アフリカに広がる反同性愛
毎日新聞(3/22)から、
アフリカで同性愛者迫害が広がっている。ナイジェリアで1月、ウガンダでは2月下旬に同性愛禁止を強化する新たな法律が制定、施行された。欧米各国や国際人権団体は両国への批判を強めるが、西洋の影響で同性愛が広まったと信じる反欧米感情や、米国からアフリカに進出するキリスト教保守派の影響も指摘され、「反同性愛」機運の高まりの背景は複雑だ。
ナイジェリアのジョナサン大統領が1月署名し発効した新法では、同性婚関係となったカップルに対し最高で禁固14年が科せられる。ゲイクラブや同性愛団体などの運営に携わったりした者にも最高で禁固10年が科せられる。
一方、ウガンダでは先月24日、ムセベニ大統領が新法に署名。こちらは、同性愛関係を持った者に対し「初犯」の場合は禁固14年、未成年と関係を持つなど「悪質」と判断されると最高で終身刑を科される。
国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」(本部・ロンドン)によると、アフリカ(54カ国)で、同性愛を違法としている国は36カ国あり、モーリタニア、スーダン、ナイジェリア北部、ソマリア南部・・では最高で死刑が科せられる。
国連はナイジェリア、ウガンダ両国の新法を人権侵害とみなして批判。米国も強い不快感を示し、デンマーク、オランダ、ノルウェーは即座にウガンダに対する援助停止を決めた。
欧米の懸念が強まる一方で、英紙デーリー・テレグラフによると、ウガンダでは新法支持者が97%に上る。
同性愛は西洋文化が持ち込んだもので「反アフリカ的」との見方が社会に一定程度広がり、反同性愛の世論を支えている。アフリカ各地では同性愛者への攻撃も報告される。新法を批判する欧米に対し、ムセベニ大統領は「社会帝国主義」と反発を強める。
《古代ギリシャやローマからの同性愛の歴史を考えると、2000年以上の年月をかけてやっと 「偏見による犯罪」禁止法の成立をみることになった国もある。にも拘らず、そのことを背景に、アフリカに「右に倣え」と迫るのは短兵急、余計なお世話というものだ。アフリカの歴史において自身が、同性愛や同性婚を認めるのはこの先10年、いや100年かかっても不思議ではない》。
反同性愛の法制化には政治的動機があるとの指摘がある。ウガンダの人権活動家、ケネス・バロンゴ(43)は本紙の取材に「2016年の(ウガンダ大統領・議会)選挙をにらんだ政治的利用だ」とし、実際に法案署名後、大統領の人気が上昇していると話す。
一方で、ウガンダなどアフリカ各国に進出する米国のキリスト教保守派の影響が法制化につながったとの見方もある。ナイジェリア、ウガンダでは英植民地時代の法律を継承する形で従来同性愛は非合法だった。だが、かつては、ナイジェリアではシャリア(イスラム法)が敷かれる北部に比べ、南部では同性愛に寛容で、ウガンダも同様だった。
しかし、現在のアフリカでは、キリスト教の中でも同性愛を批判する保守派の福音主義者が勢力を拡大している。アフリカ南部のザンビア出身の英国国教会司祭で米シンクタンク研究員のカピャ・カオマ師は論文で「米国の保守福音主義者がアフリカでのホモフォビア(同性愛嫌悪)を促進するのに大きな役割を果たしている」と主張する。保守派が同性愛の「危険性」を訴えることで、人権擁護に熱心なキリスト教主流派を追い込んでいると分析した。
バロンゴ氏も今回の法制化について、「米国の福音主義者は表面には出て来ないが、背後から支援している」と指摘した。
参照 米、同性婚容認に賛否 2013/06
同性愛者受難(南アフリカ)2012/06
セサミストリートの人気キャラに同性婚させてと署名に活況 2011/08
同性婚禁止は「合憲」2006/10
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