性的マイノリティー「授業で触れず」教員8割
毎日新聞(10/29)から、
《古い道徳律で育てられ、個人的には親から口にすることを禁じられた範疇に属する世界のものだった。映画や芝居の世界で男が女を演じたり、その逆の存在することは知っていたが、演技として理解する程度ですんでいた。ただ、幼稚園児のころ(もう80年近い昔の話しになる)、その頃家に来る老爺で妙になよなよして話す人を、母や祖母がからかったように相手をしているのを気味悪く眺めた記憶がある。》
性同一性障害や同性愛といった性的マイノリティー(LGBT:lesbian,gay,bisexual,transgender の頭文字から、その総称)について、学校の授業で扱った経験がある教員は約14%にとどまることが、宝塚大学看護学部の日高教授(社会疫学)の調査で分かった。LGBTは周囲の無理解や偏見が子どものいじめや不登校、自殺にもつながることが指摘されており、日高教授は「どの教科でもよいから授業で触れたり肯定的なメッセージを伝えたりするだけで、当事者の子どもは孤立から救われる」としている。
《「顔を見るのも嫌」など、誰にでも好き嫌いがあるように、偏見を取り除くことは不可能に近いことだ。私がそうだが、男でも女でも、同性愛などと、聞くだけで胸くそが悪くなる。平均的な働きかけとして、授業で話すことにも一理はあるだろうが、話しを聞かされていけないことと知っても、偏見が取り除かれるとは保障できるものではないだろう。》
調査は実態把握が目的。厚生労働省の研究事業の一環として、2011年11月〜13年2月に実施。6自治体の保育園、幼稚園、小中高校に所属する教員ら5979人から回答を得た。
現在LGBTについて記載されている教科書は少ないが、調査では「性同一性障害について教える必要があると思う」と回答した教員が約73%に上った。
「LGBTについて授業に取り入れた経験」を聞くと、「ある」は約14%で、約78%は「ない」と回答。「授業に取り入れない理由」で最も多かったのは「教える必要性を感じる機会がなかった」(約42%)だった。
一方で、性同一性障害の子どもに関わった経験がある教員は約12%、同性愛が約8%。LGBTは「20人に1人はいる」とされ、教室に少なくとも1人はいると見られる。だが、LGBTの子どもに教員が気づけないために、授業にも結びつかない様子がうかがえた。
LGBTについて教育学部など出身養成機関で学んだ経験は、性同一性障害と同性愛が各約8%といずれも1割に満たなかった。同性愛について「本人の選択によるものだと思うか」という問いへの回答は「そう思う」が約39%、「分からない」は約33%。性的指向は個人の選択ではなく生まれ持つものだが、7割以上の教員が正しく理解していなかった。
一方で、「性の多様性に関する研修があれば参加したい」とする教員は約6割を占め、積極的な姿勢も見られた。国は人権教育において取り組むべき課題の中に「性的指向」と「性同一性障害者」を掲げている。
調査結果について、日高教授は「教員はLGBTについて知るだけで子どもへの対応も変わるはず。不登校やいじめの原因のひとつとして捉えることができるように、先ずは状況を知ってほしい」と話している。
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