乳幼児に「くる病」が急増
毎日新聞(5/2)から、
栄養不足の時代に多かった乳幼児の「くる病」が最近、増えている。紫外線対策の普及や母乳栄養の推進などが複合的に関係しているという。専門家は「くる病は母乳で育っている子どもに多く、特に注意してほしい」と呼びかける。
《長く母乳の効用が言われてきたが、逆に害悪と言われた母親たちは一口記事のような説明では不安になるばかりだ。》
くる病はビタミンDが極端に不足することで血中のカルシウム濃度が下がり、骨の変形や成長傷害などを引き起こす。歩き始める1歳以降、足に負荷がかかってO脚になりやすい。東京大大学院の北中准教授(小児医学)によると、1990年代はほとんど見られなかったが、2000年ごろから学会報告が目立ち始め、最近は臨床現場で珍しくなくなった。東大病院ではこの10年ほどで、診断したり他施設からの相談を受けたりしたケースが約100件に上る。
ビタミンDが欠乏している乳幼児の増加の3大要因は、母乳栄養の推進、日光浴不足、偏った食事――という。母乳は赤ちゃんに大切な免疫物質が含まれるなど利点が多いものの、ビタミンDは人工乳に比べて極めて少ない。また、ビタミンDは太陽の光るにあたると体内で作られるが、皮膚がんやしみ・しわ予防の観点から紫外線対策が普及したことも影響している。
食物アレルギーでビタミンDを多く含む卵や魚などを取るのを制限している場合もあり、こうした要因が重なると発症しやすい。
北中准教授は「世界的にもビタミンD欠乏症が増えている。予防策として、特に母乳で育ている子には、日焼けしない程度に日光浴させたり離乳食で魚を取らせたりしてほしい」と話す。
《いまでは老いも若きも紫外線対策に狂奔のさまだが、現在母親になっている姉の長女が乳幼児だったころ、日光浴のため冬でも丸裸になってガラス戸越しに縁側に寝かされていた姿が目に浮かぶ。》
日本小児内分泌学会は昨年、診断の手引きを作成した。血中ビタミンD(25OHD)濃度の測定などで診断するが、25OHDの測定は保険適用になっていないなどの課題もある。
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