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2012年11月 3日 (土)

性別変更、「父」と認めず

 毎日新聞(11/3)から、

 参照 非嫡出子扱いは民法違反として不服申し立て 12/02

《女には滅法お優しい日本の司法だ、筋の通らない不服申し立てに屈服するかと思ったが、きちんと筋を通した結論を出してくれた。当然と言えば当然の結果が出ただけのことだ。》

 心と身体の性が一致しない性同一性障害のため戸籍の性を女性から変更した東大阪市の会社員の男性(30)とその妻(30)が、第三者から精子の提供を受けてもうけた男児(2)について、会社員を父と認めないのは不当だと訴えた家事審判で、東京家裁(松谷佳樹家事審判官)は31日、夫婦の申し立てを却下する決定を出した。夫婦は決定を不服として即時抗告する方針。

《生物学的な男女間夫婦の不妊治療の人工授精とは根本的に異なる異質の問題だ。今回の2人は、もともと子どもは生まれない関係で共同生活をするだけのことだ。父と名乗れるのは精子を提供した男性で、夫(元女性)である男性を父とするのは生物学的にもあり得ない真実だ。父と名乗りたければ審判でも述べるように、法が認める養子縁組みの方法しかあり得ない。起こしてしまった現実を突きつけて、後追いで筋の通らないことでも認めさせようとの魂胆が見え見えだ。こんなのを認めれば法は根本から崩れることになる。》

 会社員は08年、性同一性障害特例法に基づき性別を変更したうえで結婚。翌年、人工授精で男児が生まれた。出生届を出そうとしたが、実子と認められなかったため取り下げ、無戸籍の状態が続いていた。

 夫婦が今年1月、本籍のある東京都新宿区にあらためて会社員を父とする出生届を出したところ、同区は職権で父親の欄を空白にした戸籍を作った。このため、夫婦は3月に戸籍の訂正を求める家事審判を申し立てた。

 決定によると、家裁は「会社員は特例法に基づいて男性に性別変更したので、男性としての生殖能力がばいことは戸籍の記載から客観的に明らかで、嫡出子(実子)とは推定できない」と判断。このような夫婦の場合は「特別養子縁組をすれば、子の法的保護に欠けるところはない」とした。

 2日の記者会見で、会社員は「特例法で男として扱うことにしたのだから、父としても同じ扱いを受けたい。差別を差別でないと言い切られたことに激しい怒りがわく」と述べた。

《本質的に「差別」ではない。自分が女であるのに男と思う障害者なんだ。だから仮に「オトコ」と認めよう、というだけのことで、生物学的に生殖機能は持ち合わせていない。それを百も承知で共同生活を始めただけだ。もっと言えば、子どもを作ってはいけないのだ。どうしても欲しければ養子縁組みの選択肢を選べばいい。》

〖解説〗
 民法772条は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(嫡出推定)と規定している。仮に実子としない戸籍を作ろうとするなら、嫡出否認の裁判を起こす必要がある。しかし、今回の決定は性同一性障害で性別変更した父の場合は、裁判をするまでもなく法的な父子と認めないとした。

《民法772条の「夫」についても参照で触れた。民法では夫が性別変更した「元女性」であることの想定はしていない。》

 申し立てで夫婦が問題としたのは、生まれつきの男女の夫婦のとの違いだ。男性に不妊の原因がある場合に精子提供を受けて行なう非配偶者間人工授精(AID)では、出生を届け出る際、AIDで生まれたという義務はないため、遺伝的つながりはなくても戸籍上は実子だ。一方、性同一性障害で性別変更した場合は、戸籍にそれが分かる記載があるため、実子にならない。生殖医療と性同一性障害に詳しい石原理・埼玉医科大教授は「生殖医療の発達で、さまざまな家族のかたちが生まれている。親子関係を明確化する法整備を急ぐべきだ」と話す。

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