学力テストと併せて実施した質問紙調査
毎日新聞(9/2)から、
質問紙調査の対象は小学6年、中学3年の児童生徒と学校。子どもには学習意欲、生活習慣などを質問紙し、今年度の項目は小中生とも約120。学校には指導方法や児童生徒の学習態度を訊ねた。
●学習指導
学校調査の結果をみると、授業や学習指導の方法に変化が見られるという。その一つが「宿題」だ。小学校で「よく宿題を出した」との回答は、国語では、2007年度調査は60%だったが、今回は83%と20ポイント以上アップ。算数も同63%から同84%と大幅に増えた。
学力テストの成績が上位常連の秋田、福井両県について、文部科学省が10年度にその背景を調べたところ、共通点が「家庭学習の充実」だった。過去の学力テストでも学力と家庭学習に相関関係がみられ、宿題を課す学校は小中とも年々増加傾向にある。
国語では、授業の最後に学習のまとめを書かせるなど「書く習慣をつける授業」の実施校が増え、今回の調査で小学校90%、中学校92%に上った。授業中に「友達同士で話し合う活動」も広がりつつある。学力向上だけでなく、コミュニケーション能力を養うことにも有効とされる。児童生徒に聞いたところ「よく行なう」の回答を09年度と比べると、小学生で76%から80%に、中学生で52%から64%に増えた。
一方、これまで算数・数学で有効とされてきた「習熟度別少人数指導」は小中とも未実施校の方が目立ち、年々減少傾向だ。元小学校教員の益田・白梅学園大准教授(教師教育論)は「習熟度の低い子同士を集めてしまうと互いに刺激し合うことがあまりなく、むしろ逆効果だということを教師たちが実感しているからだろう。むしろ、いろんな習熟度の子が意見を出し合い、できる子が苦手な子に教えるような『学び合い』を促す指導の方が効果的だ」と指摘する。
《習熟度別にすることは懸念するように、保護者の身贔屓からも「うちの子ができない子の中に入れられた」と、差別と受け取られる懸念もある。また、子どもたち自身の問題としては、「自分たちはどうせできないんだ」と、向上心を摘み取ることになる。》
補助教員をつけ2人態勢で教える「チームティーチング(T・T)」の実施率は算数で6割、数学で5割と比較的高かったが、国語は小中とも2割弱にとどまった。益田准教授は「学力向上には家庭環境の違いにも眼を向けることが必要だ。一人一人に目をかけ丁寧な指導をするには『40人学級』では無理。T・Tよりも少人数学級を進めるべきだ」と話している。
児童生徒への質問で今回初めて設けた項目の一つが「土曜日の過ごし方」。02年度に完全週5日制になって以降、休日になったが「有意義な過ごし方がされていない」という指摘も強く、学力低下論とあいまって、保護者の間では土曜授業復活を望む声は少なくない。
調査では土曜の午前と午後に分けて聞いた。中学生の場合、午前は6割超が「部活動」に費やし、午後は「部活動」派と「家でテレビ、ゲーム」派がそれぞれ約2割。小学生は午前・午後とも最多は「習い事やスポーツ、地域の活動に参加」(約25%)。「家族と過ごす」のは午前・午後とも約15%。文科省は今後、土曜の過ごし方と学力との関係も分析する。
今回は初めてコミュニケーション能力についても調べた。「友だちの話を最後まで聞ける」と答えた小中学生はともに9割以上だったが「自分の意見を友だちの前で発表することが得意」は小学生で50%、中学生は48%。同省は「聞くことには自身があっても、発信することはやや苦手」とみている。
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