風疹1万人
毎日新聞(6/18)から、
国立感染症研究所は18日、妊娠初期に感染すると赤ちゃんの目や耳、心臓などに重い障害を引き起こす恐れがある風疹の患者数が、今年1月から今月9日までの23週間の累計で1万102人となり、1万人を突破したと発表した。昨年1年間の患者数(2392人)の4倍を超えた。
男性の患者が77%を占め、8割は20〜40代の若い男性だ。今年は、1月に首都圏から感染が拡大、現在は全ての都道府県に広がっている。患者数は、首都圏と近畿地方に多く、東京都2565人▽大阪府2243人▽神奈川県1220人▽兵庫県855人―の順となっている。
風疹は風疹ウイルスによる感染症で、発熱や全身の発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出る。潜伏期間は2〜3週間で、感染者の咳やくしゃみによって感染する。
感染症に詳しい理化学研究所の加藤茂孝は「深刻な状況だ。患者の多い成人男性がワクチンを一斉に摂取する以外、流行の抑制はできない」と話す。
風疹は妊娠20週までの女性が感染すると、赤ちゃんに重い障害が出る「先天性風疹症候群(CSR)」を引き起こす可能性がある。専門家などから未摂取者を対象とした臨時の無料予防接種の実施を求める声が上がっているが、田村厚生労働相は18日の閣議後記者会見で「特別な対応を取るところまでは来ていない」と述べるにとどまった。
国内では1977年から女子中学生への集団接種が始まり、96年度からは生後12カ月以上90カ月未満の男女、中学生男女への定期接種となった。20〜30代男性の摂取率は低く、34歳以上の男性は定期接種の機会がなかった。例年、風疹の流行は春から初夏がピークとされ、未摂取者に対する財政支援を求める声が強まっている。
一方、ワクチン接種者の増加に伴い、8月にも定期接種用ワクチンが不足する可能性が高まり、厚労省は任意での接種は、妊婦の周囲の人や妊娠希望者を優先するよう都道府県などに求めた。田村厚労相は「定期接種化されていない他の感染者と比較しても(風疹患者が)爆発的に多いわけではない」との見解を示した。
国立国際医療研究センター国際感染症センターの大曲センター長は「目的はCRSをなくすことであり、ワクチンの数を維持することではない。今は非常事態。不足した場合は、ワクチンを輸入することも選択肢として議論すべきだ」と話す。
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