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2013年3月 9日 (土)

女子中学生殺害事件、再審開始認めず

 毎日新聞(3/9)”社説”から、

 1986年に福井市で起きた女子中学生殺害事件で、有罪が確定した前川彰司の再審開始決定を名古屋高裁が取り消した。過去の裁判で開示されなかった証拠を精査して裁判のやり直しを認めた決定を覆すもので、再審制度にも適用される「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の原則に沿って検討されたのかどうか疑問の残る判断だ。

 前川と犯行を結びつける物証や目撃証言はなく、前川の関与を示唆する知人らの証言が唯一の証拠だった。その証言の信用性を巡り、1審無罪、2審有罪とされ判断が分かれ、最高裁で懲役7年が確定した。服役後の再審請求で名古屋高裁金沢支部が11年に再審開始を始めると、検察側が異議を申し立てた。

 再審請求審で検察側は、裁判所の勧告に従い、関係者の供述調書や解剖写真などを初めて開示した。裁判所は、これらの新証拠を確定判定の根拠となった証拠と併せて検討し、現場に残されたものと違い凶器が使われた可能性や犯行後に前川が乗ったとされる車から血液反応が出なかった不自然さから、前川を犯人とするには「合理的な疑いがある」と結論づけた。

 最高裁は75年、「疑わしきは被告の利益に」の原則が再審にも適用されるという「白鳥決定」を出し、冤罪事件に再審の扉を開いた。足利事件や東京電力女性社員殺害事件などで再審無罪が続き、その原則を適用する流れは明確となっている。今回もDNA鑑定のような決定的証拠はないとはいえ、確定判決に疑問を抱かせる新証拠が示された以上、再審開始の決定は妥当と言えよう。

【参考】白鳥決定とは

 ◎札幌市で一九五二年一月、当時の同市警察本部の白鳥一雄警部がピストルで射殺された事件で、懲役二十年の実刑判決が確定した元被告の再審請求に対し、最高裁が七五年五月に下した決定。最高裁は、請求自体は棄却したが、再審開始の要件となる「新証拠」について、「すべての証拠と総合的に評価し、確定判決の事実認定に疑いを生じさせれば足りる」と述べ、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を再審請求審にも適用するべきだという判断を示し、再審の門戸を広げた。
読売:1999年3月11日(木) 全国 朝刊 39頁(社会) 01段 223文字

 ◎再審は確定した有罪判決に重大な誤りがある場合に、裁判をやり直す手続き。刑事訴訟法は「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が見つかった」などの理由があれば、再審を請求できるとしている。かつては「開かずの扉」とも言われたが、1975年に最高裁が「白鳥決定」で、「疑わしきは被告人の利益に」という原則を再審にも適用するとの判断を示し、流れが変わった。80年代には「財田川」「免田」「松山」「島田」の4事件で再審無罪が相次いだ。近年では足利事件や布川事件で再審無罪が確定している。
( 2012-06-07 朝日新聞 夕刊 2社会 )

 ところが名古屋高裁は、これらを無罪にすべき明らかな証拠と認めなかった。知人の証言が変遷した理由にも合理性があり信用できるとし、操作による誘導の疑い否定した。日本弁護士連合会が「白鳥決定を無視し、不当極まりない」と会長声明を出したが、証拠に対する評価がこれほど異なると、司法の信頼性を疑われても仕方ないだろう。

 大阪市平野区の母子殺害事件の最高裁判決(10年)は、状況証拠のみで有罪認定するには「被告が犯人でなければ合理的に説明できない事実関係が含まれていなければならない」として、反証的な姿勢で厳しく証拠を吟味するよう求めた。今回の決定で弁護側は最高裁に特別抗告するが、慎重な審理を望みたい。

 裁判員裁判が始まり、最高裁は、1審の判断を控訴審で覆すためには「論理則や経験則に照らして事実認定が不合理であることを具体的に示す必要がある」との見解を明らかにしている。これは再審にも求められる原則ではないか。

《現在では、痴漢やDVで訴えられれば先入観的に男に勝ち目はなく不利だ。まして女子中学生への殺人事件となると冤罪の可能性は大きい。再審したがらない理由も分かる気がする。》

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