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2013年11月24日 (日)

男性社員、子育てしよう

 毎日新聞(11/24)”社説”から、

《なぜ、男性の育児休業率が上がらないのか。いくら海外の高福祉(高負担)国家を参考に力説しても、根本的な経済的、社会的バックボーンの違いに気づかないでは、いつまで経っても『笛吹けど踊らず』は変わらないだろう。》

 参照 男の育休 2013/10/

 もっと希望者は多いはずだと思うのだが、男性の育児休業取得率(2012年度)は1・89%。女性の83・6%には遠く及ばず、先進諸国の中でも際立って低い。自治体首長らが育休を採った時だけ「イクメン知事」などと話題にはなるが、育児で仕事を休む男性は増えない。

 原因の一つは育休中は給料の半分しか補償されないことにある。子育て世代の若い社員は一般的に給料が低い。育児が出費でかさむ上に収入が半分に減るのでは躊躇するのも無理はない。そこで、政府は来年度から育休補償を3分の2へと引き上げることを検討している。保育所がなくて苦労している女性社員だけでなく、潜在的な育休希望者の男性社員にも歓迎されるだろう。

《そう楽観的にみていいものか、毎月3分の1減収になるとは、3カ月で1カ月分の給料はなくなることだ。半年休業すれば2カ月分が無給となる。これまでよりは多少はいいが、これが実際に歓迎され、取得率向上となるのだろうか。》

 しかし、これだけでは足りない。

 まずは給料の3分の2補償は半年限りという点だ。家族の家計を支える男性社員が安心して休むためには給料の全額補償や期間の延長、育休中の年金や保険など社会保障費の免除など手厚い支援が必要だ。育休補償の財源は雇用保険で、大幅な支出増は難しいと言われる。しかし、親が育休を取っている機関は保育所を利用しないことを考えれば、浮いた分の保育所費用(税財源)を育休補償に回してもいいではないか。

 経済的理由だけでなく、職場の慣行や雰囲気が男性社員の育休取得を阻んでいるもう一つの理由だ。日本の伝統的雇用ルールの特徴は、終身雇用や賃金が年々上がっていくことを保障する一方で、社員に長時間労働や突然の残業、配転を命ずるなど会社側の裁量権が広く認められているところにある。

 これが男性正社員を会社に縛り付ける重力を生んでいる。一日のうち1〜2時間の育休や週に一度の育休など柔軟な制度を認めれば、会社も社員も抵抗感が薄まるのではないか。また、65歳まで働く人が増えていることを考慮すれば、孫のための育休を認めることも検討してはどうか。

 殆どの女性が仕事を持っていることで知られるスウェーデンでも子どもが1歳になるまでは家庭内で育てることを望む人が多いという。最初の10カ月は母親が仕事を休み、その後の2カ月は父親が育休を取得する。保育と幼児教育を一貫して行なうプレスクールを探して入園手続きをするのも父親の役目だ。

 日本の認定子ども園はスウェーデンのプレスクールをモデルにしている。形だけ真似するのではなく、家族の子育て参加のあり方も参考にすべきだ。父親を始め多様な価値観を持った人の目が保育の現場に入ることで保育サービスの質の向上にもつながるはずだ。そのためにも大胆で柔軟な育休補償が必要なのだ。

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