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2013年11月25日 (月)

新出生前診断で中絶「育てる自信ない」

 毎日新聞(11/22、23)から、

 参照 新型出生前診断の精度はどれくらいなのか 2012/11/
    新型出生前診断(ダウン症診断)って? 2012/09/
    ダウン症診断 2012/08/

 妊婦の血液から胎児の疾患を判定する新形出生前診断(NIPT)の臨床研究で、診断結果が陽性反応だった67人のうち、その後の羊水検査などで陽性が確定した少なくとも54人のうち53人が中絶を選んでいたことが分かった。臨床研究を実施する研究者らが参加する組織「NIPTコンソーシアム」(組織代表=北川道弘・山王病院副院長)が今年4月から9月末までに検査を受けた約3500人について解析した。仙台市で開催中の日本人類遺伝学会で22日、発表する。

 新型出生前診断は今年4月に開始。染色体異常によて起きるダウン症(21番染色体の数に異常がある21トリソミー)、いずれも重い疾患などを伴う13番染色体異常の「13トリソミー」、18番染色体異常の「18トリソミー」の3疾患が対象。陽性と判定されても、35歳の妊婦では胎児がダウン症である確率は80%程度にとどまるため、確定検査を受ける必要がある。

 解析結果を知る関係者によると、解析対象となった約3500人の妊婦の平均年齢は約38歳。3疾患のいずれかで陽性反応が出たのは全体の約1・9%に当たる67人。そのうち妊婦が継続し、羊水検査など確定診断を受けた62人の中で、陽性が確定し、流産もしなかった症例が少なくとも54人おり、そのうち53人が中絶を選んだ。1人は調査時、妊娠を継続するか否かを悩んでいたという。中絶を選んだ53人の内訳は、▽ダウン症33人 ▽13トリソミー4人、▽18トリソミー16人、だった。

 新型出生前診断の開始に当たっては、簡便なため、妊婦が十分認識を持たずに受け、動揺する可能性がある ▽染色体異常のある胎児の排除や生命の選別につながりかねない・・などの問題が指摘された。この診断について、日本ダウン症協会の水戸川理事は「命を選択する手段になっていいのかという議論が進まない中、出生前診断の技術ばかりが進んでいる」と危惧する。

 生命倫理に詳しい棚島・東京財団研究員は「新型出生前診断の眼目は、流産リスクのある羊水検査を回避できる点にあり、中絶の人数ばかりに注目すべきではない。検査の精度を検証するとともに、ほとんどが中絶を望んだことについてカウンセリングに問題があったのか、改善すべきかを明示しないと当初の臨床研究の目的にそぐわない」と話している。

 1_2 異常が確定して中絶を選んだ夫婦の多くが、子どもの将来に不安を持ち、育てる自信がないことを理由に挙げていることが分かった。臨床研究に参加する研究者らでつくる組織「NIPTコンソーシアム」が22日、仙台市で開催中の日本人類遺伝学会で発表、検査前後のカウンセリングの充実を課題に挙げた。
 コンソーシアムのこれまでの解析によると、今年4月から9月に、ダウン症や18トリソミー、13トリソミーを調べる新型出生前診断を受けた3514人のうち67人が陽性反応となり、少なくとも53人が異常確定後に中絶したことが判明した。

 さらに、陽性の症例があった施設にアンケートした結果、誕生後の症状が重いと予想されるという理由が最多の37%を占め、染色体異常の子どもを産み育てる自信がない(21%)、将来設計に不安(21%)・・が続いた。

 コンソーシアムの佐合・国立成育医療研究センター周産期センター長は、同日開いた記者会見で「施設間でカウンセリングを学び合うなどして、より良いカウンセリングを検討するとともに、きちんとデータを出す体制を整備したい」と話した。
 コンソーシアムの臨床研究は来年3月で終了する。その後については、別の病気を対象にするかどうかを含め、新たな臨床研究の継続を検討しているという。

《出生前に胎児の異常の可能性が分かれば、中絶を望むのは親としての人情だろう。親が子以上に存命できるのなら、命に代えても子を守ることができるだろう。しかし、現実の世の中を見ていれば、ダウン症の子の行く末を親が心配するのは当然だ。弱者として生きるには現実の世の中は余りにもむごいことだらけだ。わが子を、いじめあり、虐待あり、殺しありの世の中で生きさせるには、親として安心して死ぬわけにはいかないだろう。親が働いている間の一時預かり所のような他人の手に任せることもできない。親子心中になる将来の心配を避け、中絶を選んだとしても誰も責められない。ただ、生殺与奪が顕微鏡下の出来ごとになるのが悲しいと思う。》

【解説】
 現在の出生前診断は、全国の大学病院などで臨床研究として実施され、その費用約20万円は自己負担となっている。診断を受ける夫婦は比較的高収入で、事前に自分たちで診断について調べるなどして、「陽性の場合は出産を諦める」と決めた上で実施施設を訪れる例も多いという。臨床研究の実施グループが、今回の解析で陽性の症例が出た施設へアンケートしたところ、陽性が確定した症例の3〜4割ではカウンセリングに小児科医も同席したが、「産む選択を迫られる気がする」などの理由で、小児科医の同席を拒否するケースもあったという。強い意志を持って検査を受ける人が相当数いることが現在の特徴と言える。

 中絶の背景に、障害を持つ子を産み育てることに不安を抱いたり、障害を持つ人と身近に接する機会が少なかったりする社会のあり方がある。新型出生前診断を受ける夫婦だけの問題でなく、社会で議論を深めることが必要だ。

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