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2013年1月17日 (木)

危険運転致死傷罪とは

 毎日新聞(1/17)から、
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 参照 無謀運転に「準危険運転罪」を検討 2012/09

 交通事故の被害者や遺族の訴えで悪質運転の罰則が見直されそうだ。そこで出てくる危険運転致死傷罪とはどんな罪なの? 車やオートバイの運転手が非常に危険な運転をして事故を起こし、被害者を死亡させた場合は20〜1年、怪我をさせた場合は15年以下の懲役を科される罪だ。刑法208条の2で、どういうケースに適用するかが定められている。アルコールか薬物の影響で正常な運転ができなかった▽車の進行を制禦できないほどの高速度だったか、制御する技能がなかった▽危険な速度で走行し、わざと別の車の直前に進入したり、人や車に著しく接近したりした▽危険な速度で赤色信号を意図的に無視した⎯⎯⎯というケースに限られている

 Q どういう経緯で設けられたのか

 A 01年に同罪が創設されるまでは、人を死傷させた交通犯罪には業務上過失致死傷罪(上限は懲役5年)が適用されていた。99年、高速道路で飲酒運転のトラックに追突された乗用車内の幼い姉妹が死亡をする悲惨な事故が発生し、こうした重大な事故を受け、悪質なケースはより重い罰則を加えることが検討され、危険運転致死傷罪(当初の上限は懲役15年、04年改正)ができた。ただし、従来に比べて極めて重い罰を与えるため適用範囲は限定されることになった

 Q 自動車運転過失致死傷罪という罪もあると聞いたが

 A その通り。自動車運転過失致死傷罪は、危険運転致死傷罪ができた6年後に設けられた。当時、上限が懲役5年の業務上過失致死傷罪と、20年の危険運転致死傷罪に開きがあり過ぎるという意見があり、業務上過失致死傷罪から車やオートバイの事故だけを切り離し、上限を7年とした自動車運転過失致死傷罪が新たに創設された

 Q だんだん厳しくなっているような気がする

 A 交通事故遺族や被害者の悲痛な訴えと、悪質な事故に厳しく対処すべきだとする国民感情が反映されてきた結果だといえるだろう。ただ、「厳罰化だけで悲惨な交通事故はなくせない」という意見もある。刑罰の強化だけではなく、事故を回避する自動車の開発や、運転免許取得や更新条件の厳格化など、交通事故をなくすために実効性のある方策が求められている

 試案は、法相による法制審議会への諮問のきっかけとなった被害者や遺族らの要望に極力応えようとした内容となっている。
 遺族らは▽無免許▽轢き逃げ▽てんかんの発作による暴走▽一方通行の逆走など通行禁止道路の走行⎯⎯といった悪質事案に危険運転致死傷害罪が適用されない現行制度を「理不尽だ」と訴えてきた。

 ただし試案では、このうち「通行禁止道路の走行」だけが同罪の適用対象として追加されるにとどまった。なぜ、他の三つのケースは適用対象とならなかったのか。法務省刑事局の説明では、癲癇については「意識障害を起こしうる状態の運転が危険であることは確かだが、急な割り込みや意図的な信号無視といった現行の危険運転致死傷罪の適用類型と同レベルの危険性があるとまでは言えない」としている。このため、法定刑を若干下げた刑罰の新設が提案されることとなった。

 一方、轢き逃げは事故後の行動であるため、そもそも「きけんうんてん」の類型とすることができなかた。

 無免許も「国の資格がないこと自体が直接、危険な運転につながるわけではなく、危険運転致死傷罪の適用類型に加えるには難しい面があった」という。

 三つのケースは遺族の声に配慮し、異なる形での重罰化案が示されることとなった。

 今回の議論では、飲酒運転で死傷事故を起こしながら轢き逃げをした場合に生じる「逃げ得」をどう解消するかも大きなテーマの一つだった。

 現行制度では飲酒運転で死傷事故を起こした場合、「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」だったと認定されれば、上限で懲役20年の危険運転致死傷罪が適用される。

 しかし、加害者が事故後に逃走したり、わざと更に飲酒したりすれば、事故時のアルコール数値を正確に測れなくなり、道交法違反(救護義務違反=轢き逃げ)と自動車運転過失致死傷罪の併合罪しか適用できず、上限でも15年にとどまるケースが生じる。

 このため、轢き逃げ事件の遺族らは「事故後に逃げた方が刑罰が軽くなる『逃げ得』を許すべきではない」と強く訴えていた。

 試案では、逃げ得を解消するための新しい罪(上限は懲役12年)の創設案を提示。救護義務違反との併合罪の上限は懲役18年となり、現行制度下の上限より3年重くなる。

 それでも逃げ得を完全に解消できるわけではない。その理由を刑事局は「関連する罪の法定刑とのバランスを考えると、それ以上重くできなかった」と説明。その上で「飲酒轢き逃げの罰則強化で、現状より一定程度の『逃げ得』を解消できると考えている」と強調した。

 無免許運転については
 ①危険運転致死傷罪
 ②自動車運転過失致死傷罪
 ③両罪の中間罪
 ④「逃げ得」を許さない新しい罪
——のいずれの場合でも、道交法違反との併合罪より重くする罪を設ける案を示した。ただし、警察庁で、道交法違反の無免許運転(上限は懲役1年)の法定刑を引き上げることを検討しており、その結果を踏まえて議論を進めることとした。

 新たな罰則の整備に伴い、現行刑法の条文が複雑化する可能性もあるため、交通犯罪の罰則に関する特別法を設ける可能性もある。

 悪質運転をめぐっては、昨年4月に京都府亀岡市で集団登校中の児童ら10人が無免許運転の車にはねられ死傷した事故で危険運転致死傷罪が適用されず、同種の事故を含む被害者や遺族から見直しを求める声が強まっていた。

 部会の議論では厳罰化への懸念も示された。ある委員は「遺族の声はよく分かるが、刑法理論とか刑法体形の中にどこまで取り組むことが可能なのか、慎重な議論をする必要がある」と指摘した。

 試案について、交通問題に詳しい高山俊吉弁護士(東京弁護士会)は「逆走事故は恒例の認知症患者が起こすことが多く、意図的な危険運転を罰する危険運転致死傷罪に加えるのは違和感がある。癲癇患者の処罰化も発作の可能性がなければ車社会に受け入れるという時代の流れに逆行している」と話す。

 さらに「『逃げ得』を巡る罪の新設は、轢き逃げ(救護義務違反)を罰する道交法違反と二重処罰とならないか。無免許は行政上の資格の有無の問題で危険運転と結びつけること自体に無理がある。全体として厳罰化ありきの印象。法理論的な合理性も乏しい」と指摘した。

 「日本てんかん協会」は「病気に対する差別・偏見の助長」を懸念し、今後の議論で
 ①罰則新設時は「発作を伴う病気」を要件として限定しない
 ②悪質運転の要件を「心神の状態により正常な運転が困難になる可能性が高いことを認識しながら運転をした」全ての者とし、適用の可否を個々に判断する
——よう求める要望書を部会に提出した。

遺族の一人は「持病を隠して免許を取得した悪質な運転をなぜ『危険』と名のつく交通事故の最高刑で裁けないのか」と語る。「ケースを限定すれば、想定外の事故が起きた時にまた苦しむ人が出る。危険運転の条文を『悪質かつ反社会的な運転』何ど柔軟な対応ができるように改めてほしい」と求めた。
 また、別の遺族は「無免許運転自体を危険運転致死傷罪の構成要件に入れる方向にはなっていない。そうしないと無免許運転の抑止力にはならない」した。その上で「試案については遺族をヒアリングに呼んで話をさせてほしい」と謳えた。

 妊娠7カ月だった娘(当時26歳)の父は、「僕たちの活動が(試案という)一つの形になったことは有難い」とする一方、「無免許運転は故意で、危険運転と同じはず。今回の結果は甘さを感じる」と納得できない表情を見せた。

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