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2014年3月11日 (火)

硫黄島の遺骨収集

 毎日新聞(3/11)
 連載『現代史探検』の最終回12回[硫黄島の遺骨収集]から

 太平洋戦争末期の1945年、太平洋の孤島である硫黄島(東京都小笠原村)で日米両国が激突し、日本軍2万人以上が戦死した。戦後70年近く過ぎた今も、半数の遺骨が現地で眠ったままだ。「未完の戦後」を象徴するかのような同島だが、事態が大きく動く可能性が出てきた。

 参照 硫黄島の遺骨収集 2010/12
    硫黄島の遺骨収集は 2009/07
    硫黄島 2006/11
    遺骨収集事業 2005/12

 昨年12月。硫黄島にある滑走路の移設に着手し、滑走路地区全体を掘削、遺骨収集に着手することが、関係省庁の会議で決まった。スケジュールなど詳細は未定だ。「とにかく、政権として全面的な遺骨収集という方向性を決めたかった」。新藤総務相は2月末、社のインタビューに対し、語った。

<中略>

 *《滑走路下に埋められていることは早くから分かっていた。日本の敗戦も近い時期、日本本土爆撃の拠点として硫黄島がB29の出撃飛行場として必要なアメリカ軍が、多くの日本兵の遺体を一緒に地ならしし、その上に滑走路を施設したことは、旧いブログの参照でも触れておいた。同島では米軍人も6821人が戦死しているが、小笠原諸島返還(1968年6月26日)前にすべて掘り起こし、米国のアーリントン墓地に移した。また、同飛行場は1968(昭和43)年以降、自衛隊が使用。》

 日本政府による遺骨収集は52年度に初めて行なわれ、68年度からほぼ毎年行なわれている。1年で2837柱を収容したこともある(69年度)。だが次第に減り、2009年度までの10年間は年平均で64柱だった。

 10年、事態は大きく動いた。民主党政権の菅直人首相は「アメリカに資料があるはずだ」として、米国通の阿久津衆院議員(いずれも当時)を米国立公文書館に派遣。現在の自衛隊滑走路西側と、激戦地だった擂鉢山の麓に集団埋葬したとする記録を発見した。これに基づいて調査したところ、10年度だけで822柱、11年度は344柱を収容した。「政治主導」が成果を上げた一例である。

 それでも、今年2月までに収容した遺体は約1万柱で、戦死者の半数程度にとどまる。

 長年懸案になっているのが、島の中央部にある自衛隊航空基地の滑走路下だ。

 <中略>

 防衛省は「高性能地中探査レーダ」を開発し、12〜13年度、l滑走路や誘導路などの調査を行った。地下10メートルで50センチ規模の空洞を、地下4メートルでは直径3センチの円柱状の固形物を探査できる。前者は日本軍の地下壕を、後者は遺骨の大腿骨を想定したものだ。この結果、滑走路下で3カ所の壕が確認された。このうち1カ所は未探査だ。また1798カ所で、固形物が埋まっているとの反応があった。

 4月以降、レーダーで反応があった場所を掘削し、遺骨が見つかれば収容する。その結果を踏まえ、現滑走路の移設に着手し、地区全体で掘削と遺骨収集を進める。一連の事業には10年以上、総額500億円程度かかる見込みだ。

 滑走路地区に、どれほど遺骨が眠っているのか。滑走路付近で試掘したところ、固形物の反応があった9カ所のうち8カ所から出土したのは石だった。もう1カ所はレーダーが地層の変化に反応したと思われ、やはり遺骨は見つからなかった。「掘ってみなければ分からない」のが現状だ。

 生還者の一人、元海軍上等兵曹、金井啓(09年、85歳で死去)は生前、インタビューにこう語った。「米軍の攻撃が激しく、目の前で倒れた戦友さえ埋葬できなかった。せめて遺骨を帰してあげたい」。

 戦没者遺骨は、海外で100万柱が眠ったままだ。硫黄島は、離島とはいえ首都東京の一部。そこでどのような成果を上げるのか。生還者や遺族が高齢化する中、政府にとっての試金石である。

《遅きに失するが、遺骨が戻って来られる戦死者はまだいい。海戦で海の藻屑と消えた人、神風特攻隊で敵艦に突っ込んで粉砕していった若者、敵艦にまでとどかず、空中で撃ち落とされて海中に沈んで行った若者たちは、日本に、故郷に、父や母、妻や恋人、兄弟姉妹のもとに、帰って来る望みはないのだ。》

 参照 戦争はまだ終わってはいないー、放置されたままの「英霊」 2008/10
 

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