毎日新聞(9/21)から、《 》内は私見。
調査目的:文化庁が平成7年度から
毎年実施しているもので、
日本人の国語に関する意識や理解の現状について
調査し、国語施策の立案に資するとともに、
国民の国語に関する興味・関心を換気する
調査対象:全国16歳以上の男女
調査時期:平成24年2〜3月
調査方法:一般社団法人中央調査社に委託し
個別面接調査を実施
回収結果:調査対象総数 3.474人
有効回収数(率) 2.069人(59・6%)
調査の内容
1、言葉の使い方について
2、日本人の日本語能力について
3、多様化する情報交換手段の日常生活への影響について
4、人とのコミュニケーションについて
5、句読点等の使い方について
6、異字同訓の漢字の使い方について
7、ふだんの言い方について
8、印刷文字と手書き文字の字形の違いについて
9、言葉の意味
10、慣用句等の認識と使用
以下、詳しくは文化庁の調査の結果の概要を参照。
インターネットや電子メールの普及で「漢字を正確に書く力が衰えた」と感じる人も7割近くに達している。同庁担当者は「若者言葉が広まる一方、ネットの普及で『書く』能力が落ちており対応が必要だ」と分分析している。
《1点1画が疎かになっているのは、テレビの漢字書き取りのクイズ番組などでも珍しくはない。殆どの出場者は高学歴のはずだが、無残なほどだ。》
同庁は1995年度から、日常生活での言い回しを7〜8年ごとに調べている。「むかつく」と言う人の割合は、96年度が43・2%、03年度48・1%、11年度は51・7%と半数を超え、「言わない」(11年度48%)人を上回った。また、新たな設問で、
「腹が立つ」ことを「むかつく」と言う人が半数を超え、「ゆっくり、のんびりする」ことを「まったりする」と表現する人も3割いることが分かった。
《これまでしばしば耳にすることがあった「まったりする」が皆目見当のつかない意味の言葉だったが、そんなことだったのか、これじゃ日本語が乱れる筈だ、と昭和一桁はばからしくなった。何か粘着質の響きを持つ嫌な語感だとは感じていたが。こんな語が3割に当たる人たちに使われているとは驚きだ。》
また、「しっかり、たくさん食べる」ことを「がっつり食べる」、「中途半端でない」ことを「半端ない」⎯⎯⎯⎯⎯と言うかどうか聞いたところ「がっつり」が21・8%、「半端ない」は20・1%だった。
《これらの語は、「まったり」と同類の言葉で、一桁人には耳障りなだけなんだが。》
日本人の日本語能力についても調査。01年度と比較したところ「低下していると思う」と回答した人が「読む力」で9・6ポイント増の78・4%、、「話す力」が10・7ポイント増の59・9%になった。パソコンや携帯メールの影響を複数回答で聞いたところ「漢字を正確に書く力が衰えた」と感じる人が25・2ポイント増の66・5%、「手で字を書くことが面倒くさく感じるようになった」が10・1ポイント増の42%となった。
文化庁の氏原主任国語調査官は「『むかつく』は感情を投げつけるような言葉で使う人の気持ちに沿うのかも知れない。また、また、手書きの機会が失われ『書く』能力が衰えるのは好ましくない。子どもへの対応を考える必要がある」と指摘する。
調査では「にやける」の意味や「他人事」の読みも聞き、本来の意味がとらえられていない言葉や読み方を誤った漢字もあった。
混雑した電車を降りるとき「すみません、降ります」と声をかける人は7割以上に———。文化庁の国語世論調査で電車の降車時に他人への声かけをするかどうか聞いたところ、72%が「する」と答えた。98年度の調査から10・3ポイント上昇。また、他人の話しの腰を折ったり、下品な表現を使わないなど言葉遣いや周囲に気を使う人も増えており、早稲田大大学院の細川教授(日本語教育)は「人間関係に神経質になっており、表面的な円滑さを求めているからではないか」と分析している。
《電車でも同じだが、エレベーターでも乗降口にへばりついている人間たち、途中で止まり、自分の降りる階でないことで、他の人のために避けようともせずに無神経に突っ立っているのがいる。奥からすみませんではない、大声で「失礼!失礼!」が私流だ。大抵はさっと道が開く。》
劇場や映画館で、中央にある自分の席に向かう時、途中の席にいる人に「前を失礼します」と声をかける人も98年度から7・3ポイント増え81%に。
《映画館ではないが、比較的空いた席が目立つ電車などの座席。乗り込んだ客のために席に空きをつくるマナーは全くといっていいほどない。座りたい時は私の場合は黙って間に入り込む。「すみません」など言うは必要ない。先の人が空けるのがマナーだからだ。》
他人の言葉遣いが気になる人は、前回(07年度)から4・7ポイント増の75・7%。年代別では、16〜19歳は68・8%から62・8%と6ポイント減ったが、20代以上のすべての世代で増えた。
言葉遣いで心がけていることを複数回答で聞いたところ「相手や場面に応じて敬語を使う」が前回(01年度)から15・5ポイント増の73・5%。「汚い言葉や下品な表現は使わない」が同16・4ポイント増の51・8%に。「他人の話しの腰を折らない」が同7・3ポイント増の40・9%となった。
《これまでの調査では取りあげられていないが、若い世代に目立つ自分の「父、母」を言う言葉のあり方だ。親しい友人間で話す場合はいいが、話し相手が知らない間柄や目上などの場合、両親は「おとうさん」ではなく「ちち」であり、「おかあさん」ではなく「はは」を使うことを知らない。高校生やいい大人たちまでが、「おかあさん」、「おとうさん」では情けないと思わないのだろうか。こういうことこそ中学生になるまでに、小学校できっちりと教えておく必要がありそうだ。》
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