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2012年11月28日 (水)

公共の場で騒ぐ子ども‥‥母親に抗議する?

 毎日新聞(11/28)『寄稿』城戸久枝(ノンフィクションライター)から、

《毎度感ずることだが、公共の場で騒ぐ子供など張り倒したくなるが、そばにいる保護者、親のわが子に対する無関心、周りへの配慮のなさが一層気に障る。少子化が叫ばれ、子どもは国の宝的な風潮が生まれ、世界に類を見ない子ども甘やかしの国になり下がったようだ。現状のままだとこれからも、ますます甘やかされ増長する子どもが増え、すでにその気配もあるが、モラルもマナーも身につかない人で溢れる国になるだろう。》

 子育ては本当に難しい。
 最近、ある雑誌のコラムが話題に上がった。筆者である漫画家の方が松山発東京行きの飛行機内で泣き叫ぶ子どもがうるさいと、航空会社と母親にクレームを言ったというものだ。私の周囲では、筆者に対する批判的な意見が多かった。

 私(城戸)にはもうすぐ2歳になる息子がいる。実家のある松山まで、1時間半の航路を何度も往復している。そのため、記事の内容が他人事とは思えなかった。

 子どもを飛行機になせるとき、母親にはかなりの覚悟が必要になる。

 私の場合は次のようにしている。当日、数時間前には空港へ行き、お腹いっぱいごはんを食べさせ、思いっきり遊ばせる。うまくいけば搭乗の頃には、うとうとしてくれる。ただ、子どもは親の思うようにはいかない。絵本やおもちゃ、お菓子でごまかし、なんとかやり過ごす。それも発着時は大騒ぎになる。そのときは突き刺すような視線を気にしながら、子どもをギュッと抱きしめて、時間が早く過ぎるのを願うしかない。私がイライラすると、そのイライラが子ども伝染し、余計に騒ぐ悪循環になるので、できるだけ平常心を保つようにする。でも心は折れそうになっている。

 毎回二度と乗りたくないと思うほど疲れ果てるが、おじいちゃん、おばあちゃんに子どもの成長を見せたい‥‥と、ここまでが私の母親としてのいい分である。

 もちろん、子どもが騒ぐのは当たり前とか、注意すべきでないということではない。機内で子どもが大騒ぎすれば、不快に感じる人は多いだろう。私も子どもを持つまではそうだった。実際に映画館やコンサート会場のように、3歳以下の子どもの入場を規制する場所も多い。ヨーロッパでは、幼児連れで旅行することを歓迎しないところもあると聞いた。

 子どもがいることを特権と勘違いして、傍若無人に振る舞う母親を見かける。公共の場で泣き叫ぶ子どもを放置して携帯電話に夢中になったり、人を押しのけるようにベビーカーをぶつけたり、その行動は目に余るものがある。同じ母親として率先して注意すべきだと思いつつ、なかなか声をかけることができない。

《そのような場、映画館、デパート、スーパー、食堂、駅、電車内など幾度も声を荒げた経験があるのだが、世の中が荒んでくるにつれ、「終いに殺されるから、無闇なことを口にすることはやめてほしい」と妻に懇願され、その情景が見えないところに移動したり、声が届かないところ(これは無理だ、キーキー声はどこまでも追いかけてくる)まで離れるか、早々に逃げ出すようにしている。》

 だから、子どもがうるさい時に、他人が母親に注意することは、決して悪くはないと思う。冷たい視線を向けられるより、声をかけてもらった方が楽になる場合もある。ただ、注意する際にはぜひ思いやりを持って伝えてほしい。そして、社会に気持ちよく受け入れてもらうために、母親もそれなりに自覚を持つべきだ。

 と、ここまで書いて手が止まる。今まで書いたことはすべて子どものためではなく、大人の都合ではないか。大人のために、子どもに「ダメ」と押し付けていいものか‥‥‥。子どもが過ごしやすい環境と、母親が子育てしやすい環境は違う。子どもをのびのび育てたいと願っても、周囲への気遣いなしに、この国での子育ては成り立たない。

《結局、社会や環境のせいにするようでは、碌な子育てはできないだろう。》

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