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2012年8月26日 (日)

いじめの背景にあるもの

 毎日新聞(8/26)“編集局から”より、

 いじめを受けた大津市の中学生が自殺した問題が思わぬ展開を見せた。対応に当たってきた市の教育長が15日、ハンマーで殴られ負傷した事件ご起った。逮捕された大学生は「殺すつもりだった」と供述。首を絞めるために細工した針金まで持っていた。

 さらに驚いたのは、事件後に市教委に寄せられた反応だ。襲撃前日は17件だった苦情電話やメールが当日は290件、翌日は331件に上り、「よくやった」「英雄だ」など、大学生を擁護する声が多く含まれていた。

《己自身は『猫の首に鈴をつける』(イソップ寓話から)こともできない臆病者が、誰かの尻馬に乗って偉そうなことをホザく。あれこれ投稿サイトを眺めても同様の、野次馬的発言の多いことに驚くのだが・・・。》

 確かに市教委の対応には問題はあった。いじめの存在を示すアンケート結果を伏せていたことが不信を招き、結果的に警察による学校現場への家宅捜索という異例の事態に発展した。しかし、市教委の代表者ということで個人が襲われ、その行為が賞賛されるとなると、これは異様だ。

 大学生や彼を支持する人たちには、市教委は存在そのものが悪であり、制裁も許されるという思考があるのだろう。自分と異なる意見の持ち主を敵に見立て、排除し攻撃することも厭わない──そんな風潮が今回の事件の背景にあるのではないだろうか。しかし、こうした思考や風潮は、特定の相手を攻撃することで自分たちの結束を図るという点で、学校でのいじめと同じ構図なのだ。

 大津のいじめ問題で毎日紙は、複数の証言や資料によって確認できた事実だけを報道するという抑制的な姿勢を心掛けてきた。この姿勢を堅持しながら、今回の襲撃事件に見られるような大人社会のバッシング現象が、学校でのいじめ問題にどのような影響を与えているのかという視点でも取材を進めていきたいと考えている、と。

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