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2013年6月11日 (火)

出生率

 毎日新聞(6/11)”社説”から、

《社説は「女性だけの問題ではない」と書くが、その原因を雇用や子育てなど、政府や自治体の政策と密接に関連するとして、女性を取り巻く社会的環境の面から説いているが、「参照」にあるように、産めるのに産みたくない世代の女性自身の本音の心理面からの分析が必要と考える。何でも社会的要因をいえば子を産まないことの免罪符にされるような風潮がありはしないか。》

 参照 2020年、1人暮らし世帯(単独世帯)が34・4%に 2009/12/

 「産むかどうかは個人の問題。政府は口出しするな」。妊娠や出産の知識を広めようとした「女性手帳」は女性たちからの批判が強く、政府は配布を断念した。たしかに個人の問題ではある。が、急激な少子化は社会保障の基盤を揺るがすだけでなく、経済など多くの分野に深刻な影響を及ぼす。実際、結婚や出産を希望する若者は多いが、それができないのが現実なのだ。では、政府は何をすべきなのか。

《出生率については6日のブログで簡単に触れた。「結婚や出産を希望する若者は多いが」とはどのデータからの根拠か。「参照」にあるように、20、30代の出産期の女性の多くが子どもは産みたくない、と答えているのだ。そのギャップを解明していくことに欠けているのが現在の日本の少子化問題に携わる人たちであり、それを解明していくのが使命だろう。「政治の問題だ、社会が悪い」だけで終わらせているのが現状だ。女性たちは口々に「働きたい」というが、「それはなぜ?」と問う分析がない。「将来母になるため」と答える女性が何人いるだろうか。》

 2012年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が1・41となり、16年ぶりにⅠ・4台に回復した。しかし、生まれた子どもは前年より1万3705人も少ない。現役世代の女性人口は減少が続いており、少し出生率が上昇しても子どもは増えないのだ。年齢別では30代後半〜40代の出生率が上がり、10代後半〜20代が下がった。晩婚や非婚の傾向が続く限り、子どもの数は減っていく。

 都道府県別に見ると、最も出生率が高いのは沖縄のⅠ・90だ。失業率も離婚率も高いが、近年は人口が増えており、「ゆいまーる」と言われる濃密なコミュニティーによる助け合いが機能していることや、男の子が生まれるまで産児制限しない人が多いことなども影響しているといわれる。三世代同居や女性の就業率が高い福井県も以前から出生率の改善が注目されている。1・09と全国で最低の出生率の東京も地域によって違いがあり、江戸川区など近所の助け合いが比較的残っている下町の出生率が高い。

 家族や地域による「互助」「共助」だけでなく、雇用や子育てをはじめとする政府や地方自治体の政策と出生率は密接に関連することにも注目すべきだ。「結婚したい」と思っている20〜30代は男性で83%、女性で90%もいるのに、現実には30代前半の男性の未婚率は47・1%にも及ぶ。年収300万円未満の未婚率が特に高く、非正規雇用の男性の未婚率は正社員に比べて約2倍だ。また、出生率の高い自治体の中には、保育所の整備、保育料の助成、子どもの一時預かり、乳幼児医療の無料化などの政策を積極的に実施しているところが多い。

 現在わが国の人口は1億3000万人弱だが、このままで出生率が推移すると2060年には8674万人になる。少子化対策が重要な政策課題であることは間違いない。しかし、政府が前のめりになって、若いうちに子どもを産むよう女性に呼びかけるよりも、男性若年層の雇用政策を充実させたり、保育環境を整えたりすることの方が効果は上がるだろう。むしろ、政府の役割はそういうところにあるのではないか。

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