パソコン画面から出る「ブルーライト」が目や睡眠に影響
毎日新聞(8/8)から、
パソコン(PC)やスマートフォンなどの画面から出る青色の日怒る「ブルーライト」が、体に影響を与える可能性があるとして注目されている。目や睡眠に影響を与えるとされ、最近は青色光を減らす眼鏡やフィルムなどの対策グッズも相次いで発売されている。どんな影響があり、どんな対策をとればいいのだろうか。
「パソコンや携帯電話の画面を日常的に見る時間が長くなっており、ブルーライトの影響は無視できない。生活習慣が変っているのだから、必要な保護対策をしないと目に影響を与える可能性がある」と、むらかみ眼科クリニック(熊本県宇土市)の村上院長は話す。
海水浴やスキーに行き、紫外線の影響で眼が赤くなる角膜炎になったことのある人もきるだろう。光による刺激が目に悪影響を与えることは、以前から知られている。だが、青色光には他の光とはやや異なる特徴がある。太陽光は、赤、緑、青などさまざまな色の光が混ざって白っぽく見える。中でも、青色系の光は紫外線についでエネルギーが強く、水晶体を透過して網膜に影響を与えやすいという。
5月の金環日蝕の時に話題になった「日蝕網膜症」は、太陽光を直接見ることで眼の痛みやめまいを起こし恐れがあるが、この原因になるのも青色光だという。
村上院長は「網膜の中心部には、視力に取って最も大事な黄斑があり、青色光の影響を強く受ければ、加齢黄斑変性と呼ばれる病気を引き起こす原因になる」と話す。加齢黄斑変性とは、見ようとするところが見えづらくなる病気で、失明の原因にもなりうる。光の刺激を受けると悪玉物質の活性酸素が出やすくなり、黄斑に炎症を起こす。
パソコンやスマートフォンなどの端末から出る青色光は太陽光に含まれる青色光に比べれば微弱だ。しかし、画面を毎日長時間見続ければ、目への影響が心配されるという。村上院長は「特に子どもは、大人に比べて水晶体の濁りが少ないため光の透過性が高く、より影響を受けやすい」と懸念を示す。
影響を小さくするにはどうすればいいのか。村上院長は、屋外ではつばの広い帽子や日傘で日光を避ける、▽青色光を減らす眼鏡などのアイテムを活用するなどを薦める。やや意外なのが食生活への注意。「ホウレンソウなどに含まれる抗酸化色素のルテインは黄斑を保護しているが、体内では生成できない。こうした緑黄色野菜を積極的に食べることも大切」と話す。
寝る前にパソコンやスマートフォンを見る人も少なくないが、睡眠評価機構の白川代表は「青色光を浴びると寝付きにくくなる」と指摘する。就寝前の1〜2時間ぐらい前に分泌され、目覚めを抑える「メラトニン」というホルモンがあるが、青色光には、メラトニンの分泌を抑える作用があるという。そもそも、パソコンなどの機器を使うこと自体、脳を興奮させる。寝付きが悪くなれば睡眠時間や睡眠の質にも悪影響が及ぶ。
「ただし、朝の青い光は睡眠を覚めやすくする。体内リズムを調整するのに必要」と白川代表。「午後6時以降は青白い光を避け、照明の明るさを落とすなど、生活に支障が出ない範囲で光環境を調節する工夫をしてほしい」とアドバイスする。
青色光には「波長が眼を疲れさせやすい」という特性もある。南青山アイクリニック東京(東京都港区)の井手副院長は「青色光は波長が短く、散乱しやすい特性があるため、まぶしさやちらつきの原因となり、目の疲れに影響している」と話す。
デジタル機器の画面のまぶしさやちらつきを減らすという「青色光カットメガネ」が相次いで発売されている。
ニコン・エシロールは昨年6月から、青色光を反射させる透明レンズを販売している。同社の調査によると、デジタル機器で多く使われるLEDの液晶モニターや昼白色のLED電球は、従来のブラウン管の画面や白熱電球に比べ、青色の光を強く発している。青色光を減らすことで、文字や輪郭がよりはっきり見えて、目の疲れも軽減されるという。また、紫外線もカットするので、屋外でも快適に過ごせるという。
セイコーオプティカルプロダクツも今年4月、特殊コーティングで青色光を反射させるレンズを発売した。メガネブランド「ジンズ」や「ゾフ」も、パソコン対応眼鏡を販売する。
「ソフトバンクBB」も5月から、スマートフォンの液晶画面に貼付けて青色光を低減するフィルムを発売している。
厚生労働省の「技術革新と労働に関する実態調査」(08年)によると、パソコンなどのコンピューター機器を使う労働者の割合は87・5%。1日の平均作業時間は「6時間以上」が25%で最多。「2時間以上4時間未満」(24・1%)が続いた。
仕事以外での1日の平均使用時間は「1時間未満」が半数を占めたが、「1時間以上2時間未満(19・2%)、「2時間以上4時間未満」(11・5%)との回答も多かった。
コンピューター機器の作業で体の疲労や症状を感じている人は68・6%。「目の疲れ・痛み」が90・8%と最多で、「首、肩のこり・痛み」(74・8%)と続いた(複数回答)。連続作業時間が長いほど、疲労や症状を感じる人の割合が高かった。
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