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2013年11月26日 (火)

遺族年金 男女差は違憲

 毎日新聞(11/26)から、

 1_3 男性より女性に手厚い遺族補償年金の規定が憲法に違反するかが争われた訴訟で、大阪地裁は25日、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると判断した。中垣内裁判長は、共働き世帯が当たり前の今、専業主婦を想定して約50年前に設けられた男女格差の規定に合理性はないと指摘。地方公務員災害補償法(地公災法)の規定を根拠に堺市の元会社員(66)への遺族補償年金の不支払いを決めた処分を取り消した。


【遺族補償年金】
 業務のために死亡した労働者の遺族に年金を支給する制度。民間労働者、国家公務員、地方公務員向けの災害補償法3法で定める。財源は民間労働者は事業主、公務員は税金。公務員の遺族の年金受給者には毎年、遺族特別給付金も支給される。受給者(2011年度末時点)は民間の遺族約12万人、国家公務員の遺族約1500人、地方公務員の遺族約3300人。

 遺族補償年金の男女格差を違憲とする司法判断は初めて。同じ規定は民間労働者の遺族補償や厚生年金にもあり、判決は制度の見直しを促す内容となった。

 判決のよると、元会社員は1998年に堺市立中学教諭の妻(当時51歳)を亡くした。妻は職務上の心理的ストレスからうつ病を発症して自殺し、地方公民災害補償基金(東京)に公務災害と認められ、元会社員は遺族補償給付制度に基づく年金を申請した。

 しかし、基金は、妻の死亡時に元会社員が51歳だったことを理由に、年金の不支給を決めた。地公災法32条の規定などで、夫を亡くした女性は年齢に関係なく年金をもらえるが、妻を亡くした男性の場合は ①妻の死亡時に55歳以上 ②受給開始は60歳以上・・という条件がついているからだ。

 女性は、夫の過去3ヶ月の平均給与の153〜245日分の年金が毎年、生涯にわたり支給される。一方、妻死亡時に54歳以下の男性は平均給与の1000日分の一時金の子宮となる。

 判決は、この男女格差の規定について、妻の多くが専業主婦だった67年に制定されたと言及。しかし、共働き世帯が専業主婦世帯を上回るなど、社会情勢が大きく変化し、「性別のみで受給権の有無を分ける合理的な根拠はない」と認定した。

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 〖解説〗
 共働き世帯が増えた現代にそぐわない。大阪地裁判決は、遺族補償年金の矛盾を浮き彫りにしたと言える。
 この男女格差を巡る議論は以前からあった。1980年の参議院委員会。「夫を亡くした女性は年金支給に年齢制限がない。男女平等に反するのではないか」。議員の質問に国側は答えた。「妻は就業が難しい。就業しても給与が低く、子どもを養う上で生活の困難も考えられる」
 専業周布を想定した規定は80年代半ばに既に、差別的なものではないかという疑念を生んでいた。しかし、格差は放置されている。
 ただ、国も重い腰を上げつつある。母子家庭が対象の児童扶養手当は2010年8月から父子家庭にも支給されるようになった。国民年金の遺族基礎年金も、来年4月から父子家庭にも支給対象になる。社会での男女の役割の変化に、制度が追いついていない証しだ。
 判決は、核家族化によって、配偶者を亡くした遺族が男性でも女性でも家庭での負担に差はなくなり、男性の収入が減少する可能性も指摘した。
 家族の形や働くことへの考えが多様になった今、半世紀前の規定に合理性は乏しいだろう。厚生年金の同様の規定も含め、判決は国の社会保障制度のあり方に大きな宿題を突きつけた。


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