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2014年7月14日 (月)

子どものスマホ「夜間制限令」

 毎日新聞(7/14)から、

 全国で、児童生徒のスマートフォン(スマホ)などの夜間使用を制限する動きが広がっている。先駆けは愛知県刈谷市だ。4月から全21小中学校がPTAと連携し、午後9時以降は児童生徒のスマホなどを保護者が預かるよう呼びかけた。効果は出ているのか。主導した刈谷市立雁が音中(生徒850人)の生徒や親に聞いた。

《与えておいて、取りあげるのも可哀相と言えばそれまでだが、この問題は今に始まった事ではない。ひとたび手にすれば、子どもは離したくない危ない類いの玩具とも言える。幼少から与える必要もないものを、親は親自身のもつ「みんなが、みんなが」の付和雷同心理から、「みんなと同じように」してやりたい心理が動く。買ってやるに当たっては、十分テレビや新聞など、マスメディアでマイナス面の報道がされていることは承知しているはずだ。最悪持たせるにしても、特に、小学生には電話機能さえあれば多機能スマホは無用のものだ。事前の使用上の家庭教育もできないで、親の育児監督責任をどのように考えているのだろうか。甘やかすことが育児ではない。厳しく躾け、将来の社会の荒波を乗り切る人格を育ててやることが親の責務だろうに。》

 「最初はいやだったが、もう慣れた」と話すのは、今野結惟(女・14)=3年=だ。3月までは無料通信アプリ「LINE(ライン)」で夜遅くまで友達とメッセージをやり取りしていた。今は原則9時以降は使わず、どうしても使いたい時は親の了承を得るという。

 使用制限について山本翔輝(男・14)=同=は「反対。一方的だし、こんな便利なものを制限するなんて」と不満げだ。家庭で抵抗したが、親から「刈谷市全体で決めたルールだから守れ」と言われたという。

《スーパーなどで「おじさんに叱られるから」などと教える親と同じだ。親がどう思っているかが子どもには大事なことなんだ。親がなぜ、市が制限するのかを理解させず、自分自身の教育方針も持たないで、こんな指導をやっているようではまともな子には育たない。》

 保護者側も悩みは尽きない。女子生徒の母、鈴木満里(42)は「娘は次第に『返信しないと明日困る』と言い始め、夜9時以降もメールするようになった」と嘆く。だが、友達から「返信がなかった」と言われたくない娘の気持ちも理解でき、無理に取りあげる気にはなれないという。

《その友達と話し合いすることのアドバイスもできず、成すがままに終わらせる親の典型だ。それこそ先の親のように、「親に叱られるから」を使えばいい。なぜなら、親の庇護下にある子には、親の言葉は守らなければならない義務があるからだ。》

 男子生徒の母、多良裕子(43)も「反抗期で言うことを聞かない。夜になっても『目覚ましに使う』などと言ってスマホを離さない」と困り顔だ。「受験が近いのは自覚しているようなので、自分で気づいてほしい」と期待する。

《放っておいて、後の祭りとなるのがオチだろう。》

 刈谷市のスマホ規制は、雁が音中の大橋校長らが呼びかけて始まった。子どもが夜遅くまでラインやメールのやり取りをして生活習慣が乱れたり、悪口からいじめやけんかのトラブルが起きたりしたのがきっかけだった。

 全小中校共通で「夜9時以降はだめ」と決めたのは「基準を設け、市全体で取組む方が、親が子を説得しやすい」(大橋校長)という狙い。「9時はあくまで目安。時間は親子で話し合って変えてもいい」と大橋校長は話す。

 雁が音中が5月に全校生徒に実施したアンケートでは、制限について「賛成」が49%と、「反対」の10%を大きく上回った。効果については「勉強に集中できるようになった」(27%)、「睡眠時間が増えた」(22%)、「精神低に楽になった」(7%)と、前向きな回答が一定数集まった。

 アンケートでは、呼びかけを機に、スマホなどを持つ生徒の69%が使い方について保護者と話し合い、40%が各家庭で使わない時間を決めたことも分かった。大橋校長は「真の狙いは、保護者にスマホの使い方を子どもと話し合ってもらうこと。今は4割でも、続けていけば数年後に変化が生まれる」と期待する。

 小野田真鈴(女・14)=3年=は親との話し合いで、夜に塾へ通い、午後9時以降も連絡を取る必要があるため「携帯を使うのは午後10時まで」という「独自ルール」を作った。「ラインは自分から終えるのが難しく、友達とのやり取りで夜遅くなることもあった。今は受験勉強に専念できる」。もうスマホに振り回されている様子はなかった。

 刈谷市に続き、愛知県新城市や豊橋市、兵庫県多可町も4月以降、スマホやラインの利用制限を各家庭に呼びかけた。

 こうした動きが広がる中、愛知県蒲郡郡市立蒲郡中は6月17日、全校生徒を集めてスマホの取り扱いについてルールが必要かどうかを話し合った。

 生徒は「ルールはあった方がいい」「必要ない。自己責任だ」などと意見を交わした。議論の参考に示された全校生徒へのアンケート結果では、午後11時〜午前0時に就寝する生徒が42%、1日3時間以上スマホを使う生徒が25%だった。

 尾見教頭は「話し合いはルールを作ることが前提ではない。子ども自身に、考えて判断してもらいたかった」と狙いを話す。今後も学級ごとに話し合いを続け「ルールが必要だ」との声が高まれば改めて利用制限を検討する。

 一方、雁が音中は、ルールを広めるのに加え、スマホやインターネットとのつき合い方を学ぶ授業も始めている。

 6月20日の授業。3年生は、生徒が写った集合写真を見ながら「もしラインなどに投稿し、コメントをつけるとしたら」との想定で、用紙にコメントを書いた。そして「友達の実名を無断で出した」「会話に加わっていない人の悪口を書いた」とコメントの問題点を指摘しあった。

 内閣府の2013年のサンプル調査では、小中高校生の60%が携帯電話を持ち、そのうちスマホは57%。11年度の6%から急増している。藤川・千葉大教授(教育方法学)は「スマホの普及で、子どもの生活が急変している。重要なことは『何時からスマホを預かるか』ではない。遅くまでスマホを使うとどんな問題があるのか、子どもらが話し合い、理解することだ」と指摘している。

《スマホを預かる預からないなど、時期の問題ではないだろう。親が放っておいても子どもたち自らが時間管理ができ、生活リズムを整えられるように導いてやるのが親の責任だろう。》

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