« 性同一性障害:学校に相談606人 | トップページ | 2014年版 男女共同参画白書から »

2014年6月16日 (月)

いじめ防止対策推進法が成立して21日で1年

 毎日新聞(6/16)から、《》内は私見

《これまでも、数字ばかりで本質問題を見ようとしない「いじめ」報道には、いい加減うんざりで、いつまでも発生した数を数え上げていでは解決なんぞ不可能でしょ、と関心は薄れるばかりだった。いじめの原因は、いじめる側にこそその本質的な問題が内包されているのだから。いじめる側にメスを入れない限りこれからも、延々いじめは無くならないと言い続けてきた。その意味ではいじめは学校の問題ではないのだ。最近、維新の会の橋下徹が、授業妨害になる問題児の「隔離」教育を提案したが、これまで、何一つ制約や規律もなく、叱ることもできず甘やかすだけの授業に厳しい問題提起を突きつけた。いつまでも箍の緩んだ「ゆとり」の弊害を払いのけなければ、いじめ対策も看板倒れに終わるだろう。》

 大津市の中2男子生徒自殺事件(2011年)をきっかけにした「いじめ防止対策推進法」は、いじめ対策に関する初の法律として期待された。なぜ、いじめを苦に自ら命を絶つ悲劇が繰り返され、教育委員会の隠蔽体質は改まらないのか。第三者調査委員会の委員として大津市事件の調査に携わった教育評論家の尾木直樹に聞いた。

 法律をどう評価していますか。
 ☻急ごしらえで成立した感はあるが、歴史的な意義は大きいと思います。国がいじめを重大な問題として位置づけ「社会全体で解決していこう」と合意形成されたことは大きな前進です。これまで教委や学校の不作為の前に泣き寝入りを余儀なくされ、苦しんで来た被害者にとって法律という「武器」を手に闘えるようになりました。一方で、実効性に課題が出ているのも時日です。

《「社会全体で解決していこう」と言った途端に、責任の所在は不透明になる。社会全体はいいが、そのどこが進んで責任を取ろうと名乗り出るのだろうか。作文で済まそうとする無責任なお上の常套手段だ。》

 学校がいじめの事実を認めないケースが今も相次ぐのはなぜでしょうか。
 ☻いじめがあったことをマイナス評価ととらえる意識が根強く残っているからでしょう。自分のクラスや学年でいじめが起きれば「指導力不足」とレッテルが貼られてしまうのでは、という考えがあるのです。背景には、00年代に入ってから教師の「階級」制度や評価制度が持ち込まれたこともあります。校長を筆頭に、副校長や教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭といった上下関係が敷かれ、教師間の「同僚性」が失われ、相談しにくい雰囲気があるのです。

 教委はどうですか。
 ☻構造は同じです。教委は人事など学校に強い権限を持っています。学校が、いじめの事実を報告すれば不利な扱いを受けるのではないかと考えてしまう。また、いじめがあったことを認めると、被害者側から裁判を越されてしまうという「組織防衛」的な意識もあるでしょう。大津市の事件では、男子生徒が自殺した3日後に、学校と教委は弁護士に相談していた。この時に、いじめとの因果関係を否定する方向性が決まったと見られます。しかもその後、相談した記録が作治されていました。

 長崎県上五島町の中3男子生徒自殺問題でも、直後に学校が実施した調査でいじめを示唆する記述があったのに、町教委は遺族に「いじめは見つからなかった」と回答しました。
 ☻法律の趣旨が現場に伝わっていませんね。遺族の側に立つという視点が決定的に欠落しています。

《いじめがどのようにして怒ったのか。そもそもの「いじめ」に対する根本的な問題意識が欠落しているのが、これまでのいじめへの取り組み方なのだ。いじめが起った後のことばかりをあれこれ掘り返し、本質的な「いじめ」の発生問題の取組みができていないのだ。これでいじめがなくなるわけはない。》

 いじめとの因果関係を調べる調査委員会は機能しているのでしょうか。
 ☻機能しているケースもあります。熊本県和水町で中3男子生徒が12年7月に自殺した問題では、第三者調査委員会が事実を丁寧に積み重ね、11件のいじめ行為を認定しました。法律の付帯決議や国が策定したいじめ防止基本方針でも触れられいますが、メンバーに第三者を入れることは不可欠です。少なくとの被害者側が推薦する人を1人入れるべきです。山形県天童市で今年1月に中1女子生徒が自殺したケースでは、調査委設置を巡って、教委と遺族が対立していますが,遺族からすれば教委や学校に都合良く調査結果がまとめられてしまうのではないかという不信感があるのだと思います。

 教委の指導力も課題ではないでしょうか。
 ☻大津市の事件では休み時間の「プロレスごっこ」という遊びがエスカレートしていじめに転化しました。教師に「助けてあげて」と訴えた生徒もいたのに救えなかった。早い段階で対応していれば事態も変わった可能性があります。明らかに教師の力量不足。思春期の子に対する認識が不足しています。NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」の調査では、児童生徒からいじめの相談を受けた時に「解決の自信がある」と回答した教師は小学校で41%、中学校では26%です。いじめ対応への自信のなさがうかがえる結果で深刻です。

 では、どうすればいいのでしょう。
 ☻教師への実践的な研修が必要です。現代のいじめの特徴や思春期の特性についてしっかり身に着けてもらう。国がプロブラムを作るより自治体や学校が自主的に作り上げる方がいいかもしれません。大学の教員養成段階でもいじめ問題を取りあげるべきです。また、教師を取り巻く環境を変える必要もある。多忙性を解消し、教師の「階級」制度や評価制度を緩和し、学校全体でいじめに取組む体制を作ることが必要です。

 子どもがいじめをしないための教育はどうすればいいと考えますか。
 ☻いじめに軽重はありませんん。子どもには「いじめで苦しまずに安心して生活し学習できる権利がある」ことを教えなければいけません。いじめている子には、いじめがその権利を奪う行為だというを自覚させる。周りの児童生徒もいじめの傍観者になるのではなく、堂々と「NO」と言えるような学級づくりが必要です。子どもが主体的にいじめ問題に関われるようにしていくことです。

|

« 性同一性障害:学校に相談606人 | トップページ | 2014年版 男女共同参画白書から »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/107998/59827504

この記事へのトラックバック一覧です: いじめ防止対策推進法が成立して21日で1年:

« 性同一性障害:学校に相談606人 | トップページ | 2014年版 男女共同参画白書から »