1990年代のバブル経済崩壊後に広がった時代の全般的逼塞(ひっそく)状態によって広がった傾向と見るべきではないだろうかと思う。

 乳幼児期から少年少女期にかけての精神保健の専門家たちが、重要な課題としてとらえているのは、人格形成のゆがみの世代間伝達という問題だ。被虐待児や心のゆがんだ親の下で育った子はやがて、暴力をふるうなど反社会的行動をしたり、心の病気になったりする傾向があるのだ。

 どうすればよいのか。親を処罰するだけでは解決しない。社会全体の問題として、個別の次元では、被虐待児の早期発見と保護の取組みを、制度的にも人的にも、従来の手ぬるさから脱却する格段の強化策を打ち出すこと。そして、社会全体の次元では、子育て世帯の経済的な貧困を支援して、世界的に恥ずべきレベルにあるこの国の「子どもの貧困率」を大幅に下げる具体的施策を打ち出すとともに、子どもは社会で育てるものという理念を国家目標に掲げ、地域ぐるみの新しい取組みのあり方をこの国の文化として確立すべきこと。こうしたアプローチが求められる段階に来ている。

《とは言いながら、子どもを育てるのは本質的に親でなければならないことを、親自身が自覚することを忘れている事が最大の問題だ。》

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2014年11月20日 (木)

高速道路の死亡事故

 毎日新聞(11/20)から、

 高速道路での死亡事故は「高速道に入ってから100キロ未満(約1時間以内)」に発生する傾向が強いことが警察庁の分析で分かった。一般道を含めた事故全体が減少傾向にある中で高速道の死亡事故は昨年まで4年連続で増えている。同庁はドライバーの油断が要因とみて、長時間運転でない場合でもパーキングエリア(PA)で早めの休憩を取ることなどを呼びかける。

1高速道での死亡事故は2009年までは減少傾向にあったが同年に162件(死者179人)に上った。料金割引制度やインターネット通販の普及などに伴う交通量の増加が背景にあるとみられる。


《事故の分析内容の詳しいことが分からないが、100キロ未満というだけで、比較的直線が続く道路なのか、上り下りの勾配のある道路なのか、昼夜のいずれの時間帯に多いのか平均的に分散しているのか、渋滞の状況はどの程度の時に多いのか少ないのか、シーズンによる違いはどの程度あるのか、帰郷、帰省シーズンに集中するのか、天候による影響はどうなのか、それらの詳細が分析されていないのだろうか。確かに一般道と違ってすれ違う対向車はなく、横から飛び出す車はいないことが、油断に結びつく要因としてあるのは分かるが、それらの複合要因と重ね合わせることも重要ではないのだろうか。》

 警察庁が13年までの過去5年間にわたる高速道での死亡事故を走行距離別に分析したところ、「100キロ未満」が最多の約50%を占めた。続いて、「100キロ以上200キロ未満」約18% ▽「200キロ以上300キロ未満」約9% ⎯⎯ などで、走行距離が短いほど事故が多く、子の傾向は乗用車もトラックも同じだった。事故形態は追突事故が最多で13年は全体の約3割を占めた。

 高速道利用者の平均走行距離は約45キロなので、統計上短距離の事故が多くなりやすい側面はあるが、走行距離が長いほど運転者の疲れは増す。担当者は「想定よりも短距離の事故が多く意外な結果。高速道に入った直後は緊張していても、交差点や信号がないため、短時間で油断が生じる可能性がある」とみている。

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2014年11月18日 (火)

夫の4人に1人が、休日に2時間以上家事を

 毎日新聞(11/18)から、

《実にのどかな風景を想像する。我々世代から思えば、休日に家事仕事など想像もできないことだ。毎月の100時間残業など当たり前、深夜残業に、深夜帰宅なども当たり前、休日はその疲れを癒すためにだけ存在していた。それが昭和一桁世代の働く姿だった。国民休日の数も今よりも少なく、日曜出勤はあっても土曜の休日化はない。過去のブログにも書いたが、労働者の権利、有給休暇を消化するなど考えられもしなかった。私の有給休暇の残日数を合計すれば、まるまる2年間分以上の就労日数に振り代わっている。それだけ働いても私の場合は会社勤めの間に残業手当をもらった経験がない。制度が出来た時点では残業手当が支給されない役職になっていた。その間に精々できたことと言えば、節々にあった永年勤続の記念の数日間続く休暇を利用する家族サービスぐらいで、妻子を初めて飛行機に乗せた国内旅行もせめてもの感謝の旅だった。》

《労働日数の違いは驚くほどだ。大企業は土曜日の休日が多くなり、国民の休日は年間9日を皮切りに、12日が1985年まであり、現在は15日にまで増えている。その後、振替休日や大型連休と呼ばれる休日までも増え、さあ取れ、消化しろと言われても、サラリーマンは有給休暇の使い道に困るほどだろう。》

《しかし、家事仕事は何もしなかった訳ではない。里帰りで生まれた長男が戻ってからは、当時では高齢出産(36歳)の妻は、首の座らない赤子の沐浴を怖がり手が出せなかったせいで、日、夜勤の合間を縫って私の仕事になり首がしっかり座るまで続いた。勿論、当時の布おむつを使う排泄の始末も、子どもに触れる喜びは眠気をも吹き飛ばす喜びで、毎回ではないが手伝っていた。妻は休日に寝る私に気を遣って、子どもがぐずればねんねこに包み、散歩に出て私の睡眠に協力してくれた。家族風呂やトイレの掃除(薬丸裕英“やっくん”もそのようだが)は毎回私の担当で80歳を過ぎた今でも続いている。ただ、心残りはある、普通の家庭のような外出してする子どもと一緒の遊びや遊園地巡りなどは子が成長するまで、一切ないが、留守の時間私に代わり、妻は出来るかぎりのことをして、動物園や遊園地など外の空気を味あわせてくれていた。
 一方、現在のサラリーマン諸君、大袈裟に考えることもない、やろうと思えばいつでも出来る家事を、タイトルのような、たまの休日に2時間の家事手伝いなど、女性の社会進出のせいなどというこじつけは不要だし、誰でもできることだろう。》

 夫の4人に1人が、休日に2時間以上家事をする「家事メン」に・・。11月22日の「いい夫婦の日」を前に、時計メーカーの「シチズンホールディングス」(西東京市)が実施したアンケートでこんな様子が浮かび上がった。中でも20代の夫は4割が2時間以上で、担当者は「女性の社会進出がすすみ、若い世代を中心に『男も家事』という意識が高まっているのでは」と分析している。

 調査は今年10月、全国の20〜50代の既婚男女計400人を対象にインターネットで実施した。

 「休日にどのくらい家事をするか」の質問に「2時間以上」と答えた夫は25%。2005年の同じ調査では15%で、この9年で10ポイント増加した。

 50代の夫の「2時間以上」が12%だったのに対し、30代は28%、20代は40%と若いほど割合が高く、家事に積極的な姿勢がみられた。

 結婚指輪の装着率も聞いたところ「ほぼ四六時中つけている」夫は49%と、06年調査の33パーセントから大幅に上昇。妻は39%で、16年の47%からダウンし、男女で逆転した。つけない理由を聞くと、「仕事の際に邪魔になる」「サイズが合わなくなった」などだった。担当者は「若い男性の間で指輪をする人も増えており、夫の装着率アップの背景といえるかもしれない」と話している。

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2014年11月17日 (月)

クロマグロ「絶滅危惧種」に

 毎日新聞(1/17)から、《》内は私見

 国際自然保護連合(IUCN)は17日、絶滅の恐れのある生き物を掲載した最新のレッドリストを公表し、寿司などに使われる太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定した。漁獲禁止などの法的拘束力はないものの、世界最大の消費国である日本は保護策の強化を強化を迫られそうだ。日本人の食と関係が深いカラスフグとアメリカウナギも絶滅危惧種に分類された。今後は太平洋クロマグロがワシントン条約で輸出入の規制対象となる恐れもあり、日本は資源回復に向けて主導的な役割を果たしていくことが求められそうだ。

《1匹1億円などと狂気の沙汰の値のつくクロマグロ。そのため、世界の海を荒し回り、みんなが美味しいと言うから美味しいのだと、まるで味の分からない世代までが武者振りつく。味わうのではなく、高級魚の名と、銭の魅力に魅せられて銭を喰らっているようなのものだ。日本海の新鮮な魚で育った私の舌は、本当に魚類の中で最高に旨いのは『イワシ』だと思っている。マグロ、ふぐなど足元にも及ばない。今回の指定には法的拘束力がないということだが、国際取引の全面禁止など、厳しい拘束力を設けた方がいい。いずれ近代マグロが広く供給されるようになれば、味の違いなど分からない連中が旨い旨いと大いに舌鼓を打つだろう。》

1 IUCNは、これまで太平洋クロマグロを絶滅のそれが小さい「軽度懸念」に分類していたが、再評価の結果、絶滅危惧種の中で3番目にリスクが高い「絶滅危惧2類」に引き上げた。背景として「アジアに集中するすしや刺身のための漁業」を挙げ、未成魚で捕獲されて繁殖の機会が奪われたことによって、過去22年で19〜33%も減ったと推定した。

 水産庁によると、太平洋クロマグロの親魚(4歳以上)の資源量は1961年に推定14万トンあったが、2012年は同2・6万トンに減り、過去最低だった84年の1・9万トンに近づいている。漁獲量の約9割は30キロ未満の未成魚で、日本が6割を占める。レッドリストは絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の対象種を決める判断材料となる。

 ICUNはさらに、高級魚トラフグの代用として国内の専門店などで流通するカラスフグを「乱獲により過去40年で99・99%hジェッタ」として、絶滅リスクが最も高い「絶滅危惧1A類」に指定した。また、6月に初めて絶滅危惧種入りしたニホンウナギの代用として日本に輸入されているアメリカウナギも、ニホンウナギと同じ「絶滅危惧1B類」に分類した。いずれも日本人の食生活や日本向け漁業の影響が大きいと考えられる。

 絶滅危惧種の指定により太平洋クロマグロの価格は上がる可能性もあるが、国内で流通しているのは他にも大西洋クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガがあり、マグロ全体の価格への影響は限定的とみられる。

 水産庁によると、太平洋クロマグロは乱獲などが原因で減少し、2012年の親魚の量は役2・6万トンと、過去最低だった1984年の約1・9万トンの水準に近い。一方、大西洋クロマグロは漁獲を規制した結果、資源が回復傾向にある。

 資源管理では、太平洋クロマグロを扱う「中西部太平洋クロマグロ類委員会」の小委員会が9月、重さ30キロ未満の未成魚の漁獲量を02〜04年平均から半減することで合意した。2015年〜適用され、日本などは資源回復のために本腰を入れる。

 ワシントン条約の会合では10年に大西洋クロマグロの国際取引の全面禁止を提案されたことがある。この時は否決されたが、今後の会合で太平洋クロマグロが同様の提案をされる可能性もあり、日本は関係国と協力して資源回復を急ぐ必要がある。


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2014年11月16日 (日)

人口減で日本どうなる

 毎日新聞(11/15)“なるほドリ”から、

《裏付けも何もなくて政府は6日、数字を操作して帳尻を合わせるためだけの合計特殊出生率1・8を示した。参照の「世論調査」でもあるように、日本の女性は「子どもはいらない」と表明しているが、政府は出生率を1・8にまで上げる心構えだけの作文でなく、女性が「産もう」と思えるような具体的対策を示せるのか。》

 参照 「男女共同参画社会に関する世論調査」2009/02

 政府の経済財政諮問会議の有識者委員会が、人口減少の対策をまとめたというけれど。
 日本の人口は今年10月時点で1億2709万人。2008年の1億2808万人をピークに減り続け、国立社会保障・人口問題研究所は48年には9913万人で1億人を割り込むと推計している。対策として、委員会は、女性の就業率を高め,経済の規模などを示す実質国内総生産(GDP)の成長を50年後も1.5〜2%程度目指すとの内容をまとめた

1 Q なんで人口は減っているのか

 A 生まれる子どもの数が減っているからだ。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は1970年代前半は2を超えていた。が、13年は1・43。若者を中心とした不安定な雇用関係や、保育施設の不足など、さまざまな問題が背景にある

1_2 Q 人口が減ると何が起きるの?

 A 人が住まなくなった集落や空き家が増える。企業にとっても、働く人が少なくなって生産性が低下したり、買う人が少なくなることで売上げが減少したりするかもしれない。個人や企業からの税収が減れば、水道や道路の維持が難しくなったり、医療や介護などの社会保障にも影響が出たりしかねない

2 Q 大都市には関係ないよね

 A そうでもなさそうだ。「日本創成会議・人口減少問題検討分科会」(座長・増田・元総務相)が5月、子どもを産む主な世代にあたる20〜39歳の女性人口の将来的な割合を調べ、全国半数の自治体の「消滅する可能性」を指摘した。人口流入に支えられている東京もいずれ衰退すると推測している

 Q いろいろな対策が必要だ

 A 政府の「まち・ひと・しごと創生本部」は、人口の目標を「2060年1億人程度」として、人口減少と地域経済の縮小の悪循環を断ち切る、若い世代が安心して働き子育てできる環境の実現などの「総合戦略」の骨子案をまとめた。経済財政諮問会議の有識者委員会の報告書も今後反映させるとしている

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2014年11月15日 (土)

ハーグ条約 日本人母の5歳児海外へ「返還」

 毎日新聞(11/12)から、

 国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、日本人の母親と日本で暮らしていた5歳児が先月、外国に戻されていたことが、外務省への取材で分かった。日本で4月に条約が発効して以降、子が外国から日本に返還されたケースは3件あったが、日本にいる子どもが海外へ返還されたのは初めて。

 【ハーグ条約】
 正式名称は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」。一方の親が了解なしに子どもを国外に連れ出した場合、もう一方の親の返還要求に基づき子どもを元の国に戻す義務を規定している。国際結婚で破綻したケースが想定されているが、同じ国籍の夫婦にも適用される。日本では今年4月に発効し、7月には日本人の子の返還命令が初めて出された。10月時点の加盟国は93カ国。

 外務省ハーグ条約室によると、この5歳児は父親がドイツ人で、日本とドイツの両方の国籍を持つ。親子はドイツで生活していたが、母親が今年6月、父親に無断で子どもを日本に連れ帰った。取り残された父親は8月下旬、ドイツ政府にハーグ条約に基づいて子どもの返還を求めた。

 ドイツ政府から日本の外務省に援助要請があったため、外務省が国内の母親に接触して交渉。話し合いを経て母親が子どもの返還に同意し、10月中旬、子どもは母親と共にドイツへ戻ったという。

 ハーグ条約は、子を元いた国に返還するかどうかは連れ去れた側の申し立てによる裁判で決めるとするが、両国の政府の仲介で話し合いにより解決することも認めている。今回は、裁判によらないで返還された。

 条約に基づく子の返還を巡っては、日本人夫婦の父親が5月、母親と共に英国に渡った7歳の返還を求めて英国政府に直接援助を申請。英国の裁判所の命令で子が7月に日本に戻されたケースが初適用だった。

 その後、やはり日本人夫婦の母親が3歳児を無断で米国に連れ出し、日本に残された父親が日本の外務省を通じて返還の援助を申請。話し合いを経て母親が9月下旬、日本に連れ帰った。

 また、米国人の父親が日本人の母親に無断で8歳児をスイスに連れ出し、母親が日本の外務省を通じて子の返還を要請したケースでは、スイスの裁判所が返還命令を出し、9月下旬に子が日本に連れ戻された。

 同省によると、4月以降、日本の外務省に「子の返還」を求める援助申請は23件あり、日本にいる子の返還申請は14件、海外にいる子の返還申請は9件。

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2014年11月14日 (金)

「40人学級復活で人件費86億円削減」できる - 2 -

 文部科学省は「いじめの認知件数増加は、35人学級により教員らの目が行き届いて発見できた成果と考えている。早急に少人数学級を導入した秋田や山形では、好成績維持や、長期欠席率の低下などの効果が出ている」と反論する。

《財務省は、先に少人数学級を導入した学校のデータとの比較を比較する考えにも及ばなかったのか。目先の86億円削減できるとする自分たちに都合のいい数字ばかりを眺めただけで、「それみろ、駄目じゃないか」と言いたげだ。》

 海外の教育事情に詳しい学習院大教授の佐藤学(教育学)は「財務省は少人数化と学力向上の効果を疑っているようですが、世界各国の研究では、40人から35〜30に下げても統計的に顕著なデータは出ていないが、20人以下では学力面などで著しく効果が出たという結果がいくつもある。少人数学級は『教育の質を上げるため』の世界の潮流。現在は1クラス20人程度が主流で、議論にすらならない。財務省はあまりに近視眼的。教育は支出ではなく『未来への投資』という考えに変えるべきです」と主張する。

《企業も同じだ。「企業は人なり」は経営の根本哲学だが、その人を質ではなく、数と捉える経営者は多い。》

 疑問は当の財務省OBからも出ている。主税局などに6年間勤めた民主党の衆院議員、古川元久は「各省庁の予算案をカットするのが財務相の仕事とはいえ、例えば初等・中等教育など自分の担当部署内、いわば『たこつぼ』の中でしか物事を考えていないからこんな提言になる。同じ文科省ならトラブル続きで実用化の見通しが立たない高速増殖原型炉『もんじゅ』など、他に削るべきところはあるはずだ」と批判する。

 主計局OBで政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦は「財政支出を抑えるならば、膨張し続ける国家予算の主因である年金や医療などの社会保障費をまずカットすべきなのに、財務省はまだ殆ど手をつけていない。さらに法人税減税も受け入れた。それでいて40人学級復活で教員の人経緯費80億円程度の削減を提言するとは、非情にバランスが悪い」と指摘する。

 そしてこう推論する。「財務省は元々官邸と太いパイプを保ち、政権を牛耳りたいのが本音。現在はそれがうまくいていないようだ。財務省が慎重だった法人税減税は、経済産業省の要望が官邸に受け入れられたともおわれています。いわば財務省の意向が抑えられて形。だから『何とか存在感を示したい』という焦りが出たのではないか」。

 前出の寺脇は文部省職業教育課長時代の体験を振り返る。バブル景気のころ「食料は輸入すればいい。農業高校はもういらない」と不要論が流れた。「バブルはいつか終わる。食料自給の問題が注目され、必ず農業が見直される時代が来る」と、主計局の担当者らと折衝を重ね、その結果、存続の必要性ありと施設整備費用が認められた。

 「成果の検証は必要だが、数年で測れるものではない。彼らとは20、30年後の国の未来を考えて議論しました。今回、財務省がそこまで考えたのか、はなはだ疑問です。少人数学級は、少子高齢化という危機の時代を生きる子どもたちが、力を発揮できるようにするためのもの。長い目では社会へのリターンとなる」と力説した。

 さらに、「近年、政治主導が進み『役人は黙っておれ、政治が決める』という風潮が強まって結果、どの省庁の官僚も天下国家より自分の省庁のことばかり考える傾向が強くなった。財務官僚は元来、政治家に多少無理を言われても、国家の将来を冷静に考えられる『官僚中の官僚』です。だからこそ財務省には国家ビジョンの議論をしてほしいのに、遂にそれができなくなったのか」と嘆いた。

 40人学級が復活するかはまで不透明だ。財務省はもう少し懐の深さをみせてもよいのではないか。

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2014年11月13日 (木)

「40人学級復活で人件費86億円削減」できる

 毎日新聞(11/11)から、

《お役人が数字ばかりを追いかけて、本質を見ない的外れなことを思いつく愚策の代表だ。一方、保護者は家庭内の育児教育の放棄から、ただ、規則がそうだから程度の考えで、子どもを預入先の保育所から次の小学校に預け先を入れ替えるだけ。小学生になった子どもたちは、せんせいのお話を椅子に腰掛けて静かに聞くこと、教室の中を歩き回ったり、走り回らない、勝手に大きな声でおしゃべりをしないことなどを親や保護者から教えられていない。最近の医学では「それもそうなる病気がある」と病気のせいにする説さえ生じた。ここまで来ると教師は本来の教師の職務に加え、親や保護者に代わって、子育てと医師の領分の問題まで押しつけられることになる。今回の40人学級案は、金勘定面でしか問題を分析することができないお粗末な頭脳の財務官僚だから導き出した結論と言えるのだ。》

 参照 “学級崩壊”は親の責任 2006/06
    キレる小学生 2005/09

【閑話休題】
「教育は未来への投資」という考えは通用しないのか。財務省は先月末、現在公立の小学1年で導入されている35人学級をやめ、40人学級を復活させる案を提示した。「いじめや学力向上に明らかな効果がみられない」という言い分だが、教育関係者からは当然、猛反発が。財務省の思惑とは・・・。

 「あり得ない話です。もう腹が立って、腹が立って」。電話越しに怒りをあらわにしたのは、教育評論家の尾木直樹さんだ。「財政難は分かるけど教育の論理が1%も入っていません。導入わずか3年ぐらいで効果なしと判断するとは、どういうことですかっ」と一気にまくしたてた。

 大蔵省(現財務省)と予算折衝の経験がある元文部官僚で京都造形芸術大教授の寺脇研さんに至っては「なんでこんな低次元の話しかできなくなったのか。私が尊敬していた財務官僚の姿ではない」とまで言う。

 論議の的、少人数学級は十数年前から秋田県、山形県など地方自治体が先行する形でスタート。民主党政権時代の2011年に義務教育標準法が改正され、同年春から全国の公立の小学1年生が35人以下となった。「小1プロブレム」など問題行動が顕著化し、きめ細かな教育が必要との配慮からだ。これに対し財務省は10月27日、財務相の諮問機関で予算編成や財政のあり方を議論する「財政制度等審議会」に従来の40人学級に戻す案を提示した。

 参照 小1プロブレム 2007/05
    バカ親クソがき そして 2007/07

 各省庁の予算要求を査定する財務省主計局の「文部科学係」の説明では、提言の理由は主に2点だ。
 ①小1のいじめ認知件数に点いて、小学生全体に占める割合は導入前の5年間の平均で10・6だったが、導入後2年間の平均で11・2%と微増。暴力行為も3・9%から4・3%に増えた。このため「明確な効果はみられない」と評価した。

《その数字が何を意味しているのか、推察する能力さえ持ち合わせていない脳みそだ。それらの背景にある家庭内教育の「無力」さが駆け足で子どもたちの生活を破壊している現実さえ見抜けないのだ。教室内の子どもの頭数の問題では決してないのだ。本来は親は親の義務としての義務教育を受けさせるために、小学校に入れるまでに、生まれたままで、ただ動物として育ってきた「個」に、人間としての社会的生活の初期規範を家庭内で準備し、教えておかなければならないのが躾の初歩なのだ。それもしないで学校に、教師に丸投げで預け,本来親がしなければならない躾まで教師がするものと錯覚する。それもできていない、ただの「個」の集団が、問題を起こすのは当然のことだ。それを、背景まで推量できず、教室内の子どもの数の問題としか捉えられないとは余りに情けない発想だ。》

 ②「小学1年の35人学級」とは別に、各自治体が独自で進めている少人数学級の効果を、10年度と13年度の「全国学力テスト」(小6と中3対象)の国語や算数などの平均正答率で調べた。12年度から少人数学級を導入し13年度の学力テストを受けた小中学校の平均正答率は、少人数学級未導入の10年度より、いずれも低かった。ゆえに学力向上の効果はみられない。

 主計局の担当者は「『教育は政策効果が見えにくい』といわれますが、福祉や雇用対策など他の政策と同様、予算がついた政策の効果は検証されるべきです。効果がないものに予算はつけられない」と主張する。背景には財政状況の悪化と、教員の人件費の問題がある。例えば1学年で36人の児童がいれば18人ずつの2クラスに分け、教員が2人必要になるので、その分人件費がかさむ。40人学級に戻せば、教職員約4000人、約86億円を削減できると試算したのだ。

 それにしてもたった3年で明確な成果を求めるとはあまりに性急すぎないか。

          ーーーーーーーー つづく

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2014年11月12日 (水)

2019年、全女性の過半数が50歳以上

 毎日新聞(11/12)から、

《5年後の話しだ。恐ろしい時代に突入する。日本中の女性の過半数がお婆ちゃん世代に突入だ。5割以下の女性のうちの何%が次世代の子を産むこと考えるようになるのだろうか。いよいよ日本は人口減による国家消滅の世紀が刻一刻と近づいていることになる。次の世紀のころ、海外の学校では「昔ここに日本という国がありました」と教えることになるのだろう。それでも化粧品業界は合計特殊出生率の数値などお構いなし、目先の金儲けに躍起のようだ。これで安倍晋三がいう『日本を取り戻す』が如何に虚しい言葉か分かろうと言うものだ。》

 資生堂は11日、シニア女性向けの新化粧品ブランド「プリオール」をつくり、来年1月に全33品を一斉発売すると発表した。2019年には50歳以上の女性が全女性の5割を超える見通しで、「シニア世代がマジョリティー(多数派)となる新たな市場を作りたい」(魚谷社長)との狙いだ。花王も50代以上のブランド戦略を強化するなど、化粧品業界ではシニア対応の動きが広がっている。

 「団塊の世代がシニアになり、シニアの意味が変わってきている。強い価値観と行動力を持つシニアが大きな市場を作ろうとしている」。東京・銀座で開かれた発表会で魚谷社長はこう強調した。

 資生堂は約2年半前から6600人強のシニア女性と面談してニーズを把握。肌や髪の艶を引き出す新技術を配合した化粧水や口紅などを開発した。商品のパッケージにはカラー写真や大きな字で使い方を示すなど表示も工夫。CMにはベテラン女優の宮本信子(69)と原田美枝子(55)を起用する。

《視力の弱くなった世代相手だ、売るための工夫は当然するだろう。》

 シニア重視の狙いは、人口の多さに加え、高い購買力にある。50歳以上の化粧品市場は13年度で約1兆6500億円に上り、4月の消費増税後の消費回復の牽引役は60代とされる。国内市場が縮小する中、シニア市場は高い収益が見込める魅力的な市場だ。

 資生堂がラキバル視するのが花王だ。花王はここ数年、50代以上のメーキャップで「ソフィーナ プリマヴィスタ ディア」、ヘアケアで「セグレタ」など、専用ブランドを設けて商品ラインを強化。今月には「ディア」の初の改良品として、肌を明るく見せる新ファンデーションを発売した。コンパクトには顔の細部まで見える拡大鏡を装着するなど配慮に余念がない。

《若作りしようとしてもお年寄り相手だもの、仕方ないよ。》

 花王傘下のカネボウ化粧品も昨秋、50歳以上向けブランド「コフレドール グラン」をつくり、今月中旬にはシニア世代の使用が増えているとして、頬紅を新発売する。ファンケルも12月、同社初の50歳以上向け ベースメーク『エクセレントリッチ』を発売する。

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2014年11月11日 (火)

中高生らの犯罪

 毎日新聞(11/10、11)から、

《何といえばいいのだろうか。小賢しいのか、バカ、阿呆なのか。警視庁は窃盗容疑で彼ら6人を窃盗容疑で逮捕した。火遊びの域を越えた悪遊びだ。最低限の善悪を判断をする能力もなく、育ってきた家庭内の親、保護者の育児責任の放棄だけが目立つ事件だ。》

 その1、 自販機荒らしの中学生6人逮捕

 自動販売機を燃やして釣り銭を盗んだとして、警視庁少年事件課は10日、いずれも東京都葛飾区に住む区立中学2〜3年(14〜15歳)の男子生徒6人を窃盗と器物損壊容疑で逮捕し、区立小6年の男子児童(12)を補導したと発表した。

 9月14日以降、葛飾区や埼玉県八潮市などで同様の手口で30台以上の自販機が非される被害が発生。少年事件課は生徒らがうち14台の事件に関与したとみている。逮捕容疑は9月14日、葛飾区の自販機2台の釣り銭口に火を点けたトイレットペーパーを突っ込み、自販機を燃やして釣り銭約1万3000円を盗んだとしている。7人はいずれも容疑を認めている。

 その2、中高生14人 パスワード盗む

《同じく幼いからなどと、擁護など全く必要ない悪党どもだ。少年少女と言うには余りにも小細工の限りを駆使し、他人を欺く悪知恵の持ち主たちだ。》

 県警サイバー犯罪対策課は10日、インターネット上に「フィッシングサイト」を開設して他人のメールアドレスやパスワードを不正に取得したとして、さいたま市や鳥取県など11都県に住む中高生の男女11人を不正アクセス禁止法違反容疑でさいたま地検に書類送検したと発表した。また中学生男子3人を、同様の非行内容で補導し児童相談所に通告した。

 同課によると、書類送検されたのは、福井、愛知、山口、東京などに住む11人。鳥取県米子市の少年(当時14)とさいたま市浦和区の少女(同15)、同13歳の少年の3人は3月1〜3日、無料通信アプリ「LINE」(ライン)のロゴマークなどを模倣したフィッシングサイトをネット上にそれぞれ開設、サイトにアクセスした利用者にメールアドレスやパスワードを入力させて計172人分の個人情報を不正に取得したとしている。

 他に送検された9人と同13歳の少年2人は、米子市の少年がライン上で拡散した「データがほしい人はいるか」というメッセージに返答し、不正にパスワードなどを取得した。少年らに面識はないという。是認が容疑を認め、米子市の少年は「自分がリーダーのライン荒らしグループを有名にしたかった」と話しているという。

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2014年11月10日 (月)

今年の秋冬の流行色はモノトーンか

 9日、昼食時、何気なくテレビを眺めていた。今年の秋冬の女性ファッションの流行色が話題だった。街なかに出て道ゆく人にインタビューも混じった。話を聞き、見ているうちにおかしくなってきた。私の世代が現役の頃、男性の背広の殆どはネズミ色だった。通勤ラッシュの電車の中、街を歩く大勢のサラリーマン、ビルを出入りする男性たち。ファッションに多少とも蘊蓄(ウンチク)を持つ人たちの言は、称して『どぶネズミ色』と皮肉った。私は数着の背広を仕立てたり、吊るしを購入したが、1着を除いてはすべてモノトーン(無彩色、モノクロトーン)のネズミだった。

 テレビで語る女性ファッション界のリーダー?の推奨するカラーはその“グレー”(いわゆるどぶネズミ色)だ。時代は代わって今年のどぶネズミは雄から雌に移るようだ。テレビで語る女性はモノトーンのコーディネートについていろいろとアドバイスを口にするが、ネズミ色に合わせる色はなかなか難しい。色彩学的には朱、橙、黄のような系統の色が最適だが、コーディネーターのおっしゃるには、当人の顔の色なども考えなければならないようだ。さて、どんなネズミさんが街なかを歩くやら見るのも一興。

 ・余計なことだが、モノトーンが使われているブランドが幾つかあるようだ。
 アン ドゥムルメステール
 コスチューム ナショナル
 ロム デ ギャルソン
 シャネル
 ステファン シュナイダー
 オブジェスタンダール
 ヒステリックグラマー
 ソーイ
 ナオキ タキザワ
 マルケッサ など計20ブランド以上。

 テレビを見ていて特に気になった。
 若い女性たち、街頭インタビューを受ける姿が如何にも貧相でみっともない。1人で、友人と、母親となど、何組か写ったが、皆一様に、つま先を内側にして立つから、かかとが開いて湾曲した足の膝が開く“がに股”ポーズだ。いつも気になっているが、10人中、8、9人はこれだ。
 

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2014年11月 9日 (日)

栃木・人気犬大量死 トイプードルたち

 毎日新聞(11/6,7,8)から、
  【動物愛護管理法改正から1年】

 小型愛玩犬ばかり計71匹の死骸が栃木県内の2カ所で相次いで見つかった事件は、県警が廃棄物処理法違反の疑いで調べているが、容疑者の特定には至っていない。ミニチュアダックスフントなど一部の人気犬種に偏っており、捜査関係者は繁殖業者が遺棄した可能性があるとみている。目立った外傷はなく、薬物の投与を疑う業界関係者もいる。

 県警によると、犬の死骸は10月31日と11月1日に宇都宮市の鬼怒川河川敷で44匹、同月5日には西に約20キロ離れた那賀川町の林道脇の崖下で27匹が発見された。死因は明らかになっていない。那賀川町の現場周辺では、一緒に捨てられたとみられる5匹が生きたまま保護された。二つの場所は近くを同じ国道293号が通る。

 発見された犬はミニチュアダックスフント、トイプードル、コーギーなど犬種が不明なものを除けばすべて純潔種だった。歯石の付着状態から推定される年齢は5〜10歳。殆どが避妊・去勢手術を受けていなかった。雌は乳房の大きさから、複数の出産経験があるとみられる。健康管理は行き届いておらず、多くは痩せ細り、爪も伸びていた。人気犬種の偏り、遺棄された頭数が多いことから、捜査関係者は「飼い犬とは考えにくい。繁殖業者が捨てた可能性がある」と話す。

 宇都宮の現場では、飼い主の情報が入ったマイクロチップを埋め込んだ犬の死骸も見つかっており、県警は容疑者特定の鍵になるとみて操作している。

 多くの犬が遺棄された背景として、東京都内の元繁殖業者の男性(48)は「昨年9月施行の改正動物愛護法が影響しているのではないか」と指摘する。法改正で自治体は、業者からの引き取り依頼を拒否できるようになった。小型犬は出産を重ねると、1回に産む頭数が少なくなる傾向があり、業者にとっては飼育経費がかかり負担になる。この男性は「養いきれない犬を薬物で処分し、山などに捨てる悪質業者も多い」と業界の舞台裏を明かす。

 ・飼い主の責任 自覚を
 「あれは安楽死ではないよ。毎回、(殺処分のための二酸化炭素を注入する)赤ボタンを押すのがつらい。可哀そうで見ていられない」

 茨城県で唯一、犬猫の殺処分を行なう「県動物指導センター」(笠間市)で、犬猫を収容する建物の管理を委託されている業者の男性従業員は言う。センターで2012年度に殺処分された犬は3177匹。8年連続で全国最多だ。「センターに持っていけば助けてもらえると思っている飼い主がいるが、毎日持ち込まれるのですべてを助けることは無理だ」と打ち明ける。

2_2 取材で訪れた9月中旬、建物内には、犬用の檻が五つ並び、各檻に4〜6匹ずつ入れられていた。「首輪をしている犬もいる。一なつっこく、飼い主が迎えに来るのを待っている」と従業員。ただ、身元を明確に示すものがなく、飼い主の元に戻れるのは僅かだ。
1_3 殺処分は週2回の単位で行なわれる。捕獲・保護された犬の場合、殺処分までは約1週間。飼い主から直接引き取った犬は原則すぐ処分される。期限を迎えた犬たちはひときわ大きな檻へ移される。檻の後は開閉式の仕切りで、その先の細い通路は約3平方メートルの炭酸ガス処分器につながる。処分器内に追い込まれた犬たちは二酸化炭素を注入され、約20分後には死に至る。

 飼い主が迎えにい来たり、譲渡事業を行うボランティア団体に引き取られたりする以外、犬たちが死から逃れる手段はない。従業員は「期限ぎりぎりまで救える可能性を探っている」と話す。

 ・モラル向上不可欠
 この日も、生まれたばかりのこぶし大の捨て犬4匹がセンターに持ち込まれた。13年度に収容された犬は前年度より778匹減の3115匹だったが、子犬の割合は変わらず4割のままだ。健康状態の良い子犬は、センター主催の「子犬の譲渡会」などで引き取り手を探し救う努力をしている。センターは殺処分の多い背景に、庭の広い一軒家が多く、外での放し飼いが常態化し、迷子や逃げて野良犬化していることなどを挙げる。避妊・去勢手術をしていない犬も多いため計画外に繁殖したりすることもあるという。「『自然のままに』と避妊・去勢しない飼い主もいるが、望まない繁殖の結果、死ぬ運命の子犬もいる。手術は必ずしてほしい」と従業員は話す。

 譲渡事業を行うボランティア団体などの努力を得ながら、センターも12年度から「全国ワースト1脱却宣言」を掲げ、親子に施設を公開するなど飼い主のモラル向上に取り組んでいる。13年度に殺処分された犬は、前年度比1019匹減の2158匹で過去最少だった。今年右7月からは県内の動物専門学校に呼びかけ、出張教室や施設見学会を始め、殺処分の様子を録画した映像も見てもらっている。山崎センター長は「飼い主に触れる機会が多い若者にまず現実を知ってもらい、無責任な飼育の歯止めになってほしい」と期待を寄せる。

3改正愛護動物管理法について、ペット法学会事務局次長の渋谷弁護士は「飼い主責任とは、買っている動物への思いやりと、その動物が周囲に迷惑をかけない飼育を両立させること。改正法でその責任は強まった」という。「15年も20年も生きる犬猫を最後まで責任を持って飼う『終生飼育の徹底』が前面に出たのが大きい。飼い主は安易に飼ったり、無責任に手放したりすることが許されなくなった。飼う前に責任をよく学ぶ必要がある」と指摘する。

 ・法改正で拒否も
 環境省によると、全国の自治体の動物愛護センターなどで2012年度に引き取られた犬猫は約21万匹。このうち飼い主からの引き取りが約4分の1を占めた。改正法により、飼い主が終生飼育の原則に反していると思われる場合は引き取りを拒否できるようになった。今年度末にまとまる13年度の引き取り数は前年度比で「減る見込み」(同省動物愛護管理室)だ。

 だが、飼い主が持ち込む理由は、飼い主の高齢化 ▽計画外の繁殖 ▽経済的理由 ▽引っ越し ▽病気のペットを看取る自信がない ▽噛むなどの盛んない行動 ―― などで、飼う前に最後まで責任を持ち飼えるか考えることで防げるものも少なくない。自治体は先ず飼い主自身に努力を求め、やむを得ない場合のみ引き取っているという。一方で引き取りを断られた飼い主が捨ててしまうケースもあるという。

 12年度に殺処分された犬は3万8447匹、猫は12万3400匹。過去10年間で犬は約5分の1に減ったが、猫は半数程度しか減っていない。飼い主不明の猫の繁殖で生まれる子猫などが課題となっている。

《何かことがあると、バカの一つ覚えのように モラル、モラル、と口にするが、今の日本の世相をざっと見渡しても、おカミから下々まで、参考にできるようなモラルが行き届いているものは何一つない。》

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2014年11月 8日 (土)

出生率1・8提示

 毎日新聞(11/7)から、“クローズアップ”から、出生率を中心に取りあげる。

 政府のまち・ひと・しごと創生(地方創生)本部は6日、今後5年間の地方創生の具体策を示す「総合戦略」と「長期ビジョン」の骨子案を示した。合計特殊出生率の当面目指す水準を1・8とするなど、人口減少対策に国と地方が一体で取り組む方針を強調した。安倍政権は地方の取組みを重視し、全面支援する構え。地方創生法案も同日の衆院本会議で可決され、今国会で成立する見通しだ。ただ、政府側の施策は具体化が遅れている。個人の選択である妊娠・出産への介入になりかねないとの懸念も出ている。

<「総合戦略」の骨子案のポイント>
 •人口減少と地域経済の縮小の悪循環を断ち切る
 •東京一極中心を是正。若い世代が安心して働き、
  子育てができる環境を実現する
 •民間や政府が持ちつ膨大なデータを使い、
  地域経済の現状や課題を分析するシステムを整備

《精子、卵子を集めて試験管ベビーの大量生産でも考えているのか。戦時にあった「産めよ増やせよ」で、将来兵隊の数が足りなくなり国力が弱くなる、と翼賛体制で愛国心を呼びかけるつもりか。アドバルーンは幾つ揚げても中身はただのガスでアドバルーン止まりだ。》

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 「地域の決意、意思の力なしに地域の創生はない。政策を進める基本は地域にこそある」。安倍総理は6日、官邸で開いた地方創生本部の有識者会議で、今後の各自治体の取り組みに強い期待感を示した。

 会合では今後5カ年の方向性をまとめる政府の「総合戦略」の骨子案を提示。企業取引などの「ビッグデータ」を活用した地域経済分析システムの整備などを盛り込んだが、殆どの施策は関係府省庁が調整に手間取り項目のみを示すにとどまった。首相の看板政策を巡り、政府が「地方の知恵を借りたい」(石破地方創生担当相)
と繰り返すのは、政府の具体策がいおまだに決め手を欠く現状への焦りの裏返しでもある。

 また、50年後に1億人程度の人口を維持するとの目標に向け、政府の「長期ビジョン」の骨子案も示された。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」(2013年は1・43)について、「まず目指すべき水準」として1・8程度への改善を提起。「フランスやスウェーデンはいったん出生率が低下しながら、子育て支援などで回復させた」と対策の必要性を強調する一方、達成時期は明記せず「政府目標」の表現は避けた。

 <中略>

 現在1億3000万人弱の人口は、このままでは2060年には8674万人にまで落ち込み、2110年には5000万人を切る ――。人口減への危機感から、政府は合計特殊出生率の「まず目指すべき水準」として「1・8程度」を掲げた。しかし、産む、産まないは個人の選択だ。「国が介入すべきではない」との批判も出ている。

 「2060年に1億人程度を維持」。政府はこの人口目標を見据え、当面1・8の出生率を提示した。10年の国の出生動向基本調査から、夫婦の「予定する子ども数」(平均2・07人)、独身女性の「結婚希望率」(89・4%)と「理想の子ども数」(同2・12人)などのデータを引いて算出している。

 民間の有識者会議「日本創成会議」の分科会が公表した「希望出生率」がベースだ。結婚を望む人がみな結婚し、理想とする数の子どもを出産できるならば1・8は実現するという。個人の希望をかなえることを基準にした計算だが、政府の戦略は肝心の「どう希望を叶えるか」が弱い。

 政府はこれまで、「戦中の『産めよ増やせよ』を連想させるといった批判に配慮し、出生率の数値目標化を避けてきた。今春、政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が検討したものの、「女性がノルマと捉えてしまう」と批判を浴び、断念した。政府が「出生率を2・0前後に改善した手本」とするフランスやスウェーデンも、出生率に目標は立てていない。

 政府は1・8を「希望が実現した出てくる数字」(創生本部事務局)と強調し、数値目標とは認めていない。だが、具体的な数字を掲げる以上目標と捉えられかねず,政府内にも「女性が圧力を感じる」(厚生労働省幹部)との異論がある。

 今回の骨子案では1・8の実現時期に触れていない。ただし、仮に2025年に実現したとしても、その後も1・8のままなら、それから65年後の90年ごろの人口は8101万人程度となる。90年まで1億人程度を維持するためには、35年に2・1まで引き上げる必要があるという。

 数値目標あり得ぬ
 柘植あづみ明治学院大学社会学部教授(医療人類学)の話
  国連の1994年の国際人口開発会議で、人口の増加、抑制とも、数値目標を立てることは女性のリプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を侵害すると確認され、翌年の世界女性会議でも数値目標は否定された。子を持ちたいのに持てない状況をどうすれば改善できるのかを分析するのが政策で、数値目標はありえない。

《人口減に関しては06年以降、数多く書いてきた。》
 参照 子どもを産める日本人女性2040年に半減 2014/05
    2020年、1人暮し世帯(単独世帯)が34・4% 2009/12

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2014年11月 7日 (金)

狩猟税廃止を要望、作物被害でハンター増狙う

 毎日新聞(11/5)から、《》内は私見
 環境省は2015年度の税制改正で、都道府県がハンターから徴収する狩猟税の廃止を総務省に要望する方針を決めた。5日午後、自民党環境部会で説明し理解を求める。シカやイノシシなど野生鳥獣による農作物被害が全国で深刻化する一方、ハンターはこの40年間で激減し、高齢化も進んでいる。金銭的負担を軽くすることでハンター増加につなげる狙いだ。

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 狩猟税はハンティングが貴族的*な趣味だった1870(明治3)年にできた。今の制度では、ハンターは猟期ごとに狩猟を行なう都道府県に税を納める。税額は猟の種類によって5500〜1万6500円。これに対し、ハンターの全国組織の大日本猟友会や自民党の関係議連から「税負担を理由に狩猟をやめる人がいる」「ハンター拡大を目指しながら税金を取るのは矛盾だ」などと廃止要望が出ていた。一方、税収は全国で計17億円(12年度)に上り、シカやイノシシの防護柵設置など有害鳥獣対策に充てられている。このため、廃止には都道府県の反発も予想される。

 《*・・狩猟そのものは貴族的でもなんでもない。生きていく上で必要な食べ物を必要とした旧石器時代から延々と続いてきたものだ。明治3年当時はまだ日本人は髷を結っていた時代。廃藩置県も翌4年のことだ。明治天皇が髷を切って西洋風の髪型にしたのが6年3月のこと。同じ6年8月、散髪脱刀令がだされ、次第に日本人の頭から髷が消えて行った。「狩猟が貴族的な趣味」だったとは、お殿様の鷹狩りでシカ、ウサギを追いかけていた当時のことを指すのだろう。当時も多くの庶民の世界ではマタギが活躍し、山野を駆け巡る猟師が鳥獣を追っていた時代だ。》

《人間の都合で増えすぎた動物の個体数調整に、人の手が足りないからと、今度も又、泥縄式で減ったハンターの増員が必要になり、慌てて募集しようと働きかけるようだ。しかし、足元を見透かされたように現在の徴税制度に廃止の要望が出てきた。社会生活で職業を持ってそれから収入を得ようとすれば、税負担はいやでも付随してくる。その納付を理由に「狩猟をやめる」とは「どうぞ」と言うほかない。が、もしも廃止をみとめれば、当然、都道府県は反対することになるだろう。或いは決まれば、必要になる「有害鳥獣対策費」その財源はどこから??》

 野生鳥獣による全国の農作物被害は09年度以降年間200億円を超し、12年度は230億円に上った。高山帯の花畑が食害で消失した例も報告されている。環境省の推計によると、11年度のイノシシの個体数は約88万頭で20年前の約3倍。ニホンジカ(北海道を除く)は約261万頭と約7倍に増え、このままでは、25年度に約500万頭までさらに倍増する見通しという。

 環境省は有害鳥獣の捕獲に企業参入を促すなどの対策で、シカ、イノシシを23年度までに半減させる目標を掲げる。しかし、1975年度に52万人(79年45万、95年25万、07年16万人)いた国内のハンターは00年以降、20万人前後で推移。60歳以上の割合は9%から66%に上昇し、高齢化に直面している。

《おカミのやることは、いつも手遅れだ。数字ばかり睨んで仕事をしていながら、その数字の意味する中身にはトンと気が回らない。尻に火が点いてからでないと手を打とうともしないのだ。》

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2014年11月 6日 (木)

増え続ける女性窃盗犯

 毎日新聞(11/5)から、

 Photo 窃盗を繰り返してきた元女性受刑者に対し、保護司や臨床心理士がカウンセリングを行なうプロジェクトを、女性専用の更生保護施設「両全会」(東京都渋谷区)が全国に先駆けて始めた。経済的、精神的問題など盗みに至る要因はさまざまで、再犯防止に向けた指導は容易ではないが、背景にある人間関係や考え方を、見つめ直す力を身につけてもらうことを目指している。

 法務省の統計では、2013年に新たに刑務所に入った女性受刑者は2112人。罪種別では窃盗が884人と最も多かった。窃盗犯が占める割合は増加傾向にあり、10年前の約2倍になった。窃盗で実刑となる人は、過去に起訴猶予や執行猶予となっていることが多く、再犯防止が課題となっている。

 更生保護施設は行き場のない出所者らに一時的に部屋を提供し、仕事や住まい探しを支援する民間の施設、定員20人の両全会でも、近年は入所者の約半数を万引きなどの窃盗を繰り返した元受刑者が占めている。

 そこで、両全会は今年7月から、社会と再びつながってほしいという願いを込めて「リ・コネクト」と名付けたプロジェクトを開始。犯罪歴や性格、障害などの有無などの合わせて個々にプログラムを提供する特徴があり、8人の保護司や経験者がボランティアで協力する。

 入所者は段階別のワークシートを使いながら、目標を考える ▽自分の窃盗を分析する ▽自己理解を深める ▽社会の一員だと自覚する ― ために、週1回のペースで保護司らと面談する。

 ワークシートを作った臨床心理士で、法務省矯正局や少年鑑別所
での勤務経験もある藤野京子・早稲田大教授は「社会から孤立しない環境を整えるとともに、二度とやらない決意や約束をおのおのに合ったペースで繰り返し考えることが、新たな失敗を防ぐことにつながるはず」と話す。

 「リ・コネクト」を受けている60代の女性は窃盗罪の執行猶予中に再犯した。「裁判所でもうやらないと誓ったのにやってしまった。ちょっとなら良いやって思ったし、盗んだら気持ちがすっきりした」と振り返るが、指導を受け「被害者がどれだけ嫌な思いをしたか考えるようになった」という。

 再犯防止のために入所者とどう向き合うべきか長年摸索してきた両全会の小畑輝海理事長は、「長い間、盗みを繰り返した人の思考を変えていく指導は難しい。それでも、もう一度社会の中で暮らしていく自信と勇気を少しでも持ってくれたら」と話している。

《投資対効果をどの程度に考えているのだろうか。何年かかって、何パーセントの更生者が出ればこの企画は成功なんだろうか。実際の社会的現実は、全国のスーパーマーケットなどの万引きによる被害額は4300億円、一日平均12億円(民間調査会社 チェックポイントシステムズ調べ)にのぼっているのだ(11月6日、テレビ朝日 ワイド!スクランブル より)。》

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2014年11月 5日 (水)

「尊厳死」宣言の女性死亡

 毎日新聞(11/4)から、

《先ず、私は尊厳死や自殺(いじめや暴力がもとの子どもの自殺は殺人とも言える一面を持つことから話しは別だ)さえも否定しない立場であることを記しておく。自殺に関しては、「死なずに生きておれば、悪いことばかりではない、どう好転するか分かったものではない」と勝手をいうが、もし、将来好転することがなく、さらに悪化した場合、助言した人間はどのように責任が取れるのか。好転しなかったのは、折角生き延びたが努力しなかった「お前が悪い」で済むことなのだろうか。》

 脳腫瘍で余命わずかと宣告され、「尊厳死」を選ぶと宣言していた米西部オレゴン州の女性ブリタニー・メイナード(29)が予告通り1日、自宅で医師から処方された薬を服用し死亡した。米メディアが2日報じた。

 メイナードが活動を支持していた尊厳死を推進するグループのスポークスマンは、メイナードが自宅の寝室で、家族ら愛する人たちの腕の中で穏やかに亡くなったと述べた。

 10月に動画サイト「ユーチューブ」で公開されたメイナードの映像は、900万回以上のアクセスを記録。英紙デーリー・テレグラフなど各国メディアもメイナードの死を詳報するなど大きな反響があった。

 メイナードは亡くなる当日、交流サイト、フェイスブックのページに「愛する家族、友だちよさようなら。世界は美しいところ。旅はいつも私の最良の教師だった」などと書き込んだ。教育の修士号を持つメイナードはネパールの孤児院で勉強を教えるなど、世界中を精力的に旅していたという。

 メイナードは1月に脳腫瘍と診断され、4月に余命半年と宣告された。それまで住んでいたカリフォルニア州から、死を選ぶ末期患者に医師が薬剤を処方することが認められているオレゴン州に夫婦で転居。11月1日に尊厳死を実行すると公表した。

 オレゴン州では1997年、米国で初めて法的に尊厳死が可能になった。現在はオレゴン州、ワシントン州、モンタナ州など計5州で同様の措置が認められている。AP通信によると、オレゴン州では昨年末までに750人以上が合法的に尊厳死している。

 メイナードを巡り、米国で「死ぬ権利」についての議論が起きた。世界各国でも判断が異なり、メイナードの選択に反響が広がりそうだ。

 米国では、反対派が「自殺を助長する」などと批判。メイナードは「自殺ではない。自殺だったらとっくに服用していた。本当は死にたくない」と反論していた。

 カリフォルニア州のロサンゼルス・タイムズ紙は社説で「オレゴン州に倣い末期患者が苦痛を伴わずに生を終えることを許可すべきだ。カリフォルニアや他州の議会は『自殺は倫理に反する』という宗教団体の主義に負けてきた」と主張した。

 欧州では、患者の意思により医師が薬物などで死に導く安楽死の合法化が徐々に広がっている。

 オランダは2001年に世界で初めて、国として安楽死を合法化、ベルギーが02年に続いた。フランスも05年に尊厳死を認める法律を制定した。

 <日本で同じ例は、殺人罪の恐れがある>
 日本では患者の意思に基づき延命治療を施さないケースはあるが、今回のようなケースは別次元の問題として捉えられてえおり、患者を死なせる目的で医師が薬剤を投与したり、処方したりすると殺人や自殺幇助罪に問われる恐れがある。

 厚生労働省は07年に終末期医療の指針を策定したが、医師が薬剤の投与などで患者の余命を短縮させる行為を指針の対象外とした。

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2014年11月 4日 (火)

離婚・別居に伴う親子面会4割実現せず

 毎日新聞(11/3)から、

 離婚や別居が原因で子どもと離れて暮らす親が、同居している親を相手に子との面会を家裁に申し立てる「面会交流」の調停で合意ができていないケースが4割超に上ることが、日本弁護士連合会の調査で分かった。合意後も面会実現は容易ではないと指摘されていたが、今回の調査で初めて裏づけられた。

《大竹しのぶ、明石家さんまの元夫婦、娘のIMALUとの間には今でも交流があり、屈託ない話題の一つでもあるが、世の中の同じような親子関係の中では珍しいことのように見受けられる。》

 調査は全国の弁護士を通じ、家裁の調停を利用した当事者に今年2〜4月に実施。調停の内容に対する満足度や、合意した面会交流や養育費の支払いの実現状況などにつて尋ね、296人から回答を得た。
 
 調査結果によると、調停で合意できた人の44%が「全く面会できていない」と回答。「合意通りの面会ができている」のは24%、「合意通りではないが、ほぼ面会ができている」が32%だった。

 面会ができない理由は「子どもが拒否する。または子どもと同居している親から本人が拒否してると聞いている」が37%と最多。「同居する親が子どもと会わせてくれない」が31%を占めた。

 面会交流ができている人の方法は「当事者(夫婦や元夫婦)のみで実施」51%、「親族の協力を得ている」が24%。「第三者機関に関与してもらっている」は10%にとどまり、関係機関の支援が進んでいない実態も分かった。

 子どもと別居し、面会交流が進まない親からは「(同居親に)メールしても、返事は一週間後でさらにはぐらかされる」などの声が寄せられた。同居する親からは、「別居親が親としての責任を果たしていない」との指摘もあった。一方で面会が進んでいる人からは「弁護士に支援してもらっている」「子どもが小学校高学年になり、本人がやり取りしている」という例が報告された。

 アンケートに携わった藤原道子弁護士(第二東京弁護士会)は「調停が終われば家裁は見守ることができない。当事者間で面会実現が困難な場合は自治体や専門家のいる団体が支援・調整できる仕組みが必要だ」と話した。

 離婚や面会交流の調停を担当する東京家裁の矢尾和子裁判官(53)と椎野肇次調査官(50)がインタビューに応じた。矢尾は「親同士が別れていても、面会交流で子どもは両親から自分が愛されていると感じることができる」と指摘、調停の当事者となる両親に「子の幸せを第一に考えてほしい」と話した。

 2013年に全国の家裁に申し立てられた面会交流の件数は1万762件。初めて一万件を超え、子の10年で倍増した。矢尾は「面会交流に対する社会全体の関心が高まっている。イクメンと言われるように、父親が子育てに参加するようになっている点も大きい」と分析。離婚調停などの場でも面会交流について話し合いがされることがあり、面会希望者は統計よりさらに多いという。

 ただ、別居や離婚して両親は感情的に対立していることも多く、面会交流の合意が難しいケースも少なくない。矢尾は「親同士が紛争になっても子の気持ちになって考えてほしい」と話し、椎野も「子の健全な成長が父母のためにもなる」と語った。

 東京家裁では、十数人の裁判官が調査官らと協力して面会交流調停に携わる。裁判官1人の年間の受け持ち件数は約70件。調査官は裁判官の命令で、両親の意向や子どもの心情などを調査する。

 面会交流の意義を理解してもらうため、子の心情を描いた絵本を両親に読んでもらうなどの工夫も取り入れる。玩具や縫いぐるみを備えた裁判所内の「児童室」を使い、和やかな雰囲気で試行的に面会する取組みも実施。両親が同意すれば、もう一方の親が別室のモニターで面会の様子を見られる仕組みも取り入れている。

《離婚の話し合いなどもってのほか。「顔を見るのもいや」との親の勝手などから、どれだけ多くの戸籍のない子がいることだろうか。日本でも、離婚するには現在のように協議離婚や調停離婚、審判離婚といった縺れた場合の最終的に委ねる裁判によるものではなく、最初から裁判による手続きを必要とし、親権の問題などをきっちりと話し合ってからの裁判離婚とすればいい。》

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2014年11月 3日 (月)

電柱禁止へ法案づくり

 毎日新聞(11/3)から

 自民党は、電線を地下に埋めるよう電力会社に促す「無電柱化推進法案」(仮称)をまとめ、今国会に提出する検討に入った。今後、市街地を開発する際、電柱を設置することを事実上禁じる内容で、2020年の東京五輪開催に向け、都市景観や歩行者の利便性を高める狙いがある。しかし地上に敷設するのに比べ10倍の費用が、かかるとされるなど、地中化を広げるには多くの課題がある。

《泥棒見て縄のように、五輪だ、五輪だの大騒ぎで東京中心の大運動会のために、電柱を隠すよりも、もっと緊急必要な高速道路の橋脚や、川にかかる端や橋桁、あちこちで発生する水道管の破裂事故など、老朽化対策の方が余程先駆けて必要なことではないのか。》

 法案づくりを主導したのは自民党無電柱化小委員会(委員長・小池百合子元環境相)。電柱新設の抑制のほか、国土交通省や都道府県・市町村による無電柱化推進計画の策定を盛り込んだ法案で、同党国土交通部会も先月、了承した。同党は15年4月の施行を目指し、各党と調整したうえで議員立法として今国会に提出したい考えだ。

 国交省によると、全国にある電柱の数は約3552万本で、毎年約7万本ずつ増えている。

 阪神大震災で約8000本の電柱が倒れ、危険性も指摘されてきるが、電柱のない道路(高速道を除く)の割合を表す「無電柱化率」は全国平均で1%。大都市を比べても東京23区が7%、大阪市、名古屋市とも5%にとどまるが、ソウルは46%、ロンドンやパリは100%を実現している。

 一方、無電柱化を実現した東京・丸の内が新たなショッピングエリアとして注目を集めたり、埼玉県川越市が古い町並みを復活させ観光集客につなげたりするなどのケースも目立ち始めた。同小委の幹部は、法案について、「日本を訪れる外国人旅行者を20年東京五輪までに今の2倍の年間2000万人に増やす政府の成長戦略にも貢献できる」と話す。

 ただ、課題は費用で、電気事業連合会によると、事業者の負担は距離1キロ当り1億5000万〜1億7000万円。地上敷設の1000万〜2000万円と比べ桁違いだ。地中化の経費は、国と自治体、電力会社などの事業者が3分の1ずつ負担するケースが多いが、原発の停止で電力各社の財務状況は悪化しており、地中化を促せば電気料金の引き上げにつながる懸念もある。

 このため国交省は9月26日、道路下の共同溝に電線を通す従来方式ではなく、地中に直接、電線を埋める工法の実現性を探る検討会を初めて開いた。実用化できれば費用を半分以下にできるといい、安全性の確認を奨めることにしている。

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2014年11月 2日 (日)

女性の活躍推進に関する世論調査(内閣府)

 毎日新聞(11/2)から、

 内閣府は1日、女性の活躍推進に関する世論調査の結果を公表した。女性の職業について「子どもができてもずっと続ける方がよい」と回答した人は44・8%で、同種の調査を始めた1992年以来初めて現象に転じた。出産後も働き続けられる環境整備が不十分との意識が背景にあるとみられ、女性活躍を最重要政策と位置づける安倍政権にとって課題となりそうだ。

 調査は8月28日〜9月14日、全国で20歳以上の男女5000人を対象に面接形式で実施。有効回答は60・7%の3037人だった。

《4割近い無効回答があるのが理解できないが、設問内容が定かでないため、無関心なのか、選択肢が不足なのか、面接形式という意味も分からない。また、それぞれの回答の年代別、男女比なども分かった方がよい。》

職業を続ける方がよい」との回答は前回2012年調査の47・5%より2・7ポイント減少した。一方で、「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つ方がよい」が前回比0.7ポイント増の31・5% ▽「子どもができるまでは持つ方がよい」が同1・7ポイント増の11・7% ▽「結婚するまでは持つ方がよい」が同0・2ポイント増の5・8%といずれも増加。「女性は職業を持たない方がよい」は同1・2ポイント減の2・2%だった。

 女性が仕事を持つ志向は変わらないものの、出産が大きなハードルになっている現状がうかがえる。

 また、出産後も同じ職場で働き続けるために必要なことを複数回答で尋ねたところ、71・6%が「保育所や学童クラブなど、子どもを預けられる環境の整備」を選んだ。次いで▽「女性が働き続けことへの周囲の理解・意識改革」49・6% ▽「男性の家事参加への理解・意識改革」48・6% ― の順に多かった。

 各分野で女性のリーダーが増えた場合の影響(複数回答)では「男女問わず優秀な人材が活躍できるようになる」(65%)「女性の声が反映されやすくなる」(55・9%)などの意見が多かった。

 女性活躍推進の障害(複数回等)は「夫など家族の支援が十分ではない」が50・1%、「上司・同僚・部下の男性や顧客が女性リーダークを希望しない」が31・1%だった。

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