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2014年1月15日 (水)

夫が転勤 働く妻はどうする

 昨年、毎日新聞10月の記事から

《働く女性自身の転勤問題でもそうだが、夫が転勤、それも海外となると妻はどうするのか、或いはどうすればいいのだろうか。》

 政府は、国家公務員が配偶者の海外転勤についていく際、最長3年の休業を認める新しい制度の創設を決めた。企業の中にも同様の制度を取り入れる動きも出始めている。結婚後も仕事を続ける女性にとって、夫の転勤は大きなハードルだが、新制度は働く女性にとって福音となるのか。

 「次ぎ、中国に赴任することになったから」「えー!」
 資生堂ブランド企画課の近藤さん(43)は2008年夏、国家公務員の夫(42)から電話でこう聞かされた時のショックをはっきり覚えている。「ついに私も退職しなきゃいけないか・・・」

 「夫の転勤」は結婚した時から覚悟していた。週末だけ会う「別居婚」を経験したこともある。でも、まさか海外転勤とは、予想外だった。

 当時、2人の子どもは0歳と2歳。お互いの両親も遠方に住んでおり「イクメンの夫がいたから、何とか仕事を続けられた」という近藤にとって、夫と長期間離れる生活は考えられなかった。商品開発の仕事にやり甲斐を感じていたが、一旦は退職を覚悟した。

 だが、その後すぐ、配偶者の海外転勤について行くため最長3年間休職できる制度が、自社で始まったばかりだと知った。勤務年数などの条件はクリアすることがわかり、09年夏から3年間休職した。

 中国にたくさんの日本人駐在員がおり、その妻たちの中には、泣く泣く仕事を辞めた女性も多かった。

「帰国後に何とか再就職したいと勉強しているけれど、希望が持てない、と悩んでいる人もいた。私が制度のことを話すと、大抵は羨ましがられました」。「復帰のチャンスをくれたのだから」と、近藤も子育てのかたわら中国語を猛勉強。中国政府公認の検定試験で最上級の資格も取った。グローバル展開する自社で、いつか語学力を役に立てたいと思う。

 「当社の国内事業所社員の約8割が女性。女性愛用者のニーズを捉えた商品やサービス開発のためにも、女性が離職せずにキャリアを伸ばせる体制作りが不可欠です」と、同社人事部の久保グループリーダーは話す。08年度の制度開始から13年度8月末までに、制度を利用したのは34人。全員が女性という。

 ワーク・ライフ・バランスに詳しい学習院大経済学部の脇坂教授は「グローバル時代の企業にとって、配偶者の海外転勤にどう対応するかは喫緊の課題だ」と訴える。「だが、重要性がなかなか認識されていない」とも。

 1厚生労働省が11年度、末の子を妊娠中や復帰後間もない時期などに退職した20〜40代の女性に退職理由を聞いたところ、「夫の勤務地・転勤の問題で継続困難」は、正社員で9・7%、非正社員で5・8%だった(複数回答)。「家事・育児に専念するため自発的に辞めた」(正社員34・5%、非正社員48・1%)などに比べれば少数派で、他の問題が多過ぎて「後回し」になっている格好だ。

 制度導入を決めた国でさえも「配偶者の海外転勤に伴う退職は、退職理由に記載されないことが多い」(人事院)との理由で、正確な退職者数も把握していない。実態すらなかなか見えないのが実情だ。

 脇坂教授は「若い男性社員の最近の赴任先は、開発途上国が中心。先進国に比べ環境はより厳しくなっている」と指摘。「女性を中心とする『ついていく人の就業継続』という視点だけでなく、赴任する社員が実力を発揮するためにも、家族がついて行きやすい制度の充実が求められる」と話している。


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