「自転車でED」に困惑
毎日新聞(8/16)から、
要約と《 》内は私見。
《何かと話題の多い自転車だが、今度は男としての最大の恐怖が取り上げられた。タイトルのED(Erectile Dysfunction 勃起不全)とは勃起障害のことで自転車愛好家にはショックな話題だ。》
過剰に自転車に乗ると、男性はEDになるリスクが高まる──。そんな医学界の指摘にサイクルファンが困惑している。海外では問題にされてきたが、国内では今年、ED治療の指針となる学会がガイドラインに注意を促す内容が追加された。大震災以降、自転車ツーキニスト《自転車通勤者、ジテ通、チャリ通》が目立つが、そのリスクとは?
今春、東京・渋谷にあるED治療を専門とする「渋谷三丁目クリニック」を、都内の20歳代の男性が訪れた。男性は古市副院長に性行為がうまくできないと打ち明けた後、「自転車に乗っていますが大丈夫でしょうか」と言った。
毎日の乗車時間は通勤の往復1時間半。乗ると会陰部(性器と肛門の間)に痛みを感じていた。一般にEDの原因となりやすい肥満や高血圧症状はなかった。副院長は「自転車は多分に原因になっているのでしょう」と答え、ED治療薬を処方した。クリニックには、2年間で約30人が「自転車が原因では」と訪れた。
ED研究者らでつくる日本性機能学会は、学会発行のED診療ガイドラインの本年版から「自転車は注意が必要である」「乗車時間とEDの間には明らかな用量相関関係がある(時間が増えるとリスクが高まる)とされる」と記した。
ドイツ・ケルン大学では99年、アマチュアの長距離サイクリストと非サイクリストにアンケートによる調査を行った。年齢構成を補正してED発症率を比較した結果、非サイクリスト群3・9%に対し、長距離サイクリスト群は13・1%だった。国内の研究例はないが、同学会副理事長の永尾東邦大教授は「複数の信頼できる論文が報告されたためガイドラインに記載した」と話す。
永尾教授は「サドルと接する会陰部は皮膚の下を動脈や神経が走っている。狭い面積に体重がかかって強く圧迫され、血管や神経に障害が起きやすい」と説明する。
ただ、国内の現状は明らかになっていない。永尾教授は「乗車中股間を打ち血管障害が起きたような例は自転車が原因と分かる。だが、慢性的な原因からの血管障害は加齢による動脈硬化でも起きるため、どちらが原因か分からない」と言う。
心配すべき状態はどうか。「自転車で1日、遠出したからといって直ちに影響はないでしょう。毎日乗っていてしびれなどの違和感が続くような人は、体重が強くかかる、先端が細長いサドルはやめた方がいい」(永尾)。トライアスロン歴があり自転車通勤する古市副院長は「予防のために」、戦端のないサドルを使っている。
そのサドルの効果は米労働安全衛生研究所が調査している。仕事で自転車に乗る警官に先端がないサドルに6カ月間座ってもらったところ、勃起機能が改善したというアンケート効果が出た。性器の周りのしびれを感じていた人は73%から18%に減った。
自転車競技の日本チームのコーチを長く務めた斧・全日本実業団自転車競技連盟理事長は「関係があるか疑問。国内でも自転車に長時間乗る人と一般の人を比較する研究などを行なってほしい」と話している。
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