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2013年5月23日 (木)

奨学金返済に苦しむ若者

 毎日新聞(5/23)から、《》内は私見。

 「奨学金が若者を潰す」――非正規雇用が広がり、奨学金返済に苦しむ若者が急増している現状を夕刊「特集ワイド」(4月10日東京本社版)で紹介したところ、ツイッターを含め約3000件の反響が寄せられた。「苦しくとも借金は返済して当然」という批判もあったが、大半が「自分も似た境遇」など「返済できない状況」に共感するものだった。問題の根は広くて深いと改めて実感させられた(夕刊編集部・浦松丈二)

《言訳はいくらでもあるだろう。だが、最初から返済しないつもりでなければ、借りたものを返すのは小学生でも知っている「ものの道理」というものだ。返せない心配があれば、最初から借りなければ済むことだ。何でも社会の所為にするのは卑怯というものだし、大学まで行っても、キャンパスライフを楽しむだけで、中卒、高卒レベルのままの卒業が多い学生生活では、借金までして大学に行き、将来を苦しいものにする必要はないだろう。》

 参照 奨学金問題で全国組織 2013/03/
    奨学金延滞問題 2009/11/

 <以下記事の要約>
 今の大学生の半数以上が奨学金を利用している事実に驚いた。日本学生支援機構は大学生向け有利子タイプの奨学金(年利最高3%)として月額12万円までほぼ無審査で貸し付けている。貸付残高は7兆円を超える。だが、大学を卒業しても4人に1人が非正規雇用などで正社員になれない時代、延滞車は2003年度末から11万人増加し、11年度末は33万人にも上っている。

《爪に灯をともして勉学した戦後の苦学生の時代には、手紙やハガキに交えて月に数回、声に接したくて、下宿や寮の廊下に並んで一台の電話の空く順番を待って母や父親に無事の知らせと、心ならずも金子の無心をしたものだ。現在のように使い放題のスマホや携帯で浪費して、苦しい苦しいなど贅沢も甚だしい話だ。》

 九州在住のパート事務職の女性(30)は高校、大学時代に同機構の奨学金を借り、元本と利子計800万円以上の債務を負った。父親が重い病気になったためだった。卒業後、IT企業に就職し、月額3万2000円の20年返済を開始したが、うつ病になって2年で退社。返済を続けられなくなった。

 彼女は同機構の救済制度を利用し、最長5年の返済猶予を使い切り、今年から減額返済(半額)を利用することにした。しかし、返済総額を減額する制度でないため、最長で54歳まで返済期間が延びる。現在の月給は9万円余り、「借りたお金を返すのは当然だが、債務に縛られた一生だと思うと落ち込む」という。

 浦松は綴る。「これは彼女の責任なのだろうか」。

《このようなケースが引き合いに出されるたびに書くことだが、如何にも哀れな同情を買うケースを持ち出して、その他全てがそうであるような文脈を作り上げる。しかし、誰かとつるんでいないと不安なためのメールに、痩せるために、着飾るために、合コンのためにと、無駄遣いは多いはずだ。》

 一部の読者からは上の彼女のことで「高校を卒業して就職すればよかったのだ」との感想があった。一昔前ならそうできたかもしれない。しかし、高校新卒者向け求人はバブル末期・1992年の167万人から12年には20万人と実に87%減になっている。中京大教授のように「仕事が見つからないから無理な金額を借りてでも進学するしかなくなっている」と借り入れを正当化するような意見も出る。

 「自己破産すればいい」との声もあった。しかし、彼女の場合は父親と叔父が連帯保証人になっている。奨学金はほぼ無審査無担保で貸してはくれるが、消費者金融と異なり無保証ではないからだ。自己破産すれば、家族で暮らす自宅を売却することを迫られる。不足分は叔父に請求される。多くの場合、自己破産も叶わないのだという。

 10年度からは3カ月以上の延滞者を個人信用情報機関に登録(ブラックリスト化)するなど回収を強化した。

《食い逃げ然とした人間もおる中、請求、回収しなかった同機構の手落ちとさえメディアから叩かれては(地に堕ちたモラル 延滞増える奨学金08/09)、強固な回収策を講じるのは当然のことだ。》

 12年5月までにブラックリスト化された利用者は1万2281人に上る。登録されると自動車、住宅ローンやクレジットカードの申請が難しくなる。これでは人生設計に影響しかねない。

《そうされても、そうなっても仕方ないものも混じっているのが事実だ。》

 読者からは「教育ローンと改名すべきだ」との意見が目立った。同機構を所管する文部科学省学生・留学生課長の松尾は「奨学金は学生支援を目的として与信審査をせず、担保も取らずに貸与しており、金融事業とは異なる」としている。無論、奨学金に救われる人も多いだろう。しかし、この問題に詳しいフリーライターの三宅勝久は「貸金業と同じことをやっているのに貸金業ではないと言い張って貸手責任を全く問われないところにエセ奨学金事業の本質があるように思います」と反論の手紙をくれた。同機構の奨学金事業はその公共性から貸金業法の対象から外されている。しかし、と浦松は言う。「わたしは同機構の公共性に大きな疑問を持つ。現在の奨学金は、学生ではなく大学の学費値上げを支えているだけではないのか」と。

 「これまでは、自分が多額の奨学金を背負っていることも、返済猶予を受けていることも恥ずべきことだと思い、周りの人にも話せませんでした。私のケースが世の中に知られ、制度の見直しにつながれば嬉しい」。冒頭に紹介した女性は取材を受けてよかったと感想を送ってくれた。

 彼女のように18歳時点の選択に人生を縛られてしまう奨学金制度には問題があると思う。現在の奨学金制度は、毎年給料が上がっていく右肩上がりの時代に作られたものだ。低成長時代にはより安全な制度が必要とされている。

《個人情報の保護だという配慮が過保護とも言える時代だ。奨学金の恩恵を受けて社会に巣立ってきた人たちの、冒頭の女性のような特殊な例は別として、これまでの或いは現在までの苦しい苦しいという同情論ばかりで、実生活がまるで見えない。その実態が窺えないでは「借りたものは返せ」の法治国家としての鉄則を言うばかりだ、》

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