独地裁「割礼は傷害」
毎日新聞(8/9)から、
ドイツ西部ケルンの裁判所が、宗教上の理由で子どもに割礼をさせるのは「傷害罪」に当たるとの判断を示し、波紋を呼んでいる。ユダヤ教やイスラム教社会では一般的な風習のため、ドイツのユダヤ教徒らは「宗教の自由の侵害」と反発を強めている。独メディアによると、割礼を傷害罪とみなす司法判断は世界的にも異例という。
裁判で被告となったのは、ケルン市内の医師。10年11月、イスラム教徒の夫妻から依頼を受け、4歳の男児に割礼手術を施した。だが手術から2日後に大量出血したため、夫妻が男児を大学病院に搬送。出血は止まったが、検察当局は傷害罪で起訴した。
1審の区裁は昨年9月、両親の同意があった点を重視し、医師を無罪とした。だが控訴審の地裁は今年6月の判決で、割礼を「未成年者の体を永続的に傷つける行為で、たとえ親の同意があっても正当化できず、傷害罪の構成要件を満たす」と認定。手術が医学的に必要な場合を除き、宗教的理由で割礼をするのは刑事罰の対象になるとの判断を示した。その上で、医師には違法性の認識がなかったことなどから、1審同様に無罪とし、検察が上告を断念したため、無罪が確定した。
独ユダヤ人中央評議会のディーター・グラウマン会長は「割礼は世界中で尊重されている宗教上の権利で、(控訴審の)判決は無神経で前代未聞」との声明を発表。こうした反発を受け、与野党議員は超党派で7月19日、政府に対し「子どもの体の安全」と「宗教の自由」を共に保護する法案を秋までに連邦議会(下院)に提出するよう要請した。ドイツでは推計で年間5万人が割礼手術を受けているとみられている。
《昔は割礼は未開文明で奇異な風習と見られる向きもあったが、今回のように男児の対象に限らず、消えつつあるとはいえ、女児の割礼も行なわれていると聞く。現在は宗教上の行事(権利)の一つと見られているようだが、割礼の風習を持たない国や人権派がそれ(手術の結果死に至ることがあったとしても)を、断罪することは余計なお世話と言えるだろう。》
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