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2014年1月29日 (水)

自転車事故死、信号無視の男性に賠償4746万円

 毎日新聞(1/29)から、

 信号無視の自転車に衝突されて死亡した東京都内の女性(当時75歳)の遺族が、自転車に乗っていた会社員の男性(46)の1億636万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、4746万円の支払いを命じた。三木素子裁判長は「男性は脇見をして前方を注意していなかった。青信号で横断歩道を渡っていた被害者に何ら落ち度がない」と述べ、高額の賠償責任を認めた。

 訴えていたのは、亡くなった東令子の夫(83)と長男(43)。

 判決などによると、事故は2010年1月10日、東京都大田区の交差点で発生。横断歩道を渡っていた女性に、競技用自転車に乗った男性が赤信号を無視して時速15〜20キロで衝突。女性は転倒して頭を強く打ち、5日後に死亡した。裁判長は事故と死亡の因果関係を認定し、「男性は自転車を運転する際の基本的な注意義務を怠った」と指摘した。

 この事故で東京地裁は10年8月、男性を重過失致死罪で在宅起訴。禁固2年、執行猶予3年の有罪判決が確定した。

 判決後、長男は東京・霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見し「被害が悲惨なことは自動車事故と変わりなく、悔しい思いが理解してもらえた」と安堵の表情を浮かべた。代理人の正田弁護士は「自動車事故と同様の賠償額を算定してくれた」と評価した。自転車事故には刑法の自動車運転過失致死傷罪が適用されず、男性はより刑の軽い重過失致死罪で起訴された。長男は、「乗り方を間違えれば、自転車も凶器になることを知ってほしい」と訴えた。

 1自転車で歩行者を死傷させた人に高額な賠償を命じる判決は各地で相次いでいる。特に歩行者が歩道や路側帯など「保護される場所」にいた場合は自転車側の責任を100%としたり、歩行者側に過失があっても軽くしたりする判断が目立つ。

 神戸地裁は昨年7月、自転車で坂道を下っていて路肩寄りを歩いていた女性とぶつかり意識不明となる怪我をさせた小学5年男児(当時)の母親に、損保会社の支払い分も含め9520万円の賠償を命じた。判決は、女性にも前方不注意があったとする母親側の主張を退け「母親の指導や注意が不十分」と指摘した。

 自転車は手軽な乗物だが、歩行者を死傷させれば、裁判所は車と同様の賠償責任を認める傾向にある。


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