同性愛者とスポーツ(複雑化する性問題)
毎日新聞(8/13)から、
男子高飛び込みの前回王者マシュー・ミッチャム(24)=オーストラリア=は、競技以外でも注目された。今回のロンドン五輪に出場した約1万1000人の中で、同性愛者であることを認める数少ない選手。同性愛者や性同一性障害者ら(総称でLGBT=Lesbian,Gay,Bisexual,Transgender)によるスポーツ大会「ゲイ・ゲームス」の親善大使を務めたこともある。
オーストラリアでは同性愛者への理解が広がっているが、ミッチャムのように公表に踏み切るスポーツ選手はまだ多くない。五輪を控えた7月、ある代表選手の発言が波紋を呼んだ。オーストラリア・オリンピック委員会は、射撃代表のマーク夫妻に対し、選手村で同じ部屋を用意しない方針を伝えた。地元紙によると、夫ラッセル(48)は「同性愛者は同じ部屋に泊まれるが、我々は異性愛者だから差別されている」と訴えた。
このように近年のスポーツ大会は、性別をめぐる問題が複雑化している。陸上女子800メートルで2位となった南アフリカのキャスター・セメンヤ(21)。かつて力強い筋肉質の体形から、性別詐称の疑惑が生じ、国際陸上競技連盟が調査に乗り出す騒ぎが起きた。結果は「シロ判定」だったが、セメンヤは「プライベートな部分に踏み込まれた」と不快感を表した。
一方でスポーツにおける「性別の細分化」の動きも広がる。前述の「ゲイ・ゲームス」は、82年にLGBT版五輪の意味合いを込めて創設され、4年に1度の開催が続く。
ただし、スポーツに特に関係のない一般のLGBTの間では、行き過ぎた「細分化」を疑問視する声も漏れてくる。英オックスフォード県でパン屋を営むトーマス(61)とジェローム(45)の男性カップルはこう語る。「同性愛者だけの五輪が実現すれば、その次は『異性愛者だけ』『白人だけ』『黒人だけ』につながるだろう。なぜスポーツに必要なのだろうか?」と。
《逆に、古くはアマチュアだけのスポーツの祭典であったところにプロが加えられた経緯がある。男性カップルがそのように言うのは論理の飛躍だろう、極端な細分化はその次には「独身者だけ」「家庭人だけ」「20歳だけ」或いは「21歳だけ」等々、と年齢別にまで細分化されて行くことになるだろう。》
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