ペットのにおい 対策は
毎日新聞(3/17)から、
《現在は吸わなくなって20年経つが、まだ30代(うーん、半世紀も前のことだ)のころ、人より遅く吸うようになっていてタバコを買うのは常に「たばこ屋」だった。ある日、初めて訪れたばこ屋で購入することになったが、小さなガラス窓の向こうに着物姿のお婆ちゃんが、隣に犬を座らせて店番をしていた。私の求めに応じてそのお婆ちゃんがガラス窓を開いた途端、部屋の奥からの生暖かい空気とともに、飼い犬の吐き気をもよおす淀んだ空気が鼻を突いた。思わずそれ以上息を吸い込むこともできず、無言で息を殺し、たばこを奪うように手にして支払いをすませると後ろを向いて息を吐いた。》
家族の一員としてペットが室内で暮らす場合、「においがきつい」「来客に臭いと思われたくない」と悩む飼い主は多く、さまざまな消臭グッズも増えている。愛犬や愛猫と一緒に心地よく暮らすためにはどのようなにおい対策を取ればよいのだろうか。
小林製薬(大阪市中央区)が昨年11月、室内で犬を飼う全国の210人を対象に尋ねたところ、47・1%が「自宅でのにおいが気になる」と答えた。においが気になる時(複数回答)は、犬に近寄った時(52・5%)▽犬のいる部屋(43・4%)▽帰宅時(28・3%)▽来客時(18・2%)・・の順だった。
《自分の帰宅時に気になるにおいが、来客時には10%も低いとする神経は、他人への迷惑を気にしない随分勝手な神経だ。》
フランスの高機能ペットフードメーカー「ロイヤルカナンジャポン」(東京都港区)の獣医師、原田洋志(48)は、「『臭い』とにおい消しに走る前に原因を知ってほしい。においは健康のバロメーターです」と話す。
原田によると、犬のにおいは主に①体臭②口臭③糞尿集・・の3種類。犬の汗は皮脂や蛋白質を多く含み、酸化して毛穴が詰まり細菌が繁殖することで体臭になる。人間て言うワキガ臭と同じ原理。皮脂の分泌が増えると体臭が強まるが「食事の栄養バランスが重要で、脂肪分が多過ぎても少な過ぎても皮脂の分泌が増えます。また、亜鉛や銅などのミネラル不足やビタミンA不足でも、皮脂の分泌が増えます」(原田)。
口臭は歯垢や歯石に繁殖した細菌がにおいもの。放置すると、歯槽膿漏で歯を失ったり、心臓病や腎臓病を引き起こしたりする。原田は「歯の治療は全身麻酔が必要な大治療なので、できれば、小さい頃からの歯の掃除を嫌がらないよう躾けるのが望ましい」と話す。また、糖尿病や肝臓病で口臭が発生することもあり、普段と異なる強いにおいは注意が必要だ。
糞尿集は腸内で未消化の蛋白質が分解される時の悪臭。原田は「消化の良い蛋白質を与えることや、食物繊維を多く含む食事で腸の働きが改善します。また、運動不足だと腸の働きが鈍ります」とアドバイスする。いずれも食べるものの影響が大きい。「どんなペットフードが適するかは犬種や年齢で異なるので、ペットショップに相談してほしいい」。
ペット用のタオルやシートが不潔でにおう場合もある。ライオン商事(東京都墨田区)と東京農工大獣医学科が先月発表した共同調査では、室内飼育のペット周辺の衛生環境を調べたところ、細菌や真菌(カビ)が通常の100〜1000倍検出された。これは洗剤で洗濯するだけで通常程度に減少したという。
乳幼児や高齢者など抵抗力の弱った人が日和見感染を起こすこともあり、同社は「唾液や汚物が付着しやすいタオルやマットなどペットの使用する布製品はこまめに洗濯し、清潔を保つことが重要」としている。
健康と衛生に気を配っても気になるにおいには消臭グッズを上手に使いたい。「犬は嗅覚が鋭く、嫌いな香りには歯を剥き出して吠えたり、後ずさって逃げたりするストレス行動を見せます」。犬2000頭を対象としたテストで、犬が好むのはカモミールやローズマリーなど草むらや土のような香りであることが分かった。
猫は、獲物に近づいて狩りをするために体をなめてにおいを消す習性があり、体臭や口臭は犬よりずっと少ない。糞尿集はおしっこが濃いと強くなるので、水分を十分に与えること。水を飲みたがらない性格の場合は、ドライフードよりもウエットフードが水分を補給できるという。
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