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2014年9月 9日 (火)

カジノ

 毎日新聞(9/8)“クローズアップ”から、

《カジノとは賭場(博打場)のこと。日本にはいろいろな博打が花盛りだ。宝くじにロト6、馬を走らせてのバクチ、競艇にパチンコ、花札に麻雀。どれも取り憑かれると家庭騒動など、泣く目を見みることになる。》

 成人の20人に1人がギャンブル依存症という厚生労働省研究班の推計値が先月判明し、治療や支援の体制づくりが遅れている現状が浮かび上がった。折しも秋の臨時国会で、カジノの解禁を目指す「カジノ法案」の本格審議が始まり、10年来の是非を巡る論争が決着する可能性もある。地域の経済を潤す「特効薬」として誘致を目指してきた自治体の中には、取り組みを加速させるところがある一方で、東京都のように、依存症という「副作用」を考慮して慎重姿勢に転じているところも出ている。

 カジノ法案
 正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案」で、自民など3党の議員が昨年12月、国会に提出。賭博は刑法が禁じるが、国の許可する特定エリアでカジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)を解禁し、海外観光客誘致や経済振興を図るのが狙いで、政府の成長戦略の一つ。

 奈良県の三宅隆之(40)は2006年にパチンコをやめるまで13年間、ギャンブル依存症に売る真だ。友人に誘われたのが最初。希望の大学に入れず、劣等感を抱えていた。日中はパチンコ店で過ごし、「勝って返せばいい」と、消費者金融で借金もするようになった。

 入社後も人間関係がうまくいかないと、業務中でもパチンコへ。借金は数百万円にふくらみ、仕事も辞めた。「ストレスなどもパチンコをしている時間は忘れられた。周囲から『変だよ』と言われたが、ギャンブルを手放すのが怖かった」と振り返る。

 厚生労働省研究班が先月発表した推計によると、国際的に使われる指標で「病的ギャンブラー」(依存症)にあたる人が成人人口の4・8%(536万人)に上った。特に男性は8・7%(438万人)と多い。海外の同様の推計では、成人人口に占める割合が米国(02年)1・58% ▽香港(01年)1・8% ▽韓国(06年)0・8%――などで、日本は突出して高い。依存症は病的にギャンブルにのめり込み、ギャンブルへの衝動を抑えられなくなる精神疾患。中断すると、落ち着かなくなったり、苛立ったりするなどの症状が出ることもある。

 研究班が約4000人を対象に実施した全国調査では、パチンコや競馬などをする頻度、使用金額の他、「周りに非難されたことがあるか」「ギャンブルのために仕事や学業の時間を浪費したことがあるか」「借金をしたか」など20項目を算出した。研究班の尾崎・鳥取大教授(予防医学)は「特に40〜50代男性に多く、仕事ができなくなるなど社会的損失は大きい」と話す。

 現在の依存症で多いのは、パチンコとパチスロ。全国どこにでもあり、小額で始められることが背景にある。依存症に詳しい赤木・桜が丘病院(熊本市)院長は「アルコールや薬物の依存症と共通するのは、自分の力でコントロールできないこと」と説明する。

 だが、国内の治療や支援の体制は十分とは言えず、一部の病院や施設が担っているだけ。三宅は現在、精神保健福祉士の資格を取り、全国でも数少ないギャンブル依存症に特化した回復施設「セレニティパークジャパン」(奈良県大和高田市)の施設長を務める。約20人が入所し、1〜2年かけて自立を目指す。過去に対する罪悪感や恨みなどの感受を書き出し、スタッフや入所者と話し合いながら、考え方を変えていく。近くの飲食店や福祉施設などで働き、社会復帰の準備もする。

 国会で本格論議が始まるカジノ法案について、三宅は「カジノの是非の前に、全国でギャンブル依存に苦しむ人を救う仕組み作りが大事だ」と謳える。尾崎教授は「推計をみると、日本はギャンブル依存になりやすい人が他国より多いのかもしれない。パチンコ・パチスロ対策を急ぎ、青少年がギャンブルに手を染めないようにすべきだ」と指摘する。

 「(カジノには)青少年への悪影響とか、いろいろある」「優先課題ではない」「日本経済はそんなものがなくても甦る」。東京都の舛添知事は今年2月の就任後、定例記者会見やテレビの討論番組で、若者への影響や家庭崩壊を憂慮し、慎重な発言を繰り返している。

 ギャンブル依存症の,懸念をよそに、カジノ誘致でバラ色の未来を描く自治体は全国で20ほど。東京都がその火付け役だったが、トップの交代でブレーキを踏んだ。7月には、カジノ構想の担当を、重要な政策を企画立案する政策企画局から港湾局に移し、誘致に向けた動きは止まっている。

 都は石原慎太郎知事時代の1999年、バブル崩壊後の不景気や財政難への特効薬として、臨海副都心のお台場エリアへカジノを誘致する構想を他に先駆けて打出した。

 千葉県の森田健作知事も2009年の就任当初、成田空港を抱える成田市への誘致に前向きな姿勢を打出した。だが、地元経済界は「お台場に近く、実現は難しい」と冷めた反応で、知事も最近は「五輪が来るからカジノも、という発想が通用する時代ではない」とトーンダウンしている。

 逆に、大阪府と大阪市はアクセルを踏む。同市此花区の人工島「夢州」など大阪湾岸部に、カジノを中心とするIR(統合型リゾート)を整備し、東京五輪が開かれる20年の開業を目指す。バブル崩壊や08年五輪招致失敗で空き地だらけの湾岸部を活性化しようと、橋下市長が府知事時代の10年ごろから誘致を主張してきた。

 土地が比較的安く、国内外IR事業者の「大阪詣で」が加熱している。今年5月、大阪府の松井知事を訪ねた米国の不動産会社会長は「日本でのポテンシャルは大阪が一番高い。大阪しか考えていない」と口説いた。

 横浜市も1月、IR整備に前向きな姿勢を初めて示し、4月にはシンガポールなど海外事例の調査に乗り出した。背景には、激化する都市間競争がある。五輪に向けた品川駅周辺の再開発は横浜の脅威で、林文子市長は「今しか横浜の強みを打ち出すチャンスはない」と危機感を口にする。誘致場所に山下埠頭(横浜市中区)が挙がっている。千葉市も、IRの可能性の調査研究費として500万円を今年度予算に計上した。

《ギャンブルに限らない、酒、タバコ 麻薬などで依存症に陥るのも同様だ。けじめなく深入りし、己を律することもままならず、地獄に堕ちる。同情など不要。》
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