飲酒トラブル、要は適量を知れ
毎日新聞(12/20)から、
忘年会シーズンは最終盤。いくら楽しくても続けば苦となり、悪酔いや二日酔いをすれば体調を崩す。断れない飲み会も少なくないが、事と次第によってはトラブルで仕事を失う落とし穴が待っていることもある。
司法解剖された不審死の遺体についての怖いデータがある。
•自過失死(溺死、凍死、転倒・転落死など)の約8割
•交通事故死者の約6割
•他殺の約5割
•自殺の4割以上
の遺体から、アルコールが検出されたというのだ(「東邦大法医学教室解剖例におけるアルコール検出1978年3月〜81年7月」による)。
この資料を示したのは、アルコール関連問題の医療で知られる国立病院機構久里浜医療センターの木村充・精神か診療部長だ。「アルコールには中枢神経(脳や脊髄)の働きを抑制して麻痺させる作用があります。人間は本能を理性で抑制して暮らしていますが、アルコールは理性の部分をまず麻痺させるので、トラブルを招きがちなのです」と話す。
《この程度のことは酒を嗜む人間は勿論、誰でも知っていることだ。しかし、それを知った上でまち中に大虎男やメス虎の徘徊が眼につくことになるのだ。「酒は百薬の長」という日本の酒飲みにはとっても有難いお題目があるからだ。話の始めに酒飲みを怖がらせるための司法解剖のデータだろうが、酒飲みには効き目はない。忘年会も終に近づいて詳しい解説も無駄と思えるが・・・ 》
そのメカニズムを説明すると、脳は外側から順に、理性や視覚・聴覚といった間隔、言葉を操る機能などを持つ大脳新皮質▽人間の生理的欲求や情動の担う大脳辺縁系▽呼吸や脈拍など生命維持をつかさどる脳幹で形成されている。アルコールは外側から効いていき、ほろ酔い期以後、先ずは理性を無力化していく。深酔いすると、攻撃性、性欲といった本能があらわになる。このため暴力行為や痴漢といった行為を引き起こすことがあり、警戒心が薄れて事件や事故に遭う確率も高くなるという。さらに泥酔気以後は、脳幹の生命維持機能が阻害される危機的状態となり、呼吸困難や意識喪失を引き起こし命を奪うことがある。
酒の適量をどう見積もったらいいのだろうか。まず体重60キロの人を基準にした下の表を見てほしい。酒量とその時の血中濃度、酔いの状態を示したものだ。
飲んでいる最中、一方で人体はアルコールを分解して酔いを防いでいる。ここで酒に強い、弱いという個人差が大きく出てくる。アルコールは主に肝臓の酵素で分解するが、酵素の働きに教弱がある。因みに、日本人は一般的に弱いそうだ。酵素の強弱の見分け方だが、飲んで顔が赤くなる人は弱いタイプだと言う。
また飲む回数が多いと、酵素の働きは活性化して強くなるが、飲み続ける人には脂肪肝などの別のリスクがある。また20〜30代をピークに,年を取るごとに酵素の力は落ちていく。女性は一般的に男性より弱い。表に自分の状態を重ね合わせて、適量を考えてほしい。
《もともと適量など人によって千差万別、百人いれば『適量』は百通りある。体躯60キロあってもお猪口一杯で酔い、寒い寒いを連発する人間もいる。》
人は平均的に体重1キロ当り1時間で100ミリグラムのアルコールを分解するとされ、体重60キロの人なら1時間に6グラムのアルコールを分解する。ビール中瓶1本がアルコール20グラムを含むとして、その処理には3〜4時間かかることになる。4本空ければ分解に12時間以上かかる。翌日に酒気帯び運転などを起こさないよう、この目安に個人差分を慎重に加えて参考にしてもらいたい。
ところで、いろいろな種類の酒を取り混ぜて飲む“ちゃんぽん”は特に有害ではないそうだ。木村部長は「口当たりが変わって、飲み過ぎるからいけない。問題は最終的なアルコール摂取量です」と話す。
酔い過ぎや二日酔いを防ぐには、dるすればいい? 木村部長は「『飲み過ぎない』に尽きますが、アルコールは胃や小腸から血中に入るので、吸収速度が遅くなるよう、しっかりと食べてください」と助言する。
二日酔い、胃のむかつきに対する指定医薬部外品「ソルマック」を販売する大鵬薬品工業(東京都千代田区)で聞いた。アルコール多飲時の症状として
①脱水
②胃粘膜の損傷
③睡眠障害
④肝臓のアルコール分解過程で生成されるアセトアルデヒドによる頭痛、嘔吐などの中毒症状を挙げた。
①の対策は、アルコールの血中濃度上昇を抑えるため、水分をこまめにとること
②については、しっかりと食べること。漢方の考え方では肉や魚のほか、山芋など粘り気のあるものがよいらしい。
③は手軽な対策はなく
④も難しいが、「酵素をよく働かせるには内蔵を温かく保つことが大切なので、冬場の冷たいものの飲食はほどほどにという。因みに、漢方では朝鮮人参、ウコンなどが肝機能に有効、カンゾウなどが胃粘膜の修復によい生薬としている。
《分かっていても、やめられないのが酒飲みの酒飲みたる所以だが。》
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