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2013年8月 5日 (月)

ハーグ条約、米でも困惑

 毎日新聞(8/5)から、

 国際結婚が破綻し、一方が子どもを海外へ連れ去った場合に適用されるハーグ条約に加盟するための関連法が日本で6月に成立した。だが、最大の焦点となる子どもの「拉致」か、家庭内暴力からの「逃避」かを巡る判断で、裁判所などが苦しむこともありそうだ。日本に条約加盟を迫った米国だが、国内では同じようにジレンマを抱えているようだ。

 (要約)
 6月19日、米下院で開かれた会合で、南部アラバマ州出身のスーザンが打ち明けた。彼女はオーストラリア人と結婚し豪州で生活していたが、夫が交通事故で働けなくなり、暴力を振るうようになった。2006年8月に長男と一緒に出国して米国に戻ったが、夫が9月にハーグ条約に基づく申請を豪州当局に行ない、米連邦地裁に子どもの返還を求めて提訴した。夫の暴力からの逃避行のはずが、子どもを「拉致」した犯罪者扱いをされた。
 「夫は(米豪の)2カ国から自分が被害者だという確認を得たいたのに、私には公的な助けが何もなく、私が示した家庭内暴力の証拠をちゃんと調べようとしなかった」と話した。
 実家などの支援を得て夫の暴力も明らかにされて¥、連れ戻せば子どもに「深刻な危険」が及ぶと判断。変換を拒否する彼女の主張が認められた。08年の控訴裁判決でも地裁判決が支持され決着した。

《交通事事故という不幸に見舞われて、家庭生活を支える収入源を失い自暴自棄になった夫、日本でもよくある『金の切れ目が縁の切れ目』の不和が巻き起こしたのがそもそもの原因だろう。要約にあるように、結婚生活何年目に見舞われた不幸だったのか、お互いの年齢など、さっぱりわからない。メディアの記事は思い入れたっぷりに、女性が「私が悪者だとわかってゾッとした」「涙ながらに打ち明けた」「私には公的な助けが何もない」「恐怖におびえていた」などの同情的表現が並ぶが、夫の言い分は何も見えてこない》。

 1983年に発効したハーグ条約は配偶者の了解なしに海外に勝手に連れ去られた子ども(16歳未満)を元の場所に戻すのが原則。子どもの養育方法を話し合いで決めるなど家族の「和解」を目指すのが目的だった。

 しかし、そうした理念に反し、近年の連れ去りは家庭内暴力からの避難という事例が多くなった。

 条約では、連れ去った方が家庭内暴力の被害者で、連れ戻せば子どもが「深刻な危険」にさらされることを証明できる場合、例外的に連れ戻しを拒否できる。ただ立証責任は連れ去った方にあり、原告に有利な制度と指摘されている。

 会合でオレゴン大学のメルル・ワイナー教授は「子どもの連れ去りと家庭内暴力という大きな社会問題をそれぞれ取り締まる法律はきちんとしているが、この二つが同時に起きた時の対応は不十分だ」と語る。

◎参考に    【外務省資料から】
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 ワイナー教授によると、連れ去る側の9割は養育権の無い母親で、家庭内暴力からの逃避というが、「家庭内暴力の子どもに対する影響を裁判所が学術的に検証しようとしないため、母親が家庭内暴力を証明するのは過大な重荷になっている」と指摘する。敗訴すれば相手の訴訟費用を負担しなければならないリスクもある。

 「日本は世界の中の『連れ去り天国』になっている。これは不公平で、全く助けにならない」。会合を他の議員と共催した共和党のスミス議員は具体的な事例を引用しながら日本政府の対応を批判した。

 国務省によると、過去20年近くで日本人を相手とするハーグ条約に基づく申し立ては320件を超える。一方、「米国男性が力づくで子どもを連れ去るケースもあるとみられる(日本政府関係者)」という。

《『連れ去り天国』とまで揶揄されることに対して、米国男性の力づく云々で、「あるとみられる」との弱々しい表現は、全く自信のない言い分にしか聞こえない。》

 ワイナー教授は取材に対し、日本の手続き法成立を「大きな前進」と評価したうえで、返還すれば子どもが暴力を受けるおそれがあるという、「証明を(被告側に)どこまで負担させるか」と指摘。裁判で被告側に過大な負担がかからないよう期待を示した。

《私が思うに、常々女性に甘い日本の法曹界を見透かしているような懸念を示しているようだ。》


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