出生率1・8提示
毎日新聞(11/7)から、“クローズアップ”から、出生率を中心に取りあげる。
政府のまち・ひと・しごと創生(地方創生)本部は6日、今後5年間の地方創生の具体策を示す「総合戦略」と「長期ビジョン」の骨子案を示した。合計特殊出生率の当面目指す水準を1・8とするなど、人口減少対策に国と地方が一体で取り組む方針を強調した。安倍政権は地方の取組みを重視し、全面支援する構え。地方創生法案も同日の衆院本会議で可決され、今国会で成立する見通しだ。ただ、政府側の施策は具体化が遅れている。個人の選択である妊娠・出産への介入になりかねないとの懸念も出ている。
<「総合戦略」の骨子案のポイント>
•人口減少と地域経済の縮小の悪循環を断ち切る
•東京一極中心を是正。若い世代が安心して働き、
子育てができる環境を実現する
•民間や政府が持ちつ膨大なデータを使い、
地域経済の現状や課題を分析するシステムを整備
《精子、卵子を集めて試験管ベビーの大量生産でも考えているのか。戦時にあった「産めよ増やせよ」で、将来兵隊の数が足りなくなり国力が弱くなる、と翼賛体制で愛国心を呼びかけるつもりか。アドバルーンは幾つ揚げても中身はただのガスでアドバルーン止まりだ。》
「地域の決意、意思の力なしに地域の創生はない。政策を進める基本は地域にこそある」。安倍総理は6日、官邸で開いた地方創生本部の有識者会議で、今後の各自治体の取り組みに強い期待感を示した。
会合では今後5カ年の方向性をまとめる政府の「総合戦略」の骨子案を提示。企業取引などの「ビッグデータ」を活用した地域経済分析システムの整備などを盛り込んだが、殆どの施策は関係府省庁が調整に手間取り項目のみを示すにとどまった。首相の看板政策を巡り、政府が「地方の知恵を借りたい」(石破地方創生担当相)
と繰り返すのは、政府の具体策がいおまだに決め手を欠く現状への焦りの裏返しでもある。
また、50年後に1億人程度の人口を維持するとの目標に向け、政府の「長期ビジョン」の骨子案も示された。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」(2013年は1・43)について、「まず目指すべき水準」として1・8程度への改善を提起。「フランスやスウェーデンはいったん出生率が低下しながら、子育て支援などで回復させた」と対策の必要性を強調する一方、達成時期は明記せず「政府目標」の表現は避けた。
<中略>
現在1億3000万人弱の人口は、このままでは2060年には8674万人にまで落ち込み、2110年には5000万人を切る ――。人口減への危機感から、政府は合計特殊出生率の「まず目指すべき水準」として「1・8程度」を掲げた。しかし、産む、産まないは個人の選択だ。「国が介入すべきではない」との批判も出ている。
「2060年に1億人程度を維持」。政府はこの人口目標を見据え、当面1・8の出生率を提示した。10年の国の出生動向基本調査から、夫婦の「予定する子ども数」(平均2・07人)、独身女性の「結婚希望率」(89・4%)と「理想の子ども数」(同2・12人)などのデータを引いて算出している。
民間の有識者会議「日本創成会議」の分科会が公表した「希望出生率」がベースだ。結婚を望む人がみな結婚し、理想とする数の子どもを出産できるならば1・8は実現するという。個人の希望をかなえることを基準にした計算だが、政府の戦略は肝心の「どう希望を叶えるか」が弱い。
政府はこれまで、「戦中の『産めよ増やせよ』を連想させるといった批判に配慮し、出生率の数値目標化を避けてきた。今春、政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」が検討したものの、「女性がノルマと捉えてしまう」と批判を浴び、断念した。政府が「出生率を2・0前後に改善した手本」とするフランスやスウェーデンも、出生率に目標は立てていない。
政府は1・8を「希望が実現した出てくる数字」(創生本部事務局)と強調し、数値目標とは認めていない。だが、具体的な数字を掲げる以上目標と捉えられかねず,政府内にも「女性が圧力を感じる」(厚生労働省幹部)との異論がある。
今回の骨子案では1・8の実現時期に触れていない。ただし、仮に2025年に実現したとしても、その後も1・8のままなら、それから65年後の90年ごろの人口は8101万人程度となる。90年まで1億人程度を維持するためには、35年に2・1まで引き上げる必要があるという。
数値目標あり得ぬ
柘植あづみ明治学院大学社会学部教授(医療人類学)の話
国連の1994年の国際人口開発会議で、人口の増加、抑制とも、数値目標を立てることは女性のリプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を侵害すると確認され、翌年の世界女性会議でも数値目標は否定された。子を持ちたいのに持てない状況をどうすれば改善できるのかを分析するのが政策で、数値目標はありえない。
《人口減に関しては06年以降、数多く書いてきた。》
参照 子どもを産める日本人女性2040年に半減 2014/05
2020年、1人暮し世帯(単独世帯)が34・4% 2009/12
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