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2014年9月25日 (木)

大学「淘汰の時代」に突入

 毎日新聞(9/25)から、《》内は私見

 参照 続・大学入試は今・・・ 2013/10
    大学入試 2011/01
    続々・多すぎる大学 2006/08
    続・多すぎる大学 2006/07

《淘汰の必要性を説いてすでに8年が経過する。今になって「淘汰」を論じるのは遅きに失することだ。敗戦後の人口増加を追いかけるように、雨後の筍よろしく粗製濫造で数だけを増やした名ばかりの大学。その結果は現在、大学は出たけれど、中学生か高校生並みの卒業生を量産するところに変わり果てているのが実態だ。人口の減少は早くから分かっていたことだが、学校側は手を替え品を替えて、椅子の数を満たすだけの頭数をかき集めることに専念するだけだった。大学には経済や経営学を教える専門家らを抱えていながら、悲しいかな玉石混淆の数だけを追いかけ、将来を見通せる器がいなかった。》

181大学の「2018年問題」をご存知だろうか。今は踊り場状態にある18歳人口が、この年から再び減少して大学経営を圧迫し「淘汰の時代」が本格化するというのだ。「私立は半減してもおかしくない」との指摘さえある。厳しい環境に置かれた大学の現状と近未来を探った。

 「30大学はどこになるか」―。大学関係者は今月末の発表を注目している。文部科学省が新規事業として選定を進めている、海外有名大学と競える教育レベルの「スーパーグローバル大学」。東京大や京都大など国公立64、早慶など私立40の計104校が応募。ここから「30大学」が選ばれる。「国公立が多いのでは」との事前予想の中、私立はどこが食い込むかと目が離せないのだ。

 選ばれれば、億単位の補助金を得られるだけでなく「国からトップ大学のお墨付きをもらうようなもの」(教育関係者)。ブランド力が高まり大幅な志願者増も見込める。生き残りに向け、力強いバックアップになりそうだ。

 大学入試の志願者数は18歳人口と進学率に左右される。18歳人口のピークは、団塊ジュニアの多くが高校を卒業した1992年度の205万人。「受験バブル」と言われたものだ。その後は減り続け、2014年度は118万人。にも拘らず、この間、4年制の私立大の数は増え続けた。4年制にすれば志願者が集まると当て込み、短大からの転換が相次いだためで、92年度の384から02年度には500を超え、14年度は603(国公立と合わせると781)。市場の縮小に逆行しており、経営破綻するところが続出してもおかしくなかったが、そうはならなかった。「かつて30%程度だった大学進学率が50%を超えるようになったため、経営はなんとか持ちこたえられた」(吉岡・立教大総長)。18歳人口の減少率ほど志願者は減っていなかった。

 しかも、多くの大学には「蓄え」があった。大学通信情報調査・編集部ゼネラルマネジャーの安田賢治が解説する。「受験バブルの際、浪人生が増えないようにと、文科省は大学の臨時定員増認めました。それも教員や教室を増やさないままでよかったので、大学は多額の利益を出せた。その蓄えを徐々に取り崩してきたのです」

 だが、今後はそうもいかなくなりそうだ。18歳人口はしばらく横這いで推移した後、18年度(118万人)から再び現象に転じ、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では31年度には99万人と、ついに100万人を切る。あくまで予測だが、10年余りで約20万人も減るというのだ。「進学率50%として10万人、1大学の入学定員を1000人とすれば、実に100大学分の入学者が消えることを意味します」。日本私立大学振興・共済事業団私学情報室長の菊池裕明は言う。必然的に志願者獲得競争は激しさを極めることになる。これが「2018年問題」だ。

 「大学淘汰の波は静かに、だがヒタヒタと押し寄せている。2018年問題をきっかけに、その波が大きくなり、本格化する恐れがあります」と話すのは、大学イノベーション研究所所長で大学経営のコンサルタントをしている山内太地だ。

 既に定員割れしている私立大は265校、全体の46%に達している。このうち、国の補助金が受けられなくなる定員充足率50%未満の大学は15校(いずれも14年度)。「定員割れが表面化しないよう、定員そのもを減らす大学も増えています。学生数が減れば収入減になりますが、教職員の人件費を削ってなんとか凌いでいるのが実態」と山内。「学生を集めやすいキラーコンテンツである看護学部や学科を新設して定員割れを回避しようとするケースもある」と指摘するのは安田だ。

 「蓄え」もいつかは底をつく。日本私立学校振興・共済事業団の調べでは、全体の約35%に当たる208大学が赤字に陥っている(12年度)。「併設中学や高校の収入で大学経営をやりくりしているところがあるほどえす」と菊池。

 最後の頼みは「進学率」がさらに高まることだが、短大や専門学校に進む学生を含めると既に8割に達している。「もう、いっぱいいっぱいでしょうね」(同)

 実際、経営が“臨界点”を超え、行き詰まるところが出始めている。表にあるように10年度以降、経営悪化から学生募集を停止する私立大が目立つようになった。

 安田は言う。「今後、苦戦が予想されるのは、例えば短大から4年制に転じ
学部学科が一つしかない単科大学などでしょう。それらのところの中には質的に十分な教員を揃えられていない大学もあり、高校の先生も生徒を送り込むのをためらいます。また、都心回帰する例が多いことから分かるように、今の大学は立地ビジネス化している。駅からバスで通わないといけない大学は、学生を集めるのが大変です」

 一方、山内は、早慶やMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)といった知名度のある大規模大学に学生が集中する傾向が強まるとみる。18歳人口の減少で合格のハードルが下がるからだ。「逆に言えば、偏差値50以下の大学は集めようにも志願者そのものがいなくなる恐れがある。定員割れが半分近くになっていることがそのことを示しています。私立大学は半減してもおかしくありません」。先に挙げられた有名大学の間でさえ、入試改革などの成否によって人気差が広がりつつあるのだ。

 河合塾勤務の経験がある教育ジャーナリストの後藤健夫は事の本質を次のように喝破する。「分数が分からないなど義務教育を終えていないような学生もいる現在の大学を、本当の意味での高等教育の場に戻せるかどうか。高等の名に値しないような大学はつぶれても仕方がない」

 大学生の学力低下は、少子化で短大を含めた入学者数が志願者とほぼ同じになる「全入時代」のマイナス面と指摘されている。関西の私大を取材した際、ある教授がつぶやいた言葉が忘れられない。「大学はワンダーランド(不思議な国)になってしまった。大学入学しながら何をしていいのか分からない学生が増えた。図書館の使い方を知らず、勉強もしない」。学部数の少ない地方の国公立大だって安閑としてはいられない。

 大学を本来の姿に戻すきっかけになるなら、「2018年問題」も「避けて通れない道」(菊池)と受けとめるしかないのかもしれない。

 9/26(追記)スーパー大学に37校
 371文部科学省は26日、世界トップレベルの教育・研究を目指す「スーパーグローバル大学」37校を選定し、公表した。1大学辺り毎年1億〜4億円の資金を国が10年間投入して国際競争力を強化し、大学の世界ランキングでトップ100入りなどを目指す。グローバル化が進む中、世界の大学が有能な人材の争奪戦を繰り広げ、日本が取り残されかねないとの危機感が背景にある。


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