教員の退職手当減額問題
毎日新聞(1/23)から、
埼玉県内で100人を超す教員が退職手当引き下げ前に駆け込み退職を希望している問題で、佐賀県と徳島県では教頭や学級担任を含む教員43人が既に駆け込み退職をしていたことが22日、毎日紙の全国調査で分かった。学校事務職員や一般行政職員を加えると70人超が退職。高知県など4自治体でも退職希望者がおり教育委員会が対応に追われている。
《前にも触れたが、55歳定年制時、ほぼ2年を残した時期、社の退職規定が大幅に改定され、手にする金額が減額されることになった。定年退職を楽しみに50歳から現地ギリシャ語の習得を勉強していたのだが、急遽渡航時期の延長に計画変更しなければならない羽目に陥り、次の就職先を見つけ、61歳まで勤めた。退職金は終の住処にあて、(古い時代の男には、家族安住のため退職金を充てて終の住処を持つことが家長としての仕上げと考える思いがあった。そのように前もって人生設計をしていても、予期せぬ出来ごとで計画を変更しなければならないこともある。20年前の話だ。》
《現在、若くして長期ローンを組み、退職後にもなお残るローンを抱えての老後の生活は、生活に余裕がある筈もないだろう。退職金の減額は、何としても食い止めなければならない問題だろう。メディアは相変わらず教師を聖職と見做したいのか、悪意とも取れるような「駆け込み退職」なる表現を使ってこの問題を取りあげている。》
埼玉県とさいたま市を除く46都道府県と19政令市の教委に聞き取りをした。佐賀県は退職手当を引き下げる改正条例を1月1日に施行したが、昨年12月末で教員36人(小学校8人、中学校5人、高校16人、特別支援学校7人)と一般職員16人が退職。同県教委は「子どもの教育に支障がないよう臨時的任用で年度末まで継続するようお願いし、一部はまだ働いている」と話す。
徳島県も1月1日付で条例改正、昨年12月末に教員7人(小学校2人、中学校3人、高校1人、特別支援学校1人)と一般職員7人が退職した。徳島市では中学教頭が辞め現在も空席という。同県教委は「教員4人を臨時採用し、支障は出ていない」としている。高知県は3月に改正条例を施行する予定で、教員2人が2月末の退職を希望。愛知県と兵庫県、京都市でも3月改正で、退職希望者がいるとみられるが「未集計」などとして詳細を明らかにしていない。
殆どの自治体は、まだ条例の改正を議会に提案していない。10自治体は既に議会で可決されているが、問題は出ていないという。
埼玉県内の公立学校で100人以上の教員が退職手当減額前の1月末での退職を希望している問題で、同県の上田知事は22日の定例記者会見で「無責任のそしりを受けてもやむを得ない」と釈明した。
《減額にめげず、教壇に立つことで生じる教員個人の生活を知事が担保できるのなら、知事の発言も理解するが、そうでなければ職責上の自棄っぱち発言としか思えない。》
また、県が退職金が減額される改正条例を2月の施行にした理由を「1月1日が望ましいと思ったが、組合もあり最小限の周知期間が必要だった」と説明。4月施行で減額を遅らせた場合には逆に人件費の負担増が約39億円に上り、別の批判を招く恐れがあったとして理解を求めた。
条例の4月施行を求めてきた埼玉教職員組合の倉持副委員長は「真面目な教員ほど不利益を被るとは現場をばかにしている」と批判。今年度末に定年を迎えるさいたま私立中の男性教諭(60)は「生徒に迷惑をかけてしまうから踏みとどまったが、生活が苦しければ私だって早期退職を選ぶ」と退職希望者に同情した。
| 固定リンク
最近のコメント