復興予算で自殺対策に37億円
毎日新聞(10/14)から、
東日本大震災の復興予算が復興と関係の薄い事業に使われている問題で、復興予算とそのうちの全校防災対策比(全国防災)から、内閣府が全国の自殺対策事業として計67億円を既に交付したり、要求したりしていることが分かった。全国防災は首都直下や南海トラフの地震など切迫する大災害への備えが本来の目的。内閣府自殺対策推進室は「震災による心の被害を未然に防ぐという意味では防災に当たる」と釈明している。
《ものは言いようだが、内閣府の言い分はこじつけの域を出ない。屁理屈は如何ようにも付けられる。そこに本来の復興予算を充てるのは、横流しに似たイカサマだろう。それに自殺対策とはなにをどうすることなのか、当面、死にたい人間の自殺を思いとどまらせても、将来に亙ってその人間の生活に責任の取れる保証ができるのか。後は本人の努力次第では無責任だ。思いとどまらせるのがその場限りの自己満足で終わるようなことがあっては却って悲劇となる危険性もある。》
「地域自殺対策緊急強化事業」として、47都道府県を通じて自治体の電話相談や相談窓口担当者の養成などを支援するもの。11年度3次補正予算で計37億円を交付し、来年度予算でも全国防災から30億円を要求している。
同事業は09年度から一般会計を財源に基金を積み増ししながら実施されてきた。下地防災担当相は12日の記者会見で「緊急性や即効性という基準からすると、震災前から一般会計で予算要求していた事業を全国防災で要求するのは、いかがかと思う」との見解を示しており、来年度予算の要求分は見直し対象になる,可能性がある。
《民主党発足時大いに話題になった仕分けからすると、これだけの予算を組んだのはいいが、その投資効果をどのように公表するのだろうか。これもまた、経済状況を背景にお茶を濁してお終いにするような気がする。》
また、内閣府(防災担当)は全国防災の支出について、復興増税を財源とすることから「効果の発現が直接的であること」などとしている。
内閣府自殺対策推進室の担当者は「大震災後は自殺者が増加した。南海トラフ巨大地震などによる震災関連自殺を未然に防ぐことも目的だが、少し分かりにくいかもしれない」と述べた。
「全国防災」は東日本大震災を教訓に巨大災害に備える目的で設けられたが、既に起きた災害の復興予算で今後の防災を図るという趣旨が理解されにくい。これに加え、緊急・即効性の高くない事業への支出が相次いで判明。疑問の声が強まっており、羽田国土交通相は「全国防災と復興予算を分けるとか、いろんな工夫も必要だと思う」との見解を示している。
約19兆円に上る復興予算のうち、全国防災に充てられるのは約1兆円の予定。内閣府は昨年12月、対象となる災害について
▽東日本大震災の大規模余震
▽南海トラフ大地震
▽首都直下地震
▽日本海溝・千島海溝地震——などを例示した。
各省庁は沖縄県の国道ののり面工事をはじめ、官庁施設の耐震改修や津波対策など被災地以外にも支出。今年度までに既に焼約1兆円が計上され、13年度予算の概算要求も約9400億円に達している。予定の1兆円枠を超えるのが確実な一方で、被災地への予算執行が遅れていることへの批判が高まっている。
南海トラフの地震で被害が予想される沿岸県は財政が厳しく、全国防災の増額を要求。本来の使途とズレが生じていることに、各地で「こちらは全国防災で避難路の整備など直接的な対策だけやっているのに、なぜ防災と関係ない事業に支出するのか」(和歌山県の防災担当者)と国への不満が聞こえる。
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