本を読まない大学生
毎日新聞(8/28)から、
1日の読書時間は30分、全く読まない人は4割弱。全国大学生協連が毎年実施している学生生活実態調査で、この10年、大学生の本離れを示す結果が続いている。スマートフォンの普及などで、更に本を読まなくなる学生の増加を何とか食い止めようと、大学などでは「読書会」や「スタンプサービス」の工夫を凝らし、学生の「読書回帰」を促している。
参照 読書世論調査から 2006/10
大学生 2010/05
続 大学生 2010/05
昨年の実態調査は10〜11月、全国の大学生約8600人に実施、全国大学生協連によると、1日の平均読書時間は統計を取り始めた2004年から同じような傾向が続いている。1日60分以上読書をする学生がいる一方、全く本を読まない学生も目立つ「二極化」が進んでいるという。
夏休み直前の7月末。千葉大教育学部の教室に、大学院生が同じ本を手に集まった。隔週火曜に開かれる「読書会」。学生が自分の研究に役立つような本を選び、教授が一行一行音読しながら、時折、解説を加える。7年ほど前から藤川教授がゼミ生を対象に続けている課外授業だ。
この日の本は、福祉先進国オランダの事情を描いたもので、4月以降読み進めている。藤川教授はキーワードがでてくるたびに学生に質問する。「ポピュリズムとは何?」「ここで出てくる『不寛容なリベラル』とはどういうこと?」「なぜ日本では非正規労働を正規化するのが難しいと思う?」2時間休みなしだが、学生には好評だ。大学院1年の城さん(23)は「内容が難しい本だと一人で読んでも諦めてしまう。読書会なら内容も理解できるし、先生や他の学生の意見も訊けるので楽しい」と満足げ。藤川教授は「今の学生は読書量が少ないので知識が不足している。本を一緒に読み解くことでそれを補える」と話す。
東洋英和女学院大(横浜市)では、10年度から1年生の必修科目「知の構築講座」の中で、1年間に約50册の読書を目標にしている。講座の狙いは基礎学学力アップ。推薦文を大学の専用サイトに投稿することになっている。それを参考に本選びをする学生も多く、同大は「今後、推薦文をデータベース化すれば、学生の読書意欲もアップするのでは」と期待する。
また、全国の大学生協は03年から「在学中に本を100册以上読もう」を合い言葉に読書を促す企画を進めている。その名も「読書マラソン」。読んだ本のコメントを所定のカードに書き、生協のレジに持って行くとスタンプを1個押してもらう。10個たまれば割引券や図書券が貰える。店側はコメントを店頭に貼り出したり、本と一緒に並べたりする。コメントを参考に品揃えを変えたところ、売り上げが伸びた店もあるという。大学生協東京事業連合の読書推進担当姜政孝は「今の学生は、同世代がどんな本を読んでどう感じているかに関心が強い」と分析する。
《自我を持たず、みんなとつるみ、みんなと同じように考え、みんなと同じでないと不安で仕方ない。制服を嫌い、校則を嫌いながら、己自身を見つめ考えることができず、付和雷同に走り、成人するに際しても、式場は自らお仕着せのようにお揃いの白いファーで埋め尽くされる。》
全国大学生協連主催の「コメント大賞」には毎年8000〜6000通の応募があり、姜は「今の学生は受験勉強に追われ、読書習慣がない。でも、工夫次第で本の面白さに気づかせることはできる」と話している。
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