続・代理出産を限定容認(自民PTが3素案)
毎日新聞(3/7)から、
参照 ①代理出産を限定容認(自民PTが素案)2014/01
②学術会議報告案「代理出産 全面禁止」2008/02
自民党の「生殖補助医療に関するプロジェクトチーム」(PT、座長・古川俊治参院議員)は6日、不妊治療などの生殖補助医療に伴う第三者の精子・卵子使用や代理出産を、条件付きで認める法案の素案を示した。第三者が関与できるのは法律婚の夫婦に限定し、代理出産は妻が医学的に妊娠できない場合に限った上で、条件の異なるA〜Cの3案に分類。生殖補助医療で生まれる子どもと親の法的関係も定めている。
素案は精子・卵子のいずれかが第三者提供である場合に加え、精子、卵子がともに第三者提供というケースも容認。代理出産は、妻が先天的に子宮がなかったり摘出したりした場合などに限って認め、実施する医療機関を厚生労働相が指定する点は共通している。
その上でA案は代理出産について、夫婦間の精子・卵子による受精卵のほか、妻に卵巣が場合は夫の精子と第三者の女性の卵子を使うことも認める。一方、B案では精子・卵子使用を夫婦間に限っており、さらにC案は代理出産自体を家裁による許可制とした。
夫婦や提供者の斡旋や同意書の保存は厚労相の指定機関が行ない、同意書は80年間保存。第三者の精子・卵子で生まれた子どもの遺伝情報を確認できる仕組みだが、子ども自身に出自の確認を認めるかは賛否が割れており、今回の法案では結論を出さない方針だ。
法的な親子関係は3案とも出産した女性を「母」と認定。ただC案では家裁の許可を得て行なう代理出産の場合、依頼した夫婦の側を「父母」とした。PTは議員立法で今国会の法案提出を目指すが、伝統的な家族観を重視する自民党保守派の反発も予想され、意見集約は不透明だ。
法案の焦点の一つが、第三者に妊娠・出産をしてもらう代理出産を認めるかどうかだ。
代理出産を巡っては、斡旋業者を介して米国やインドなどの海外で依頼する日本人夫婦が後を絶たない。
しかし、生まれた子の引き渡し拒否 ▽子の引き取り拒否 ▽引き受けた女性の死亡 ▽子どもの傷害による中絶 ——などさまざまなトラブルが報告されている。国内でも、ごく一部の医療機関で実施され、国内で公的ルールを整備し限定的に道を拓くよう求める声が上がっていた。
妊娠.出産は女性の心身に大きな負担やリスクを伴ううえに、代理出産には「女性の体を道具として使うことにならないか」という倫理的な懸念がある。
このため、厚生労働省の部会は2003年、代理出産を禁じる法制化を求めたが、国会議員の反対などで見送られた。日本学術会議も08年に原則禁止の提言をまとめた(参照②)。また、日本産科婦人科学会も実施を認めていない。
今後の議論では、海外の事例から予想されるトラブルへの対応策、出産を引き受ける女性や生まれる子どもへの十分な配慮が求められる。
3/8、追記【参考】
《子どもの出自を知る権利はしっかりと法整備するべきだ。すでに1万5000人以上の赤ちゃんが誕生している。将来に亙って数が増えれば、確率は小さいが、兄弟姉妹間の婚姻が発生することもないとはいえない。》
提供精子で誕生の男性の「遺伝場の父 知りたい」。
第三者の提供精子による人工授精で生まれた横浜市の医師、加藤英明(40)が「遺伝上の父親を知りたい」と、治療を実施した慶応大病院(東京)に精子提供者の情報を開示するよう求める文書を7日、送付した。
提供精子を使った不妊治療は「非配偶者間人工授精(AID)」と呼ばれ、国内で60年以上前から実施されてきた。1万5000人以上の赤ちゃんが誕生されたとされるが、生まれた子どもが遺伝上の父の開示を文書で請求数するのは極めて異例。
慶応大病院のAIDの責任者である吉村泰典教授(産婦人科)は取材に「約40年前のことなので(加藤さんを含めて)記録画が遺棄され、提供者は確認できない」とした。
加藤は医大生だった2002年12月、血液検査の実習がきっかけで父親と血のつながりがないことを知り、精子提供で生まれたことを母親から聞かされた。「自分の体の半分が、名前も分からない誰かでできているという感覚は今も消えない。精子提供者の開示を認める精度を整備してほしい」と話す。
出自を知る権利をめぐっては、厚生労働省の部会が03年の報告書で精子提供者開示の制度化を盛り込んだが、実現していない。
参照 卵子・精子提供 親が子に告知「必要ない」37% 2013/09
《親といえども、子の出自を知る権利を隠蔽し、妨害する権利はない。》
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